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……先程のノーラさんの嘆きを聞く限りは、彼女がユリアンさんを襲ったとは思えません。
けれど、その判断を信じて良いのかが分からないのです。
[今まで、考えていたことの逆の結果が現れていたせいで、ナターリエは決断出来なくなってしまっていた*]
ユリアン。
私ね、きっとクルトもだけど。
貴方が誰か大切な人を見つけて、紹介されるのが夢だった。
…それだけが幸せじゃないかもしれないけどさ。
貴方には人一倍幸せになって欲しかったんだ。
[淡い微笑み浮かべ、死者に語るは女達夫婦の夢。
幼い時に父親を亡くし、母親は彼を捨て、師匠夫婦に引き取られた幼馴染。
そんな事があったからこそ、彼の幸せを心より願っていた。]
――だから、貴方を終わらせた人は許せない。
[ナイフを持つ手には力が籠る。]
[今残っているのは女を覗いて3人。
女は素人。
当然、抵抗もされるだろうし、3人を殺そうとすれば‘疲れる’。
それで本命を逃しては元も子もない。
――やはり、きちんと見定めなければ。]
…これ、貸しててくれる?
[女はナイフの持ち主に問う。
――返事がない事は分かり切った上で。
返せるかどうかは分からないが。]
それじゃ、いってくるね。
[成人男性を一人で動かすのは骨が折れるので、そのままの姿勢で毛布をかけ直す。
顔は隠さず、けれど首や喉元の傷は隠れるように。
髪や衣服を昨日リディ達にしたように整えると。]
おやすみ。
……どうか、
[そこまで口にして噤む。
彼は安らかに眠れるだろうか。
仇を取ったなら、月のいとし子を殺せたなら安心出来るだろうか。]
[廊下から話し声がする。
皆、集まっているのだろうか。
ナイフを右手に持ったまま、部屋を出て、ゆっくりと彼女達に近付いてゆく。
それは話のどのタイミングだっただろうか。*]
─ 宿泊施設・廊下 ─
[視線に気づいたか、右手を隠すような仕種をするゲルダの様子>>89に、このまま気づかれませんよーに、なんて思いつつ。
シスターとゲルダのやり取りには口を挟む事はしなかった。
未だ、月のいとし子を見出していないというシスターがどう動くか、どう思考するか。
それによって、この先を考えないとならないから]
……まあ、ふつーに悩ましいよね、この二択は。
[己が判断を信じられぬ、というシスターの言葉。>>97
何も知らぬ立場であれば、自分も悩んだろうなあ、なんて思いながら、こんな呟きを漏らす]
(あちらがどう動くか、によるかな、これは)
[この場を切り抜けさせるには、彼女を犠牲にするしかないわけだが、さてどうしようか、と。
裏で巡らせるのは、そんな思考。*]
[そうしてナイフを顔の傍に掲げてみせた。]
これ、多分、ユリアンのものだと思うんだけど、
床に落ちてたの。
シスターは気付いてた?
単に落としてしまったのか、
それとも揉み合ったのかどうか分からないけど、もしかしたら相手に手傷を負わせたかもね。
――私は何処だって見せられるけど、皆はどう?
[そう言って、皆を見回す。*]
─ 宿泊施設・廊下 ─
[会話をしながら、判断に繋がるものがないか考える。
管理人や団長が油断するような相手で、もしかしたら、ユリアンも油断するような。
けれどその観点から行けば、2人共当て嵌まる気がして、結論にまでは至れない]
ノーラさんが『人狼』なのだとしたら、ユリアンさんを襲うに至る決定的な何かがあるはずなのですが…。
[未だに知らぬ、ユリアンの持つ花のこと。
けれどそれはノーラでもユリアンを襲えると言う理由になるだけで、ゲルダが『人狼』ではないという証拠にはならない。
思考ばかりが堂々巡りになる]
[やがて、部屋からノーラ>>101が出て来て、こちらへと近付いてくる。
彼女が右手に握るのは血のついたナイフ。
それを確認したのかゲルダがアーベルの影に隠れる>>104のを見た]
ノーラさん。
『人狼』は、貴方かゲルダさんのどちらかです。
アーベルさんは『ひと』、『人狼』ではありません。
[『ひと』であるアーベルを殺させないための言葉。
信じてもらえるかどうかはさておいた]
ユリアンさんの…?
