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はぅぁぁ。
[それは数秒か、はたまた数分だったか。
腕の中の麒麟が苦しんでいるのに気が付けばわたわたっと手を離し]
あっ、ごめんなさいっ!
ええと、ビックリしちゃって。
ハーヴェイ様は私達の王です。ご自身、精霊界にはあまり居ないんですけど。
うん、また呆れられそうだけど、相談してみます。
[落ち着くためにもう一度深呼吸。
ふわ、と若干近くに感じた疾風と翠樹の気配が、懐かしいそれと重なって軽く瞬く。
だがそれもきっと出会えれば分かるだろうと、今はさておき]
ええと、どこに行けばいいのかな?
[影輝の力を添えた手で、そっと麒麟の身体を撫でながら尋ねた]
僕は、そうだね――
[気付いていないような様子に、くすくすと笑った。
記憶の通りに、変わってはいない。]
内緒。
とか言っておこうかな。
当ててごらん、なんてね。
[どう考えてもできるわけはないけれど。]
じゃあ行こう。
[それでもせがまれたら、答えてしまうのはわかりきったこと。*]
[影精の少女を無理に振りほどくなど出来ぬまま、尻尾だけが苦しげに跳ねて。
やがて離されて、ほぅと大きく息を吸った
空気が甘く感じたのは、多少酸欠であったからに違いなく]
……こほ、…っ。
ん…えぇと、その、驚かせたのは判りました…。
[少し咳き込み。呼吸を整えなおしてから口を開く。
彼女の説明で理由は察した為、相談するとの言葉に頷くに留めた]
……まずは館に参りましょう。
先程、お会いしたお二方も向かわれるはずですから。
[どう見ても複雑に絡まっていそうな、影輝絡みの関係。
落ち着いて詳しく話をするがよろしいであろうと、館へと促す。
影輝の力を添えた手で撫でられ、乱れがちな呼吸も落ち着きゆく]
よろしければ、わたくしの背にお乗りなさい。
この霧では足元もあぶのうございますゆえ。
[そう申し出たのは、見つけた彼女が休んでいた様子から。
しなやかな背に乗せたならば、館に辿り着くもそう*遠くはなく*]
館、うん。
お願いします。
[背に乗るを促されれば、素直に頷いて。
そりゃもう何度も転びましたから、ここに来てからも。
館までも麒麟の足なら僅かな間。降り立った時には結構緊張した*面持ちで*]
[空の上。空中に腰掛けつつ眼下をウキウキウォッチング]
ふふふ。招かれしも招かれざるも集まってきて、楽しくなりそう
[とその時、ふと目に入ったのは]
あらら。あれは……
時空王 ネリーが村を出て行きました。
16人目、魔銃使い ミリィ がやってきました。
[森の中をきょろきょろと歩くのは右手を大仰な拘束具で縛り付けている赤髪の少女
さらにその顔の右半分は大き目の眼帯、首元はマフラーで隠されている]
あー、どうしよう。道に迷った
ここどこだろう。シノは分かる?
[もぞ、と懐から出てきたのは、昔助けた魔獣のシノ
だが、シノももきゅっ、と首を傾げる]
なに、気にしなさんな。
……ああ、彼にもよろしくな?
[領域に戻る、という氷破に軽く返してひらり、と手を振り。
場にいた者たちが広間へ向かった所で、ため息一つ。
貴紫の瞳は、傍らに浮かぶ己が分身たる眷属へ]
『きゅ……』
[短い声。首を傾げる姿に合わせ、揺れるのは鎖を通した指輪]
……輪転の迷い子、か。
[小さく呟いた後、自身も広間へ。
そこにいる、見知った者たちに例の如く、や、と軽い口調の挨拶を投げ、伴侶たる月闇の傍に、ごく自然に立つ。
その場で波動を辿れば、良く知る気配がこちらへ近づくの感じられた]
仕方ないな。あまり使いたくないんだけど
[そう言うと、パチンパチンと拘束を外す
その下から現れたのは、もはや義手と言うよりは手腕の形をした木の枝]
翠樹の巫女として命ず。我に汝の在処を告げよ
[樹に触れ、現在位置を聞き出す]
あれぇ、なんでこんな場所に
……ん?
[ふと、そばの湖に目を向けるとそこにいたのは]
あれ、アーベル?
[私は、ハーヴェイ達が支度をしたという菓子や料理をせっせと口に運んだ。
しかし、現代の精霊王が二人も”茶の仕度”に呼び出されあまつさえ本当に現れ見事にそれをこなしたとあれば、世界はかなり平和なのだろうと何となく他人事のように思った。そんな二人は、賄いもひと段落がついたのか広間でくつろいでいるようだった。]
ねえハーヴェイ、何だか迷子になってきた人が居たりだとかしているみたいだけど。
[もぐもぐ]
マーガレットのお屋敷はそんなにすぐに来れるところじゃないでしょう?
