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給仕人 ユーリ を 3人が心の中で指差しました。
道具屋 エト を 1人が心の中で指差しました。
絵描き ミケル を 1人が心の中で指差しました。
給仕人 ユーリ は人々の意思により処断されたのです……。
次の日の朝、化粧師 ノクロ が無残な姿で発見されました。
今、ここにいるのは、道具屋 エト、薬師 コレット、絵描き ミケル の全部で 3 人かしら。
― コレット宅 ―
[コレットがちゃんと答えてくれていたので、ほっとする。
だから、その次、つづく言葉を、すぐに理解することは出来なかった。
青の花。
にせもの。
思わずコレットを見る。
何を言っているのか、わからなくて。
いつもの様子と違う気がして。]
[さわ、
さわり。
雪を溶かし、春を告げる陽光のように穏やかに、
そして、
地を砕き命を飲み込む雪崩のように容赦なく]
[死神憑きは、ミケルの目の前で、ノクロの命を、
刈った]
[ゆらりと立ち上がるけれども、
その動きは常人と変わらず。
いや、常人よりゆっくりで、
ぎこちなく、
目も耳も、不確かで頼りなく。
でも]
― 洞窟奥地 ―
[不意に、灼けるような痛みが首筋に走る。
しるしが現れた時に似た、しかしそれよりも鮮烈な――]
あ、――……
[気が付くと、視界一面にヒカリゴケの放つ淡い光が広がっていた。
落ちている、と気付き手を伸ばすが、もう何処にも届きはしない。
淡いはずの光が、白く、しろく滲んでいき]
…………。
[すべてが途切れ、それが再び繋がった時には、青年は地面に横たわっていた。
痛みはない。
自身の体の重ささえも]
― 道具屋 ―
サリィやクレイグに字、習っとけば良かったかな。
まあ、読み取れはするだろ。
[本になるほどの量はない、メモを書き終えると
字を書くのになれた二人を思い出してぽつと呟いた。]
やっぱ、さ。
クレイグに頼みたかったよな。
[次の代に託す事になるだろう案件。
『筆記者』であり『本屋』であった彼に頼みそびれたものを
じ、と見詰めて、困ったようにへなりと眉尻を下げる。]
[人が、いなくなる。消えていなくなる。
ノクロが、今、手を差し伸べていた彼が、いない。
荷物が床に落ちる。
コレットの言葉を聞く。
まだ。
続くのか。
こうやって、いきなり人が消えてしまうのが。
視界が歪んで、それでも、泣いてなんかないと、ミケルは、ぎゅっと唇を強くかみ締めた。]
いやだ!
[いつもより、ずっと、声は早かった。
立ち上がるコレットを見る目は、いつもよりも、強い意思を示す。]
どうして、
みんな、いきなり、消えないでほしかったのに
おばあちゃんが、どうして、そんなこと、のぞむの?
おばあちゃんは、ぼくも、みんなも、嫌いなの?
[言いながら、自分も、荷物を落としたままに立ち上がる]
― コレット宅 ―
な、…んだよ、心配させんじゃねーよ…。
[はー、と深く深く安堵の息を吐いた]
[其れが、詰まる]
[彼女に右腕の印は見せて居ない。
包帯に覆われた色が見える筈もない]
[別人のような瞳に一瞬気圧されて]
コレ
[ぷつりと、全てが途絶える。
真っ暗になって、そうして]
[訳がわからない。
眼前で繰り広げられる光景が]
[今、何が起きている?]
[目の前の、けれどもう届かないと何故かはっきりとわかる場所を]
[ただ、呆然と――**]
僕は、おばあちゃんも、好きだよ。
死神なんてだいきらい。
花なんて、大嫌い。
みんなが、いきなりいなくなっちゃわなきゃだめな花なんて、大嫌い。
みんなかなしい。
だから、ぜったい、いやだから!
[言い切って、じっと、コレットを見る。
止めて、止まってくれないかな、なんて、願いもあった。]
まあ、ミケルちゃん。
どうしてそんな悲しいことを言うの?
[ゆったりと、静かに、
微笑んだ]
わたくしはミケルちゃんを嫌ったりしていないわ。
皆の事も同じよ。
わたくしは、ただ、
[涙もそろそろ枯れるかという頃、ふと、身体がぴくりと動いた。
撫でてくれる手を邪魔する程の動きではなかったが、ゆっくりと顔を上げて、ここでない遠くを見て]
…… まだ?
