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そして、物語は動き出す。
目覚めたものが何処へ向かうか、それは一人一人の思うがままに。
どうやらこの中には、村人が1名、人狼が1名、囁き狂人が2名、聖痕者が5名、共鳴者が2名いるようだ。
[ばーん、と勢い良く教室のドアが開いた]
うむ、全員出席したようだな! それでは! しかと! 勉学に励むようにっ!!
[学長は去って行った。
……何しに来たんだろうか]
―宝条家/朝―
[新しい朝が来た!と歌いたくなる気分で起き出し、寮の3倍くらい美味しい(当社比)朝ゴハンをいただく。朝の話題は昨夜の騒ぎ]
せやかて、ホンマびっくりしたんやから!
いい匂いがするなーって目ぇ覚ましたら、ヤンキーな兄ちゃんは勝手にうちの成績表見てるわ、無愛想なんがエプロンつけて台所立ってるわ! ナニゴトかと思うたよ。
[クーラーの風でテーブルから落ちたのを拾って見てしまった不可抗力とか、外見と趣味は必ずしも一致しないとか。
そこら辺を有無を言わせぬ笑顔で窘められ、保身の為に頷く]
いや、別にそっちは減るもんじゃなしいいねんけど!
美味しいもんも正義やし!
でも育ち盛りの野郎がぬぼーっと増えてんの見たら、ゴハン減りそでショックやったんやもん。
タマキちゃんのゴハンだけを励みにしてテスト乗りきったんに。
[がっつり餌付けされ中の年上のイトコへと拗ねた視線を向ける。が、昨夜の残りデザートがオマケに出され、速攻で笑顔になった]
ごっそーさんでした!
タマキちゃんのゴハンはもちろんやけど、あの無愛想な…ヒビキんやっけ?もすっごいデザート作るん上手いんやね。類友なんかな。
また何か作って来やった時、うちにもお裾分けしてなー。
[そして食べ終えればまたうるさくなる訳で。
昔は二人揃ってお人形さんのよう(七五三撮影時)とか言われた陰は微塵もこっちにゃありません]
ほな、うち今から面接なんで行って来るな。
何かあったらこっちに電話入るよにお願いしとるんで、タマキちゃんよろしゅう!
[流石に学校の寮にバイトがらみの電話連絡はマズイので、困った時のイトコ頼みして出かける準備。
お皿だけは御馳走になった礼儀として洗ってるのが唯一の得意技。
それが部活の試験管洗浄だけじゃなく、バイトで役立つかもしれないとは、ありがたいコトです]
……あ。
昨夜涼しかったんでアズマんにフードとハゲの因果関係言うん忘れてた。ま、えっか。
[扉を締めた後で気付いたものの、戻って言付けるのもアレなので、そのまま午前中の日差しの下を駆けて行く。
亜麻色の髪が夏の日差しを受け、跳ねるごとに金色に輝いた]
へ、なんなん?
なんで進まれへんのん!?
[近道して行こうと入った裏道、そこに在る透明な壁っぽい何か。
別の道に進んでも、また一定の所で遮られて進めないコト繰り返し]
― 我妻家/朝 ―
[ 朝。
小鳥は甲高い声でささめき合い、
蝉は己の存在を主張するように鳴く。
乱雑に閉められた薄布は日光を遮れきれず、
室内には矢の如く疎らに光が注いでいた。
誰もいない室内は、周囲のざわめきも遠く、
静寂に浸されているかのような錯覚を覚える ]
……あー、 るせぇ。
[ にも関わらず、呟きを零して、身を起こす ]
[ 昨日、水分補給に感謝して友人が神に見えたり、
しかししっかり労働人員に使われて即効評価を下げたり、
宝条家に赴いた後には、勝手に寛いでいたら、
煙突だかアヒルだかそれ以外のものだかの並んだ
成績表を見てしまって昼間の関西弁娘に喚かれたり、
自己――もとい他己紹介されたりと色々とあったわけだけれど。
……下克上?
