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[ナターリエから容疑者候補を聞き、再び黙考。]
……まあ、店にいた俺達四人は共犯がいなければ『アレ』を盗めない。
それだけははっきりしたな。
[この四人と大して親しい仲でもないマスターが目撃している以上、それは動かせない事実。]
あとは、他の面々に時計台の鐘が鳴っていた頃のアリバイを聞けばいいのか……?
[一部、まともに話をした事のない人物がいる。
聞き込みするのは骨だろう。]
―鍵の書が消えた夜・Kirschbaum―
[人外の者共と連れ立って遺跡から喫茶店へ移動してから、ミハエルは何を注文する事もせずに、カウンターの隅で水の入ったグラスを握り締めて黙っていた。唯の喫茶店の店主だとばかり思っていた相手がまさか、精霊王だとは。
見かねた店主が、「アイスティーで良いか?」と言うまでただ黙って。]
はい………。
いえ、ですが
[元々消え入りそうだった声を一層顰めて]
王のお手をそのような事に使わせる事など…
[やっぱバレるか、と苦笑混じりの店主は、片目を瞑って見せ、何か頼んで貰わないとこっちも商売あがったりだから、と嘯いた。]
では…その…失礼ながら
[ミハエルにそれ以上喋らせまいと、店主はさっさと厨房へ消えた。]
[途方に暮れたミハエルの表情は、悲嘆に暮れたつもりでも酷く不機嫌そうだった。最早八つ当たりと自覚しながらブリジットを睨んだりした。だから、戸口に下がった鐘の音がイレーネの訪れを告げたときも、張り詰めて居たといえばとても張り詰めていた。大方の面々とは違った方向で。]
……やっぱ、ギュンターのじっちゃんに聞いた方がいいか。
じっちゃんなら、怪しい奴を目撃したかもしれんし。
どう思うよ?
[その場にいる面々に、意見の是非を*問う。*]
−鍵の書が消えた夜・Kirschbaum−
[アマンダは珍しくカウンターではなくソファーに座り凭れていた。
あのまま近くの家に帰りたかったが、書の事や倒れたティルも心配で、手を借りつつも歩いてきたのだろう。大地はアマンダに優しいが、運んではくれない]
ハーヴ、いつもの…あ、
[いつも通り言いかけて、躊躇うも]
…うん。まぁ、いいか。いつもで。
[アマンダは一人納得して変わらぬ態度。相手が王でも気にしない。
ユリアンに運ばれるのは嬉しくなかったが、腕に眠る千花の事もあり、黙って受け取り口へと運んでいた。]
−鍵の書が消えた夜・Kirschbaum−
[他の皆が真面目な話をしているにも関わらず、ベアトリーチェはエーリヒの語る外の世界に夢中でした。ハインリヒの問い掛けも、遺跡に行っていた人たちがお店に来たのにも、直ぐには気附かないくらいに。金いろの髪に負けないくらい眼をきらきらとさせている様子は、ほんとうにただのこどものようなのでした。
でもイレーネが入って来た頃、ようやく周りの状況を知ったのでしょうか、それともエーリヒが会話を切り上げたからでしょうか、ともかく顔を向けました。]
こんばんわ。
[やっぱり暢気なのに、変りはなかったのですけれども。]
―鍵の書が消えた夜・Kirschbaum―
[ほぼ対策本部と化した例の茶店で、自分が知らされている情報を開示。
鍵の書は、ある一定以上の力を持つものにしか所持できないこと。
それと、おそらく単独では、封印を破って持ち出すのは難しいということ。]
自衛団か…。明日にでも出向いてみる?
[銀翼騎士の名を出せば、協力してもらえるかもしれない。
とか、考えながらティラミスパフェをつついていたり…。]
……?
ああ、今晩は。
[店に入ってきた面々に挨拶。
アマンダの変調にも気付いた様子。]
えらく覇気がないな。
大丈夫か?
[今日は体調不良者が多いなとぼやく。]
[遺跡側の情報提示はダーヴィッドに任せ、岩清水に目を細める。
ハインリヒの言葉には、苦笑を浮かべた]
…ん、まあ、ね。
ちょっと、疲れた…
[アマンダは目を閉じて息を吐き、また開けばハインを見つめる]
パフェは、いらないよ?