[そうして、泣き顔を更に歪めた**]
……そうね。
でも、もう少しだけ時間をあげる。
さあ、ミケルちゃん、
クッキーを焼いてあげましょう。
お腹一杯になったら、きっとミケルちゃんも、
幸せに死んでいけるわ。
[食べる(生きる)ことと、
死ぬことを、
同列に言って。
今、ここでノクロが死んだことなどなかったように、
ちっちゃな血吸い虫を潰しただけとでもいうように、
なんでもない様子で]
[ちょっとだけ、泣きそうに眉が下がった。
それから首を振って、幾度か口を開いて、閉じて。]
……その方が、悲しいよ、おばあちゃん。
[クッキーを作ろう。そういう彼女に、ミケルは首を横に振る。
作ってもっていくといった相手がもういないのは、知らない。
作り方を知ったところで、自分に誰かに教えられる力があるわけじゃない。
だから、首を横に振った。]
死ぬ事に、幸せなんて、ないよ。
どこにも、ないよ。
僕は、
[生きているから]
サリィちゃんの、もっていって、あげなくちゃ。
……
おばあちゃんのクッキー、しぬためなら、僕は、要らない。
…………。
残ってて、聞こえてて。
でも、こっちからのは届かない、って。
[小さく呟き、右手首の花を軽く、撫ぜる。
紅く褪せた花はやはり、色を失ってはいないであろう対の花に、響きを届けてはくれぬよう]
なんていうか……理不尽、だよ、なぁ。
[口をつくのは、そんな、ぼやくような声]
ごめんサリィ、テレーズ探すの頼めるかな。
[”また”の意味するところを確認しに行こうと、サリィにそう頼んで。
都市のあちこちを見て回ろうと、行き先を念じてその場から姿を消す]
先代と同じである必要は無かったんだよなぁ。
僕は、僕なんだし。
――…いや、
[言い直そうとして、口を開くが
慣れぬ言葉を音にするのは難しく
結局、それを口にせぬまま息を吐く。]
繋ぐ事も大事だけど
繋ぐだけでなく――…
欲張り、かなぁ。
[首を傾いでみせるが無論返る声は聞こえない。]
……死ぬことに幸せなんてない?
ミケルちゃん、
考えても御覧なさい。
永遠に生きられるヒトはいないわ。
ううん、
ヒトだけじゃなくて、トカゲも、虫も、花も皆いつか死ぬわ。
死が不幸だとしたら、わたくしたちは、
「必ず不幸になる為に生れてくる」
ということになるわ。
……でもそうね。
「不幸な死に方」があることはわたくしも認めるわ。
だからね、
「誰かの役に立つ死に方」をするのは幸せなことなの。
[ゆったり、ゆったりとエプロンを身につける。
竈の火は赤く燃えている。
ぼうぼうと赤く燃えている]
死神が呼んでいるわ。
花が求めているわ。
わたくしたちの命を。
……間に合いませんでしたか。
[地面に横たわったまま、零れたのはそんな呟き。
周囲に誰もいないから、自分の身に何が起こったか確かめようはないが、想像はつく。
重さも熱も消えてしまったが、意識だけはあるらしい]
…………。
[遥か高くに、手を伸ばしたあの香草が見える。
今ならきっと、手は届くだろう。
決して触れられはしないだろうけれど**]
死ぬのは絶対でも、僕は、まだ、死にたくない。
だから、死ぬのは、不幸だ。
花なんかのために、死ぬのなんて、ぜったいいやだ。
[花なんかと、はっきり言い切る。
右足首がちりちりうずいた。]
…花のために死ぬのが、幸せなら、
おばあちゃんが死ねばいいじゃないか!
[確認した居場所が多すぎて、辿り着く先はアトランダムになってしまい。
異変の分かる場所に辿り着いたのは20回の移動を繰り返した後だった]
……ここ、香草の……?
[普段は滅多に来ることのない場所。
それなのに来れたのは、場所ではなく人を思い浮かべたせいか]
……─── ユーリ!
[目に入ったのは、地面に横たわるユーリの姿>>+16。
地を蹴ることもせずに近付き、その傍に膝を折って顔を覗きこんだ。
反応が無いならそれでも良い、ユーリは生きていることになる。
けれど反応があるなら。
それを確かめるため、傍で固唾を呑んでその様子を見詰める**]
[そんな風に言いながらも、コレットの方を見ていられたのは一瞬で。
すぐに、荷物を落としたまま、踵を返して外に走っていこうとする。
ぎゅうっと手を強く握り締めて、色んな感情を握りつぶそうとして。]
― 白花亭 ―
親父さん、いる?
