情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 エピローグ 終了 / 最新
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
[やがてゆるりと起き上がる]
[すこしばかり顔が白く]
……だめじゃぁ
ちがうんは、見とうないん
隠しごとは、かくさんと
ちいねえさまがた、おいかりじゃぁ……
[ぎゅうと握った、守り袋]
[中身がないことも]
[誰が見付けてくれたのかも]
[何もしらずに]
[食事をすこしもらったら]
[たちあがって]
おらがおったら、みんないっしょにならん……?
そんなの、いやじゃぁ……
[ちいさく言うと]
[童子たちからも離れる]
[どこへゆこうか]
[離れれば]
[何もしらずに*いられるだろうか*]
〔やがて瞼の裏より紫黒の眼現れて、
朝餉を済ませて縁側を歩みゆけば、
赤子のやうに眠りに落ちる人の姿。
くすりくすりと小さく笑ひしは、
童子らか女かはたまた何方もか。
真白き花の冠に、薄緑の風の車。
時移ろわぬゆえか天狗の里ゆえか、
枯れず変わらずその傍らに残されり。〕
〔庭に降り立ち腕を組みて草を踏む。
風に揺れるは深紫の髪に藍墨茶の袖、
見つめる先は天の彼方の遥か遠く、
そこにあるは青き空に白き雲ばかり。
さらさら流る川のせせらぎに、
さやさや噂す風のささめきに、
ざわざわ騒ぐ森のざわめきに、
けれどもこの場にて聞こゆは何もなし。〕
[一足早く昼餉をもらい、誰も居ぬを計りて湯殿へと。
朝霧に濡れた衣を残し、湧き出る湯に浸かりてしばしまどろむ。]
いい湯じゃった。
…む、我の衣はいずこぞ…?
[恐らくは代わりに置かれし白衣と浅葱色の袴を身につけて、乾くまでの一時を小部屋にて一人過ごす。]
[障子窓から空見上げれば、髪を揺らして風渡る。
くすりくすりと笑い声、風に乗ったか空耳か。]
[手持ち無沙汰か気紛れか、飴色取り出し唇へ。
そうと息を吹き込めば、澄んだ音が風に流れゆく。]
[ピィー…ヒャララ…ピィー…ヒョロロ…]
〔耳に届くは祭囃子に似た笛のおと。
風は噂を止めてその音色を運ばむ。
小さく朱の唇から吐息を洩らせば
ゆうるり瞼が下り紫黒は隠されて、
訪れる黒の夜のやうな闇に何思ふ。〕
[瞼を伏せて一心に、指運びにのみ心を砕く。
館の外に出た者も、
眠りの内にある者も、
庭にて音色聞く者も、全て意識の蚊帳の外。]
[余韻残して笛置けば、撫子色の唇は震えにも似て小さく喘ぐ。]
……
[韻とはならず、空に消えゆ。]
[白き衣をきちりと着込み、部屋に残すは浅葱色。
遠巻きに見ゆる童子に小さく頭下げ、縁側へと歩み往く。]
…やあ、これは。
眠りを邪魔しておらねばよいのじゃが。
[揺り篭に眠る赤子のごとく、両膝抱えた姿を見やる。
傍らの花冠と風車が、風に吹かれてかさりと揺れた。]
〔止みし笛の音にか聞えし人の声にか、
重き瞼をふたび持ち上げて紫黒を現さす。
ゆうるり其方へと振り向けば
ゆうらり揺られる深紫に藍墨茶。
まるでそこだけ夜が訪れしやうであり、
閉ざされし蕾が花開くやうでもあるか。〕
〔紡ぎし三つ音は何の名か、
はてさてそれは定かならず、
唯ただ紫黒を幾度か瞬かす。
されば後に残るは平時と同じ女の貌、
眼も唇も弧を描きて笑みの形を作る。〕
[白き夜しかない里に、闇の帳が下りたよに。
深紫に藍墨茶、ゆうらり揺れて花が咲く。]
………、
[誰そと唇紡げども、声にはせずに紫黒を見やる。
眠りし言の葉答えれば、魂何処か消えゆくか。
脳裏を過ぎるはそんなこと。]
[夜にのみ咲く花のよに、瞬きの後に消え失せて。
白と朱の面は平時のように、艶やかなる弧を描く。]
…ああ、夢から覚めたよな気分じゃな。
あやめ殿こそどうなされた。
夢幻でも見たかのようじゃ。
[しかとこちらに向けられし声音にやや安堵して、遠まわしな問いを投げかける。]
聞かれていたとはしらなんだ。
…邪魔したでなければよいのじゃが。
[先ほどかけし言葉とは、僅かに異なる意が込もる。
琥珀はついと逃げたろか。]
象牙の旦那も、お早うだね。
[袖に隠れし手の朱爪は腕を僅か強く押える]
ああ――
あまりに遠くを見ていたものだから、
知らず記憶の水底を探っていたのかも知れぬね。
邪魔などではないよ、
以前に聞きたいと願うたのは此方だもの。
なにゆえかな、懐かしき感じはしたけれど。
[覗いてはならぬ淵を見たようで、逃げた琥珀は助け手を見る。
ぴんと張られた糸のよに、知らず張りし気も和らいだか。]
やあ、そなたもか。
…煩うことなくばよかったの。
[過分な言葉に、琥珀はまた逃げたろう。]
否、謝る事はない。
…聞かれておるやもと思ってなかっただけゆえに。
[驚いたは別のことなれど、ややもずらした答えを返す。]
水底を…?
