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……っ
[名を呼ばれると
深く暗い笑みが くしゃり 泣きそうな顔で潰れた]
……!
………!!
[幾度も幾度も誰も居ない空を切りつける様に
ナイフを目一杯振り回し
身体に掛かる負担からか
バランスを崩しながらその場に座り込む]
私は寄せ木細工ではなく、金属で注文したな。
多分、他の客は出さない依頼だ。
ロッカーに残っていれば、作品と対面出来るよ。
[金庫の代わりとして使えるもの。それで、おそらく品が特定出来る。それ以上の憶測や箱の中身については、今はユリアンには伝えない事にした。
既にユリアンは、石化病と、冷凍睡眠に入った当時の政界スキャンダルに関わる、ヘルムートとの秘密の共有者 になってしまっているのかもしれない。そうだとしても──。]
一緒にロッカーに行くより、先に上階に上がるかね?
>>149
[カルメンのナイフを振り回す様には目を丸くしたが…。
座り込んでしまった彼女の前にしゃがみ込む。
そして、手をそっとその手に重ねて、
ナイフを取ろうとする…。]
――……
[注意深くカルメンの動きを見ていたが、
座り込む姿に、先程とは違った意図で傍に行こうとするとまた制止がかかっただろうか。]
…カルメン…、?
[そう聞こえた。
それが彼女の名前なのだろうか。]
あー、アレですね、そうするとです。
僕に渡さない方がいい、ですよ?
開けてしまいますです、簡単にね。
[金属の秘密箱、心当たりは一つしかない。
箱を見つければきっと開けれる、しかし自ら開ける事は無いだろう]
お客様の秘密を守る為の秘密箱なのですよ?
[はからずも秘密の共有者になってしまった事に若干戸惑いを見せる。
ヘルムートの視線には苦笑いで気付かない振りをした**]
[そのまま、カルメンの身体を抱きとめて…。
片手で、そのナイフをハインリヒに差し出した。]
……ツヴァイ…預かっていてくれ。
[そして、ナイフをハインリヒに渡したなら、その華奢な身体を抱えあげる。
そう、カルメンを最初、あの家(カプセル)から連れ出した時のように。]
[カルメンの倒れる姿に二人の傍に歩み寄る。
ナイフを、そう告げる前にこちらに渡されると受け取って。
とても物申したい様子でまたダーヴィッドを睨んでから代わりに溜め息一つ。]
……ちゃんとした場所で寝かせてやってくれ。
[抱き上げる姿にそうとだけ告げる。]
[そして、どこに連れていくか悩んだが……。]
二階の、衣装部屋に運ぶよ。
医務室だと、彼女が居難いかもしれない。
[そして、二階へと足を向ける。]
[カルメンを人気のない場所へと連れていく、
ダーヴィッドの提案には少し不安が残ったが]
……少し、傍についててやれよ。
後で水持っていく。
[心配なのはこの男もだった。
決して歩き回って楽な数値ではないのに…
―――石になるのを見る
思わす口をついた舌打ちに焦燥感が滲んだ。]
>>159
ああ、わかってる。
[水を持っていく、には頷いて…]
うん、頼む…
[そう言ってから………ふと、振り返って……]
ツヴァイ………僕は大丈夫だ。
[そう笑って*嘘をついた。*]
……嘘つけ。
[ダーヴィッドが残した言葉に二人を見送った後に悪態つく。
全く……隠そうとすればするほどに、分かりやすいのだ。
あいつも、―――…他のやつも。
医務室に残る者達に向き直るとやれやれと肩を竦めて力ない笑みを浮かべ]
――…流石に。少し、疲れたな。
[笑おうとしてケホ…小さな咳が零れて。
ケホ、ケホ…止まらなくなると口元を押さえた。
使える薬品を探す…そう呟くと薬品庫へと向かい、扉を閉めてその場に座り込む…。]
[止まぬ咳…手が、震えてることに気付くと強く握んだ。
目を閉じると先程のカルメンの姿が浮かぶ。
虚ろな蒼、問う声…まるで狂気を纏ったかのような。]
―――……
[眉を寄せる…彼女が怖かったわけではない。
ただ―――彼女を見たときに妙な錯覚に陥ったのだ。
まるで…そう、まるで鏡の先を見ているような。]
―――…な で……?
[過去に似たような光景を何処かで見た?…わからない。
靄がかかったように記憶が遮られる。
―――駄目だ、*それ以上は思い出せない。*]
[落ちたベルトを拾い上げはしなかった。
“その先”を見せられているようで 眼を逸らす。
包帯をきっちりと巻きなおされれば
自分の手を手で撫でて、確かめるようにそれを幾度か繰り返した。]
そうね、
……慣れているのね。
研究員は、怪我の治療にも慣れてますの?
[ゆるく首を傾げると亜麻色の髪がさらりと落ちた。
頚の数値には気づかない。]
……?
