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[ギュンターの説明はすぐに始まっただろうか。
待たされるうちに、またうとうとと眠ってしまったかもしれない。
足元の敷物に伏せていたビルケも、暖かな場所に満足し、いつしか眠っていただろう。]**
─ 廊下 ─
お茶……そ、ですね。
[途切れがちの言葉へ返されたものは、広間へ向かう事を肯定してくれる。>>91
それに安堵を感じつつ、小さく息を吐いた。
そこにもう一つ、違う声>>88がかかると一つ瞬いて。
自分は小さく頷くのみで、説明はライヒアルトに任せた。
彼が外へと向かう際も、何も言わずに見送って]
……あ、えっと……大丈夫、ですけど。
[大丈夫、と問う声。>>95
返して向けた視線は、どこかへにゃりと情けないもの]
でも、お願いして、いいですか。
俺、広間の暖炉に火、入れてきますから。
お茶のセットの場所は、大丈夫です、よね?
あと、甘いものの置き場所とかも。
[昨日、厨房の手伝いを申し出られた時>>80、大体の配置は伝えてある。
正直、自分で何とかという意地と抜けない苦手意識故に微妙なものはあったのだが。
病人もいる状況で無理はできない、と割り切った結果がそれだった]
俺は、大丈夫だから。
お願い、します。
[そう告げて、ぺこりと頭を下げて。
黒猫を抱えて向かうのは広間]
─ 広間 ─
[広間に入ると抱えていた猫を離して暖炉に火を入れる。
揺らめくいろは、先に雪の上に見えたいろとは違うけれど、どこか似ていて。
暖かいはずなのに、身が震えた]
……なんなんだよ。
[ぽつ、と零れ落ちるのは掠れた呟き]
わけ、わかんないよ。
……何が起きてんの。
[あれが何の色か、わからないなんて言わない。
ただ、わかるからわからない。
一つわかっているのは、異変が起きているという事という、あんまり役に立たないもの。
それだけわかっても仕方ないのに、と思いながらふと、庭へと視線を向けて]
……あれ?
[気が付いた小さな違和。
自分と同じ綴りで名を書く薔薇の枝に、この時期にはないはずのものが見えた気がして。
一つ瞬いて窓辺に寄り、目を凝らそうとした所に、ライヒアルトが戻って来た。>>101]
……あ、侍祭さん。
[呼びかけたきり、言葉は途切れる。
いつもなら、何があったかすぐに問うだろうけれど、それも出来なくて。
祖父から話があるらしい事と、ユリアンの席の事を聞かされたなら、わかりました、と頷いた]
あ、薬湯も煎じないと。
[病の具合を診て、薬を煎じる。
そんな当たり前をする事で、なんとか意識を日常に向けていよう、否、向けていたいと。
それが叶わないと知るのは、もう少しだけ先の事だが]
あ、ユリさん。
具合、どう?
[そんな感じで色々と抱えていたから、広間にユリアンが顔を出したなら真っ先に問いかけるのはそれ]
いーの、調子悪い人は細かい事は気にしないの。
世話されるのは病人の仕事で、世話をするのは周りの仕事です。
[謝罪の言葉>>105には、師の受け売りで切り返す。
症状が変わっていないようなら、少し配合を変えるようかな、なんて思いつつ。
一先ず、薬師見習いとして動く事で、落ち着かない何かを抑え込んだ。*]
[遠慮しつつ付け加えた。]
世話をかけてばかりで悪いんだけど、何か食べ物をもらえないかな?