食事をくれる人って偉大ですよね。
腐れ縁を続けている理由の一つは、そんなもの。
無論というべきか、食べている間はやはり静かでした ]
[ カーテンも開けずに身支度と簡素な食事を済ませると、
いつものようにカメラを弄り始める。
残数ゼロを確認して、別のフィルムへ。
御多分に漏れず昨日も撮っていたわけだが、
かしましい状況は一切撮らずに、
他者が興味を持ち難い、日常の隙間が収められた。
傍から見れば撮影失敗としか思えないような、
他者の後ろ姿だとか、半分だけだとか、そんなものばかり。
準備を済ませると、パーカーを羽織って家を出る。
特に行く当てもなく、MTBに跨っての気侭な旅。
件の“流浪の旅”の時には、置き去りだった愛車だが。
間際に開いた携帯は何件かの着信を知らせるも、
其処に残された特定の名は見ずじまいだった ]
[ 舗装されていない道を、蒸し返すコンクリートの上を走り、
時には止まったり、コンビニや公園に足を運んだり。
そんなことを幾度か繰り返すと真っ直ぐな路に行き当たり、
半ば立ち上がって漕ぎ始め、速度を上げる ]
[ 見えない何かに弾き飛ばされ、
しかし勢いのついた自転車は止まらず、
乗り手を失くして制御も失い電柱にぶつかって止まった。
これから購入予定だったバイクでなかったのと、
咄嗟に鞄を死守出来たのは幸いと言えるのかどうか。
怪我らしい怪我がなかったことも。
* 何処までも青い空に、タイヤの回る音が空しく響いた *]
─朝─
[早朝、日課の走り込み。いつも駅を越えて隣町まで走っているのだが──]
んがっ!
何だよこれ!
[見えない壁にべちゃりとぶつかる。やや前傾姿勢で走っていたために額からぶつかってたり。ぶつけた額を撫でながら、反対の手で壁らしき部分を触る]
いっつー…。
何だよこれ、昨日までこんなの無かったのに…。
[べたべたべた、と触りまくる。端から見ればパントマイムなそれは、周囲に人が居ないために奇異の目で見られることは無かった]
これはここだけか?
こんなのがあったら外行けないじゃん。
他の人も外から来れないんじゃ…。
[この壁が作用しているのが自分と他何名かだけであるというのは、後に気付くことだっただろうか]
へ? なんやすっごい音したけど。
事故ったんかいな。
[壁から手を離し、野次馬根性で覗きに行く。
果たしてそこに見つけた姿は昨日知り合いレベルに上昇した男]
……なにやっとん?
不幸体質でも持ってんかいな。
[干物焼き物叩き物?みないな目線で見下ろして。
とりあえず怪我はないかと手を貸そうとしてみたり]
[ からからからーん。
そんな乾いた音を耳に地面に突っ伏していたが、
かけられた声に反応してか、がばっと起き上がる ]
……目の前で星が飛び散ったぞ、今。
[ が、走る痛みにまたごろごろと悶絶 ]
おわ、急に転がんなや!
[慌てて出した手を引っ込め、スカート抑えて飛び退く。
しばし悶絶姿を観察。
まーアレだけ動けるなら骨はいってないだろうとか結論付けた]
─瑞雲神社・境内─
[境内に立つ一本桜。
春ともなれば桜の名所として賑わうそれは、今は、緑の立ち木。
その枝の上、真白を肩に乗せて座り込み]
……これは、思いの他……。
[結界に接触する『気配』。
何事なくすり抜けるものが圧倒的に多いわけだが、中には文字通り『引っかかる』ものもいるわけで]
特定はしやすいが……。
[文字通りの意味で『頭が痛い』。
精神的な痛覚ではあるのだが]
あー。
色気のない女の見ても喜ばんから安心しろ。
[ 失礼この上ない台詞を吐きつつ、
電柱へと向かおうとするリカを見る。
が、やはりぶつかった様子に、碧の眼を丸くした ]
……んだ?
