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小説家 ブリジット に 6人が投票した。
研究生 エーリッヒ に 1人が投票した。
小説家 ブリジット は村人達の手により処刑された。
次の日の朝、シスター ナターリエ が無残な姿で発見された。
現在の生存者は、青年 アーベル、研究生 エーリッヒ、職人見習い ユリアン、少女 ベアトリーチェ、教師 オトフリート の 5 名。
─回想─
[誰も現れない広間。
『遊戯』が始まる前には誰かしらが居た場所。
今はかつての賑やかさは見られない。
静寂に包まれる広間の中、ソファーに腰掛け瞳を閉じる。
背凭れに体重をかけ、静寂に同調するように物音一つ立てずじっと動きを止めた。
その姿はまるで彫像のようにも見えたか]
[平時、何事も無いように振舞ってはいるが、オトフリートの姿は常に影を纏っているため、少しずつ消耗していく。
消耗しないためには解除すれば良いだけの話だが、いつ誰が来るとも知れないとなるとそうも行かない。
自然と身体が回復を欲し、いつしか緩やかな眠りへとついた]
[どれくらい眠ったか。
ふ、と目を開けたのは玄関側からの音と振動を感じたため。
訝しげにしながらソファーから身体を起こした。
ぎし、と身体が軋む。
そのことから随分長く眠っていたことを理解した。
軋む身体を動かして、ソファーから立ち上がり。
広間の扉を開け廊下へと出る。
十字路を通り過ぎ、メディカルスペースとモニタールームがある通路までやって来る。
音と気配、どちらも感じ取れるのは──モニタールーム。
扉に向き直ると、不意な何かに用心しながらゆっくりと扉を開けた]
………───!
[扉を開け、まず目に入ったのは倒れている二人の少女と、一人だけ立っている金髪の青年。
そして、戦闘の痕跡]
──随分と派手に行われたようで。
まさか屋内でやり合うとは思いませんでしたよ。
[それは青年に向けられたものなのか、単なる独り言なのか。
部屋へ一歩は居ると辺りを見回す。
倒れているのはぬいぐるみを抱えた年端の行かぬ少女と、ところどころ破れた制服を着た少女。
どちらも気を失っていて、起きる様子は無い]
…で、三つ巴でもしたのですか?
いや……この場合は2対1が正しいでしょうか。
いくらなんでも『仲間同士』でやり合った訳では無いでしょう?
ねぇ、エーリッヒ様。
[部屋の中に一人立っていた青年に声をかける。
これまでほとんど顔を合わせることの無かった青年。
自己紹介したかも怪しいその相手の名を違うことなく呼んだ。
相手がどんな表情をしたかは分からない。
視線は既にモニターへと向いていたために]
設備を壊すのは勘弁して下さいね。
外の様子が見れなくなっちゃうじゃないですか。
私は貴方方の盾にならねばならぬ時があるのですから、この部屋は重要なのですよ?
どこで戦っていようと、すぐに向かえるように…。
[軽くモニターを操作してみて、正常に作動することを確認すると、再びエーリッヒへと視線を戻す]
おや、酷い怪我をなさっていらっしゃるじゃありませんか。
治療しなければいけませんねぇ。
そちらのお二人と共に。
[倒れている二人を指し示して。
小さな少女に酷い外傷は無いが、制服の少女は何かに打ち抜かれた後が複数あった。
三人を治療しようと隣のメディカルスペースへの移動をエーリッヒに促した]
[相手が拒否しようとも、その柔和な雰囲気で半ば強引にエーリッヒの治療を行う。
傷の酷いブリジットの手当てを簡単に行った時、組織の回収スタッフが現れ、ブリジットを連れて行った]
…彼女の敗北でしたか。
失敗しましたね、盾になり損ねるとは。
主様がこの展開で楽しんで下さっているのならば良いのですが。
[ふ、と浮かぶのは笑み。
それはこの『遊戯』を愉しんでいるかのごとく]
─回想─
[一体どうやって、どれくらい時間をかけて戻ったのか、記憶は全く定かではないものの。
生存本能のなせる業か無事に建物まで帰り着き、どうにか傷を手当てして。
その後は文字通り、身体を引きずるようにして、個室まで帰り着いた。
自分が廃墟で戦っている間にここで何があったのかになど、意識を回す余裕はなく]
……きっつ……。
[無茶の対価、即ち極度の精神疲労により、深い眠りに意識を落としていた]
……っ!