いいえ、 さして痛まないわ。
[其方こそが、恐らくは症状。]
[もがくように、暴れる女。
虚ろな眼、去った後もしばし、
釘付けになった。其処には誰も居ないのに
(お父様)
(お父様)
(―― どうして。どうして)
(どうせ かえらない のに)
(意味なんかない)
(意味なんかないの)
いきたくない。いきたくない。
壊した荷物。
折れた銀細工の羽。
――それはおそらく眠る前の記憶]
―― 回想 医務室 ――
[右手がじんじんと、痛む]
はっ
[笑うみたいに、自嘲うみたいに、短く息を漏らした。
こうして感情に身を任せ、他に当たるなんて、何年ぶりだろうか。教育者として、それだけはタブーだったのに]
[年上の男の手が触れて、ゆっくりと意識が深層から戻ってくる。やがて、ゲルダやブリジットの声が聞こえてきて]
…………。
[深呼吸した]
[眩暈をパートナーに、女性2人の方へとゆっくり振り返る。
微笑をつくろうとして、それは二重の意味でひきつったものとなった。今は、心から笑えないという意味と、顔面の右側一部が、皮膚の変色もないのに動かないという意味と]
……え え
[言葉を続けようとして、少し間が開く]
わたしは、だぁいじょぶです
[首を左右に振る。
表情とともに、幽かにアシンメトリーな動きになった。
時折、右の瞼がひきつく]
[老人の上にかがみこんでいる男を見ながら]
ぜるぎうすを、信じるなと
かれの遺言です
カルメン…?
だって、アリスさん…って。
[怯えたまま、ポツリとつぶやく。
なんて名前の人だろうと、彼女に記された名を読んでいたから。]
[ゲルダに、眼鏡の行方を聞かれて。
首を振って、否定する。鞄の中には、どこにもなかった]
だいじょぶです、よ。もう慣れました。
それより
[自分の喉をぱたぱた叩いて]
シグナスさん、声、へきですか?
[どこかかすれたそれ。先ほどから少し気になっていた]
[自分を、とブリジットに頼む男に首を振ろうとして、背後から声が聞こえた。そのまとう雰囲気に、一瞬彼女の声だと分からなくて。振り向いて、せつな、奇妙な表情になった]
[瞬きして、何度も彼女の顔を見る。
だから、カルメンの動作や言葉の意味を取るのが遅れて]
[振り上げられるナイフ。立ち上がろうとするブリジット。
とっさに、ブリジットの前に左手を出して、とめた。
ダーヴィッドとハインリヒがナイフを取り上げるのを見ながら、カルメンの名乗りを聞いた]
かるめんさん……?
[どこかはっとしたような、細い声で名前を呼んで、見送っていた]
─二階・廊下─
……ああ。
鋏の類なら、幾つか見かけた。
剪定に使えるものもあるだろう。
[日用品置き場(1)を示すイレーネに>>112に頷いて。
ダーヴィッドの言葉>>113には、視線の先を追って、そういう事だ、と頷いた]
……とりあえず、俺もちゃんと着替えてくる。服は見つけてあるしな。
[このままではいざという時動きにくいというのが、理由だが。
いつの間にかいなくなっていたナターリエの事もやはり少し気がかりで、一巡りして探しておこう、と思った]
[彼女の様子が、白い亡骸たちが見せた幻視と重なって、思わずふるりと頭を振った。]
うん、冷凍庫のもの以外はほとんど劣化してたけど、
お弁当くらいなら作れると思う。
あと…缶詰なら錆びたり膨らんでなければ大丈夫だし、
乾パンと金平糖もあったよ。
[日持ちのするものしないもの。
割り振って分け合わなくちゃと。]
あ、うん。この位は平気。
ああ、あー♪
[だした声は砂のようにざらついて。
これ以上進んだら、きっと音にもならなくなる。
そう思うと、少し怖かった。]
[衣裳部屋へ向かいがてら、覗いた部屋には人の気配はない。
衣裳部屋にも人気はなく、今の内にと先に見つけておいた黒い詰襟のシャツとジーンズに着替える。
壊したピンは少しだけ悩んだものの、外した飾り部分と一緒にジャケットのポケットへ移した]
……で、と。
どこに行ったんだか。
下に行ってればいいが。
[呟きながら、再び廊下へ。
そこには未だ、語らう者たちの姿はあるか。
(6)の部屋を覗いて開かれた隠し扉を見て、最後に武器庫のある部屋へと入り]
……何してんだ、お前は。
[聞こえているかはわからないが。
口をついたのは、こんな言葉]
[起こして連れて行くか、このまま抱えて運ぶか考えたのは、僅かな時間]
……まったく。
俺に、人を頼れ、と思わせるとは。
あのバカを、軽く越えたな。
[ふと過ぎった面影。
振り払うよに、首を振り、羽織っていたジャケットを脱ぐ]
――……莫迦ね
お節介ばかりで自分が倒れては
本当に笑えなくてよ
[苦さを滲ませながら呟く。
答えはありやなしや。
咳がやまないならそのままで。]
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