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―広間―
[ローザが妙な声を上げて赤い顔をしたのにも、ぶうぶう言いながら
紅茶にブランデーを少しだけ入れるのにもからかうような笑顔を向けていた]
さんきゅ。
シュークリーム、もーいっこ頂戴。
[3杯目の紅茶を啜りながら手を出した。
もそりと誰かが起き上がる気配にそちらを見ればウェンデルで]
起きたか?おまえもシュークリーム食うか?
[呑気に声をかけたが彼はすごい勢いで去っていってしまった]
おーい。うぇんでーる??
[見られて恥ずかしいことをしていたつもりも、
お邪魔されたつもりも全くなく、首をかしげてぽかーんとした]
なんだぁ、あいつ。
[相変わらず面白いやつだ、と笑いながら広間を見回した。
フォルカーやイレーネで視線を止めたなら少し険しい顔をして]
人狼の疑いあらば、子供だろうと女だろうと…ってことなんだろうか。
だとしたらひどい話だな。
[呟いて煙草を口にくわえ、火をつけた]
…しんどいだろうに。
[煙を吐き出して口にしたのは、祖父を殺められてしまったイレーネを気遣う言葉。
彼女が寝ながら零した涙は見えなかったが、近しい者を失う悲しみは、自分もよく知っていたから]
――許せねえな、まったく。
[揺れる紫煙を見上げ、はっきりと*言い切った*]
─二階・個室─
……ふう。
[一つ息を吐いて、眺めていた書類の束を机の上に置く]
複数の『要素』が一箇所に集う、という『条件』の成立により覚醒する能力。
多くの場合は遺伝的なものが要因となるが、イレギュラーの発生もありうる。
……俺の場合は、母方の遺伝かね。祖父ちゃんも、同じ『力』、持ってたわけだしな。
……色々と、合致するのがなんとも言えん、な。
ギュンターさん、人狼炙り出すために、俺を呼んだのか?
……だとしたら……本末転倒だろうに、この結果は。
[はあ、と。先よりも大きなため息をついて立ち上がる]
ま、何にせよ、いつまでも隠しておくのは分が悪いし……話せる内に、話しておくか。
[分が悪い、というのはなんなのか、と突っ込まれそうだが。
ともあれ、ぼやくように言いつつ、部屋を出る]
―台所―
[休んでくるというユリアンを見送って。
覗いた広間は、本人達のつもりがどうであれやはりお邪魔しにくい雰囲気だった。
部屋に戻っても良かったのだが、何かが気になって台所に残った。少し悩んでから野菜を細かく刻んで薄味のスープを作り始める。調子の悪い人や食欲が沸かない人でも少しは口に出来ればと思った]
誰かに詳しく聞いた方がいいかしら。
どうして私は御伽噺を覚えてないのかしら。
[独り言を呟きながら鍋をかき混ぜる]
イレーネちゃんも大丈夫かしら。
…フォルカー君がいれば大丈夫よね。
[手を取り合っていた少年少女の姿を思い出す。少し睫を伏せた]
[階段までやって来たなら、ちょうど探す相手の姿はあるか。
声をかけよう、と思うより早く、玄関の向こうがざわめく]
……なんだ?
[開かれた扉。姿を見せたのは、幾度か見かけた副団長。
ようやくお達しが来たのか、と。
ひとまず、そちらへと足を向ける]
……で。俺たちの処遇は、どうなりました?
