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[さすがに昨夜のやり取りは気まずいものがあったのか。
日が変わり、朝食を済ませるとすぐ、散歩してくる、と家を出ていた。
祭の準備で慌しい合間を縫い、ふらり、歩いて行く]
……さすがに、力はいってるねぇ……。
[軒先に掛けられた飾り紐が風に揺れるのを眺めつつ、ぽつり、呟いた]
[丘の上の木の下。その根元に座り込みペンを滑らせる]
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若葉が茂る季節。村では数年に一度行われる祭りの準備に大忙しだった。
祭りと言っても、その内容は魂鎮めの儀式であって、とても厳かに執り行われる。村ではその祭りを取り仕切る家があり、代々祭りの中心となり儀式を進めて来た。
今年は宮司の代替わりがあり、取り仕切る宮司は初めて中心に立つこととなるため、祭りの準備はいつもより慎重をきして行われていた。
そんな慌しい村に、普段ではあまり無い外からの訪問者が何名か現れる。
探偵を名乗る男、主より暇を貰い羽を伸ばしに来た女中、古民家を見て回っている建築家の見習い。他にも祖母の家に遊びに来た少女や、誰かと待ち合わせをしているらしい青年も居た。
外部からの訪問者は滅多に現れない閉鎖的な村。このように何人も現れたのは祭りのためかと思われた。その割には人数が多いとも言えるのだが。
そして、村から出て行った者も数名、祭りに合わせ帰郷した。呼び出された者や目的あって戻って来た者など、理由は様々だった。
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……こっちに、変えよう、かな。
折角だし、ね。
[それは今書いている小説の出だしの文節。今回の祭りで集落にやって来た外部からの者、彼らも作品に登場させることにしたようだ。尤も、細かい描写は書かれることは無いかもしれないが]
[翌日。]
よし、ッと。
[今日は雑炊らしい。
自分の分だけ取り分けて、軽く食事を済ませた。]
んじゃ、行ってくるわ。
飯食う人いたら適当に出しといてなァ。
[奥の主人に声を掛け、旅籠を後にする。
カウンターの上に寝そべるコダマが欠伸で応えた。]
―宿屋の一室―
[朝の気配。ほのかで柔らかい朝日がカーテン越しに降り注ぎ
身じろぎを一つ二つ。寝ぼけ眼でぼんやり起き上がり、寝癖を軽く手ぐしで整え起き上がり、しばし身支度をしたなら、食事を取ろうと部屋を出る]
[孝博とすれ違ったなら、軽く挨拶の一つでもしただろう。
そして主人に食事を頼み。適当な席…につこうとして、カウンターに猫が寝そべっているのを見て、近くに座る
目を合わせないようにしながらもそっと撫でた…撫でた…撫でた…ちょっとご機嫌になった]
では…いただきます
[運ばれてきた料理…雑炊を食べ始める。その間主人は時間もあったのもあったのか。久しぶりにと会話をする。だがそれは近況を聞くだけでもなく]
いえ…まだ西行院家には顔を出していません。
綾野さんが宮司になるというのは聞きましたが…
[前者は当然として後者もこれまた微妙なものがある]
これからですか……どうしましょうかね…
[それは自分で決めること。という主人の言葉に頷いた
そして口うるさく言うわけでもなく忠告のようにいう主人に感謝をしながらも食事を終える]
さて……どうするか。
墓参りに行くにしても、手ぶらじゃなんだし、な……。
[道の分岐で立ち止まり、首を傾げて思案顔。
ぐるり、周囲を見回せば、目に入るのは、準備の進む桜の丘]
…………。
[ふと思い返すのは、昨日、桜の下で交わした言葉]
桜の……巫女と、魔、ねぇ。
[伝承については、一応一通り教えられている。
いずれ家を継ぐ者として、必要な知識だから、と]
別に、なんかおかしいとも、思えんのだが……。
ま、俺も事故ってから、色々と鈍ったっていうかなんていうかだし。
わからんでも無理、ないか……。
[出る前に蓮実が降りて来るのが見え、軽く手を上げて。]
・・・どっから行こッかねェ。
[矢張り無計画だったらしい。
祭りの準備の合間をふらふらと進む。
まるで余所者を見るような目の者も皆無ではなく、軽く肩を竦めた。]
はーい、はるちゃん!
