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[アーベルの言葉にあははと笑いながら]
ごもっとも
じゃあ、頑張って力ずくで押さえてみてね
もちろん……そんなこと出来るならね!!
[動いたのは、前衛の人形(大)2体
後衛の本隊への風を遮るように彼女の前に立つ]
[隻眼の言葉には、口を開いて言葉を出そうとしたけれど、止めて鼻をひとつ鳴らし。
翠のマフラーをカチャリと手を上げて鼻まで引き上げ、
ライヒアルトの言葉に、ん、と頷いて。
水鏡で起こる様子にチラリと視線を向け。]
あー、まぁ…そりゃそうか。
つかもう、決まってんじゃね?
[ぽつりと 軽口の温度の声。]
[『声』はそう何度も使えない]
[護身用の短剣を抜く][普通の短剣よりは少し長いもの]
[玄人とまではいえないがそれなりに慣れた様子で構えた]
相手によって設けられた舞台。
さて、何が飛び出してくるか。
[前方の動きを視界に入れながら]
[周囲を警戒する]
どちらにせよここから出られなきゃ処分は確実だろうよ。
出られたらの話だ。
仮に出られなくても、相手は痛い腹を探られることになってる。
[そう手配してきたが故に]
[失脚は無理でも痛手は負わせられるはずだ]
ふん、神なんざなるもんじゃねぇよ。
なる気もありゃしねぇ。
[それは以前にも口にした言葉]
[それを思い出したためか口にした言葉に対してか]
[厭うように眉根が寄った]
[引きたくはないが、他への影響を考えれば前に出るのは危険だと分かっている。
警戒はしていても、何が出来るわけでもないのだから]
副業。
[繰り返す。納得いかない、といった表情]
……なんのために、人形を創っているの?
なんのために、「本業」をしているの?
人を喜ばせるために、人を傷つけるの……?
[その隙を狙ってこちらへ攻撃を加えてこようとするレナーテにちらりと視線を送ると]
甘い。近付かせるわけにはいかないんでね
[そう言って、足止めのため『リトル・レギオン』の一部を彼女に向けた]
……言われなくても、そのつもりっ!
[流れを遮ろうとする人形の動き。
風に頼めるのは、単純な動きだけ。
どうするか、の思案は短く]
……『避け』て!
[上げた声が願うのは、回り込み。
くるり、大人形の前で渦を巻いた風は、壁を避けるように左右から回り込もうとしてゆく。
それと、同時、肩の上の翼が空へと舞った]
[ゲルダに付き従う小さき人形達は、かなりの素早さで動き回ってはいたが、捕らえきれないほどではない。
レナーテの拳が、足が、人形達に触れ、次々となぎ払っていく]
―――お。
[だが―――数の多さは如何ともしがたく、レナーテが放つ攻撃の数倍の速さで攻撃を仕掛けてきて、一瞬のうちにレナーテの体に次々に裂傷を受けて、血を飛び散らした]
おー。
[感嘆の声を上げつつ、それでも、レナーテの攻撃は止まない。同じように、人形の群れの攻撃もまた止まない]
かもね。
何にせよ、同じことだ。
[返す声は、いっそ穏やかに聞こえたかも知れない。
いつか聞いた言葉が耳に届けば、ほんの少しだけ眼を細めた]
…………ちなみに
戦力が見えるものだけ………なんてのは甘い考え
[そう言うと同時、エルザとハンスの後方からも潜んでいたレギオンが襲いかかる
エルザの質問には一瞬そちらに視線を向けるものの、すぐにそれは目の前の二人の方へ]
はっ。はは。
[致命傷を受ける攻撃は一つとしてない。そのような攻撃は全て皮一枚で避けている。
それでも襲い来る怒涛の攻撃は、レナーテの周りに血煙を巻き上げ、地面を赤く染め上げていく]
ははははっ。
[それでも、レナーテは変わらない。何一つ変わらない。
ただ、その顔に浮かぶ笑みが段々と濃くなっていく]
あはははははははははははっっ!!
[やがて、笑みは哄笑になり、周囲に響き渡る]
楽しい!楽しいじゃねえか!
すげえ!すげえよ!こんなに沢山の人形を同時に扱えるなんてよ!
[目がランランと輝き、体が傷を負うたびに、レナーテの動きは―――洗練されていった]
やはりくる、な!
