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[鶏の香草焼きが乗ったお皿を、とん、とカウンターに置く。
にこっとアーベルに笑う子供は、
もう一度、ユリアンの方に向かう。
もうひとつ、もうひとつ。お皿とフォークとナイフ。]
僕は大丈夫、です。
[ユリアンににこっと笑う。
でも、続いた祭りの話には、悲しそうな顔になった。]
他に、適任はいないのか?
[自分から声をかけるのは非常に躊躇われたが。
カウンターに突っ伏したままの、舞姫の代役を捜しているという男に、そう尋ねる]
いや、あいつが女の子にフラれるのはいつもの事だし。
[さらりと酷い事を]
祭りは、俺にしてみれば、自分の一年分の修行の成果と、今の技量が試されるチャンスな訳で。
やっぱ、開催されないと困るんだよなあ……。
[だからと言って、女装とかは御免被る訳なのだが。
むう、と唸りつつ、大丈夫、と笑うベアトリーチェに、無理すんなよ、と笑いかけ。表情の変化に、笑みはやや、苦笑気味ではあったけど]
[少女が何度も往復して食事を運ぶ。
…のを、新たな元紅茶を飲みつつ見る。]
[金髪の少年がエーリッヒに声をかけるのをぼんやりと聞く]
[少年の視線に、不思議そうに小首を傾げて。
空になっているグラスに気付き、テーブルへと近づく。]
…お代わりお持ちしましょうか?
それとも…なにか…?
[気分が悪いのかしら。と心配そうに屈みこんで。]
いつものこと…だけどさ。
[さらりと酷いことを重ね]
あたしも…
こういう、お祭の時に…
その思い出として、って買ってくれる人が多いから…
[ふと、ミハエルの声に目を向け…エーリッヒの方に目を向ける]
[とてとて、こてん。
料理を置いて、アーベルににっこりと笑いかけた。
子供は転ばずに運べたようだ]
料理、どうぞ、お食べください。
僕が頼んだのではないけれど。
ユリアンさんが頼んでくれたのだけれど。
[にこっと笑って、自分も椅子によじ登る。
両手を合わせて、いただきます。
その前に、紅茶だったものに口をつけて、
甘さにやっぱり、仄かに笑った。]
[相変わらずダメージから回復し切らないらしい男から返って来たのは、今の所は見付からないだとか、このままじゃ祭りに間に合わないだとか、曖昧な言葉]
[屈み込んだ少女に、翠玉の眼差しを向ける]
いいや、大丈夫だ。
[お代わりを、との言葉には首を振り]
それより。
君は、舞姫の代役を受ける気は無いのか?
[ベアトリーチェの無事の到達にほっと安堵の息を吐き]
だよな、うん。
[さくっとまとめて頷き。
続く言葉にも、うんうん、と頷いて]
だよなあ……だから、なんとかなってほしいのは本音。
[言いつつ、ミハエルとその周辺のやり取りに注目]
[カウンターに並んだ鶏の香草焼きとその他を少女が勧めてくる。
ユリアンが少女に頼んだと聞くと、それが自分が食べるわけには…
と、困惑もしたが、無碍に断ることも出来ず]
…今は腹が空いていない…ので少しだけ頂こう。
ありがとう…えぇ…と
[と、パンに手を伸ばしつつ
村で見かけたことがあるものの、名前を知らないことに気づき口篭もる。]
[お代わりを首を振って断り、代わりに少年が返してきた言葉に焦茶色の瞳を丸くする。
どうしよう、という思いはあったが真剣に問う翠玉に嘘はつけずに。]
せっかくのお祭りが…無くなってしまうくらいなら、協力して差し上げたくはあるのですが…。
あの…私……ここで働けるのも今日だけで…明日からどうしたらいいのか………って…。
[職を探していた姿を既に知っている少年になら、引き受けきれない理由もわかってもらえるだろうと、ぽつりぽつりと。]
[エーリッヒとミハエル、ユーディットのやり取りを眺めながらグラスを呷り]
[心配そうな眼差しではあるが、酔いは回りつつあるらしく頬は染まっている]
[舞姫の代役如何を見届けるのが早いか、潰れるのが早いか。既に時間との戦いに*突入*]
[にこにこと、特別何がおかしいのかもわかっていない子供。
どうやらこういうところに来たら、自分では頼めないようで。]
少しだけ、でも、とてもおいしいです。
ユリアンさんにつれてきてもらって、知りました。
[それから、子供は、不思議そうにアーベルを見上げます。
何を言いたいのか、とても不思議のようです。]
先ず。
君は先程、「自分よりも相応しい人が」と言っていたようだが、彼は“君に”頼んだのだろう。
それは、君が舞姫に相応しい資質を持っていると感じた、ということだ。
自分を卑下することはない。
[実際のところは、あの男が自分の好みで選んだ可能性も多々あるのだが、今の彼にそんな事は思いつかない]
[其処まで述べたところで、少女がゆっくりと言を紡ぐのを聞き、眉を顰める]
……今日、だけしか?
