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―北部・遺跡―
[一旦店を出たアマンダが、再び戻って来た頃にKirschbaumを辞してから。遺跡を訪れ、何かを捜していた。何を探して居るのかと聞かれても答えることは出来なかったろうが、何度か足を運んでも見いだせなかった手掛かりすら掴めず、ただ陽が暮れた。]
[団長失踪から、もう何日も日が経ったからだろうか、自警団の人影もいまはまばらで、ミハエルを咎める者は居なかった。]
[これからどうやって鍵の書を探すか、何か情報はあったのか、訊ねようと身を起こしかけて、遠く大地の違和感に髪が逆立つように騒ぐ。
大地に同化しつつあるものを、無理やり引き剥がされたような――]
――ッ! な、なに…がっ!
[身を折るようにして、目を閉じて探る。方向は――]
…墓場!? 何があった…っ!
[ベアトリーチェの周りを、光に包まれた小さな鳥が飛んでおりました。その光は宝石のきらめきのようで、お日さまよりあたたかく、月よりもすきとおっているのでした。
細められた緑の眼は、深い森とおんなじいろ。ほのかに照らし出されるかおは、うたにも合わず、微笑っているようにも見えたでしょうか。くるりと踊るように回ると、左手首の輪がシャララと清らかな音いろを立てるのでした。]
―北部・遺跡―
[一体誰が、クレメンスから書を受け継いだ?]
[さもなくば、彼と書を共有していた者は]
[冷たい夜風に身を任せ、思索に耽る。
だが答えは見えない。あの神父姿のものと、親しくあったものが誰であるか等、知り及ぶところでは無かったし、先のティルとユリアンのように人知れず何らかの力の共有を果たすこともあるのだ。]
……なんだろう。
[光の鳥は散ってしまい、そこにはもう居りません。感じられるのは、失われた筈の生命の力。そしてそれより強い、月闇の力でした。]
―Kirschbaum―
[旗立ててもらった特製プリンを口に運んでいる最中、
突然北東に大きな気配。
消えたあの同族に似て、まったく違うもの。]
…いま、の……。
[デザートスプーンを咥えたまま呟く。
ぱたり、とプリンに刺さっていた旗が倒れた。]
─Kirschbaum─
[唐突に上がった声に、はっとそちらを振り返る]
墓場……? 墓場が、どうかしたのか!?
[先日の戦いのあった場所、と思うとさすがに放ってはおけずに問いを投げる]
[問いにやや遅れて感じた波動に、す、と目を細める]
……これは……まさか、生命の力?
いや、幾らなんでもあり得ん、この強さは……っ!
『何が? そんなの鍵の書に関することに決まってる――!』
[反射的に飛び起き駆け出そうとして、掛けられた声が誰かも確かめずに叫ぶ]
わからない! 墓場で何かあった! それだけは間違いない!
[それだけ言って、墓場の方へと駆け出す]
[手をニギニギしていたが、ニマリと哂うと]
ああ、久しぶりの肉体だ。しかも、吸血鬼という高スペック
くけけけけけ、最高。最っ高にハイって奴だよ
まったくこいつも事なかれ主義過ぎて退屈極まりなかったからな
俺様が出てきた以上、アバレまくってやるぜぇ
[ひゃはははは、と高笑い]
[草の上に置いていたスケッチブックを拾い上げ、ベアトリーチェは森を駈けてゆきます。おかしな力の流れの感じるほうに。
茂みを抜けると、そこには墓地が広がっていました。けれどもそこの様子はなぜだかいつもと違って、そこに居る見覚えのあるシスターもいつもと異なるように思えました。闇よりも濃いまっ黒な剣は、眼に入ったでしょうか。]
[問いへの答えは素っ気無かったものの、感じた波動と合わせて異変があった事は確信できて]
まったく、のんびりしている暇もないなっ!
[大げさなため息をついた後、店の外へ飛び出し、墓場へと走り出す。
その行く先を先導するように、白梟が夜空に舞った]
─…→墓場へ─
―Kirschbaum―
[のんびりあんぱんを食べていた...だが]
ん?墓場?生命?
生命ってイレーネさんのことだよね?
イレーネさんも「消されて」しまったのに…
やっぱり、「鍵の書」…?
―北部・遺跡―
[夜風が運んできた気配、首を伸ばしてその匂いを嗅ぐような仕草。
ミハエルは自らの仕草に気付いて一瞬、気まずげな表情を見せたがそれを見ていた者は居なかった。
その気配を追って、駆け出した。]
―→墓地―
ベアトリーチェにナターリエ。
いや、お前は…ナターリエか?
[響く高笑いに、眉を顰め]
−北東部・墓場−
……ナターリエ?
[危機を知らせる声にもぼんやりとしたまま、ベアトリーチェはシスターの名前を呼ぶのですが、すぐに首をゆっくり左右に振りまます。]
ううん、違うみたいだ。
[ちょうどやって来たミハエルの呟きに同意するように云いました。]
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