[後方から飛び出してくる人形]
[逆側にいれば位置に入るだけでギリギリ]
[それでもギンと鈍い音が響く]
[力任せに払う]
……んとに筋肉馬鹿だな、ありゃ。
[戦う事を悦びとし]
[その動きが洗練されて行く女剣士]
[致命傷を受けずとも周囲を紅く染めて行く様に]
[呆れの声色が混ざった]
だがまぁ……気持ちは解らんでも無い。
[口元に浮かぶ笑み]
[手加減なしで強者とやり合う楽しさは己も知っているが故に]
[「避けて」という言葉と共に人形(大)を回避して風はエルザに襲いかかる
だが、口元を歪ませると]
それくらい……予測がついてないと思った?
[同時、大人形の背から盾を持った隠し腕が現れ、避けようとした風の進路をも阻む
そして、飛び上った隼には人形たち射出]
さあ、来い!人形共!
お前らが感情を持ってんなら、この気持ちも分かるだろう!
もっと。もっともっと楽しもうぜ!
[痛みは、人の体に躊躇をもたらす。
傷は、人の体を鈍らせる。
だが、それはただレナーテの笑みを深くさせ、その動きを軽やかにするのみ。
それは人の理を、ほんの少しだけ超えている証でもあった]
―――。
[レナーテが人形を砕く]
―――。
[レナーテが人形を吹き飛ばす]
―――。
[レナーテが笑い続ける]
用意がいいのね。そのくらいは当然なのかしら。
……まるで神を目指したことがあったみたいな台詞。
っ!師匠、危ないっ!
[思わず水盤に向かって叫ぶと、戦いの様子に固唾を飲む]
……ばっかみてーに、がっちがち。
[出現した盾に、零れたのは呆れたような声。
しかし、それならそれで]
……『止まって』!
[言葉に応じ、風が止む。
その間に、自分は駆け出して]
……『下』!
[短い、声。
数拍の間を置いて、風は人形の足元を掬うよに下から上へと吹き上がる。
天では翼の舞。
狙うものを掻い潜り、引き寄せる乱舞]
[舞い散る紅に眉を顰めている間も、問いの答えを待つ間もない。
飛び出て来た人形に反応し、身を躱そうとしたところでハンスが割り込む]
ああ、もう、だから、
荒事は分野じゃないんだって……っ!
[情けなく悲鳴をあげることはせず、
眼差しはやはり、ゲルダへと注がれた]
こんなの、おかしいじゃない。
皆を楽しませるために――一緒にって、そう思ったのに!
[別の一体が飛び掛ってくる]
[剣を戻す時間は無い][足で蹴り飛ばす]
[長柄武器を持っていた人形はそれを振るいながら後方へ]
[赤い筋が走る]
無理はしなくて、いい!
[再び剣を持つ人形の相手をしながら]
[怯えは見せないエルザに声を投げる]
尤もハンスの助力、っつーか情報の対価だな。
それが無きゃ出来ないことではあったが。
最後の足掻きってやつだよ。
[露天商の言葉に笑いながら言う]
[続く言葉には]
神って奴が大嫌いなだけだ。
崇められておきながら何もしてはくれない。
どんなに縋っても助けの手は差し伸べない。
…崇めるにも値しねぇよ。
[そこかしこで繰り広げられる戦い]
[人数の不利を人形で補う相手]
[その様子にただただ隻眸を向けた]
[ライヒアルトの言葉には、うん、と頷いてから
隻眼には、少し呆れたような目を向けて。
ベッティの叫び声に驚いて少し飛びあがった。]
…人形。
[ぽつり、呟く。]
(ふう、思ったよりもお姉さんに割かないといけない人形が多いですね
げに狂人は恐ろしきかな、とっ!?)
[止まったかと思うと今度は下から足元を掬うような吹き上げ
さすがに耐えられず体勢を崩す大人形]
……本当に多様なことで
[苦々しく呟く]
ははははははははっ!!
[今のレナーテに周囲の喧騒は全て消え去っていた。
今、見えるのは、聞こえるのは、眼前に広がる戦闘。ただそれだけ]
―――……。
[その耳に届いたのは、唸り声。吼える声。猛る声。
人形の相手をしながら、声の出所である魔剣に触れると、それは静かに脈動を繰り返し―――]
お前も、暴れたいか?
久しぶりに暴れたいか?
いいぜ。だが、ゲルダを殺したりするのは無しだ。
ゲルダに傷の残るようなのも無しだ。
他の誰かに被害を与えるようなのも無しだ。
それでもいいなら―――目覚めろっ!!
[レナーテが腰の剣に手をかけ……一瞬で抜き放った]
『天から、地』に!
[体勢を崩す大人形の様子に、再度、風へと呼びかける。
吹き上げた風は、今度は大人形を押さえつけるべく下へと圧力をかけるよに流れ。
普段であれば、ここまでの動きは飛ばせない。
それが出来ているのも、下街の呪術師から受け取った制御具のおかげなのだが]
……ちっ……邪魔、すんなっつーの!
