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…これ、引き摺ってくのは流石に無理じゃよなァ。
誰か呼んでくるかねェ。
[なんだかあんまり恐く無い外見の妖精にほっとして、とりあえず突付いた。混浴に飛んでいった天使像も気になったが、このまま妖精を放置して人目に晒すのも憚られどうしようと悩む]
うゥむ、どうしたもんかの……おォ、坊!
ちょうど良かったさね。
[掛けられた声に振り向いて、こっちゃ来いと手招く]
―店―
[村の者なら盗ったりしないだろうと思ったのが拙かったか、と眉根を寄せる。
気に入らない作だったとは言え、あれば売るなり作り直すなりできるわけで。
その像が一騒動巻き起こしているとは露ほども思わず。
飾り瓶のデザインを描き散らす手を止め、スケッチブックは台の上に。
すっかり大人しい瓶詰妖精さんをポケットに、一言告げて店を後にした]
……はぁ。
運動不足、かしら。
[ある意味場違いな呟きをもらしつつ、遅れて温泉へと。
露天の方から聞こえた声に、そちらへ向けてとことこと歩いて行く]
ちょうど良かった、って。
うわ。
……ヨハナ婆がやったの?
[露天と外、申し訳程度の区切れ目になっている岩場を越えて、転がっている妖精を見て、真顔で訊ねた]
ふふん、そうじゃ なんてわけなかろうが。
[にんまり笑って冗談言ってから、真面目な顔つきに戻る]
わたしゃ湯気の向こうで見てただけじゃからよく判らんが、三つほどの影が大暴れして何か取り合ってて、それとは別のなんかにコイツだけ捕まった感じさね。
…そういや、混浴にすっ飛んでったんじゃっけな、アレ。
……ええと。
[とことこと、露天の岩場に近づいて、そーっと様子を伺い。
見知った者と、転がった何かの姿を認める]
ええと、捕まった……ですか?
[とりあえず、周囲を気にしながら声をかけ]
まあ。
多分、アーベルがやったんじゃないか。
[声にはまだ、憮然とした色が残った]
っぽいな、あの通り。
[顔を出したミリアムに、ひらひらと手を振って、妖精を指し示した。
そして昨日の様子は何処へやら、元気に歩み出す老婆を追う]
……本当、爺婆元気だよなぁ。大人しくしてろって。
何がふーんじゃ、まったく。
[冗談への生返事に悪態ついて、ミリィに手を振り。婆ほどの年にもなれば混浴への抵抗もなく、服のまま踏み込んだ。
湯船の周りを見て歩くがそれっぽいものは転がっていない]
やっぱり、湯船に落ちたかなァ。それっぽい音聞こえたしのぅ。
しっかしもう一度脱いで探すのも大変じゃなァ。
わたしゃ湯あたりしちまいそうじゃし、若いもんに任せるか。
[さくりと見限って露天へと戻る]
[他に、誰もいないらしい様子に、よいしょ、と岩を超えて妖精の側へ]
……ほんとに、捕まってるですねぇ。
[小さく呟き。
元気良く混浴方面へと向かうヨハナと追うエーリッヒを見送る]
ほんとにお元気というか、御婆様、まだ無理してはダメですよぉ。
[一応、声はかけた。
届くかどうかはわからないが]
[ヨハナとエーリッヒのやり取りの様子を眺めつつ、シェリー・コートをどうしたものか、と思案する。
そこに近づく気配に気づき、紅はそちらへと]
あ、ユーリ。
ユーリも、カラカラさんを追いかけて?
なんじゃ、ありゃ偽物なのかね?
妖精らが取りあっとったからてっきり…いや、しかしそう簡単にあれが見付かるわけも無いか…うゥむ。
[後半以降はどんどん小声になりながら、考え込んで唸る]
そもそも、あれは安全な……ぅむゥ……
[エーリッヒの言葉にきょとんとしつつも、とりあえずついてゆく。]
[温泉に行き、しっかり捕まった妖精を見て、]
もってないね。
んん、混浴?
