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[投げかけられた問いに、ちらり、視線をそちらに向ける]
……何もなくて、血は流れん。
人が死んだ。
あの、ギュンターとか言う男が、喰い殺されていた。
[問いへの答えは淡々と。
そして、死体が消えた顛末もまた、淡々としたまま告げられて]
[続いて背後から、青年の声。]
な、んで・・・
[背後で声を響かせる2人も。
血という言葉をあっさりと口にするシスターも。
階下の血溜まりに佇む女性も、銀髪の少女も、旅人でさえも。]
何でそんなに、冷静で・・・ッ!
[怖い。]
[血のついた武器も一緒くたに、目立たぬ戸棚へ隠す。手を洗って、水を持って戻ってくる]
これを飲んで落ち着いて。
[ハンスの傍らに腰掛けて、何から話したものかとためらうも]
拒んでも、あたし達はみんな、人狼の末裔なのよ…。
この声を聞いて。ここに来た日とはまるで違うでしょう?人狼の血が目覚めて、あたし達はみな先祖がえりしていくの…。あたしは病が癒えるのと引き換えに、この能力を目覚めさせられた…。
[ショックの覚めやらぬハンスに、知る限りのことを伝えるだろう]
[金髪の青年の声。
その奥に潜む感情を、幻魔は的確に捉えて]
泣き喚けば、状況が改善するのか?
何もないように振る舞っていれば、何も見ずに済む?
[投げかける問いは、どこか嘲るような、哀れむような響きを帯びていたやも知れず]
[うな垂れた少女を見る。
先程の動き、迷いなき歌うような発言。裏庭の首。…
今、この場で葬ってしまった方が…?一瞬だがそんな思いが頭を掠める。
が、しかし自分で自分に頭を振って。溜息。]
素直に話を聞けたら良いの…ですが。
「喰い殺されていた」。
それが、『遊戯の始まり』。
…はは、趣味が宜しい。
[日記帳には、人狼が勝利したと書かれていた]
──書斎──
[何時しか、書斎内を深い沈黙が囲んでいる事に気づいた。
もう騒動は終わったようだ。
クレメンスは外套の前を合わせ周囲を見渡す。]
食い殺され…
[アーベルの言葉に、目を閉じて。
...は再び、赤の血に近づいて小さく祈りの言葉を囁く。]
あなたの行く末にedenがありますように。
安らかなる眠りを、神よ、お与えください。
哀れな老人にあなたの慈悲をどうぞお与えください。
[その声は、小さく。
エーリッヒのおびえる声に、俯きがちだった顔をあげる。
...の目が、髪の色を移して金箔を落としたように一瞬だけ彼には見えたかもしれない。]
人は、死ぬものですよ、エーリッヒさん。
それがどんな亡くなり方であれ…わたくしは何人も見て参りました。
安息を願うことが、一番必要だとわたくしは思うのです…
[クレメンスは書斎の机まで戻ると、椅子に座り、
先程読みかけだった本の続きを読む事にした。
過去の日記帳は、机の上に。
今現在の日記帳と、瓜二つだった。]
素直に……な。
……取りあえず、今夜一晩は動きを封じておく。
次に目を覚まして、それで状況が変わらんようなら。
その時は、それなりに対処をすればいい。
[どこまでも淡々と告げて]
まったくもって……いい趣味、だな。
……最高だよ。
[吐き捨てるような言葉には、僅か、感情の色がにじんで]
[何時もならば、此れが日常の中ならば僕も青年と同じことを思っただろう。
けれど恐怖に支配された頭では、彼の言葉を理解することすら叶わない。]
嗚呼。お前が、
お前らが、やったのか・・・?
[周りの者を見渡す。瞳はきっと疑心に満ちていただろう。]
死ぬ・・・
[シスターの声が耳に届き、くたりとした少女が視界に入る。
自分も同じように・・・?
そう思うや否や、この場にいることすら恐ろしくなる。
自室へ向かい、扉を閉めた。鍵が掛からないから無意味なのは分かっていたけれど、暫くは内側から強く扉を*押さえていた。*]
[シスターから向けられた視線を気にした様子もなく。
疑心暗鬼という言葉そのもののエーリッヒの様子に、微かに笑む]
さあ?
だが、そう聞かれて素直に「はいそうですよ」と。
名乗り出るとは思えんが。
[「人は死ぬもの」。
ナターリエの言葉には軽く顔を顰めたがすぐに戻す。]
…ええ。頼みました。
[アーベルには短く、それだけを。]
エーリッヒさん…
[自分の部屋へと入っていく彼の姿に、祈るような気持ちで投げかける。]
あなたに夜の安らぎが訪れますように。
お休みなさい。気を静めて…
[ハンスから二階の様子を教えてもらう]
ベアトリーチェが…ミハイル、に?
無事なの?
