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[真直ぐなもの同士、親子、仲が良いのだろうと。
戦いのなかなのに意識が逸れるのは、自分の父親のことを――アーケンラーヴ家の当主のことを思うがゆえに。
だからこそ、カードの名が呼ばれたことに刹那気付くのが遅れた。
それは戦場においては、まるで致命的な]
Que soit éparpillé!
[舞う三つの銀の輪の威力を減殺しようと、紅の花を爆ぜさせる。
ゴッ、と辺りに熱風が吹き荒れるも、その隙間を縫うように飛ぶ一つに、右手の甲を切られ、握った鞭を取り落とす]
…、っ!
[最後の一つ。
弾く術も無く、身体の中心へ迫るそれには身を捩るしかなくて]
っあ……っ。
[右脇腹に刺さり、熱の走る感覚。
左手で抑えたのなら、温かさと、痛みが脳を刺す]
ひはっ。カードもう使うたぁ景気のいいハナシだねぇ
残り香だけでも収集しときますか。
[そう言ってカチカチ爪を鳴らしていたが]
……ん? 嬢ちゃん。どうかした?
心拍数がえらく上がってるし、発汗量も多くね
[そう言って、何気なく一歩リディアのほうへ歩み寄ろうとする。]
[ケープを持つ右手を口元にやり、小さく笑う。
ああ、こんなにちゃんと会話が成り立つなんて]
[崩れた『城壁』の跡に腰を下ろす。正直立っていられない]
…そうかな、俺は会いたいよ。
この間みたいに、なんでもない時間を、さ。
[そういうのだっていいじゃない。
相手はきっと嫌がるのだろうけど、そんな台詞を投げて]
[ひらり、手を振る]
そろそろ出た方がいいですよ。
あれだけの衝撃、このビルが耐えられるとは思わないから。
使わんと勝てん相手ば言うこっちゃろ。
おまはんも油断ばしてられんどー。
[ラスに返すのは軽い口調。カチカチと鳴る爪にじいい、と闇色が向く]
情報収集ばおまはんの仕事ね?
[訊ねながら、リディアへ歩み寄る様子も見やった]
その辺りが難しいところ、かねぇ。
負けないだけじゃ勝てないし。
[謎掛けのような言葉を吐いて]
ほんと、面倒な世界だよなぁ…いつ新しいもんに負けるかわからねぇし。
引退すんにはまだ早いだろ。
何より、今の仕事が楽しいって感じだけどなぁ?
金掛けてもどうにもならないことがあるしな。
……ん?
[ブラウンの言葉に、風を送っていたもう一つの気配を読む]
……終わった、のか?
それってどんな消去法ー。
[本気で不思議にも思ったが、むしろ相手の態度に巻き込まれて呆れ声になった。
エイキチに二本目をあげようかと思ったところで来客が来た]
……カード情報、見てないんですか?
それならそれでいいですけども。
[獣人であるというだけでも危険な相手だ。
踏み出されれば一歩どころか十歩程も後ろに跳躍する。
エイキチを足元に降ろしながら、更に逃げようと重心の低い体勢を取る]
……わ、と!
[銀の輪を迎え撃つ爆発と熱風。
強化された念により、より深く結ばれた意識は、輪を介してその衝撃を受ける。
それでもぎりぎり、熱風が静まるまでは滞空を維持し。
銀の輪がロザリーを捉えたのを見て取ると、ふわり、とその横に舞い降りた]
……ボクの、勝ち、かな。
おねーさん?
[こてり、と首を傾げて問いながら、右手を上へ。
分裂していた輪が集い、腕輪のように手首に重なった]
それで動くと、多分色々と危ないし。
カード、渡してくれると、嬉しいんだけど、なぁ。
[殺めるのは本意ではない、という。
言外の意は伝わるか]
……。
[マイルズの言葉に、大きく煙を吐いた。
それは、まるでため息のような]
……暇な奴だな。
[それは、以前と同じ言葉でありながら、以前と同じ意味ではない。
自分のようなつまらない人間に、会いたがるなんておかしな奴だと、言外に告げている。
それだけで、肯定も、否定もせずに、男は片足を引きずりながら、窓枠まで移動して]
……。
[ちらりと、もう一度マイルズを見つめてから、ワイヤーガンを隣のビルへ打ち込んで移動。
そのまま、調査したとおりの逃げ道を進む。このような手負い状態で襲撃されることを懸念しての行動だ]
負けない、が、勝つに直結すりゃあねぇ。
おじさんももう少しはやってけるんだろうが。
[おやおや、と小さく]
引退には未だ早いかい?