[駆け寄る人形たち。
相手にする余裕は、色々な意味で、ないのだが。
切りかかってくるのをぎりぎりで往なしつつ、走る。
小さな煌めきが腕や脚を傷つけるのも構わず、距離を詰める事に専念した]
[その瞬間―――!!]
[どこか近くで稲光と雷光の音が聞こえた気がした]
[否]
[それは、レナーテの魔剣から迸る稲妻]
[剣の柄から一直線に伸びる、ただ一条の稲妻だった]
―――久しぶり。相棒。
師匠ってば凄いのね。
あら、神様を崇めて対価を求めるの?
むしろ逆だと思うけれど……打算的ね。商人みたい。
[隻眼の男に向かって口元を上げると、意識を再び水盤へ]
エルさん、師匠、頑張って……。
……無理はしてないわ?
落ち着いて話を出来ないのが悔しいだけ。
[ハンスに返す口調は普段通り。
表情に焦りが滲むのは、否めないが]
これが終わったら、護身術の一つでも習おうかしら。
くっ!?
[崩れた所を押さえ込まれ、無力化される大人形
そして、人形たちの攻撃に怯むことなく走り寄るアーベルから距離を取ろうとし]
…………うわぁ。あれはちょっと…………拙いかも
[レナーテの抜いた魔剣の一条の稲妻にぽつりとそう呟く
頬を冷たい汗が流れる]
さて。
こっからは本気だぜ。
久しぶりに「剣士レナーテ」としての力をとくと見ろよ!
[レナーテが剣を振るうたびに、バチバチ!と音が鳴り、人形達がショートしていく]
お。
ちゃんと手加減してるね。偉い偉い。
[魔剣に笑みを見せながら、二撃、三撃と次々に剣をふるい続ける]
[耳を劈く雷鳴。
幻聴かと思った。
片目を瞑り、前方へと視線を投げる]
なぁに、あれ……
[呆然としかけたところへ、前線から抜け出た小さなレギオンが一体]
きゃー!?
[思わず蹴り飛ばした。
制御の甘かったらしいそれはあっさり一撃をくらい、
前線でショートしている別の人形へとぶつかった。]
[女剣士が抜き放った剣に初めて身体が動く]
[寄りかかっていた壁から背が離れ]
[隻眸を僅か見開き、剣に魅入るかのように]
─…こいつぁまたとんでもねぇもん持ってやがったな。
滅多にお目にかかれねぇ代物じゃねぇか。
[まじまじと見つめてからまた背を壁に預ける]
[露天商の言葉が聞こえると]
何事も等価交換だと思うが?
神にそれが当てはまらんと言うならそれまでの話だ。
どちらにせよ、神が大嫌いなことに変わりは無い。
[大きい人形相手ではこうもいかなかっただろう]
[同時に殺到されなかったのも幸い]
[一体ずつを相手に出来たから]
っ。
[片方の人形の腰にあたる位置に入った一撃]
[体勢の崩れたそれを先程のように蹴り飛ばす]
それならいい。
[一瞬エルザを振り返る余裕が出来た]
[焦る様子に唇だけで笑い]
[すぐに顔を戻すと剣を構えた人形と三度対峙する]
そんな必要はあって欲しくないけどな!
…。
[水盤を黙って見つめていたローザは、唐突に、はたはたと涙を流しはじめた。あそこで戦ってる人形はきっと、何かしらの物語のヒーローでありヒロインであり、それらをサポートする役者達だったのだろう。悪者だって、最後は皆で並んで大きくお辞儀をするのに。それで沢山の拍手を貰って、満足したふうな演技をしながらゲルダの元へ帰る物なのに。]
レナーテもお師匠もアーベルもお姉さんも、
皆がんばれー!
[閃いた雷光には、ちらりと視線を投げるのみ。
ゲルダがそちらに気を取られているなら、それが、好機]
……ハルフェっ!
[天へと向け、声を上げる。
応じるよに、隼は急降下。
狙うのはゲルダ自身──ではなく、その目の前を掠めるように飛ぶ事での、視覚的なフェイント。
それで隙が生じる事を狙って、ゲルダの足元へ向けてスライディングからの蹴りを放つ]
……いい加減、大人しく、しやがれっ!
な!?
[もう一度振り返る]
[けれどエルザもしっかり対応していた]
[隙を突くように突きこんでくる剣を避けられたのは幸運]
[左腕を掠められているから間一髪の悪運かもしれない]
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