[ 自分が“ぶつかった”原因を把握していなかったので、
驚きは余計に大きい ]
[痛みが脳に達するより先に、失礼な台詞が到達しました]
高一なりたてなんて中学に毛ぇ生えたよなもんなんに、色気なんかあるか! や、生えたらもう大人なんかも知れんけど!
[額撫でながら、爽やかな朝に相応しくない文句少々。
しかし、なにやら驚いてる様子に状況理解。見えない壁に手を突く]
んー、案の定こっちもってトコやね。
…で、アズマんも行かれへんっぽいと。違うてる?
[ いつまでも地面と仲良くしていても仕方ないわけで、
第一暑いわけで、地面に手を突いて立ち上がる。
打って変わって、彼女より高い位置から見下ろして ]
最近の高校生は、割合、発育いーもんだけどなー。
[ じーっと見た。
眼鏡の奥も若干ながら、見えようか ]
行かれんってか、自転車だけが行ったってか。
[ 持って行かれた恨みに、半眼になりつつ先へと視線を移す。
そんな二人の脇を、子供がボールを追いかけ通り過ぎていった。
まるで何の障害もなく ]
……まぁ、ここでうだうだしてても変わらないか。
他のところどうなってるか確かめつつ足りない分の走り込み、っと。
[来た道を引き返し、別の道を確かめようと移動を開始する]
[自分で言った通り高一になったばかり。しかも元から背は低め。年齢的3年男子になんて、旋毛とか見下ろされてます。
が、眼鏡の奥が見えそうと気付けば、慌てて指二本揃えてブリッジを押し上げたり]
んな個人的努力で埋められん差はほっといて。
やっぱ、行かれへんのかー。なんでやろ…ええー!
[目の前を子供が駆けてって、思わずびっくり仰天。
もう一回確かめるべく壁べしべし。掌が赤くなるくらいべしべし]
[ 何事もなかったかのように、ふっと視線を逸らす。
壁を叩き続けるリカの手を無造作に取り ]
止めとけ、痛めるだけだろ。
[ 台詞は冷静ですが、さっき子供にガンつけた人です。
そのままくるりと後ろを向いて ]
「こっちも」つってたよな?
てことは、一箇所じゃないと。
行けない範囲を探れば、何かしら解るんじゃないか。
[ 自分の来た方向、即ち、「行ける道」を見る。
電柱の傍に転がっている自転車を見ないため、もあったが。
拾って貰い損ねたのなんて知らない、知らない ]
……さて、どうしたもんか。
[なんか色々と頭痛感じつつ(べしべしされると、ちょっと痛いらしい)、肩に止まる真白を見る。
自身の力を分けて生み出された使い魔は、くるる? と鳴いてゆるく首を傾げた]
……取りあえず、町内の様子見て来い、紅鴛。
翠麟も走り回ってるらしいしな。
[短い指示に真白はこく、と頷いて。
青い空へ向けてぱたた、と飛んで行く]
うー、でも腹立つねんもん!
バイトの面接ぱーやわ。
[かと言って正面衝突の被害者仲間に八つ当たりする気はなく。
大人しく取られた腕で、自分の来た方角を指差して見せる]
そ、少なくともタマキちゃんトコから南にいくらか進んで壁。
だいたいコッチまで同じ感じで無理やった。
[「行ける道」へ同じように視線を向け、首を傾げる]
……線引かれてるんかな。それとも円なんかな。
そりゃ、縁がなかったな。
大人しくしとけば、違って見えそうなのになぁ。
もちっと可愛くは。
[ 手を離し、僅か見えた眼から受けた印象を零して ]
……と、一応、撮っとくか。
すぐに見られないのが不便だが。
[ 鞄を開いて破損がないのを確認。
取り出したカメラで、事故現場をその場に収める ]
円だと、中心割り出し易くて楽なんだが。
線だと……世界一周しないと逆側いけないだけとか?
とりあえず左手の法則、でもやってみるかねえ。
[ 言うなり、壁に沿うようにして歩みだす。
自転車が惜しくないと言えば嘘になるが、
通れる誰かが来るのを待つのも、非効率的だった ]
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