ならばやはり邪魔であったろうに。
…気紛れ起こして吹くものではないの。
[吐息を一つ零して、眉根を寄せる。
こちらを責めぬ柔らかな言の葉に、琥珀は瞼に隠れよう。]
なぁに、
水面に一石投じるも好いでしょう。
時には変化も必要ではないかしら。
[言葉通りに石を拾うと傍の池へ落とす]
気に召されるな、白の君。
[生まれる波紋には目を向けずに白へと]
此方は其方の音を聞けて、
うれしやと思うているのだから。
誰そにか、成る程、確かに。
[何が可笑しいか、手の甲を口許に添え、くすり]
己がために吹くもわろしとは言わねども、
他がために吹くはよきものかも知れぬね。
[ぱちゃん――言葉通りに落とされた音に、琥珀を上げて。
幾重にも広がる波紋は、心に広がるさざなみのよう。]
変化…迷い惑うでなく…?
[こちらを見やる紫黒を琥珀が見返し。
揺れるよに潤むよに、言の葉が零れ落つる。]
うれしや、か。
我も…聞いてもらうは嬉しかろ。
聞いてもらってこそ…そうなのじゃろな。
[己に問うように、一度瞼を伏せて。
送られる視線へと琥珀の眼差しを返した。]
[聞かれたことは幾度とあれど、聞かせたことはあったろか。
指先強く衣を摘み、躊躇いがちに唇開く。]
他が為に…なればも一度聞いていただけようか。
ほんに僅かな時でよいゆえ。
[飴色取り出し押し当てて、そうと息を吹き込まん。
眠りを妨げぬように、*奏でるは柔らかな子守唄*]
[ぎゅう、と強く身をすくませた自分の指の痛みでゆるると瞳を開ける。
すでに髪はぼさぼさのまま乾いていて、自らがどれ程そこにいたのかもわからず。
ただ夢の名残に惑い、言葉を持たぬ赤子のように蜜色の瞳で辺りを見回した]
白の君。
変化と捉えるも、
迷い惑うと思うも、
それもまた己が心次第。
少なくとも、
此方は音色を聴いて、
快いと感じたよ。
――ああ、聴かせて頂くとしよう。
…。
[ゆるとはく息。
笛のおとがするりと耳に入ってくればまるで猫のように瞳を細めて]
……。
[猫が日向で尾をはたりと揺らすがごとく音に聞き入る]
[走っては回る]
[戻る]
[どこかへ行かねばならぬのに]
……どう、して
ゆくもかえるも、できへん……?
[笛の音は遠く]
[ぎゅっと握った手の内に]
[守り袋はただひとつ]
[力なきことはわかっているのか]
[風はそよそよ]
[白の香りを運ぶ]
[川はさらさら]
[落ちた花びらを乗せて流れる]
[川を越えることはできるかと]
[着物を手繰って、足をつける]
[膝のあたりまで水の中]
[歩を止めて]
……ゆけん
[進もうとしても、足に絡む水草に]
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 エピローグ 終了 / 最新