しっかりくつろがせてもらいまーす!
[本当になんにもないけど、なんて、言わないよ!]
――ばいばーい!
[なんで鉄球持ってるんだろって不思議だけど、お見送りした。
その後、桜を見る。じ。花もないし。]
どーして、花、ダメなんだろー……
[おばーちゃんにもー一回聞こうかな。
それから、おばーちゃんちに戻る。りきっちゃんの話をして、それから、色々。色々、聞いた。
おばーちゃんとはあんまり似てない。っていうか、ぜんぜん似てないから、みんなびっくりだろうなー。]
ところで、他にも宿泊客がいるのですか?
[裕樹や小百合。他にも青髪の青年とすれ違っていたことから聞くと、もう一人。
確かに祭りの時期ではあるが、ここの祭りは…外を見ているからの対比からか、あまり外部向けではないと言えるだろう…と。考えるなら妙である
それをいったら己が戻ってきたのもまた妙であるといえるが]
祭りは…今日は準備の追い込みですかねぇ
[食器を持って去っていった主人を見送りながら、呟く。
コダマは答えてくれない。だからというわけでもないが、また撫でた]
……ま、行った所で、何がわかるってんでもないが。
もっかい、近場で見とくか、桜。
[桜からは違和感は感じていない、けれど。
微かに嫌な予感のようなものはあった。
それを払拭したい、という思いが働いたか、歩みは自然、桜の丘へと]
[一段落ついて執筆道具から視線を上げた。ふぅ、と息を吐く]
…んー…。
続編にするから…あの辺も、盛り込まなきゃ、ダメかな。
[ペンの後ろを顎に当てて少し考え込む。見上げた視線の先に、花つけぬ桜の木が映った]
──……。
[じっと桜の木を見上げる。咲かない桜、咲かせてはいけない桜。今まで当たり前だと思っていたが、改めて考えてみると不思議なもので。枯れるでもないその木を不思議そうに見上げた]
うーん、今日も田舎だ!
よし。
[こぶしを握る。ぐぐっとな!]
どっかいこー。
どこいこー?
[んー、悩むけどてきとーかなぁ?あんまりずっとりきっちゃんといると、りきっちゃんがほんとにロリって言われちゃうし!]
[足早に、丘を登っていく。
準備も追い込みという事で、行き交う人の数は多い。
その邪魔にならぬように気遣いつつ、桜の近くまでやって来て]
……あれ、榛?
何してんだ?
[桜を見上げる姿に気づいて、声をかけた]
……あ、史人。
[別の木の根元に座り見上げた状態から視線を史人へと移す]
小説、書いてた。
もう少ししたら、ここに近付けなく、なるだろうから。
祭りを題材に、書くつもり、だったから、ここで書いて、インスピレーション沸けば良いな、って、思って。
[小説書いてた、との言葉に、なる、と短く声を上げ]
確かに、神楽舞台の設置が始まると、もう立ち入れねーからな。
……祭りって、今年の?
まあ、今年は色々とあるし、題材としちゃ面白いんかね。
[そこらはよくわからんけど、と。
軽く言いつつ、桜の幹に軽く、手を触れる]
そう、今年の。
前作が、村全体を、題材にしたもの、だから、その続編って、形に、しようかと、思って。
祭りが、進むごとに、起きたことを、盛り込んで、書いたら、面白いかな、って思うの。
…と、これ、言っちゃったら、後で読む、楽しみ、減っちゃう、か。
[「失敗」と小さく舌を見せて笑った。執筆道具を地面に置くと、ゆっくりとした動作で立ち上がり、桜の傍に寄って]
…本当に、不思議な、木だよね。
ずぅっと、長い間、枯れるでもなく、花をつけない、なんて。
では…散歩でもいってきます
[主人は一度振り向いてまた働きだす。コダマはやはり寝ている
じっとしているのは落ち着かない。と旅籠を後にする]
―旅籠→外―
[歩きつかれたのか建物の陰に避難し、行きかう人をぼんやりと眺めている。
片手でペンをくるりと回しながら、メモはまだ白紙のまま。]
・・・りゃ。
[見覚えのある小柄な影に視線を留めた。]
んンと。
涼チャン、だったッけ。
[昨日聞いた名を反芻しながら立ち上がり、其方に寄ろうと。]
あー、確かに先にそれがわかると面白くねぇかも。
とはいえ、お前の文の書き方とか描写の入れ方は読んでて飽きねーから、そんなに気にはならんかな?