まぁ、楽しいかどうかは置いといて…
おじさんが出来そうな仕事って言うとコレぐらいしか無さそうだ、って言うのはあるねぇ。
だから、この仕事が出来なくなったら引退、と。
無理せずどっかで隠居生活を送るのも悪くはないさ。
[金もある事だし、と笑いつつ]
ああ。終わったみたいだねぇ…
カードを使った攻撃を受けたんなら、お嬢ちゃんの言うとおり無理はしない方が良いんだろうが。
[と、ゆっくりと公園に背を向ける]
エリカとロザリーば戦いおうとって、それば見とるんがブラウンとカルロスじゃき。
残りこん場所ば居らんのはスティーヴとマイルズじゃからのぅ。
[情報の出所は言わず知る情報を開示。向こうの情報は元々知っていたと取れば違和は無いだろうが、果たして]
[……と言ってもリディアはそれどころじゃなさそうだが。跳躍した先で小猿は降ろされ、その場で緊張感無く残りのチョコ菓子をカリカリカリ]
そう上手くいかない、か。
勝っても負けた気分のときもあるしな。
[何を思い出したか苦笑い]
余裕があるうちに引退、も悪くないかもなぁ。
もう十分溜め込んでそうだし。
[さらりと失礼なことを言って]
カードを使うほど追い込まれた、か?
無理しない方がいいってのには賛成だけどな。
[立ち去ろうとする姿に後を追うようなことはせずに]
[朽葉色が細められる。薄らとした笑みの形]
…お褒めに預かり、光栄?
[ゆるりとした動作で首を傾げて。
去っていくのをそのままの体勢で見送る]
[姿が消えれば溜息をひとつ]
……嗚呼、矢張り、
[がらりと天井の一片が崩れれば、後はそのまま]
俺が自由を願うなんて、無理な話だったんだ。
[崩れ落ちていく廃墟の中で、ひとつの影が霧散する]
[緋色の跡も、透明な雫の跡も、ビルの亡骸が*覆い隠して*]
ひはっ、まあね
ご忠告どおり、油断しないように気をつけるぜ
んー、仕事……ねぇ。まあ、隠しても仕方ないか
答えはイエス。うちのクライアントとその知り合いってのが知りたがりの娯楽好きらしくてねぇ
こうして、色々情報を収集してるってわけ
[そう言いながらもカチカチと爪を鳴らしていたが、]
………お、あっちも決着がついてみたいだねぇ
どうやら、鳥ちゃんが勝ったようだぜぇ、ひはっ
[そして、一歩踏み出したら十歩跳びずさったリディアに首を傾げていたが]
…………ひはっ。もしかして、俺あんたと会ったことあるのか?
となるといつのことだぁ? あの時? それともあの時?
[壊れた笑みを浮かべ、さらに一歩踏み寄る。]
目的を達成出来なきゃあ、勝ってもうれしくないのは確かだなぁ。
特に、ソレが原因で出来なかったりしたらぁねぇ…
[小さく囁くように言うと]
はっは、確かに、今から隠居生活してもある程度の生活水準は保てるがねぇ。
不意の出費もあるかも知れんから、もう少し溜めておきたいところだねぇ。
分からんねぇ。決めのだめ押しでカードを使ったのかも知れん。
声だけじゃあ判断しにくい。全く。
[そう、公園からどんどん遠ざかる様に歩を進め。
ある程度離れたところで、背中を向けたまま風刃に軽く手を挙げて挨拶。その場を後にする]
…んー。そうみたい、ですわね。
出来ればもう少し粘りたいんですけれど。
今、カードの代わりに、全部紅の花、使ってしまいましたし。
[困った表情の中、それでも笑みを見せる]
あぁ、やっぱり動くと危ない、ですか?