[声を掛けて中に入る。
いつもは出迎えてくれる笑顔の眩しい看板娘は居ない。
それを寂しく思い、表情が一瞬歪む。
料理屋の主が顔を出せば、少しだけぎこちない笑みを浮かべ]
差し入れ、ごちそーさん。
おいしかったよ。
[普段ならサリィが回収するはずのバスケットを掲げてみせた。]
[ミケルを追おうともせずに、その場に膝をつき、
萎びた手で皺だらけの顔を覆って]
ぁ、あぁ、ぁ゛……、、
[これだけ生きてても、
命はあんまりにも短すぎる。
残された時間は、少なすぎる]
[後悔はあまりに大きすぎる]
[言いたくなかった、だから、言葉を沢山選んでいたのに
耐えられなかったから。
言ってしまった。
コレットの様子に足を止めかけたけれど、やっぱり逃げ出した。
言葉なんて、口から、出しちゃいけなかった。
外に出て、ぐっと目元を拭って、ちょっと走った後は、歩いていく。
行くあては、特になく、
都市の、ほかの人を見て、なんか、少しだけ、ほっとして
とてもそれが、悪い事のように思えて、道端に座り込んだ。
膝をかかえて、しばらく、蹲っている**]
― 白花亭 ―
[バスケットを店主に手渡す。
サリィとは行き違いだったか、とそんな声が聞こえて]
――…ん、会いはしたんだけど、さ。
[言い澱むような間があいた。
考えて、それから、左の袖を捲る。
待宵草のさく細身の左肩を示してから]
周期──『『死神』の降る刻』って言えば分かるかな。
サリィが、さ、………。
[親に子の訃報を伝えるのは忍びなく口ごもる。
肝心な言葉が出てこない。
唇を噛んで、俯いた。
尋常でない様子に何か察したか店主が項垂れる。
深い深い、吐息が漏れる音が聞こえた。**]
― 白花亭 ―
[料理屋の店主を前に気の利いた言葉は浮かばない。
大事な者を失ったかなしみは知れるから
ただそっと傍にあるのが精一杯だった。
当たり前のようにあった日常が
どれほどしあわせなものであったか
失われてから気付かされる。
日々の感謝。
伝えきれなかった想い。
記憶の中にいきつづける存在に心寄せて過ごす刻。]
― 都市の通り ―
[普段は店と仕入先、テレ―ズ宅への往復くらい。
夜に料理屋に飲みに行きもするがそれも毎日ではない。
どちらかといえば行動範囲の狭い道具屋は
メリルの事も、ノクロの事も、ユーリの身に起きた事さえ気付けない。]
……あ?
[いささか間の抜けた声が漏れる。
道端に蹲るミケルの姿が行く手に見えたから。
普段通りの歩みで彼の方に向かい、その手前で足を止めた。
頭の位置同じくするように、しゃがんで]
ミケル。
何かあったか?
[年下の絵描きに柔い声を向けた。**]
……立てるか?
[投げかけたのは、こんな問いかけ。
何があった、と問うのは躊躇われ。
大丈夫か、とは問い難いから。
宥めるように肩を叩きつつ、強い衝撃を受けていると見えるノクロの気が鎮まるのを待った。**]
─ 洞窟奥地 ─
[覗き込んだ先から、自分を認識する言葉が発される>>+25]
……ユーリも……。
[膝を付いた状態から地面へと座り込み、眉尻を下げた]
あの、ね。
アタシも、刈られ、ちゃって。
それで、ミレイユが、「また」って言ってたから、誰かがまた刈られたんだろうと思って、あちこち探してて。
あ、なんかね、行きたいところ思い浮かべると直ぐに移動出来るんだ。
ちょっと便利だよね。
誰が刈られちゃったのか気になって、ユーリの顔が頭に浮かんだら……ここに。
[あまり上手く整理出来ないままにユーリへと説明して、眉尻を下げたまま、少し悲しげな笑みを浮かべた**]
それにしても、よく見付けられましたね、こんな所。
[思い浮かべるだけでいいと言っても、こんな奥地にいるとまでなかなか考え付かないだろうから、と]
……もう少し、だったんですけれどね。
[遥か頭上にある香草の緑を見上げて苦笑した]
― 都市の通り ―
[上がったミケルの眸は泣きそうな色に見えた。
けれど涙はみせぬ辺り男の子なんだなと思う。
呼び名に少しばかり曖昧な笑みが浮かび]
そ、か。
『死神』に憑かれたのは、コレット――…
[命を刈る死神の所在を知れどその事実を受け止めるのが精一杯。
けれど、ノクロの名を聞けば、ピク、と表情が強張る。]
―― ノクロが刈られた ?