そうか…ユリアンが
[確かにあの青年なら少女の面倒も進んでみそうだ…
と、納得しつつ…不思議そうな少女の視線に、困ったように片手で口を覆う]
……君の…名前を、俺はしらない。
[申し訳なさそうに、ポツリと。]
まぁ。うん。
[これ以上は何も言うまい。
突っ伏すエーリッヒの方を少し見て…]
…仕事すりゃ良いのに。
[まだ、酒場にたむろってるよりは外にいた方が可能性があるんじゃないか、そう思いながらも、他に任せられるような女性は居たか、と考えながらエールを口に含む]
[ああ、そんなことかと子供は思った。
施設暮らしの子供だから、覚えていなくても、と思った。]
僕は、ベアトリーチェ=ダルファーといいます。
よろしくお願いします。
お兄さんは、アーベルさん、ですよね?
[子供は尋ねるように、首を傾げて、青年を見上げる。]
[理論整然と説く少年に、気圧されてこくりと頷く。
言われてみれば確かに、賑やかな一団と彼は親しそうだった…彼女達に引き受けてもらえるのであればわざわざ自分に言ってくる理由はない。
資質という言葉にも自分が『妖精』であるゆえかと思えば納得できないこともない。
そう考えている内に、少年が眉をしかめるのが見え。]
……はい。
その…こちらには、少し、向かないようで…。
[実際には問題など何もないのだけれど。
身に付ける物を貰ってしまってはいられない定めだから。困ったように、ただ笑って。]
…………ベアトリーチェ…ダルファーか。
[憶える為、何度かその名を小さく呟く。
そして自分の名を呼びながら見上げて首を傾げるベアトリーチェに…]
ああ、俺はアーベル・エアハルト…だ。
[と、小さく頷きながら返し、頭をポフポフと撫でる。]
だよなー……。
凹む間に探しに行きゃいいだろうに……。
[イレーネに同意しつつ、シードルを傾け。
周囲で交わされる会話を聞きつつ、*注文した料理を平らげていく*]
[何か失敗でもやらかしたのかと思うが、そうでもないらしく。しかし、理由を問う権利も自分には無いと思い、それ以上は聞かずに置いて]
[代わりに足を組み、暫し考え込むように手を顎に当てる]
……ならば。
働く場所があれば、いいのか?
[困ったように笑む彼女を、真っ直ぐに見]
[子供は笑って、頷いた。
それから、2nd nameは識らなかったようで、
一度、二度、繰り返す。]
よろしくお願いします
[頭を少し、下げた。
名前をちゃんときけたからか、子供は少し、安心したよう。
頬笑んで、紅茶だったものに、再び、口をつける。
甘さに眠気が*誘われた*。]
[視界に入った足を組む動作に、なにやら思うよに俯きつつあった面をあげて。
顎に手を当てて考え込む様子に小首を傾げれば、投げられた問いに答えるのが一拍遅れ。]
……ぁ、はい。
ですが…。
[働きながら舞姫の振りを覚える時間はあるだろうか、とは思うけれども。
多少無理をすれば何とかなること、と口にはせずに見つめ返す。]
[元紅茶を飲み干した後少しだけパンを頂き、
ベアトリーチェを見れば、ゆっくりと舟を漕ぎはじめている。
カウンターにいるマスターに頼んで
ベアトリーチェが食べきれなかった食事を包んでもらうと、ユリアンに声をかける。]
[どうやらユリアンはベアトリーチェが普段どこで暮らしているのか知っているようで]
[ベアトリーチェを引き取るユリアンを見送った後、
青年も二杯分の紅茶の代金を払い外へ。]
[酒場の戸を明け通りに出る。息が白く凍る。
この寒さ…近日中に雪が降りそうだと考えつつ
祭りの準備に追われ眠りきらぬ村を通る]
Moi je n'crois en rien
J'suis un vaurien
J'en fais qu'a ma tete
Des que c'est interdit
j'en fais partie
[青年はまた唄を口ずさみながら*帰路へ…*]
…ん。
ベアトリーチェちゃん、おねむ、みたいだねぇ。
[空になったスープの皿に、スプーンを入れ…]
ん、おやすみ、ユリアン、ベアトリーチェちゃん。
[二人の背中を見送った後…アーベルも外に出るのが見え]
…おやすみ、アーベル。
[…自分のことなど眼中にはないのだろうと思いつつも挨拶を交わし…]
…んで、ノーラさん…さっきから、何言って…
[エールを口に含み…愚痴を呟くその姿に、今まで持っていたノーラのイメージが崩れた気がした]
…なんだか。何かと印象が変わる日…?
[んー、と目頭を指で押さえ…小さく唸った]
[口篭る少女に僅かばかり疑問を抱くも、そのまま言を続ける]
[会話に熱中している所為か、何時の間にか、酒や人の臭いや、周囲の喧騒は気にならなくなっていた]
この、僕――
ミハエル=フォン=エーデルシュタインが、君を雇う、と言えば?