[命に別状がないことは誰より自分が知っている。それなのにこの動揺は何故だろう]
[…この感情は誰のものなのだろう]
[よく分からないまま、立ち上がる]
二階に、行ってくるわ。
―居間→二階―
死んでしまう、ものですよ。
どれだけ愛しても、それが必然であり、神の定めです。
わたくしたちに逃れることはできない。
…それに。
[smiled, ...はオトフリートを見る。]
――[口唇をそっと湿らせた。]
[短い言葉に、ああ、と頷いて、ゆらり、銀糸を舞わせて抱え上げる。
絡めとられた少女の身体は、人にしては余りにも軽く。
その様子は容易にあるものを連想させるが、幻魔としての彼がそれに捉われる事はない]
[エーリッヒが懐疑の目で見詰めてくる。
彼が扉の向こうに隠れれば、それを見透かしたように声を向け]
…「神」か、と。そういう意味でしょうか?
私は違います。
…が、しかし。今の貴方はそれを素直に受け入れられないでしょう。
己で考え、判断する事です。
……。
[この日記帳を皆に読ませるべきなのだろうか。
クレメンスは悩んでいる。
かつて人狼だった少女。今も人狼なのだろうか?]
- 2F・部屋I -
[弾む吐息]
[腕を伸ばして]
[目を見開く]
!!
[飛び起きようとするが、身体は動かない]
[視界が霞んでいる]
ぁ
[喉も張り付いたようになっていて]
[滲んだ視線を彷徨わせる]
[エルザの姿に気づいて、...は顔を彼女に向ける。
軽く頭を下げて]
こんばんは。
…大丈夫ですか?
[尋ねたのは彼女の昨夜の言葉を思い出したからか]
…騒ぎのことは、聞いたわ。
その子が何者であれ、ベッドで眠らせてあげて欲しいと思うのだけど、お願いできるかしら、アーベル。
[痛ましげに少女を見る]
その子も、広い意味での犠牲者には違いないのだから。
[アーベルが銀糸を意のままに操るのを見れば、微笑む。
煌く銀は――美しい。]
[それに、気をとられていた。
まだ鈍い痛みを放つ左腕の為に、反射的に動けない。
近づくナターリエの言葉にふっと視線を動かせば――]
[ナターリエをみて曖昧に首を振る。肯定とも否定ともつかない]
ギュンターを哀れに思うなら、彼の魂が神に絡めとられてしまわぬように祈ってあげればいいのに。
神の玩具として殺められたものが、神の元で安らげるとは思えないわ。
[エルザの言葉に、ふ、と息を吐く]
……甘いな。
[次に紡がれた言葉は、冷たい響きを帯びたもの]
犠牲者、加害者。
誰もがその両方になり得る状況なのは、あんたもわかってると思うが。
ま……別に構わんさ。
だが、糸は解かん。
……次に暴走した時に、あんたが責任持って始末つけるってんなら、話は別だがな。
[ぼんやりとする頭で考える]
[ここは自分に割り当てられていた部屋で。
そして色々と誰かが整えてくれた気配を感じた]
[傍には丁寧にストローの添えられたグラスも置かれていて]
………
[どうにか身体をそちらに寄せると、それを手に取った]
[喉は反動で噎せこんだが、灼熱感は癒されてゆく]
神を否定するなど、わたくしにはできません。
神の御許が何よりも、わたくしたちには安らげる場所なのですから。
[エルザの言葉にそう返す。
...は静かな目をして。]
神の玩具、などと。
…神はわたくしたちに試練を与えてくださっているのだと、わたくしは思うのです。
きっと彼は、誰よりも安らぐことができるでしょう。
[and then, 突然壁のところで崩れるオトフリートの様子に、]
大丈夫ですか?
[慌てて、かけよる。]
[クレメンスの手は、何時しか羽ペンとインク壺に伸びた。何かを書きつけようとし、既に書かれてある紙ではなく新しい紙を探そうと机の棚を探る。と、屋敷の見取り図を見つけた。]
[アーベルをじっと見つめて]
…甘いのかしら。あたしは。
犠牲者はギュンターのような人間ばかりじゃない。殺人者もまた、神の玩具だわ。
彼女は、眠りなど望まないでしょうけど。
[ちゃんと起こしてあげるからね]
[その言葉が胸によみがえる]
[アーベルに責任を、といわれ苦笑する]
解いて、とは言わない。あたしも、怖い。
だけど、眠らせてあげたいわ。温かな布団で。
[ナターリエに首をかしげる]
神の御許。そこに今、ギュンターがいると?
彼が今いるのは、暗い、暗い、地下室よ。
[遠い目をして何かを思い出すように]
あれが、あんな場所が、神の御許なのかしらね…。
[そっと、手を伸ばしてオトフリートの額に触れようとする。]
熱が流行っているようですし。
…無理をなさらないでくださいね?
[心配そうに覗き込んで。]
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