[真顔]
[ダーヴィッドからの情報開示。他の面々の言葉を聞きながら、深い溜息を吐き額に手を当てる。
強い緊張で眼の奥が加熱するような感覚をおぼえる。こういう時に人間の体は不便だ。ダーヴィッドへ頷く]
確かに、遺跡へは自警団が警邏のために多く居た。彼らへ話を訊ねるのも良いだろう。ともあれ、そろそろ眠りへ着く刻限だ。
[眠りたい訳では無いが、人の眠る時間にそうして居ない事は不審を招く、と。]
…こんばんは。
[いつもの、隅の席につく。
やけに人が多く、雰囲気もおかしい。
少しだけ遅れて人がたくさん入って来たのに、目をやった。]
―鍵の書が消えた夜・Kirschbaum―
[ティルをアーベル達と一緒に、彼をまずは二階の部屋へと運び。
降りてきたとたんにミハエルに睨まれてしまった]
えう。
[心当たりが無くも無いわけで。
八つ当たりだ何て知らないし、ちょっと涙目]
…とりあえず、倒れられちゃかなわんしな。
[ミハエルの言葉に頷き、休息をとるべき、と。
既に幾人も倒れたりなんだりしてるわけだし。
特に、存在自体が【力】に近いものは、急激に起こった領域の乱れに影響を受けやすいかも知れない。
帰るものを送り出してから、自分も自室へ戻る。]
多い? 他にも、いたの?
[ハインリヒの言葉に店内を見回せば、小さな手がこちらに伸びて]
ダメ!
[とっさに身を引く。腕の中で千花が小さな声を上げる]
[輪をポケットの中に入れると、エーリヒの隣から離れて、アマンダへと延ばした手。いつもなら、その小さなてのひらからは透明な光が溢れたことでしょう。けれども、今度はなんにも起らなかったのでした。]
あれ?
[きょとん、として、もとから円い眼が、ますます円くなりました。アマンダが身を引いたのにも、千花が声をあげたのにも構わず、じっと自分の手を見ています。]
ぁ………。
[一瞬、階上へ向かうダーヴィッドを呼び止めようとして止めた。決して共に居て(様々な意味に於いて)心地の良い相手では無いが、それでも近くへ居ると安定した。だが、そうすることをミハエルの自尊心が許さなかった。]
[降りてきたブリジットが涙目なのは構わない]
…。お前も、オトフリートも誰も感知しなかったのだ。自警団如きが何かを目撃しているとは思えないが。
[もう面倒だ。誰か説明するだろうと、丸投げ。]
[アマンダは聖なる少女に、困った笑みを浮かべる。
千花は、均衡の力で落ち着いたか、円らな目を開いて少女を見た]
…ベア、ごめんね?
でも、私は…
[「ヒトではないから、いらない」
そう言いかけて、ミハエルの言葉が耳に届く]
『千花を見ても、変わらなかったベアはきっと、大丈夫。
だけど、ハインは…ユリアンは?』
…大丈夫、もう、落ち着いた。
[変わらぬ事を望む姿に、流水は溜息ついたかもしれない]
そんなことはないと思う。
私たちでも気がつけないことだってあるかもしれないよ?
ずっとここを見てきた人達の方が変化には詳しいかも。
[部屋へと戻るダーヴィッドにはおやすみなさいと手を振って。
アマンダの声にそちらを振り返った]
…そうか。だが彼らももう、眠りへ着いて居るだろう。
…私も戻ろう。アマンダ、もし不調が私に依るものだったのなら工房まで送らせてくれ。
[言うや、外套を羽織って外へ。
影輝王の前から早く立ち退きたかったのだ。]
[階段上がりかけたところで、ミハエルに声をかけられて振り返る。]
んー…まぁ…、確かにそれもそうだが、
犯人捜しに協力してもらうのは出来るんじゃないかな?と。
結界で囲まれたとはいえ、この街…かなり広いぞ?
[しばらく手をひっくり返したり延ばしたりと忙しかったのですが、アマンダが謝るのに、ふるふると首を左右に振りました。金いろの髪もおんなじに揺れます。]
アマンダが謝ることはないよ?
[それから、帰ってゆく皆にぺこりと頭を下げました。]
お休み、ダーヴィッド、ミハエル。
そうだね、もう遅い時間だね。
一度休んで、それからまたいろいろ考えた方がいいよね。
[ミハエルが立ち上がったのに肯いて]
おやすみなさい、またあした。
ん、心配ないよ?
[ベアトリーチェが手を見つめている姿に、やはり少女も疲れているのだろうと思いつつ視線を上げれば、いつの間にかきていたイレーネと目が合い、笑って誤魔化す。
それから、ミハエルの申し出に瞬いて、頷く]
あー、うん。ありがと。
でも、ミハエルのせいじゃ、な…
「チチッ」
…えぇと、とにかく、行こうか。
[アマンダは少しへばっている千花を頭に乗せて、立ち上がる。
そのまま、残る面々に手を振り、ミハエルに付いていく]
ああ。エーリッヒが体調不良を訴えて、
ベアトリーチェが倒れた。
[簡単に事情を話す。]
自警団の連中が見たか、見ていないか。
それをはっきりさせておけば、何かとやりやすいをだよ。
あと、事後報告だとじっちゃんがうるせえのよ。
[ミハエルの問いには面倒くさげに返し。]
……。
[アマンダとベアトリーチェのやり取りを見て、ため息。]
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