[失敗、と笑う榛名の様子にくく、と笑って]
……樹、自体は生きてるんだよな、コレ。
病害だとしても、こんな症状ってのは聞いた事ないし……。
ホントに、なんで咲かんのやら。
えーと、たかひろっていってた人。
ひろちゃん!
[見えた見えた! ちっちゃいけど、田舎だから人が少ないから見えるよ!
都会だったら見えないけど!]
やっほー!
おはようー、昨日ぶり、ひろちゃん!
[近寄ってきてくれるみたいで嬉しいな!手を振っておこう!]
ヤ。
昨日ぶり、だなァ。
[手を振る涼に片手を上げ返し、傍まで寄る。]
嬉しいねェ、覚えててくれたん。
[ひろちゃんの呼称に、例の軽薄な笑みを浮かべた。]
たかちゃんのほーがいい?
[悩むなやむ。どっちもかわいいし!
あんま好きじゃないみたいだし?とか思ってしまうけど。]
んー、はるちゃんとおそろいで、たかちゃんにするのもいいのかなー?
気に、ならない?
それなら、良いんだけど。
舞台を、祭りにするだけで、細かいところは、変えたりするかも、しれないかな。
全部が全部、実際に起こったことには、しない、つもり。
起こったこと、ばかりだと、ただの、ノンフィクション、だし。
[桜に近付いても手を触れることは無く。先程のことが尾を引いているために触れる素振りは見せない]
うん、生きてる。
病気なら、幹も、枝も、何かしらの、影響が、出てるはず、だし。
…まるで、花が咲く前に、刻が、止まってしまった、みたい。
-昨晩-
[どうにも、失態を見られた蓮実には、恩と苦手意識とが混ざった複雑な感情があった。
再び注意されればバツが悪そうに、視線を泳がせて。]
あーうん、それなりの安全運転は心がけてるわ…。
[と微妙な回答。実際の所懲りてないのか、交通法を守った回数の方が多かったりするのだが、言える筈もない。再び笑って誤魔化しながら。]
あの時は、病院着くまで気絶したけど、結局片足折っただけで済んだからねー。感謝してます。
そうだね奇遇。あれ、裕樹とも知り合いなんだ?ふーん…
榛名さんが言う通りに、縁が巡り巡って…って感じね。
やっぱりお祭りのせいかしら?
[そうでもなければ、あとは何か因縁か、はたまた呪い、くらいしか思いつかない。
が、それを口にするほど無配慮ではなく。]
うん、はるちゃん。
えーっとねー
……なんで、鉄球つけてるんだろ、そーいや。
[名前じゃなくて、ぱっと浮かんだことを*言っちゃった!*]
起こった事そのままよりは、アレンジあった方がいいだろな。
ま、何にせよ、楽しみにしてるぜ。
知り合いの間でも評判いいしさ、お前の作品。
[けらりと笑って。
触れようとしない様子に首を傾げつつ、自分はまたぴたぴた、と幹を叩く。
伝わる感触は、生きた樹のそれ]
……時間が止まってる……か。
巫女の伝説の後……この下で刃傷沙汰があって、一度咲いたっていうけど。
その時から、ずっと、桜の時間は進んでない……って事なんかね。
-回想-
そうかそうだね、七年ぶり…、
[蓮実の言葉を反芻しながら]
あまり村もかわってないのに、蓮実はずいぶんと変わった気がするよ。
ウラシマタロウ効果?
[くすりと笑い、顔を覗き込むようにして微笑みかける姿はやはり女の子っぽく、
7年前とほとんど変わりのないように蓮実に感じさせるであろうか。]
確かにわずらわしさも増えるのかな?