私たちが集まりすぎちゃっておかしくなってるって事も無いとおもうの。また誰か何かしたのかな。
[かりかり]
[うとうと、ぼんやり。
いつの間に、眠ってしまっていたのでしょう。
重たい目蓋を持ち上げますと、ベアトリーチェとそう変わらないくらいに見える女の子が、誰かとお話をしているのでした。]
……時空……ネリーが軽く空間位相をずらした、とは聞いたが。
それとはまた、異なる空間の歪みが生じているらしい。
それが何か、ははっきりしとらんのだが、ね。
[ごく軽い口調で答えつつ、視線をずらして窓の方へと]
ふーん。でも、またネリーが何かしたのね。
[それでも、大きな事件が起こるとは私には思い難かった。私は食べかけのスコーンを置いて席を立ち、ハーヴェイが視線を向けた窓へ向かった。
そして窓を開け放ち、外の森へ向かって言った。]
ネリーのばーか、陰険、悪戯もの、にせちちー。
……あの、なあ。
[窓の向こうへ投げられる悪口に、思わずため息一つ]
……余計に事態が悪化しそうだから、そういう事、言わない……。
機魔 アーベルが村を出て行きました。
16人目、機鋼の魔 アーベル がやってきました。
[コーヒーの香りを避けて隅に対比しつつ、精霊王たちのやり取りをぼんやりと眺め。
気を逸らすのも兼ねてか、周囲の時空間の湾曲を追っていたのだが]
……セレス?
[戻ってきたセレスが、いつになくしっかりとしがみつくのにきょとり、としつつ。
雷撃王が連れてきた少女の姿に、ほんの一瞬険しいものを過ぎらせ、それから、遅れて入ってきた影輝の王に問うよな眼差しを向けたことに、果たして周囲は気づいたか。
ともあれ、セレスが落ち着かぬ事もあり、動かずにいた……のだが]
…………。
……、ハーヴェイ?
[そのときのベアトリーチェは、その名前を確かに知っていたのでした。]
ここ、Kirschbaum……では、ないよね。
どうしたの?
[ここで少しの間、幕間劇に興じよう
それは今の彼にとって過去の出来事。そして今の彼女にとってはこの後に待ち受ける運命]
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[とある研究機関。そこは今燃え盛る炎に包まれている
その中心に彼女は立っていた]
あら、アーベル。こんばんわ
[それは何気ない挨拶]
もう。来るのが遅いから
[しかし、その右手は無数に枝分かれし、幾人もの研究員を串刺しに
そして、アーベルの方を向いた顔の右半分は]
全員、コロしちゃった
[木に侵食され、眼は蛇のように瞳孔の割れた瞳]
ウェンディ…
[さすがにあんまりな対の態度に、嗜めようと口を開きかけ、溜め息混じりの影輝王の言葉に苦笑する]
……ハーヴェイ殿の言う通りだぞ。それに時空王殿は馬鹿ではない。
大丈夫、ネリーはきっとハーヴェイがお気に入りだから。
[つまり私は自分が何らかのターゲットになるような気はあまりしていなかったので、胸を張ってそう言ってから窓を閉めた。
それから、小さな子供が(見た目的にはさほど私と年齢の差は無いような)こちらを見ていたので少しその子を見た。また、その子供の問い掛けに、ハーヴェイが一体どう答えるのかを見た。]
[名を呼ぶ、声。貴紫の瞳は静かにそちらを見やる]
……や、ベアトリーチェ。
うん、ここはKirschbaumじゃない。
俺の、知り合いの家、だね。
君こそ、どうしてここに……?
[青の眼が煙る霧の先に見ゆるは“今”の彼女ではなく]
……、無茶を。
[翠樹の力に侵蝕されし少女の姿]
[刺された人間の呻き声が聞こえる]
[彼らの創りし命すらその前では無力]
やり過ぎだ。
あんまり頭が良いのも困りものだと思うの。
……でも、クインジーがそう言うのなら、今度からはもっと違う言い方をリディに習うわ。
[私はそう言ってクインジーの傍まで行く間にも、もう一度ハーヴェイと小さな子供のやりとりに目を向けた。]
ああ、そうだ。
マーガレットのおうちなんだっけ。
[聞いたばかりのことを、思い出します。]
ベアトリーチェは――よく、わからない。
どこかにいて、
どこかへゆこうとしていた気がするのだけれど。
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