情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新
[1] [2] [3] [4] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
―海辺―
[やがて見えてくるのは砂浜に佇む人影。対峙する二つの背]
ああ。それだけはしっかりと、ね。
[後ろからの足音は追いついてきたか。追い越してゆくか。
その手に拳銃が握られたままなのが見て取れた。
そこにも覚悟の形を一つ見つけ、小さく頷くよな動作をした]
[初めて会った時と変わらぬ態度に、ただ険しい表情で見つめ。]
………お前は。
物語のつもりかも、しれないが。
俺達は、作り話の、登場人物じゃない。
[そう、告げてから、一呼吸置いて。]
…ライも、お前も。
だから。
美しい幕引きなど、必要はない。
物語の結末なんて言葉で、全てが終わらせられるわけがない。
お前は、償うんだ。
生きる為でなく、己の愉しみの為に命を奪ったことを。
[銀の剣は握ったまま、一歩、近付いて。]
─海辺─
[たどり着いた浜辺で目に入ったのは、先に駆け出した者たち。
荒事に加われない自分は、ただ、見守るしかできない。
共にやって来たぶち猫も、同じ意思があるのか。
対峙する者たちを見つめ、低く、鳴く。
銀の鈴の音が、風に流れた]
―海辺―
[驚く顔を見てか、頷くような仕種を見てか。
男はニヤリと口許をつり上げた]
[そこに言葉は無く、歩く2人の横を抜けて、更に3歩、4歩。
さくり、砂を踏む音をたてて、止まった。
対峙する人影のよく見える位置で]
[増える足音の数]
[先程まで宿に居た人数が、その全て]
勢揃い、かな。
[左足には、ちりちりと灼かれる痛み]
[けれど、表情は何一つ変わらない]
[痛みは感情では無く、感覚の筈]
[そうである筈なのに指先が触れるのは、心臓の上]
つもり、じゃなくて。
物語なんだよ。
[けれど低い声は淡々と紡がれ]
[浮かべる笑みの質が変わる]
[柔い女の笑みから、獣の凄惨の滲む笑みに]
―海辺―
[一際強い風に、焦げ茶の瞳を細める]
[厭わしいと、そう言わんばかりに]
だから、償ったりなんてしないよ。
[告げられる言の葉に、首を振る]
[詰められる距離に其々を見回す]
僕は、一番の悲劇になりそうな人を狙うだけ。
[宣言と共に、白金の煌きがクロエに向かって宙を駆ける]
[獣が紅に穢れた砂浜を蹴った]
……させる、か…っ!
[構えた銀の刃が軋んだ音を立てて、白金の煌きとクロエの間に割って入る。]
………いや。
物語なら。
全てが息絶えた後も、続いていく。
読む者が居る限り、永遠になる。
…これは、現実だ。
お前の思いも、俺の痛みも。
失ったもの、得たもの、全てが、真実だ。
[視線を逸らさぬまま、言葉を紡いで。]
[握った手は今もまだそのまま。
人狼への武器となるものは、既に失われた後]
クッ!
[だからできるのは。
身体を張って守ることだけ。
強く右の手を引き、白金の獣に背を向けて、クロエの身体を抱き寄せる]
―海辺―
御託は要らねぇな。
[場違いに笑みを浮かべた男は、為された会話もたったの一言で片付けた。
右腕を上げ、傷付いた左足に狙いを定め、引き金を引く。
そこには鉛弾しか込められていないけれど]
……誰もが、息絶えるまで、終わらない……。
そんなの。そんな終わり方……!