[眼差しは向けたままに、口唇を動かす]
……僕は現在、母上と共にこの地に来ている。
使用人は一人雇っているが、その者は母上の身の回りの世話に忙しい。
其処で君には、彼女の補佐と、主に僕の世話係を頼みたい。
尚、母上は元々この村の出身で、舞姫の経験者だ。
理解は得られると思う。
[話の区切れを表わすように、一度、咳払いをして]
ただし、無論、僕の一存では決められない事だし、君が望むだけの賃金が支払えるかは解らないが。
……別に、君の為だけに言っている訳ではない。
[足を組み替え、言葉を継ぎ足す]
僕は、妖精祭りの開催を願っている。
君は、新たな仕事先が欲しい。
単純に、利害が一致しているだけだ。
とは言え、そう、悪い話ではないと思うが。
ミハエル=フォン=エーデルシュタイン様、が…?
[内心の動揺を表すように、ぱちぱちと何度も瞬いて。
少年の…ミハエルの言葉を繰り返す。
告げられた内容は、行く当てのない身には願ってもない申し出で。そのしっかりした言葉に、まだ幼い少年に甘えていいのかと迷うより前に首を縦に振っていた。]
あの…お給料と休暇を…いただきたいんです…。
それでも雇っていただけるのであれば…私……。
…ぁっ。ミハエル様のお母上がお許し下されば…ですけれど……。
[賃金、という言葉に、知らず息をのむ。
彼女にとっては大切な大切な…望み。
恐る恐る…しかしはっきりとした意思を持って口を開く。
週に紅茶一杯程度の金額と、月に二度の休み。
そんなささやかすぎる望みを口にする焦げ茶色の瞳は真剣そのもの。]
[君だけのためではないという言葉も。
利害が一致しているだけだという言葉も。
悪い話ではない、どころか行き倒れるところに助けの手を伸ばしてもらったに等しくて。
まだ決まった話ではないけれど。
にこ、と笑みを浮かべて、ミハエルの動作を見つめて。]
[首を縦に振る少女に、彼の口許に、僅かに笑みが浮かぶ。
凡そ彼の年に似つかわしくない表情ではあったが、初めての微笑だった]
[しかし、次いだ彼女の言葉を聞けば、訝しげな表情になるも]
雇うのであれば、給料を与えるのは当然の事だろう。
休暇も勿論、必要だ。過労で倒れられては、困るからな。
母上には、僕から口添えしよう。
[彼女の心中を察せてはいないだろうが、真剣な眼差しに押されたか。
やがて彼の翠玉の双眸もまた、真摯な光を宿して]
後は、君の意志次第だ。
[ミハエルの微笑に微かに焦げ茶色の瞳を見開いて。
すぐに訝しげな表情になったのを残念に思う。
お給料や休暇を当然と言い切る姿に少し涙ぐみつつ、真摯な光を宿して重ねられる言葉に、深く…深く頷いて。]
……はい。
よろしく…お願いします。ご主人様。
[ふわりと、心からの笑みを。]
[少女の返答と笑みに、満足そうに頷いて]
ああ。宜しく頼む……
[言葉を詰まらせる。未だ、紡ぐべき名を聞いていなかった]
……君の名は?
[…そう言えば。
アンケート用紙に書いただけで、この町では誰にも名乗っていなかった事に気付き、慌てて口を開く]
ユーディット…です。
お好きなように…お呼び下さい。
[言葉と共に、ぺこりと頭を下げた。]
ユーディット。
[舌の上でその名を転がして、解ったというように、一つ頷く]
まあ、詳しい話は明日、だな。今日はもう……
[と、呟くような言葉の途中、目が見開かれる。
時計に視線を遣れば、かなりの時間が経っていた。幾らなんでも、不味い。
しかし、仮にも使用人となった少女の前なのだからと、内心の動揺は隠して]
…今日はまだ、君も此処での仕事があるだろう。
たった一日とは言え、役割は役割だ。
エーデルシュタイン家の別荘と人に聞けば、直ぐに場所も解るだろう。明日に、訪ねてくるといい。
[冷静に言葉を連ね、椅子から立ち上がり身形を整える]
[ミハエルにつられて時計を見れば、かなり遅めの時間になっていて。
客もだいぶまばらになっているものの、片付けなければいけないテーブルは…かなりの数。
しかし、仮にも主人となった少年をこんな時間に一人返すのは心が引けた。]
あの…少し、お待ちいただけますか?
[ぱたぱたと厨房へ戻り、簡単な事情説明――とは言ってもあまりにも遅いので送って帰ってくるというだけだが――をすれば、お得意様になるのを期待してか、あっさりと許可は出て。
店のランタンを借りて、テーブルへと戻る。]
よろしければ…お送りします。
[帰ってきてからの皿洗いと引き換えであることは言わず、にこと笑んで。]
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