[ヨハナが入っていくのをみた。]
[しばらくして追った。]
[カラカラ、という言葉に首を傾げた]
声が聞こえたから。
[言いつつ、視線は転がった妖精のほうに。
これが件のカラカラかと、指差してもう一度首を傾げた]
大方、きらきらしたのに目が向いただけなんじゃない。
[人騒がせな、と吐き出す溜息はやや重い。
唸る老婆の様子に、やはり視線を注いだ]
……ヨハナ婆、本当に何も知らない? 像について。
声って……ああ、妖精さんの、ですかぁ?
[一瞬、何のことかと思ったものの、ふとそちらに思い至り]
ええと、正確には、シェリー・コートというらしいですけど。
カラカラ音が鳴るからカラカラさん、と。
[短絡なネーミングにシェリー・コート、一応文句は言っているらしいです]
――もしも、もしもじゃよ。
偽物であの状態なんじゃとしたら…本物がわかりやすいところに出てきたらどうなるんじゃろう?
探したら、見付かったら、ものすごくまずいんじゃないじゃろか。
[ふと顔を上げて、じっと見てるアーベルと目が合う]
なァ、アーベル。難しい探し物をする時、お前さんならどうする?
コッソリと一人探すか、皆で手分けして探すか。
なら誰が探したがった。探す事に熱心じゃったのは――誰じゃ?
[低く呟いて、いつの間にか集まっていた面々を見回す]
え?
難しい捜し物するなら……んん、そうだね。
危険なものなら一人で探すよ。
でも、そうじゃないならみんなに頼む。
探すことに熱心だったって……
いる?
[不思議そうにした。]
それに、天使って危険じゃないんじゃない? そんな名前だし。
だったら、たぶん、考える事じゃないと思うな。
こっちと、あと叫び声が。
[一度頷いた後、付け加えた。
絶叫の元を辿って辿り着いたのがここ。
それから何かあったのかと問いを発し掛けて。
ヨハナの言葉に振り返った。
文句を言うシェリー・コートが動けないことを良いことに、瓶詰妖精さんは何やらからかっているようです]
……ええと。
一番、熱心に?
[ヨハナの言葉に、こてり、と首を傾げる。
何故か、嫌な予感がふと過ぎり、手のひらに呪文の式を一つ書き付けた。
老婆の指摘が正しければ、一番危険なのは、多分、そこだから]
[危険云々と考えてはみても、一番危険というか読めないのは、妖精王かも、とかも考えているのはさておき]
んん、危険というよりは。
『強すぎる』と考えるべきな気もしますねぇ、天使は。
ほら、強すぎる力って、こわいものですし?
[視線は良く見知ってきた坊に変化のあるなしを確かめるように見据えたまま、アーベルの答えに言葉を返す]
危険なものなら一人で探しちゃいけない気もするがねェ。
まァ、天使が危険かどうかは叶えて欲しい願い次第でもあるさね。
疑わずに済むのが一番では在るがねェ、なにせ妖精王まで出てくる非常事態さ。何かがおかしくなってるのは間違いない。
年寄りは疑い深い生き物なのさねェ…哀しい事にね。
そうかな。
危険なら、誰にも迷惑かけないように、一人で探すのが一番だよ。
んんん、かなえてほしい願い次第で危険かぁ。
そんな危険な願いなんて、持ってる人いるのかな?
[首を捻る。]
疑わずにすむっていうよりも、あんまりいっぱい疑うと、おばあちゃんもつかれちゃうよ。
エーリ君は、ぜんぜん熱心じゃないしまじめでもないから、変につかれるより、ちゃんと考えたほうが良いかもしれないなって思うよ。
さて、天使を奪われれば犯人がそれで逃げるかもしれない。
少なくとも今は逃げられはしない。妖精王が居るからね。
それでも、見つける必要があるかい?
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