この村にいるだけでも何名かいるんだしね。
[くすくすとおかしそうに笑い裕樹と自分を見比べる様子に、
じっとそちらを見てから裕樹のことを知っているのだろうか?と思う。]
まぁ、積もる話はまた今度にでも榛名のこと送ってあげないと。
[そして、榛名を家に送る途中謝る榛名に笑いかけながら]
気にしないでよ。
困ったときはお互いに助け合う、
それが当然の仲なんじゃないのかな?ボクたちは。
[捕らえ方によっては誤解とかも招きそうな発言ではあるが、
その見た目の容姿などから普通に女友達同士の会話にしか見えず、
またそのことがそのままの意味に榛名にも伝わるであろうか。]
うん、榛名も気をつけてね。
そんな表情しないでよ。
[むにっとほっぺをつつき、(背伸びしながらになるのだが)笑いかけて]
ボクは榛名が笑ってくれている方がうれしいよ。
それじゃあ、おやすみ。
[手を振って家へと帰っていった]
鉄球?
・・・・あァ、晴ちぃのコトか。
確かにありゃ、なんでだろーなァ。
[本人がいないのをいいことにか、無意識に出たのか、矢張り呼び名は幼少期のもの。
ついでに軽く首を捻ってみせたが。]
・・・じゃ、セットのほうがイイかな。
[冗談めかしてそんなことを言った。]
桜でも見ましょうか…こっそりと
[祭りの際も遠くから見るつもりだ。
その際の場所を探す下見もかねて、桜のある。丘のほうへと歩き出す]
[評判が良いと言う言葉には、嬉しげな微笑を史人に向ける]
私の、小説、読んで、もらえてるんだね。
面白いと、思ってもらえるなら、本当に、嬉しい。
…私が出来る、唯一のこと、だから…。
[最後の言葉だけ、少しトーンが落ちたか。
巫女の伝説の話が出ると、先程のことが思い出され。右手で左腕を掴むような形で僅かに身を縮める]
…その後から、咲いたと言う、話は、伝わってない、ものね。
けど、普通に考えれば、時間が止まるって言うのは、あり得ない、よね?
ただじっとしてても、時は流れ行くもの…。
[榛名と琉璃を見送った後、お休みなさいと分かれて部屋に戻り、ベットの淵に腰かけ早速榛名から借りた小説を開く。
物語のはこび、情景描写と村内のリンクしている部分、筆者の癖、そこから微かに
見える意図。
ちりばめられている伝承と脚色、そしてその中に残っているはずの真実。それを、探る。
読むというよりは、解読するような作業は、明方近くまで続いた。
全てを把握するには一晩だけでは足りないが、それでもおおよその見当がついたところで本を開いたままテーブルに置き、窓辺によって少し空気の逃げ道をつくった。
そこから丘の方へと視線を向けるが、ここからは桜の樹は見ることはできない。
それでも、昼見た桜の樹を思い返しながら見る。]
…咲かない桜、咲いてはいけない桜。
榛名さんはそういってたけど、大婆が的外れた事を言うはずがない。
だから、あの桜は必ず咲く。
[それは、本を読む前から確信していた事。]
[目を覚まし、裏門からやはりこっそりと家を抜け出す。
今日はレースのふりふりのたくさんついた白黒のゴシック調のドレス。]
桜、もうすぐだったっけ。
見に行こうかな。
[祭りの前は琉璃にとってはそれはいつもの日課、
そしてそれ以外の時にはあまり近寄らないのも。]
んっ、やっぱり人がいっぱいいるみたい?
[見かけた人々に声をかける]
二人もいまのうちに桜の見溜めかな?
[くすりと笑幼馴染に声をかける]
ああ、なんせ、俺の住んでるとこの図書館に寄贈されてるくらいだしな。
[さらりと言って。トーンの落ちる様子には、ほんの少し、眉が寄る]
……お前が、じゃなくて、お前だから、じゃねぇの?
お前の文章は、お前にし書けない。お前だから創れるもの、だろ?
[諭すように言いつつ、頭を撫でるように手を伸ばして]
咲いてはならぬ、咲かせてならぬ……緋色の龍の戒め、だったか。
現実的に考えれば、桜だけ時間が止まるって事はないだろうが……なんにしても、不可解だよな。
[話が一段落した辺りで、]
あァ、そだ。
涼チャン、コレからどっか行く?
[ふと思いついたように涼を見て、問い掛ける。]
よけりゃ、案内しよッか?
未だ準備中だケドさ。
[特に行き先が無いことを知れば、そんな提案をした。
断られなければそのまま2人、のんびりと歩き回るだろうか。]
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