いえ、気付きませんでした。
[ノーラに問いかけられて>>106、緩く首を横に振る。
あの部屋に入った時はユリアンにばかり目が行って、そこまで気が回らなかった]
手傷を…。
私は、傷は何も。
見せるのは、構いません。
[顔以外の肌を全て隠した服装だが、傷なんてものは残っていない。
見せるのも問題はないと告げて、視線をゲルダへと転じた*]
―― 宿泊施設・客室 ――
[やがて夜が明ける。
誰かが来る気配がしてドアを見る。
見ちゃいけない、来てはいけない。
そう願っても、もう声は届かずに。
現われた人が毛布に包まれた物に気付く。>>55
声が、響く>>57]
どうして、シスターがここに?
[呟いてみても答えは返らない。
代わりに「あと二人」と言う声が聞こえた。]
………見出す者? シスターが?
[残りはシスター以外に三人、二人と言うならそのうち一人は「見た」ということ。
ゆらり、視線をめぐらせて、他の人を起こして回るのを見守る。
ノーラがすぐに気付いて、そうして悲痛な声が聞こえた>>74]
送って行くって約束したのにね……。
[ごめん、と手を伸ばす。触れる事は出来ないけれど。
そうして、アーベルと、ゲルダも姿を見せて。]
確かに、あの様子じゃ気付かないよな……
[いつもと変わらないゲルダを見て呟いた。]
[ゲルダの手には白い包帯。
それを見たアーベルが表情を変え、それに気付いたゲルダが手を隠す。
気付いて欲しいと、ゲルダが人狼だと言ったところで届かない。
ましてアーベルが、人狼を庇う側であるならば。]
[シスターが見ていないのはノーラとゲルダだといい。
アーベルは人だと証言した。
ゲルダはノーラが人狼という事になるという。
彼女の立場ならそういうしかないだろう。
ノーラはそれにどう答えるだろう、そして二人は。]
ノーラ?
[慟哭を止めたノーラが持ち出したのは、部屋に残していたナイフ。
ゆらゆらと、呟きながら、話している三人に近づいて行く。]
………どう、なるのかな。
[見守るしか出来ない花は、ただ、その場にゆらり揺れている。*]
─ 宿泊施設・廊下 ─
[ゲルダは傷を負っていた。
包帯の下から現れる、右手の甲の傷。
昨日、ナターリエが割ったカップを片付けてのものだと言った>>112が、ナターリエは首を傾いだ]
破片を片付けて……手の甲に傷、ですか?
どうやったらそんなところに。
[指や掌に付いたなら納得も出来るが、手の甲というのはどうにも不自然に感じる。
手当ての相談を受けたというアーベル>>113と、ゲルダを交互に見遣った*]
[それは自分への問いかけでもあった]
なんでこんなに複雑なんだろう。
[殺されたことをただ怒れるなら。
皆同じになれば良いと思えるなら。
きっと楽なのでは、などともチラリと過る]
……いやいやいや。
[やはりそうなるのは嫌だ、と思い直す。
フルフルと頭を振って、生者の会話に耳を傾けた]
[女は深呼吸する。
そうして真っ直ぐにシスターを見つめた。]
シスター、聞いて。
此処に残っているのは4人。
…もう後がないんだよ。
ここで間違えたら、終わりなんだ。
[言葉は尽くすが、命乞いはしない。
何故なら、女がこの騒動を終わらせたいのは、明日を迎える為ではないからだ。]
私には、無実だって証拠を貴女に見せる事は出来ない。
それはきっとゲルダも一緒。
貴女にとっては、アーベルさんは私よりもずっと信頼がおける人だよね。
だけど、図書室に置いてあった本には月のいとし子に協力者がいる可能性を示唆してた。
それは‘人’でも敵の可能性があるって言う事。
[彼女がそれを知っているかは分からないが、
己の考えが合っていた場合、シスターの命もなくなってしまう。]
[それは、死んでいった者達も望むところではないだろう。]
もしも私を信じてくれるのなら、私は全力で貴女を守る。
明日を迎えさせる。
[――この手で、人狼を殺して。終わらせる。]
だから、お願い。
私を信じて。*
― 宿泊施設・廊下 ―
[ゆらりと、彼女たちを追う。
どうなるのかと呟くと、ふわり、人の姿が浮かび上がって。>>+51]
リディ?