お茶でもいいかな…、できれば、温かいのを。
……ビルケのぶんも。
[エーファが応じてくれれば、食べ物かお茶を口にするだろう。
そうしているうち、広間にひとが集まってくるだろうか。
挨拶されれば、会釈するか、短いやりとりを交わすかもしれない。
誰にも話しかけられなければ、待ちくたびれて眠ってしまうかもしれない。]**
─ 広間 ─
[向けられる感謝の言葉>>112に浮かぶのは安堵の笑み。
薬師として役に立てている、というのは、こんな時でも小さな自信となってくれた]
あ、うん。
ユリさんずっと寝てたし……ちょっと待っててね。
[食べるものかお茶を、との言葉にぽむ、と手を打つ。
お茶の準備を任せたカルメンが広間に来ているならそちらは任せて。
多目に作っておいたスープを温め、ビルケの食べるものを用意して広間へと戻り]
後で、薬湯も煎じるから、ちょっと待っててねー。
[薬草の効果の表れには個人差がある。
少しずつ、あわせて調合しないとならないから少し時間がほしい旨を告げて。
その内、祖父が広間に姿を見せたなら、居住まい正してその話を聞く事となる。*]
夢……そっか。
ユリアンはずっと予感してたんだな。
[演奏会の時も何も言わなかった彼だ。
恐らく感じていたことも身の内に溜め込んでいたのだろう。
ユリアンが広間へと向かう準備を始め、ビルケも立ち上がった時、ユリアンから頼みを向けられる]
おー、任せとけ。
[ビルケに、ちょっとごめんよ、と声をかけながら敷物を畳み、片手で持ち上げた。
歩けるか?とユリアンとビルケの両方に問いながら、彼らに付き添い広間へと向かう]
─ 廊下 ─
上に羽織るもん用意しときゃ良かったな。
[演奏会も寒かったと呟くユリアン>>104に相槌を打ちつつ、問いを向けられると一つ頷いて]
今んところはな。
もう一人調子悪そうな奴が居た気がすっけど…あれは病人?なのか?
少なくとも風邪では無さそうだったな。
暖炉の傍に席確保してもらってっから、ひとまずそこ座っとけ。
他の人にゃ別のところに座ってもらうからよ。
[病人の話には、素性のよく分からない保護された旅人の話を出し。
座る場所についても確保してもらっている場所を告げておく。
風邪をうつさなきゃいい、と言う話には]
ま、何とかなっだろ。
[基本的に風邪を引かないために楽観的な言葉が返った]
─ 広間 ─
[広間に着くと先ずビルケ用の敷物を暖炉の傍に広げ、確保してもらった席にユリアンを座らせる]
侍祭さん、さんきゅ。
[席の確保を請け負ってくれたライヒアルトに礼を良い、イヴァンもまた適当な席へと座った*]
─ 二階・客室 ─
[歌い手の亡骸が見つかり、他者が忙しなく動き回っている頃]
……あかいいろ。
[旅人は窓から庭を見下ろし、こんな呟きを漏らしていた。
その視線は、歌い手の亡骸が包まれ視界から消えると同時に庭から離れる]
……はい。
[それと前後して、部屋の扉がノックされる。
短い声に応じて扉を開けたのは、屋敷の主。
主は異変が起きた事と、広間でそれについての話をするから来てほしい、と旅人に告げる]
……わかりました。
[有無を言わせぬ口調のためか、他に理由があるのか。
部屋を出たがらない旅人は同意を返し、主について広間に向かった]
─ 広間 ─
[広間に到着したのは一番最後。
特にそれを気にする事もなく、旅人は一礼して広間の隅に立つ。
一方、館の主は広間に集まる険しい面持ちで見回し──ゆっくりと、口を開いた]
…………。
[語られるのは、歌い手の死。
つけられた傷が、人の手ではなし得ぬものである事。
それから告げられるのは、『幻燈歌』に謡われるもの──闇の者と、それに対する者の存在。
合わせて示されるのは、中央教会より届いた、という書簡。
このような事態が起きる可能性が、この村にある、という警告は受けていたのだと、そう告げて]
……なすべき……処断……ころす?
