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集会場は不信と不安がない交ぜになった奇妙な空気に満たされていた。
人狼なんて本当にいるのだろうか。
もしいるとすれば、あの旅のよそ者か。まさか、以前からの住人であるあいつが……
どうやらこの中には、村人が6人、人狼が2人、占い師が1人、霊能者が1人、守護者が1人、囁き狂人が1人含まれているようだ。
あー、諸君、聞いてくれ。もう噂になっているようだが、まずいことになった。
この間の旅人が殺された件、やはり人狼の仕業のようだ。
当日、現場に出入り出来たのは今ここにいる者で全部だ。
とにかく十分に注意してくれ。
…再婚、ですか…。
まぁ、それについて口を挟むべきじゃないでしょうけども、ねぇ…。
[強い酒の入ったグラスをテーブルにおいて、頭を抱えていたりとか。]
[ ローズマリーの微笑む様子と告げられた言葉とには、何か思うところがあるのか僅かに表情がぎこちなくなるも、]
余り不用意にそういう事を仰られると、調子に乗りますよ?
[直ぐに軽口を叩く。
視線を彼女から逸らせば、アーヴァインとの話を終えたのか、赤髪の少女の姿が見えた。話はもう終わったのだろうか、と思う。]
アーヴァインさんが再婚、ねぇ。
ちょくちょく屋敷に来てる人って……誰だろ?
[自分もよく、祖母の言いつけで訪ねてくるけれど。
そんな相手になりそうな女性はいたろうか、と小首を傾げて思案する]
あら、調子に乗ってしまうの?
そんなことを言われると、わたしの方こそ調子に乗ってしまうわ?
[ぎこちない表情は、見なかったことにしておきましょうか。
わたしはそう思いながら、軽く笑う。
広間にたくさんの人。
少し、気後れしてしまう。]
しかし、再婚するにしてもこんな山の中に居たんじゃ難しい気がするけど…。
[酒を飲み干し頭を抱える様子に少し心配をして]
苦労するな、あんたも…。
ふぅん……。
あ。案外、ばーちゃんは聞いてるかもね。
[さっぱり、というルーサーの言葉に気のない声を上げた後、ふとそれに思い至る。
祖母とアーヴァインは、茶飲み仲間のような存在でもあったのだから]
[広間に入る直前、緑髪の女性と茶髪の青年と擦れ違う。
女性に対する複雑な感情は気取られないように一つ礼をして、中へと入った]
[さて。ホールまで戻ってきたものの、広間への入り口前でなにやら親しく話している(ように見える)ハーヴェイとローズマリーに、少し躊躇う。
しかし湯上りに廊下で佇むのはすこーしよろしくなかったらしく、小さなくしゃみ。]
……っしゅん!
えっと、こんばんわ…です。
[何も悪い事をしていないのだけれど、ちょっとばつが悪そうに二人に挨拶を。]
[まだすこし火照る頬のまま、広間の前迄戻ってくる。
出ていく時にすれ違った緑の髪の艶やかな女性と真面目そうな青年がまだそこにいるのを少し意外に思いながらも、軽く頭を下げた。]
[くしゅんっ。小さなくしゃみを聞いて、わたしはそちらを見る。
そこにいたのは、昨日も会った少年。]
あら、こんばんは。
大丈夫? 寒いのかしら?
[少し考えて、肩にかけていたショールを外して、少年の肩にかけることにした]
……何方も何方、でしょうかね?
[ 悪戯っぽい笑みを浮かべながら言葉を返す。]
調子に乗り過ぎないうちに、
[ 失礼しますと続けようとしたところに、小さな嚔と、掛けられる声。視線を向ければ其処には湯上りらしい少年の姿が在った。]
ん、今晩和。ちゃんと頭洗ったか?
いえ、お構いなく。
[酔いが回ってきたのか、ややとろんとした目で青い髪の旅人を見返す。]
…義兄さんの個人的な問題ですからね。
…死んだ元妻の弟がとやかく言うようなことじゃないでしょうよ、えぇ…。
メイのおばあさんが知ってる、か?
村に戻ったら訊いてみるのも良いかもなー。
[しかしどことなく他人事ではあるのでさらりと笑って言う]
[ふわり。
肩にかけられたショールの温もりと、彼女の移り香なのか石鹸とは違う甘い香りに、湯冷めしかけた頬が一気に火照る。]
ぇ、あ…ありがとう…ございます。
えっと、もう大丈夫です…!
[なんだか逆に熱くなった気もするくらいだったけど、せっかくの温もりをすぐに返すのはなんだがらと自分に言い訳して、元気に返事する。
結果的に邪魔してしまったのか、去り行くハーヴェイの背におやすみなさいと言いかけて。投げられた言葉に、むぅと唸る。]
えーっ、ちゃんとしっかり洗いましたよ、ほらっ!
濡れてるでしょ?
[…だからくしゃみする羽目になったのだが。]
[ナサニエルの言葉にこく、と頷いて]
うん、案外ぽろっと話してたりね?
……戻ったら……うん、戻ったら聞ける、けど……。
[ほんの少し、陰った瞳を窓の方へ向けて、途切れがちに呟き]
[和やかな雰囲気に少しだけ身じろぎして、挨拶の言葉を口にする]
……こんばんは。
[三人の前を通り過ぎて広間へ入ろうとして、少しだけ迷った。
ここに戻って、何をするというのか。
けれど、ノブにかけた手は止まらなかった。]
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