[怖くはないのだろうか、恨んでいないだろうか
命を奪った自分を。
だけど、向けられた問い掛けは、以前と変わらないままで。]
どうなって欲しい、か……わからないや、今は。
偉そうな事言ってたのにね、俺。
[だけど、自分は間違えた。だから
彼らの選ぶ道行きを見守ることしか出来なくて。]
複雑にしたのはなんだっけ?
中央教会のせいじゃない?
[誰も本当は悪くないはずだ。
たまたまここに集められて、役目を与えられた。それだけ。]
リディ
[何を思ったのか、ふるふると首を振るほうに顔を向けて>>+52]
怒ったり呆れたりしないの?
俺の事。
[ふわり、自嘲気味に笑ってみせた。*]
[彼女の答えはどうだったか。
女は己の口にした事を実行しようと
ゲルダ達に向かってナイフを構え、シスターを背に庇おうとする。]**
……まぁ、変な場所だしね。
疑われても仕方ないとは思うけど。
[口先の反論だけなら幾らでもできるけれども、武器のようなものは何も持っていない。
構えられたナイフに対してか――それとも“協力者”の存在がその口から語られたことにか。
く、と下唇を噛み締めた。]
あたしは、誰も殺してなんかない。
[それでも生き残るために嘘を重ねる。]
[ノーラからの『見出す者』なのか、という確認>>115には頷きを返す。
完全に否定されなかったことには安堵の息。
ノーラの雰囲気はいつもと異なるが、彼女が思考を放棄していると言うわけではなさそうだった]
[ゲルダの傷に関しては、ノーラも同じ点が気になった模様>>117。
自分の感覚が間違ってはいないと確認するに至る。
そうして向けられる、ノーラからの言葉>>119。
後がない、とはっきり言われたことに、こくりと息を呑んだ]
[尽くされる言葉>>120>>121は真摯にも見えて、ナターリエが意識外においてしまっていたものを補完して行く]
……協力者?
そういえば、御伽噺にもそんな話が……。
[それがこの場に存在している確証は無かったが、浮かんだ可能性は最悪の予想を想起させた。
その予想がナターリエの視線をアーベルへと向けさせる]
……私は……、
[自信が持てない己の判断。
ノーラの嘆き。
ゲルダの手の甲の傷。
『人狼』の協力者の可能性。
巡る思考は纏まらないままだったけれど]
どうしても、ノーラさんの嘆きが、嘘だとは思えないのです。
[心に響いたもの]
ゲルダさんの傷に、納得が行かないのです。
[掛け違ったような僅かな違和感]
アーベルさんは『ひと』、その確信はあるけれど……。
[敵対しない人とは言い切れない]
……何を考えているのか、全く分からないのです。
[悩む様子も見えないことが、疑念になりつつあった]
自分の判断が正しいのかは分かりません。
『見出す者』の力も、逆の結果を齎してきました。
けれど、私はもう一度、私の判断を信じようと思います。
[そう言って、己を庇うように立つノーラ>>122の後ろから、動かずにゲルダ達の方を見詰めた*]
今のユリアン、には怒らないよ。
だって、誰かを殺さなきゃいけないんだろうって、あたしもあの時は考えてたし。
今思うとね、普通じゃなかったもん。
その前のぐぅ爺ちゃんもなんだけど。
あんな風に頑ななの、ユリアンらしくなかったよ。
でも、一生懸命なのはユリアンらしかった。
だから呆れたりもしないよ。
[チラリとまた生者の様子を窺って]
死にたくないのは、誰だって当然だもん……
[軽く睫毛を伏せた*]
だからね。
気にしちゃダメだよ。
中央教会のせい、なんだから!
[それでも笑顔をユリアンに向け、その手を握ろうとしたのは。
誰も死なずに終われないというのも分かっていたから*]
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