なんで、こうなっちまうかなぁ。
[深い息が落ちる。
伏目がちの双眸にはかなしみの色が灯る。]
――。
[ミケルから伝えられた言葉に柳眉が寄る。
顔は僅か伏せたまま、また吐息が漏れた。
震える声からはミケルの受けたものが伝うよう。
力篭る絵描きの手に軽く重なる道具屋の手。]
僕はミケルにも死んで欲しくない。
生きて、これからも、この手で、色んなものを描いて欲しい。
[ミケルに聞こえる程度の声量で確かな思いを伝える。]
─ コレット宅 ─
…………っ。
[不意に、視線がどこかへ移ろう。
ほんの僅か、眉が下がり、息吐く仕種がひとつ、落ちた]
…アタシも、ユーリの約束果たせず終いだねぇ。
乾燥までは終わってたのにな。
[釉薬を塗って、焼けば試作品は出来上がりのはずだった。
けれどその前に刈られてしまって、それは乾燥小屋に入れたまま]
[こっそり連絡]
[更新タイミングは地上の皆様にお任せしますが、普通にエピ入りしても72hありますので、無理に延長を考えなくとも大丈夫かと……!]
[ぽつりと呟く。
しかし、俯いたのは一瞬のこと。
影を振り払うように顔を上げ、微笑みを浮かべて]
どちらにしろ、僕のこと探してくれてありがとうございます。
一人だったら、きっと途方に暮れてましたから。
……そろそろ、戻りますか?
[言いながら立ち上がり、首を傾いで見せた]
[家の中、彼女はそこにいた。
いつものように、けれど不安げなその顔は自分に何が起きたかは理解している様で]
レーちゃん。
[まだ刻が動いた事に気付かず、籠を回収に訪れた時と同じように名を呼ぶ。
違うのは、あの時には見付けられなかった姿が今ははっきりと見えていることで。
静かに歩み寄り、その傍ら、膝をついて]
手、触ってもいい?
[断ってから、彼女の手に触れ、握る。
目の見えぬ彼女に、自分も刈られたことを教える何よりの証拠となって]
さっき、家に入った時。
すぐに気付けなくて、ごめんね。
[きっと無自覚に彼女を傷つけただろう自分の行動を、謝った後]
レーちゃん。
エっくんの所、行きましょう?
私がレーちゃんの目になって、手を引いていく、から。
[握ったままの手を、そっと繋ぎ直し。
盲目の彼女を立たせると、家から連れ出した]
ミーちゃん。
私、レーちゃんをエっくんの所に連れていくわ。
ミーちゃんも、一緒に行かない?
[一緒にいたか、外で待っていたか。
テレーズの家を出たところでミレイユに声をかける。
同行するかしないかは彼女の判断に任せ、自分はテレーズの手を引いたままエトを探し歩いて。
彼を見つけたのは、自分が何より大切に思っていた場所]
…おとうさん。
[会話と、エトの手にあるそれ>>27で自分の代わりにバスケットを返しに来てくれたのだと解る。
父の笑顔が、エトの言葉>>30で翳っていくのが見えて。
あぁ、と。無意識、小さく嘆きが零れた]
………ごめん、なさい。
[父より先に逝ってしまったこと。
エトに、辛い事を伝えさせる役を押し付けてしまったこと。
目の前に見える光景>>31に、ただ謝る事しか出来なくて。
また来る>>32というその声に、かろうじて動いたのはテレーズを彼の傍に居させたいという思いだけで。
ぎこちない足取り、エトを追いかけたその先。]
ミっくん?
[それは丁度、蹲るミケルにエトが声をかけている所で。
ミケルが彼に告げた言葉>>34>>35に、目を見開いた]
…コトおばあちゃん、が?
