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[猫と言われて思い浮かぶのはツィムトのほうだが、まさか奴が喋るわけではあるまい。
そんな思考は置いておいて]
昨日。
大人の顔の、…子供?
[森のほうを示しつつ。
妙なモノは説明し辛いらしい。
ちなみに美形云々は疎いのであまり分かりません]
うん、良いよ。
…あ。
ええと、またたび。
[ティルがいやがったのも何のその]
[ポケット探って、またたびの葉っぱを土の上においた。]
[よもや広場に大集合なんて知らず、二回目の焼きあがったシュトゥルーデルを以下略]
よォし、此方もいい出来さねェ。
首輪の代金分は…見てからにしようか。栗も届くはずだし。
[昨日の栗のクリームは予定外の客で一瓶分しか残らなかったので、また別のものを作る事にする。
自分の分は火を落としたオーブンに入れて温かいまま置いておき、ミリィの分は紙に包んでユリアンの分と一緒に籠に入れた。
いただいた卵をしっかりと戸棚に隠し、戸締りし始める]
[脇から聞こえた突っ込みに、はきはきと答える。
少なくとも広場中には聞こえる声量で。]
はい。エーリヒさんがウェーバーさんちのおばあちゃんに食べたいっておねだりした、バターと林檎が入ったお菓子です。
[その名前は、そう言えば聞いてなかった。
詳しく聞けば余計に手から離しづらくなるのが分かっていたから。]
熱いうちにどうぞって。
[こちらを見た箒の魔女やら、妖精もどきの青年やらは、きっぱり無視を決め込んで、広場を駆け抜けヨハナの家に駆けて行く。置かれたまたたびに気付かなかったのは幸いか]
栗、持ってきたよ!
[そうして今度は表の入り口から、息せき切って声をかけた。家の主が出て来たなら、かご一杯の栗を差し出してにんまり笑う]
「毬なし虫なし籠一杯」約束通り!
[お菓子を巡るやり取りを横目に見つつ]
大人の顔の、子供……。
ボクが見かけた人影と、似てるかもですねぇ。
[顔までははっきり見なかったものの。
ただならぬ気配を感じた人影を思い起こしつつ、呟く]
んん、やっぱりちゃんと調べるのが先かしら。
あ、でも、お薬の処方も……。
[天敵認定の見習い青年とか白い鳥とか地面のマタタビの葉っぱとかに薄茶猫は意識を引かれたものの、番猫としてのプライドが勝った。
が、マタタビは自分への報酬と認識してるのでしっかと咥えてから猫妖精を追いかける事にする。
傍から見れば獲ったどー!みたいに見えたかもしれないが、猫はそんなこと気にしない]
……ああ、シュトゥルーデルね。
[敢えて突っ込みは入れず、内心で頭痛を覚えるのみに留めておいた]
ヨハナ婆にお遣い頼まれたのか?
サンキュ。
あたしはこのままかぶりついても構わないんだけどなぁ。
母さんが見てたら怒るけど。
……あ!
あそこはどうでしょう?
[広場の隅、木で作られたベンチを指して*駆け出す*。]
で、そっちは何の話?
[駆け出す少女を視界の片隅に収め、随分と温度差があるように思える、硝子細工職人と治癒術師、二人の見習いの会話に首を突っ込む]
[リディとアーベルとのやり取りを眺め。
その手が振られるのに釣られて、そちらを見る。
エーリッヒを見つけて片手を上げ。
ついでにマタタビ咥えたドラ…もとい飼い猫が去って行くのも見た。
すぐに去られたので、少しばかり残念そうな表情]
あ、リディちゃん早い。
えーと、エーリ君も食べようよ。エーリ君が食べたかったんでしょう?
[じーっと見てから、*追いかけた*]
あ、エーリ。
[声をかけられ、最初に視線が行くのはやっぱり右腕。
紅の瞳は、少しだけ真剣さを帯びて]
ええと、昨日見かけた怪しい人影に関しての考察……ですねぇ。
[ミリィの返答に目を瞬かせた。
示し、見たのか?と首を傾げる。
他に見た者がいるとは思わなかったらしい]
妙なモノを見た。
[エーリッヒには端的な回答。
何とも分かり辛い]
おやま、ありがとさんだよ。
[表の玄関に出たところでやって来たティルに笑って、頭を撫でようと手を伸ばした。
そして籠を受け取ってキッチンに戻り、栗を戸棚にしっかり隠す。
追いかけてきたマタタビに素早く逃げた猫妖精が、焼き立てのシュトゥルーデルに手を出して火傷せずにすんだのはある意味幸い]
ツィムトお帰り。いいもの貰ってきたねェ。
[逃げた猫妖精に鼻を鳴らし、ぴんと尻尾を立てた薄茶猫が婆の足に擦り寄る]
お前が居るなら安心だァね。
それじゃァ、ちィとばかし留守を頼むよ。
[寝床にマタタビ持ち込む番猫に留守を任せて、店に向かおうと広場を通る]
ん、……ああ。
先に食べとけ。
[好物は好物だが、年下の前でがっつくような事はしない。
それでも見送る時間は少し長く、その間に向けられたミリアムの視線には気付けずじまい。二人の回答が得られてから漸く顔を戻した]
怪しい人物、に、妙なモノ……?