[思わず声に出すのと、白金が駆けるのは、どちらが先か]
……え……。
[ぶち猫が鋭い声を上げるのが聞こえた。
手が引かれ、抱き寄せられる。
視界が狭くなり、状況が掴めなくなった]
[クロエに狙いを定め駆けるヘルムート。それに割って入るヴィリー。老体は即座に反応することは出来ず、ならばと別の行動をとる]
[ヘルムートに隙を作るべく、彼の右側へと回り。手にしたままだった血濡れた短剣を振るう。タイミングはウェンデルが放った鉛玉とほぼ同じだったか]
[白金の獣がクロエへと向かうのを見る。]
ああ……
[手渡したお守りは唯の気休め。
アーベルが庇ったのを見るけれど、二人ともが襲われてしまえば――]
どうか、無事で……
[小さく、祈るように呟く。]
[女性に向かって行こうとする姿に、思わずヘルムートの前に立って。
けれど既に実体を失ったその身は、生者たる人狼を阻むことなどできるはずもなく。
己の身をすり抜けていったヘルムートの姿を。泣きそうな表情で振り返った。]
………私は…本当に、無力ですね。
[フーゴーの短剣を避ける為]
[白金の狼は、傷ついた脚を引きずり軌道を変えた]
[けれど、其れが大きな隙を生む]
[キャリンッ]
[金属同士の擦れ合うような其の音が獣の音には大きく聞こえ]
[更にもう一つ届く音は、銃声]
[二つの音に、上がる獣の悲鳴は一つ]
[後ずさり、低く低く喉を鳴らした]
[銀の短剣は左の前脚に]
[銃弾は左の後脚に]
[ぐらりと、獣の身体が左へと傾ぐ]
[顔ばかりが、唯、前を向いて]
― 回想 ―
笑う?何故ですか?ヒースクリフさん。
[やがて此方に気がついたユリアン
――ヒースクリフの言葉に首をかしげ、
彼の言い分を聴く。]
力ですか…――。
でも、たとえ力を手に入れられても、
私のようになれば、結局貴方は誰も護れなかったと思います。
[滔々と響く無機質な声。]
もし、ココが壊れたなら、誰かを護りたいという想いも、
忘れてしまいますから。
[そっと指さすのは心臓
――人が心のある場所と云う所。
嗚呼、全ての後天的な人狼が、心を壊すわけではないけれど。
相変わらず、説明をはしょる死した人狼は、ほつりと零す。]
そんな自分を、心失う前の自分が見れば、
さびしい…――と、想うのでしょうかね。
[少しだけ思い出した感情の名を呟くと、
ほんの微かに眉尻が下がった。
そして、くるりと踵を返すと、
先に行った人たちの後を追う形で、海へと…――。]
― 回想 了 ―
[銀の刃が、白金の毛並みを紅く濡らし。
剣を引き抜くと、ぐらり、揺れる獣の姿を真っ直ぐに見据えたまま、クロエ達を庇うように対峙して。]
[最後まで真直ぐに此方を見る、男を見返した]
最悪……。
そういう事は、教えてくれなくて良いのにぃ。
[狼からこぼれる声は]
[おんなのやわらかさも、獣のちからづよさも両方をひめて]
最後に聞かせてくれる?
此れがほんとうに現実だというのなら。
私の書いたものがたりは、誰かが読んでくれる限り。
永遠になるかしら?
[紅が、砂浜へ止め処なく零れ落ち]
[焦げ茶の瞳に濁りが生まれる]
[背後で響く幾つもの音。そして悲鳴。
僅かに力を抜き、クロエを背に庇いつつ向き直る]
物語は。
いつまでも語り継がれてゆくものだと思う。
[紅流す姿を見つめながら、自らの思いを口にした]
……あぁ。
お前の記した物語は、永遠だ。
誰かの記憶に残り、思いが継がれ。
永遠に、語られる。
[白金の獣は、血に濡れて、誰の目にももう長くは無いと分かる姿になっても、尚美しく。
その傍らに片膝をついて、その瞳を真っ直ぐに見つめ、頷いた。]
[生きている者も、死した者も見詰める先。]
…―――。
[同じように死した人狼も、
同胞の――セザーリオを無言で見詰める。]
…―――っ。
[少し息を飲んだのは、
彼の人狼が刃と弾丸を受けた時。
密かに眉を寄せた理由を、
心が壊れているという死した人狼は、
自身が知ることはない。]
[聞こえるのは、ただ、交差する音。
やがて、それらは静まり。
聞こえてきた問い。
庇ってくれる肩越しに、白金の姿を、見て]
……続いていくもの、だと、思うよ。
ウチのとうさんが、言ってた。
伝えるものが、受け継ぐものが、いれば。
失われたり、しない、って。
[小さく紡いだ答えは、白金まで届くか]
[傾ぐ獣の身体。
煙を吐く銃口は、獣の頭に定められた。
引き金に指を掛け、けれど未だ引かれることはなく]
……なんだ。
もう終わりかい。
[自分に向けられていない問い掛けに、男が答えを返す筈も無い。
代わりのような呟きは、何処まで届くか、その耳にどう聞こえたか。
いずれにせよ、口許には歪な笑みが浮かんだまま]
[振るった短剣は容易に獣に躱される。けれど隙を作るには十分で、直後に獣の悲鳴が耳に響いた]
[フーゴーはまた黙ってヘルムートを見やる。今手にしている短剣では止めは刺せないな。そう考えながら、ヘルムートがヴィリーに訊ねる言葉を耳にした]
……物語、か。
[ただそれだけを紡ぎ押し黙った。今回のことも結社の系譜として残されて行く。後世結社に属する者達も読むことになるだろう。それが彼の望む物語の在り方かどうかは分からないが。他の者が口々に言う中、それに同意するように頷くだけだった]
[答えの声が返るのを、微かに揺れる耳が捉えて]
[一人一人に言葉を向けた]
ベルちゃんも、クーちゃんも。
二人とも、優しいのよね。
其処が、好きで、嫌いだった。ううん、今も。
[焦点の合わぬ眼差しは、其れでも二人の近さを捉え]
[慈愛にも似た笑みが、浮かぶ]
――……頑張って。
[いつかと同じ、激励の言葉を祈るように呟く]
[次いで吐き出されるのは、溜息]
本っ当、神父様はこういう時に迄、乙女心を理解しないし。
優しくないし。
でも、そういう所含めて、好ましいとは思ってたわ。
其れ以上でも其れ以下でも無いけれど。
[獣の耳には、紡がれた声も良く聞こえる]
あたくしは、今までの一連を物語にして遺してある。
もしも出版されたなら、また逢えるかもしれないわ?