…その辺りの感覚も実はよくわからない、というか。
うーん、やっぱり実戦は難しいものですわね。
[そんなことを、呟きながら、ふら、と崩れた脚。
地面にへたり込んだ己に、紫紺が驚いたように瞬いた]
……あら、本当。
じゃあ、仕方ないですし、これを。
[未使用のままのカードを2枚、左手で差し出す]
なるほどのぅ。
知りたがりば雇い主持つんも大変じゃて。
[自分はプライベートで来ているためにかなり気楽に言う。決着がついたと聞いても驚く気配は見せず]
そんようじゃの。
経験の差でも出たじゃろか。
あ。
建物崩れおうた。
[見ていないはずの戦いの感想を漏らした直後、目の前の建物が音を立てて崩れ落ちた]
[懐からカードを取り出し、書き換えられたであろう情報を読み取り]
……こいつは…。
[『太陽』と『恋人』のカードが主を変えるのは判っている。
だが、他にも主を変えたカードがあることを知る。恐らくはもう一つの戦いの]
……「聖騎士」が、落ちた、か。
[それは自分が食料を分けた相手で。今目の前で決着がついたそれとカードを交互に見て]
まさか、魚食ったせいじゃねぇよなぁ…
[そういう問題じゃない]
……。
[逃走経路を辿り、周りに人がいなくなるのを確認すると、ようやく男はカードの効果を解いた]
……がっは!!
[体中に脂汗がにじみ出て、頭を抱えて座り込んだ。
長時間の使用は、身体だけではなく、精神まで蝕むとんでもなく危険なカードである。
それでいて、まともに使いこなせる事態はそうやってこない辺り、使いどころの難しいカードだ。
それどころか、先の戦いで体中が痛み、片足がまともに動かない]
……しばらくは、無理か。
[自身の体の状態をそう判断すると、簡単に外部に見つからないように隠蔽して、*休息を始めた*]
まぁ、確かに金はあって困るもんじゃねぇしなぁ。
[聞こえた声にそれだけ返して、向けられた挨拶に手を振り返す。見えてはいないだろうが]
悪い奴、じゃねぇんだよなぁ。
[聞こえていたら反論を受けそうな言葉を零して]
こっちも、カードが渡った、か。
[それを『運命の輪』で確認すると、カードを懐にしまって公園を後にする]
……全力攻撃だったんだ。どおりで、痛かったわけだぁ……。
[は、と零れるのはため息。理由を知らねば、その言葉は、全く意の通らぬものだが]
うん、危ない……って、あ。
[へたり込む様子に、飴色が見開かれる。
ともあれ、二枚のカードを受け取って]
そりゃまあ、簡単だったら、実戦じゃないよ。
んー……ちょっと、動かないでね。多分、今ならできるから。
[小さく呟き、紅を零す傷にそ、と手を触れる。
『エンプレス』の力で増幅されている今ならば、普段はほとんど使えない、もう一つの力──癒しの力も、使えるはずだから、と。
触れた所から微か、伝わる力は傷を多少なりとも癒すか]
……さて、と。
カードもらえたし、ボク、行くね。
[やがて、傷から手を放すと、にこり、と笑んで翼を広げる。
今は、とにかく休息したかったから、カードの動きは確かめる事無く。
興味を抱いていたもう一人が敗北したのを知るのは、次に目覚めた後の事**]
さて…
[ポケットから『ザ・スター』のカードを取り出し…]
成る程ねぇ。
確かに使えなくなってるみたいだぁな。
[他のカードとは違い、そこはかとなくあるオーラを感じ取れず首を捻る。
最も、『デス』の力で、情報は閲覧出来るのだが]
…スティーブが勝ったか。
[く、と小さく笑えば、休息のための寝床探し*]
ふーん。
雷鳴のおねーさんも戦ってたんだ。
[ここに来る前に見たのだろうかと、一抹の疑問を残しつつもとりあえずの結論をつけた。
というより疑問を返す余裕は完全に失われてしまっていた]
……さぁ。
私も覚えていませんからっ。
[予定外の遭遇で冷静さが取り戻せなかった。
白々しく言いながら屋上外へと跳躍する。
急な階段を駆け下りるように空中を走り降りてゆく。
砕かれた氷片が後ろを追いかけて見えたかもしれない]
もう、最悪っ!