[『人狼』を殺さなければ更なる犠牲が出る、そのためになすべき事をなす。
そう、躊躇いなく宣する屋敷の主の言葉を受けて落ちた呟きはどこまで届いたか。
話すべきを話し、広間から立ち去る主の背を見送る旅人の目は虚ろなまま。
何処か、底知れぬ闇のようなものを宿していた。**]
―孤立の翌朝・外―
[目の前の事に気持ちが追いつかず、とりあえずギュンターの指示に従う事を選択する。
何しろ他にどうしていいかわからなかったから]
うん…カルメンとかに見せないほうがいいと思うし。
シーツ、頼むね。
[シーツを取りに行くと言うイヴァン>>85にそれを任せて、もう一度遺体の様子を見る。
腹に開いた傷の中にあるべきものが見当たらない。犯人が持ち去る理由も思いつかない。
何で今、と思いながら同時に感じる確信と軽い諦め。
それも戻ってきたイヴァンに気付いたなら胸の奥にしまいこんで]
お帰り。
どこに運んでおく?
[遺体をしっかり包んでから、今更のように祈りを捧げる。
そうして、運ぼうとしたところにやってきたライヒアルト>>97に頭を下げた]
ライヒアルトさん……
[彼も状況を理解したのだろう。手伝うと言う言葉をありがたく受け、遺体を雪の少ない場所へと運ぶ。
遺体の様子を確認し、手を組ませ祈りを捧げる姿はやはり聖職者の物で。
歌い手も少しは救われるだろうかと心の中で思った]
そうだね……ギュンターさんが広間に集まるようにって言っていたし。
指が霜焼けになったら仕事にならないし。
[冗談なのか本気かわからない事を零しながら、促されるまま>>98に屋内へと向かう。
そこでイヴァンが思い出したように声をあげる>>99のに、あぁ、と頷いて]
ユリアンだけ残すわけにも行かないか。
弱ってるところにこんな話は辛いと思うけど……
[そうでなくても、何か思うところがある様子だった。
「頼むね」と声をかけ、ライヒアルトと共に広間へ>>101
もし、これが男の「知っている」ことであったなら、もっと辛い事になるとは思ったけれど]
―孤立の翌日・広間―
[広間に入ったなら既に暖かく、ほっと息を吐いて]
エーファ、大丈夫?
[と、どこか落ち着かない様子のエーファ>>110に声をかける。
多分、彼も気がついているんだろう。だけど今自分から話す気にはなれなかった。
代わりにライヒアルトが説明するのを聞きながら自分の居場所を隅に求める。
暖かい落ち着ける場所は、これから落ち着けなくなるだろう人たちへと]
あ、ユリアン。大丈夫か?
[やってきたユリアン>>112に気遣いの声一つかけ、だけど自分に出来る事は今はないから
周りの様子を伺いながら、ギュンターが現れるのを待つ。*]
―広間―
[やがて、広間にギュンターが現れる。
それと主に現れた初めて見る男の顔>>120に怪訝そうな視線を向けたのは一度だけ。
そうして、屋敷の主が険しい表情で口を開き、語り始めるのを聞いた]
……え…?
[歌い手の死と、それが人の手による物ではないだろうと言う所はこの目で見て知っている。
『幻燈歌』との符号は偶然だろうと「思い込もうと」した。
だけど、その先、中央教会からの書状。予測されていたという話と
旅人の落とした呟き>>121に、広間がざわつき、声をあげるものがある中で]
………やはり…「場」が出来た、という事ですか。
[と男は呟き、どこか諦めたような吐息を零した]
[「場」について問われたなら、自分も聞いた話であると前置きして話を始める]
『幻燈歌』を聞いたとき、符合するなとは、思ったんです。
“月巡り、刻巡り、『場』が築かれしとき。”……
[詩の一文を挙げて話を進める。
時……満月の夜
場所……他から隔絶された、或いは封鎖された空間
そして、人……特別な定めをもった人々
これらが揃った時「場」ができるのだと]
人、というのは……これも多分、『幻燈歌』に登場する物でしょう。
つまり、闇の者と光の者。です。
そして……「場」が出来てしまったら、もう止められない。
終わるまで、誰もここから出られない……
[「終わるまで」をれがどういう意味かは、ギュンターや旅人の言葉から察する事ができるだろう]
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