[其れは終わることの無い永遠に未完の物語]
[終わりの無いことの象徴]
おじさま。
[銀の毒が回り、響く声が震える]
宿に戻ったら、リアちゃんを弔ってあげてくれる?
私は、別に良いけれど。
彼は人間だから。
[遺言の一つ、叶えてもらえるだろうと]
[結社の人間を相手にするのではなく]
[宿屋の主人としての彼に願いを告げた]
……ああ、ちゃんと弔うさ。
[ヘルムートの最期の頼み。結社の人間としてでは無く、その望みを承諾する]
…おめぇも、弔う場所に望みがあるなら言え。
死する者に人間も人狼も、関係無ぇ。
[自分は良いからと言う言葉に眉根を寄せながら、今際の時にある相手へと訊ねる。その問いに答えるまで灯火が持つかは分からねど]
ハ。
俺にそんなモン求める時点で間違ってんだよ。
ヘルムート。
[彼女が求めていたのと違う名前で呼ぶ。
けれど男がきちんと名を呼ぶのは、多分これが最初で ]
ほぉ。
……そいつぁ、楽しみだねぇ。
[そう告げた刹那、浮かべる笑みの種は僅かに変化した]
[優しい、という言葉。
好きだけど嫌い、という言葉に、ほんの少しだけ、表情がへにゃ、となる]
……ウチは。
ルーミィさん、嫌いじゃ、ない、よ。
[ぽつり、紡いだ言葉には嘘はない。
続けられた、激励。
最初にそれを向けられた時は、揺らいでいたから、素直に頷けなかった、けれど]
……うん。
[今は。
小さいけれど、はっきりと。
頷く事ができた]
――……本当に、そうなら良いのに。
[覗き込まれても、焦げ茶の瞳は焦点が合わず]
[永遠という言葉の甘美さに、ゆっくりと瞼が閉じられた]
貴方の言う事は、信じてしまいそう。
酷い、ひと。
でも……信じる侭に。終われるのなら……。
――……悪くは…無い、わ。
[其れが、作家である男から零れた最後の言葉]
……俺は。
お前にとって、煩わしい男だっただろうが。
最期に側にいるのが、俺で、すまないな。
[銀の短剣を手にしたまま、横たわる獣の瞳が閉じていく様を見据えたままそう言って。]
…ライの側に、いてくれたこと。
感謝、している。
あいつは、きっと…ずっと、独りだったんだ。
[クロエのように、言葉にすることは出来なかった。
ただ、首を振って、それから頷いて]
ありがとう。
[それだけを口にして、閉じられてゆく瞼を見つめた]
[ゲルダを殺したことは、許せないが。
幼馴染の孤独は、きっと彼が、彼女が、少なからず癒してくれたのだろうと。
そう思いながら、物言わぬ骸となった白金の毛を緩く撫でて。
ゆるりと立ち上がると、フーゴーに銀剣を差し出した。]
…これは、返す。
もう、俺には、必要ないものだ。
[囁く『声』がきこえたなら一度、目を閉じて。
静かに開き、そこに揺らめくいろを見届ける。
それが、自分のやるべき事だから]
……おやすみなさい、かな。
[零れ落ちるのは、小さな呟き。
ぶち猫が、にぃあ、と鳴く。
銀の鈴が、ちりん、と小さく音を立てた]
[問いの答えは無いまま、ヘルムートの瞳は閉じられる。小さく、短く息を吐いた。後にヘルムートの別荘に居る者に伝え、どうするかを決めようと考える。
そんな中でヴィリーが傍に来て、短剣を差し出してきた]
…おぅ。
……おめぇに押しつける形になって悪かったな。
……ヴィリー、そいつを運べるか。
皆を、弔わにゃならん。
[短剣を受け取りながら訊ねる。皆の中にはヘルムートも含めていて。一度宿屋へ戻ろうと提案した]
[返される声は聞こえていて]
[力無く、白金の耳が揺れていた]
[けれど其の頃には既に、声を出せるだけの力は無く]
[何時しか、微かな動きも消えていた*]
[獣の目が閉じられるのを見、言葉が途切れて暫く後。
頭に向けられていた銃口は、再度の火を噴くことなく下ろされた]
……ったく。
[零れる悪態は何に対してだったか。
銃を懐にしまう代わり、いつものように煙草を出す。
昔仲間を弔っていた時と同じように、火を点け、紫煙を天へと上らせた]
[一つ息を吐いて]
まぁ。
結構面白ぇ奴だったからさ。
[紡ぐ言葉は小さく、相変わらず尊大で]
また逢えるってんなら。
――そん時は、ダチぐらいになら、なってやってもいいぜ?
[その言葉は獣の耳でも、捉えるには遅すぎただろう]
[1] [2] [3] [4] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新