[人の足では限界もあるが、追いかけてくるかもしれない相手を思えば変化する気にもなれない。
崩れ落ちたビルの横を走り抜けながら、完全に気配が離れるのを確認できるまで必死に*逃げた*]
―廃墟・崩壊したビルの跡―
[公園を出て足早に向かうのはもう一つの戦場。
その場に佇んでそれを眺める]
どういう闘いすりゃこうなるんだよ…。
[敗者は死なない、と判ってはいるけれど]
……面白い奴だったんだけどなぁ。
[そう言って、暫くその場に立ち続けて**]
[ラスとリディアのやり取りを眺めながら、男はカードから情報を得る。建物が崩れてしまい何がどうなったのかは分からないが、カードの移動は読み取れて]
……なるほどのぅ。
あれば下すんは外ん誘き出さんとあかんじゃろか。
ま、何とかなるじゃろ。
[呟きは妙に盛り上がる周囲に聞こえたかは分からない。その呟きの後にようやくしゃがんで居た体勢から立ち上がった]
むぉ、氷んねーちゃん逃げおうたか。
エイキチーぃ、こっちゃ来ぉー。
[離れた場所でチョコ菓子を食べ終えた小猿を呼び寄せ。小猿は再び定位置へと戻る]
攻撃に切るべき手札を防御に回すなんて、愚の極みですけれどね…。
…、……?
[ふ、と、紫紺の瞳に疑問が過ぎる。
けれどそれを問うことはせず、2枚のカードの行方を見つめ。
少しだけ、淋しそうに微笑んだ]
…まだまだ精進しないといけませんわね。
と、はい?
[言われたとおり、動かずにいれば、幾つかの傷口が熱を持つ。
苛むようなものではなく、人の掌のような温もり]
あ…。ありがとうございます。
[行く、というのなら、その背中を。翼を見送り、天を仰ぐ]
御武運を、お祈りいたします。
[柔らかな声で告げると、近くの樹木に背を凭れ。
疲れきった様相で、紫紺の瞳を*閉じた*]
おぉっとぉ?
[冷静さを失った様子で跳躍し、その場を後にするリディアを追うでもなく見送る。]
ひはっ……わっかりやすい反応してくれちゃって
まだまだ青いねぇ
[そう呟き、カチカチと爪を鳴らしていたが、ケイジに向き直ると]
ああもう、全くもってメンドくせぇこと極まりねぇですよ
ったく、今からまぁたあっち行って状況を纏めねぇと
じゃぁな、狐の兄さん
前はあんなこと言ったが、あんたとは愉しく遊べそうだわ
[そう言うと、リディアが駆けて行った方向とは別の方向へ、トーンと跳躍していった。]
[その移動の最中……]
……ひはっ、言えるわきゃねぇよなぁ
俺の『3年以前の記憶が非常に曖昧』なんてこたぁよぉ
[壊れた笑みは、どこか自虐的な色を*含んでいた*。]
見かけによらず苦労しとるんじゃな。
[また移動すると聞いて笑いを漏らした]
むぉ?
おまはんに好かれるよなことばワシしたかいのぅ。
まぁええ、愉しめるんい越したことはなか。
[ほんじゃのぅ、と跳び去るラスに声を向け。男もまた建物の縁へと足をかける]
さぁて、どぎゃん動くかいね。
他ば動きそうじゃったらもういっちょ様子見ばしてもよかが…。
管理人はんに言うた推測ばワシがやりかけちょおの。
まぁよかろ。
[その呟きとげらげらと笑う声を聞くものは既に周囲には居らず。笑む気配を纏ったまま、男もまた別の場所へと建物の上を飛び跳ねて*行った*]
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