[ミレイユが同行していたなら、彼女に本当なのかと問うような視線を送って。
でなければ、ただ信じられないというようにエトとミケルの姿を見つめたまま、呆然と呟いた後]
…ノっくんまで、刈られちゃったって…言った、わよね。
[それは即ち、彼が新しく作る色はもう見られないこと。
ミレイユやクレイグ、メリルがこれから生み出すはずだったものを見られない事だって、悲しいし悔しいことだったけれど。
ノクロの生み出す色を楽しみにしていたから、ただ、辛く]
― 洞窟奥地 ―
……後で、見せて頂いてもいいですか、それ。
[乾燥小屋に入れたまま、と聞いて>>+41、眉尻を下げた顔で尋ねる]
どんな風だったか、見てみたいです。
作りかけだとしても、メリルさんの作品ですから。
[視線を落としてしまった彼女を見て、少し声に力を籠めた。
それから、立ち上がった彼女に行き先を問われ>>+42]
さっき、誰かが刈られたことを、ミレイユに聞いたって言ってましたよね。
[少し前のこと>>+26を思い出しながら言って]
あの子の所に行こうと思います。
[自分に何が出来るかはわからなかったけれど、ただ、心配で。
彼女の事を思いながら、一歩踏み出す]
─ 洞窟奥地 ─
え?
[見せて欲しいと言われて>>+44、ほんの少し目を円くする。
作りかけでも良いからと重ねられ、表情を緩めて頷いた]
…ん、良いよ。
後で乾燥小屋に行こう。
[色が乗らないとイメージし難いものかも知れないけれど、望まれて断る理由もなく。
見たいと言ってくれたことが嬉しくもあった]
んと、「また」ってしか言ってなかったんだけど、急に反応したように見えたから、何か感じるのかな、って。
分かった、それじゃミレイユのところに行こう。
[ユーリの希望を受けて、自分もミレイユを思い浮かべながら一歩踏み出した]
─ コレット宅 ─
[縋る事を許された手は小さく震える。
堪えて、耐えて、少しばかり強すぎる力で]
[やがて、ゆるゆると吐き出した呼気と共に右手は解けて落ちる]
[少しの間を明けて上がる顔には、
苦味を伴うけれども笑みだけを浮かべて]
…ん、そーだな。
みんな、何処らへんに居るんだ?
[よいせ、と反動を付けて立ち上がる。
こと、と首を傾いで]
― 都市の通り ―
[こくんと何度も首を縦に振る。
ノクロも、目の前で消えたのだ。
立て続けに何人も消える所を見てしまったから、
ミケルはその衝撃を、殺すので、精一杯。]
…、うん。
僕も生きていたいし
[エトの手が重なる。下へと動いた視線は、また、エトの顔を見る。]
……死んでほしくない。
死なないで、
誰にも、消えないでほしかった。
[最後の言葉は、掠れるように小さい。]
─ コレット宅 ─
[伝わる震えと、込められる力の強さに、表情に苦いものが浮かぶ。>>+47
とはいえ、ここで何か言っても気休めにもならない、と。
そんな思いが、言葉紡ぐを遮って。
ゆるい呼気と共に解ける手。上げられた顔に向けるのは、こちらも苦笑めいた表情で]
んー、俺が動く前には、テレーズんとこに集まってたけど、動いてるかもな。
とりあえず、リル姉と合流してみる心算で移動するか。
……誰かの所に行きたい、とか、ここに行きたい、とか思いながら移動すると、そこにいけるみたいだから。
[どこら辺に、という問いに返す答えは大雑把なもの]
─ コレット宅 ─
[ふぅん、と呟いて、口元に手を遣る]
なんだか便利なんだなあ。
…ま、意識体みたいなもんだからできるんだろーな。
[離れる指先は落ちて自身の脇腹に軽く乗せ。
瞼を伏せて歪めた口元は皮肉の色]
そんじゃ、行くか。
メリルはどの辺にいるんだろーなぁ。
[軽く、常のように呟いて。
一度だけ視線はコレットの方へと向かう]
[すぐにまた前へと向き直り、歩みを踏み出した]
[頷く気配がしてエトは静かに目を細める。
幸か不幸か、別れには一度も立ち会えず
ミケルほどの衝撃はないが穴のあいたような感覚だけはあり]
……ん。
[絵描きの彼は生きていたいと言ってくれる。
道具はは短い一音を紡ぐのみで自分もとは言わなかった。]
一緒に過ごしてきたヒトたちが、さ。
いきなり消えて、いなくなるのはツラいな。
僕も、――…誰にも、消えてほしくなかったよ。
[小さな響きに同じを重ねる。
重ねた手の先にある絵描きの手が緩むまで
なだめるように、ゆっくりとしたリズムで優しく叩き]
絵を描くための大事な手が傷つくぞ。
[小首を傾げ、此方に向いた双眸にそう紡いだ。]
[頷くだけのエトを、じっと見つめる。
それから、もう一度、同じ言葉を、繰り返した。]
生きていて、ほしい。
[ゆるゆると、手の力が解けていく。
気持ちは同じだ、と。
ミケルは、うん、とまた頷いて、エトの言葉に同調する。
大事な手なんていわれたら、自分の手、エトの手に視線を落として、それから、少し、笑った。ぎこちなくても、やっと。]
うん、大事…だけど。
でも、だいじょうぶ。
傷ついても、痛いだけ。
─ 自宅 ─
[……ふと気づいたら、しぼり袋を手にしていた。
そのままの流れで、鉄板にしぼり出しながら]
(わたくしは何をしているのかしら?)
