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ええ、行きましょうか。ナサニエルさん。
あのメンバーの中に人狼が何人いるのかと考えるとぞっとしないけれど、ね。
[大仰に肩を竦めながら。]
私も、それは同じなのですよ。
生きて、貴方と共にいたい。
……けれど、罪深き私には。過ぎた願いなのでしょうね。
[意味深に笑ってから、ウェンディを連れて広間へ。]
[ 驚いた様子のネリーに瞬くも、青年の顔に浮かぶのは柔らかな微笑。会釈を返せば鼻腔を擽る香りに僅か目を細め、]
好い香りですね。何時も有難う御座います。
[然う声を掛けて、少女の横を通り過ぎれば灰皿の中身を塵袋の中に捨てる。]
-肖像画前-
[蝋燭の光ではなく、太陽の光のもとで見る肖像画は無惨に額を打ち抜かれている。
歪んだ笑顔を汚す、僅かな血痕。
人狼の血も、赤いのだ。
ヘンリエッタは眩しげに目を細めると、扉を開けて外に出た。]
―→広間―
[広間に戻り漸く一息と思った矢先
叫び声
振り返る、きらりと光る何か、飛び込んで]
……つっ……!…
[何かが当たる感触、それは体まで届かずに]
……トビー…何で、お前が……
[それでも衝撃はかなりの物で、息が詰まる]
[意味深に微笑むルーサーの姿に、少女は袖口で涙を拭って――]
そんなことは無いです。
生きて罪を償うことも…出来ましょう――
そのことは、神父様?あなたが一番知っておいででは有りませんか…?
[さらり――]
[金の髪を揺らせば]
[ふわり――]
[スカートの裾は翻り]
[少女はルーサーの手をしっかり握り締めて]
――ナサニエルの部屋→広間へ――
いいえ。お仕事ですから。
皆様のお口に合っていると良いのですけれど。
[相手に返すのはやはり微笑み。
食器は既に広間に並べてあるから、鍋をそのまま広間に持って行こうと扉の傍へ。
武器庫のことに触れぬのは若干気にかかっていたけれど、やはり自分では触れない]
―広間―
……っ?!
何をしているのです、トビー君。
彼に何の罪があると言うのですか?!
[遅れて広間に到着、目にしたものはその惨状。]
[ 扉へと向かう少女の表情は見えず、器を手に流し台に立つ青年の表情も叉見えない。蛇口を捻れば冷たい水が音を立てて流れ出る。]
……其れは誰かを護る為のものですか?
[ パシャリという水音に、其れとも、と続いた声は隠れるか。]
─…→広間─
[走って行った、影を、追いかける]
『やだやだやだ』
[頭の中を巡るのは、この言葉だけで]
『ダメだよ、キミは……そんな事したら……』
[なら、誰ならいいのかと聞かれたなら、返事に窮するだろうけど、でも。
そう思わずにはいられなくて]
[自身に怪我はない、だけど理由が分からない]
どうして俺を狙う?
俺がローズを守れなかった事への怒りなら、それは筋違いって物だろう?
それとも、俺が生きていると困るのか?
お前を、疑っているから…。
[目の前の姿に淡々と]
ナサニエルさんは人狼ではありません。間違いなく人間です。
落ち着きなさい、トビー君!
[つかつかとトビーに近付きナイフを取り上げ、平手打ちを。]
ー玄関前/外ー
[外の日射しを受けて、辺りを見れば、焼け落ちた橋が目に入る。
人狼はいなくなったのだから、どうにかして外と連絡をとればここを出ることはできるだろう。
このまま出られなければいいと、心の隅で思ったのはお下げの少女の所為。
少しだけ泣きそうになりながら、ヘンリエッタは玄関前の階段に視線を落とすと、注意深く降りようとした。
その視線が、階段に点々と残る赤いものを見つける。
それはどう見ても、血痕で。
追って今出た館を振り返れば、玄関の先が何か騒がしいことに気づいた。]
好きな奴を守れなかった、それは罪。か…?
守るといって守れなかった俺は……
お前に憎まれても仕方がないのかも知れないな。
[自嘲。
トビーを見つめたまま、手は無意識に隠したそれを探る
自分を守る為に]
[何が起きているのか、理解できない。
いや、したくないと言うべきか。
ただ。
わかるのは]
……やめてよ……こんなの、なんか、おかしいよ……。
[ただ、それだけで。
扉の側に、ずるりと座り込む]
[――ぴたり。
扉の直前に足は揃い止まるけれど、彼女は振り返りはしない]
……いいえ。
奴等を――人狼を排除するためのもの、です。
[…そう、足に隠したほうの“それ”は。
まだ残っているかもしれないと告げられた、奴等に向けるための。
地面に目を落とし、低く低く呟いて。
そのまま広間へと、足早に歩いて行く]
あんたが、生きているからだ!
『ローズマリーさんは、死んだのに』
あんなに傍にいたのに、なんで!?
『あんたが襲ったんじゃないのか!?』
あんたが、 しなせたんだ…っ!
『襲ったにしろ、守れなかったにしろ――あんたのせいだ』
-玄関/館内-
[ヘンリエッタは、恐る恐る室内に足を踏み入れた。
先ほどは光の関係で気づかなかったのだろう。血痕は点々と奥へ続いている。
コーネリアスの物ではない。
彼は、館を出ること無く死んだ。
では、誰が?]
[振り上げられた拳を避ける事無く
ただ、彼の様子を伺う
じっと、見つめて]
俺を憎んでも終わらないぞ…?
俺は人狼じゃない。
ローズが証明してくれた。
[それでも、今は彼の動きを探って]
……然うですか。
[ 答える言葉に感情の色は見えない。]
俺は口ばかりで、何方を選ぶ事も出来ない臆病者ですから。
武器を手に取る其の勇気すらない。
[ 広間から聞こえて来た声に流水を止め顔を上げれば、黒曜石の双瞳で少女が出て行くのを見送る青年に浮かぶのは苦笑か。然し視線は直ぐに僅か横に逸らされ扉の向こうに、意識は広間の方へと向けられた。]
何の騒ぎだ?
[ 訝しげな響きを持った呟き。濡れた灰皿は其の場に置いて、厨房を出る。]
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