[問いかけに対する返答は、ある程度予測していたもの。
この集会場に集められた十二人の中に人狼がいるのは疑うべくもない。
村の住人への被害を最低限に止めるためにも、この場に居る者たちで人狼を見つけ出して対処しろ、と。
完全に危険がなくなった、と判断できるまで、村との関わりは一切禁ずる──と]
……気軽に言ってくれますね。
[伝えられたそれに対し、最初に口をついたのは。
ため息混じりのこんな言葉だった]
……で。
その間、俺たちが襲われる可能性については……。
[考慮しているのかと。
問いかけた言葉は、途中で飲み込む。
村との関わりを禁ずる──隔離する、と宣言している時点で。
ある意味では、こちらを切り捨てているのは容易に察する事ができた]
……全員処刑といわれるよりは、マシ……なんですかね。
[ぼそり、と呟いた言葉は、副団長にどんな思いを抱かせたか。
確かめるために顔を見る気には、なれなかった]
―回想/台所―
[スープが出来上がれば火を止めて。
食器棚を端から確認し始めた]
使えそうなもの…。
[イレーネを抱いていた時の感情の高まりはなりを潜めて。ユリアンの触れていた間熱を収めていた朱花がまたじわりと熱を伝えてきていた。
そのうちには手を止めて、誰かが来るまでじっと時間が過ぎるのを*待っていた*]
―一階・階段傍―
[手摺に手を掛けたところで、階上に人の姿を見た]
あ、…
[よく知る筈の相手に、一瞬声を掛けるのを躊躇う。
丁度その時背後で声と、扉の開く音]
…自衛団か。
[振り返り見えた制服に小さく呟く。
横を通り抜けて玄関に向かう昔馴染を目で見送った]
[自らは階段傍の壁に背をつけ、腕を組む。
目を伏せれば、話声だけが耳に届く]
…チ。
[下される決定事項に薄く目を開け、小さく舌打ちが洩れた]
―一階・広間―
[椅子に腰をかけ目を閉じていた少年は、時おり反応を示すことから眠ってはいないと周囲に知れただろう。しかし その分、同じく暖炉傍にいる幼なじみが寝てしまったことに気付くのは遅れてしまった]
……ぁ、 ありがとうございます。
[毛布をかけてくれたエーリッヒに、僅かな警戒心を滲ませながらも礼を口にした]
[「朗報」の内容は、暗い思考から少年を引き摺り出すことになった。
ダーヴィッドの視線>>343には、暫くの間を置いて]
……現状のよう、秀でた産業のないままでは、村の発展が望めないことは…、父も、承知しています。
新たに事業を起こすより、鉱山の資源に望みをかけるほうが……
村民にとっても、良いのだと、は。
それでも影響の程は、入念に調べることに……なるでしょうし、
リスクの大きい事であれば、断念する可能性も、高いと。
[幼くとも次期村長。ローザが疑問を発する前から、懸念の意は理解しており、ぽつぽつと、小声ながら、語る内容は歳には似つかわしくない]
それに……………
あまり奥深くに至るようであれば、尚更、反対するかと。
[続いた台詞を紡ぐときには、視線は下に落ちた。
首元を飾るブローチの、濃厚な赤色が視界に入る]
……………え?
[少年自身へと向けられたハインリヒの声>>360を拾い、顔を上げ、目を瞬かせた。
手は自然とポケットへ、彼から貰った鉄紺に布越しに触れる]
僕、だったら。
[考えてもみなかった、という調子]
……僕、だったら。
[間を空けて、同じ台詞を繰り返したきり、黙り込んだ。
視線が彷徨い、沈黙が落ちる。
先程までとは別の思考の迷宮に入り込み、周囲の状況も意識に入らなくなってしまった]
[次に、少年がまなこを開いたのは、小さな謝罪が聞こえたとき>>383]
レーネ、
[彼女の意識は眠りの中だと知れば、名を呼ぶ声は自然と潜められた。
少し離れた位置にあった椅子から立ち上がり、隣へと腰を下ろす。
起こさないよう、そっと、服の袖先で零れる涙を拭い、頭を撫でて、もう片手は少女の手に自分の手を重ねる。
いつしか少年の瞼も落ちていき、身を寄せて、*眠りに落ちていた*]
―広間―
[『落ち着けあたしー』と自分に言い聞かせながら、ブランデーを少しだけたらした紅茶を一口飲んだところで。
怒涛のように走り去るウェンデルに、驚いたように瞬きをひとつ]
あれ、ウェンデル?