[と、自問する。
いや、分かっている。クッキー作りだ。
泣いて泣いて、泣き疲れた時に、目の前にキノコ粉の袋があったのだ]
[よいしょ、と声を出しながら拾って立ち上がり、
いつもどおりに台所に立ったら、慣れた動作が出た。
大椀を取り出しキノコ粉を開けたら、もう手が止まらなかった。
途切れることを恐れるように、卵を割り、甘草粉を混ぜ、杓子でこねあわせていた]
[綺麗と思ったことが無かった>>+52と聞いて、緩く瞳を瞬かせた]
そうなの?
アタシそれ見て新しいカップの形考えたんだよ。
それにこれも、平皿に描いてみたんだ。
色合いが上手く行ってね、良い出来になったと思ってんの。
[この花が持つ意味に関係なく、良いと思ったもはデザインに取り入れる。
意図せず遺した物を思い出しながら、ユーリに笑いかけた]
ふふ、ありがと。
………思い出したな、その顔。
[数秒固まるのにはそう言って意地悪げに笑う。
移動は問題なく進み、普通に歩くよりも早い速度で移動出来た。
本当に便利だと思うのは刹那。
建物が見えてくれば、そこがどこなのかを確認するように注視する]
[「日常」を惜しむように。
あれほど望んでいた「刻」を、自ら否定するように]
……。
[手袋をはめて、鉄板を竈に押し込む。
何カ月も、何十回もやってきた動作だ。どれくらいの時間で火が通り、香ばしい匂いがして、おいしそうな焼き目がつくかも感覚が覚えている]
[繰り返される言葉に、困ったような顔をする。
まっすぐなミケルの視線に、道具屋の眸が揺れた。]
まだ周期の中にいて、終わらないなら……
僕は自分よりもキミが生きる事を望む、かな。
[刈られる事を望んでいるわけではなく
ただ、誰かが選ばれるのならその方が良いと思う。
そんな心のうちを吐露するのは弱っている証拠かもしれない。
重ねた手の先、ゆるむ気配が伝えば安堵したように表情も緩んだ。]
大丈夫ならいい。
――…でも、ミケルが痛いのもヤだけどなぁ。
[少しだけ軽い口調でそういって、触れていた手は離れてゆく。]
[高い絶壁の上の方に生える草で、勝手に落ちるとは思えない。おそらく誰かが必要として抜いた物だろうが、その者が見つからない。
だから、香草なのか薬草なのか毒草なのか分からないと言う]
まあ、わたくし、薬師はもう引退しましたのよ。
[正体が分からなければそれでいい、処分してくれと、大人は草を残して去って行った]
……おかしいですわね。
もう全てが終わりですのに、こうして「明日」を思うヒトがいる。
誰かがいなくなっても、
わたくしがいなくなっても、
この都市は続いていく……。
[竈の火を落とした。
クッキーの甘い香りは、家いっぱいに充満し、通りまで漂いはじめている。
きっとその内、お腹をすかせた子供が、「コレットおばあちゃん」におねだりに来るだろう]
[揺り椅子に座り、エプロンの膝に草を並べた。
葉脈の数は読めなかった。そこは諦める。
指先で潰して揉み、香りを嗅ぐ。
舌先に軽く乗せて、味を確認し、すぐに吐き出す。
ひとつひとつ、可能性を消していけば、どこかの本でちらりと見た、珍しい香草の名が浮かんだ]
― テレーズ宅前 ―
……良かったです。
[左の首筋に手を当て、口元を綻ばす。
望まぬ存在と思っていたそれが、何かを遺す糧になったのなら、と。
しかしそんな表情も、図星を指され消え失せる。
早足になって歩いていると、揶揄うような声が追いかけてきて。>>+59
錯覚なのだろうが、頬が熱を持った気がした]
[足を止めたのは、それからしばらくしてからのこと]
ここ……テレーズさんの家ですね。
[周囲を見たが、ミレイユの姿はないようだ]
行き違いでしょうか?