[意識の覚醒は、唐突。
それを呼び込んだのは、悪夢]
あー……やな夢見た。
[ぽつり、と呟き、気分を変えるべくバスルームでシャワーを浴びた]
……当たり前なんだろーけど、あのシステムでも、古傷は消せねぇのな。
[ぽつり、零れる呟き。
ここに来る以前になして来た荒事の象徴か、鍛えられた身体の上には、大小の傷痕が残されて]
さて……と。
[蒼の髪の水気を乱雑に拭いつつ、簡単な食事を作って済ませ。
一階に降り、誰もいない広間で端末の表示を確認した後、ふらり、外へ出る。
向かう先は、限られている。
そこは多分今、一番落ち着く場所]
−時を遡って−
…?
[僅かに誰かの声を聞いた気がして歩みが止まる]
……何なんだよ。
[小さくぼそりと呟く。
そのタイミング、視線を逸らした前方の砂が激しい勢いで盛り上がり、天へと巻き上がる]
………なっ?!
[ぼこり、と砂を巻き上げて現れたのは硬い外皮持つ巨大な芋虫。
思わず表情がやる気なさそうに歪んだ]
…美しくない。美味そうでもない……却下。
[何でも食べつくす人種とは呼ばれるが、青少年はそれなりにグルメだった]
─中央部・廃墟群─
……っかし、ここって何気に激戦区だよなぁ。
[この古い楽器の周辺で、既に三戦が行われて。
内二つは、自分自身の戦いなのだが。
蓋を開き、しばし、沈黙。
紡がれるのは、最初は緩やかな旋律。
それは、ある一音と、静寂を境に激しく連なる音を重ね、力強い旋律を織り成してゆく]
[ベアトリーチェの治療後、後のことはエーリッヒへと任せ、メディカルスペースから離れた]
残りは何人になったかね。
そろそろ佳境に入る頃だろうか。
『…”彼”は残ってるのかしら?』
[それは紅の呟き。
その声色もまた楽しげなもので。
その足で向かうのは──モニタールーム。
何かを探すように、その部屋へしばらく篭った]
[腰のポーチから取り出されるのは拳銃二丁。
右の其れは鈍く青く輝き、左の其れは赤く鋭く煌く。
グローブの嵌った手が存在を確かめれば、僅かにきちりと、皮のきしむ音がした]
…こういうのが、趣味なんかねぇ。趣味、悪!
[言葉を理解するのかそれは、芋虫の癖に生意気にも動きは機敏で早く、しかも]
…うわ、きも…!
[まっすぐ青少年へと向かって来る様子にそれこそ一直線に回れ右で逃げてしまいたいのだけれど、けれど、青少年の唇は少し釣りあがっていた。
そのまま瓦礫の山へと走り、なるべく高い高いポジションを取ろうと。
思ったら]
…飛んだぁ?!
[そう、飛んだ。
背中には、キラキラ虹色蝶の翅]
─現在・モニタールーム─
[戦闘のあったその部屋で、何かを探しながら休息を取る。
画面に目的の人影が写らないと言うことは、その人物はこの建物に居ると言うこと。
ここで仕掛けるつもりは無い。
彼が出かけ、どこかに留まるのを待った]
……見つけた。
それじゃあお邪魔するとしようか。
[薄く笑うとモニタールームを出て屋敷の外へ]
あー、もう、キモイなお前!!
[とん、とん、と猫が飛んでは着地し、着地しては上へと飛び乗る。
月を背に、蝶の翅を生やした芋虫は青少年の真正面へ]
キモイから、とりあえず、どうにかすっかね!
[青く輝く金属の塊を芋虫の真正面へと銃口向ける。
そう、絶対的質量の問題から言えば小さな拳銃でとても勝てる相手ではなかった。
軽い翅音をあたりに響かせる蟲を前に、青少年はにやりと、唇を吊り上げた]
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