変質者でも出たのか。
変質者だって? そりゃまたなんだい?
あァ、こんにちわだよゥ。
[噂好きが先立って思わず口を出してから、挨拶。
籠を差し出すにはタイミングが悪そう…というか話が気になって耳を傾ける]
[ユリアンにはええ、と言いつつ一つ頷き]
変質者さんなら、ブルーメが撃退していますよぉ。
[エーリッヒにはさらりとこう返す]
なんていうか……子供らしくない、子供、って言えばいいのかしら。
妙な違和感を感じさせる人影を見かけたのです。
[変質者、という言葉に少し悩んだ。
…ややあって頷いた。
姿が姿だから多分仕方ない。
ヨハナの声に気付き、頭を下げ。
首輪のことを思い出したか、口に手を当てた]
あれ、ヨハナ婆。
間抜け猫は?
[泥棒から間抜けにひっそりと格下げされていた]
いや、俺も今聞いたばっかりだから、
[言いかけて、次いだミリアムの台詞に首を傾ぐ]
…………子供らしくない……妙な違和感、か。
それなら、俺も見たかもしれない。
見たというか、直接見たわけじゃないが。
変質者に子供って、また変な話してるねェ。
[素直に突っ込んでから、ユリアンの様子に籠の布を少し持ち上げた。ふわりと甘い林檎とバターの香りのする紙の包みを取ってから、籠ごと差し出す]
あァ、そうそう冷めないうちに前払いさねェ。
こっちはミリィに。約束していた分だよ。
[それからエーリッヒの言葉に片眉を上げた]
…うちのツィムトは間抜けじゃないさね。
それより坊はもらえなかったのかい?
森自体も、変な、ざわめている感じがするんだよな。
妖精の環があってさ、それ自体は、祭りの後だから格別珍しいことでもないんだが、間抜け猫……ティル曰く「危ない」ものらしいし。
[口許に手を当て、眉を寄せながら言う。
熱を残す腕が少しだけ、疼くような気がした]
おかしなのが入り込んだかな……?
あら、ヨハナの御婆様、こんにちわです。
[挨拶しつつ、ぺこり、と一礼して。
差し出された包みに、表情が一気に崩れた]
ありがとうございますっ!
御婆様の作るお菓子は美味しいから、凄く嬉しいですっ。
[にこにこしながら受け取って。
エーリッヒの言葉に、瞬き一つ]
エーリも、ですか。
んん……やっぱり、色々と気になりますねぇ……。
昨日から、妙な違和感も感じますし。
[ちゃんと、調べた方がいいかしら、と。
呟きながら、*軽く首を傾げ*]
うん? ああ、違う、違う。
昨日の泥棒猫の事だよ。先に行くって言っていたんだが。
[勘違いを訂正した後、緑の眼を瞬かせる。
他者の心配を余所に、喧嘩をした当人はと言えば、すっかり忘れ去っていた。ヨハナの表情に一瞬不思議そうになり、それから苦笑を浮かべる]
いや、こっちの話題が気になったから。
それに、食べるなら、ゆっくり食べたいし。
[好物に口許を綻ばせるさまは、なんとなく見せたくないらしかった]
[前払いと言われ、籠自体は素直に受け取った。
代金の一部でもあるからか、頭を下げて、やや丁重に。
それから少し考えて]
取って来る。
[そう告げて、店目指して駆け出す**]
こちらこそ、ツィムトが迷惑掛けたからねェ。
[ミリィの表情に婆も笑って、子供とか、森とか、妖精の輪とかに耳を傾ける。少々不謹慎かもしれないが、婆の目は楽しげに話へ興味を示していた。噂好きの血が騒いでるらしい。
それからエーリッヒを向いて]
なんだい、猫の子の事さァね。
ちゃぁんといい栗を持って来たよゥ。
ツィムトが戻ってきたのと入れ違いに消えちまってたけどねェ。
[まさかマタタビから逃げたとは思わず首を捻り、続けられた言葉に目元を皺だらけにして笑った。美味しそうに食べる様が可愛いから、坊呼ばわりが抜けないのかもしれない]
調べられるなら調べて欲しいかな。
原因わからないと、俺も、すっきりしないしさ。
[表情を崩すさまを眺めながらミリアムに言う]
ああ、でも、診療所の事もあるだろうから、無理はせず。
手伝えることあるんなら、手伝うよ。
[取って来ると駆け出したユリアンを目を細めて見送る]
うんうん、真面目な子だねェ。
磨いたか首輪になったか、出来上がりが楽しみだァ。
[既に聞こえないだろうが丁寧に頭を下げた姿を褒めてから、エーリッヒ達に向き直る。是非とも好物より気になると言う話をじっくり聞かせてもらうつもりだ*]
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