[もう一度移動しようかと、軽く首を傾げ考える。
誰かの姿が見えたなら、そのまま足を止めるだろう]
[自分よりなんていわれて、また首を横にふった。
嫌だ、と。
生きていてほしいのだと。]
……気をつける。
[手が離れてゆくのを、名残惜しいような、そんな感情で見送って。
それから、手を開いた。
少し血の気が巡ったばかりで、ほんのりとピンクの色をしている。]
痛いのは、……言葉の方が、痛いよ。
[自分が言ってしまった言葉を思い出して、小さく言った。]
[これは薬草にはならない。
でも、丁寧に乾燥させ発酵させれば、茶にはなるかもしれない]
ユーリちゃんが生きていたら、興味を持ったかもしれないわ、ね。
[その人がもういないことを、ヨリシロは知っていた。
香草茶を作る技術は誰が受け継いだのだろうか。
そちらはしかし、ヨリシロでも知らなかった]
[腰をトントンと叩いてから立ち上がり、机の上に草を並べる。痛まないよう、紙で包んだ]
[問いに返された肯定の意>>+61
足を止めずに仰げば、天を覆う岩肌も目まぐるしく流れて往く]
…そ、か。
思ってた以上に刈られてんのなぁ。
テレーズにクレイグ、サリィ、ミレイユ。
それにメリルで…俺も入れりゃあ6人か。
[もう一人を今は知らない男が、ふ、と零す苦笑い]
…そんなに価値のあるもんなのかね、天上青ってのは。
[呟くのとそれほど間を置かず、景色は加速を止めた]
……酔った、かも、しんね。
[歩みと全く異なる速度で巡るのに耐え切れず、
ぐったりとその場にしゃがみ込む。
其処に目的の人物がいるかどうかを確認する余地はなかった]
もう、充分なのに。
[頭に手を乗せられて。
表情は前髪の陰になる]
たくさんいなくなって、たくさんの人が悲しんで。
そうまでして、『花』なんか、見なくてもいいのに。
[苦しげに、言葉を吐き出した]
[そうして、ごく簡単な「準備」をした。
大した物は必要ない。それに持ち物ももう多くはない。
だからそれは、エプロンのポケットいっぱいだけで済んだ]
……さよなら。
[長く使ってきた揺り椅子に、
使い込まれた竈に、
よく手入れされた小さな家に、
……告げる]
[そうして、家を出る]
[後に残るのは、
竈の中でゆっくりと冷えつつあるたくさんのクッキーと、
机の上の香草だけ]
[……もう二度と、
ここへ帰ることはない]
[首を振るミケルの仕草から思いが伝わるようだった。
困ったような顔のまま、僅かな笑みつくり]
わかった、から。
[今できる一番の返事をして、小さく頷いた。
そろと腰をあげ掛けると見送る眼差しを感じる。
離れた手は、柔らかなミケルの髪を軽く一撫でして]
いいこだな。
[子供を褒める時のフレーズを口にした。]
言葉は――…、難しいからなぁ。
一度発したものは取り消せない。
だから、……痛いのを気にしてるなら、さ。
痛いのを和らげる方法を探せばいいんじゃないかな。
ああ、結構刈られた……な。
[短い時間に、いくつもの命が消えた。
それが『周期』とわかってはいるが]
……さあ、な。
俺には、わからん。
[天上青の記録。
そこに寄せられていた思いは様々で、過去の記録からそれを判ずるのは難しい。
そんな事を考えながら、一つ、息を吐いて]
……って、大丈夫かー?
[移動が終わった所で、酔った、としゃがみこむノクロの背をぽふぽふ、と擦ってやりつつ、周囲を見回し]
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