…………お邪魔も何も、単にあたしがからかわれてるだけなのにねぇ。
[ぼやくように呟いて、紅茶をもう一口。
シュークリームをもうひとつ頼まれれば、クリームをたっぷりとシュー皮につめて差し出し。
自分ももうひとつにかぶりついて、ハインリヒにつられて年少組みに視線を]
…………ギュンターのおっちゃんを、イレーネが傷つける筈ないのにね。
─ 一階・玄関付近─
[通達を終えた副団長はやがてその場を立ち去り。
後に残るのは、お世辞にもいいとは言えない空気。
ぐしゃり、と前髪をかき上げつつ額に手を当て、はあ、と大げさなため息をつく]
……まったく。
予想通りと言えば予想通りだが……やってられんな、コレは。
[ぼやくような声で言った後、翠を向けるのは、階段傍の昔馴染み]
あー、と。
ミーネ。
どうにも慌しくなりそうだし。
今の内、話といた方がいいか?
[こないだの、と。
問いながら、でも、ちょっと引いているのはどうなのかと]
―浴場―
[浴場につくと水は冷たく]
このままじゃさすがに無理だな。
[薪をくべて湯を沸かしてから、中へと]
この村以外じゃ、評の悪さじゃきっと俺が負けるんだろうな。
[呟くのは先ほどのハインリヒとの会話を思い出したから。
湯を頭からかぶった。]
さて、俺達の行く末はどう転ぶのかね…。
[疑問に答える声はない、誰かがいたとしても答えることなどできないことだろうが]
―一階・階段傍―
[名を呼ばれゆるりと上げた表情には、先の話のお蔭か、不機嫌なものも残っていた。
オトフリートに引かれるのも無理はない]
嗚呼。
[返事も短い。
だがそうしてから少し、迷うような色を見せて]
…こっちも少し、話があるからな。
[視線は合わさずに告げた]
[だれが主役でもなく誰もが主役。人と人外との戦い。
辛さ。虚しさ。哀しさ。怒り。様々な葛藤を乗り越えていく様はとても心に残る物語になるだろう。だが、此度は長い。
長すぎる物語は感動をなくし冗長と述べる語り部によって全ての行いを無為な長物へと変える。
誰も読まない。誰も聞かない。子守唄にしか役に立たぬだろう。俺も眠い。
だからもう結末でいいだろう?
第二幕はいらない。まだ色があるうちに、まだ宿らせる心があるうちに。苦痛となる前に幕を閉ざして
そろそろ寝させてもらうな]
─ 一階・玄関付近─
[引いている理由は、表情以外にもあるがそれはそれとして]
……そっちも、話?
これはお互い、立ち話では問題ありそう、かな。
少なくとも、俺の方はそうなんだけど。
[視線を合わさぬ様子にやや戸惑いつつ。
上行くか? と階段を示して問いかける]
―二階 自室―
[ゴチンという音が響く。それから数瞬後]
いて…
[鈍い声で呟くこの部屋の主。]
…寝てたのか?あーいて…いや、痛くないな。
[鈍い痛みはあれど頭痛は治まっている。
窓から外を見れば意識を失う前とさほど日の位置がさほどかわってない辺り一瞬うとうとしたのだろう]
はっ…ははっ
[戸惑い乾いたように、満足して納得したように小さく笑う]
―一階:広間―
[どれだけの時間が経ったことか。
夢から覚めた少年は、薄っすらと目を開けて、幾度か瞬く]
……あれ。
僕、……………寝て?
[ゆっくりと頭を振り、周囲を見回す。
意識を失うときより、人の姿は減っていた気がした]
…あまり聞かれたくは無い、な。
[理由はともあれ、引かれていることに気付く余裕はあったか否か。
そっと周囲に視線を巡らせた後、上を示す手を見て、頷く]
―廊下―
[ぼんやりと考え事等しながら、髪や体を洗う。
綺麗になったところで体を拭き、用意していた新しい服に着替えて、
髪を拭きながら浴場を後にした。
脱いだ服を手にしながら一度自室に戻ろうと、廊下を進むとやがてヘルムートとオトフリートの姿が見えた]
仲がいいことで…。
[話している内容は良く聞こえなかったが、そう呟き。
向こうもこちらには気付くだろうか。
軽く手を振る程度の挨拶、そのまま階段を上って自室に向かおうと]
おはよう、ございます……。
[人前で寝入ってしまったことに恥ずかしさを覚えて、声は普段より更に小さい。
勧めに、へいきです、と入れようとした断りは、少年自身の腹の虫によって否定された。宿主同様、微かな鳴き声ではあったが]
……いただき、ます。
シュークリームを。
[傍らのイレーネに目をやり、ごめんね、と呟いて そっと手を離すとローザの傍に寄り、シュークリームを受け取ろうと手を伸ばした]
……、
……………人狼も、お腹が空いて、……食べるのかな。
……じゃ、そう言う事で。
俺んとこでいいかな。
[妙に余裕なく思える様子に、僅かに眉を寄せつつ頷く。
エーリッヒが通りかかったのは、その頃か。
呟きが聞こえたならきっと突っ込みの一つも入れたのだが、幸いにというかそれは届いてはおらず]
や、どーも。
[ひら、と手を振り返した後。一応、自衛団からの『お達し』について、簡単に説明しておいた]
イレーネも目が覚めたら、食べさせようね。
甘いもの食べると、少しは落ち着くと思うし。
[フォルカーにシュークリームを差し出しながら、聞こえてきた呟きには首を傾げた]
どうなんだろうね。そうなのかなぁ?
………ひとじゃなくて、豚とか牛とかじゃダメなのかなぁ
[挨拶を返され、オトフリートから説明を受けると]
そうか、他の皆にはまだ知らせてないのか?
[肯定の返答が返れば]
それなら、俺からも皆にあったら知らせておく。
まだ、ましな方の判断がきたと喜ぶべきなのかね。
[そんな言葉を残しながら自室に上がっていった]
はい。
[両の手で受け取ったシュークリームを受け取り、歯を立てる。かりかりの表面が削れただけで、中にまでは至らなかった。
今度は大きめ、と思って口を開いてかぶりつくと、中のクリームが垂れかけてしまって、慌てて舌先で掬い取る。頬にも少し、ついてしまった]
人狼。
ひとで、おおかみ。
それなら、……どうなんだろう。
……お腹が空いて、なら、もっと、……しょっちゅう、事件が起こっていそうな気もします、ね。
人とは、お腹の空き方が違う……のかも、しれない、けれど。
―広間―
[しばらく前、村長がするであろう判断を口にするフォルカーへは、ほお、と興味深そうな視線を送った。
自分ならどうするのかという問いが耳に入ったのか考え込む様子にも僅かに楽しそうに見たか。
将来有望な若者を見つけた気がして、密かに楽しがっていた]
おう、さんきゅ…ん?なんか重いな。
[よりそって寝る子供2人を見ながら、受け取ったシュークリームを齧る。
たっぷり詰まったクリームが、齧った口の端からはみ出た]
うお、愛情たっぷり…。
[甘さに一瞬クラクラしながら、フォルカーが目を覚ましたのを見た]
おはようさん。
[口の端についたクリームを指で拭いながら声をかけ、紅茶を口に]
嗚呼、それで。
[昔馴染の提案にはあまり悩むこともなく頷く。
通り掛かるエーリッヒの小声はやはり聞こえてはいなかった。
代わりに表情を僅かに硬くしたが、それは一瞬のこと。
挨拶に軽く手のみを上げ返し、自衛団の決定事項の説明がされるのを横に聞きながら、意識はまた別のところにあった]
俺も、さっき聞いたばかりですから。
[皆には、という言葉には一つ頷いて]
ええ、お願いします。
……ま、最悪は避けられた、というだけでも……ってとこですが。
[残された言葉には、ただ、苦笑。
部屋へと上がるその姿を見送ると、ヘルミーネの方に向き直る]
じゃ、行くか。
[あっさりと返された頷きにこう返すと、二階の奥の自室へと向かう。
どこか、心ここに在らずな様子は気にかけつつ]
─ →二階・個室─
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