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……というか、ここに住んでて、それ知らずに済ませられるかよ。
[逡巡の後、続いた言葉に小さく呟く。
くるり、と。
周囲を不自然に風が巡る。
まるで、声を表に出すまい、とするかのよに]
ま、祭り前にそういう話って、聞きたくもしたくもない、けど……。
やっぱ、気になるし、明日にでもギュン爺様辺りに聞いてみるかぁ。
[気になる理由は幾つかあるが。
『本番』に差し障るのは、避けたい、というのがあるのもまた、事実]
さぁて、いつまでもここで突っ立ってても仕方ないし。
おっちゃんとこ行って、メシ食うか。
[巡る風は不意に舞い散り、同時、零れたのはいつもと同じくあっけらかん、とした言葉]
ふんわり♪
[香水の瓶を眺めて、夢見心地だったり。ローザの返答にうんうんと頷いて]
沢山だよねー。お花畑の中で暮らしているみたいで癒されるの。
本当?約束だよー。アタシはベッティ。商人の卵。
わ、ローザって独りで商売してるんだ。大先輩だねー。
[胸を張る姿に羨望の眼差しを送ったのは、隻眼の男が現れる直前のこと]
……ふーん、一体自衛団長に何の用かしら?
花の香りに混じって、何だか悪事の匂いがするわね。
[ヴィリーの態度などお構いなしに、挑発的な笑みを浮かべる。ハンスの手が頭に伸びると、少し冷静さを取り戻して口を閉ざした]
ちっ、タイミング悪ぃな…。
呼ばれたってことは詰所に戻ったんか?
自衛団長から話を聞かないことにはこっちの仕事もままならねぇ。
現時点で情報を持ってるって分かってんのはそいつだけだからな。
[苛つくように舌打ちをする]
[同時に眉根が寄り、短くなった手巻きタバコを右手で摘み]
[いつもより火力強く手巻きタバコを燃やし尽くした]
[溜息交じりに肺に残った紫煙を吐き出す]
これだけ探して捕まんねぇなら食事時でも訊ねるしかねぇだろ。
[暗に示す意味は理解すれど、それを気にするはずもない]
そう………だよね
[アーベルの呟きに、こちらもポツリと
続く言葉は、風に阻まれたのと少し考え込んでいたため耳に入らず
あっけらかんとした言葉には、気遣ってくれてるのかなと思い、にこっと笑うと]
……うん、そうだね。私もお供していい?
丁度良かった。
少し、聞きたいことがあるんだが。
[出会い頭にいきなり切り出す。
彼自身にそのつもりは無いのだが、少女にとっては立ちはだかる壁のようにも見えたかもしれない。
さて、まともな問答はできたのか否か*]
……別に、いいけど。
奢れるほど、金持ってないからなっ。
[どこまで冗談か本気かわからない口調で言いつつ、馴染みの宿へ向けて歩き出す]
(フーゴーのおっちゃんとこ、色々と集まるし、な……)
[上手く聞き出せば、何かわかるかも知れない、と。
そんな事を*考えながら*]
喧嘩を売るようなことはやめなさいって。
[ベッティにはそう小さく言って]
呼ばれた理由までは聞いてなかったから何とも。
こちらとしては迂闊に手を出したくもないからな。
[煙草の燃える香が広がり]
[紫煙に僅か眉を寄せると顔の下を手で覆った]
[その道から外れても癖のように喉を守る]
……詰め所で待てばいいだろう。
いずれそっちにも戻るはずだ。
[そうした場所を厭うだろうことも知っているが]
[どこか揶揄の混じる口調で返す]
[ベッティ。店員さんの名前を覚え、羨望の眼差しには得意そうにしていた。が、片目に傷の怖そうな男を見てちょっと縮み、ぐぐっと怖く寄せられた眉にもうちょっと縮み、さらに怖いタバコを吸う様子にはさらに縮んだ。]
…タバコの臭い消しなんていかがー。
[怖そうだと思いながらも押し売ろうと籠を覗き込むが]
…今無い!はたかるる!逃げる!!
[一人かってに慌ててガシャガシャと駆け出し、振り返って大きく手を振った]
ベッティ、またねー!
[そしてまた、ドシャガシャと音をたてて逃げて行った。井戸水について思い出すのは、*宿屋についてから*]
[聞く度に舌打ちが漏れる]
詰所なんて御免だね。
気分が悪い。
それだったら自宅前で張ってた方がマシだ。
[そう吐き捨て踵を返す]
邪魔したな。
精々掻っ攫われんよう気を付けて帰れよ。
[投げやりな忠告を残し、その場を後にした]
え?
あ、うん。ローザ、またねー。
[唐突にけたたましい音と共に立ち去る様子に呆気に取られつつも、大きく手を振り返した]
[彼女の姿が見えなくなると、思わず笑いを漏らす]
[その後、隻眼の男が立ち去る後ろ姿に睨むような視線を向けて見送り、舌を出した]
ご忠告どうも。
できる範囲で気をつけるとも。
[去ってゆく背に声を掛け]
[慌しく駆け去るローズには何度か瞬く]
何とも危なっかしいな、あの人も。
[そんな感想をつい口にして]
さて、今日はここまで。
そろそろ本気で片付けて俺達も戻ろうか。
[当然宿は確保してある]
[家はあっても戻ることは殆ど無い]
[ベッティに声をかけながら荷物を纏める]
[アーベルの言葉にくすりと笑うと]
ふふふ、大丈夫だよ。私もこの前お金が入ったところだし
もちろん、奢ってもらえるなら喜んで奢ってもらいますけど
[こちらも冗談とも本気とも取れる言葉を返す
そうして、アーベルに付いてフーゴの宿へと*向かうのであった*]
はーい。それじゃ、ちゃちゃっと片付けちゃいますねっ。
……ブンタさんの家の前に、落とし穴でも掘ってやろうかしら。
[ヴィリーが去った方向を見た後、お店の片付けをしていく]
……怒ったらお腹が空いてきちゃった。
宿のご飯、美味しいかなー。
[片付けを終えれば、ハンスと共に宿へと向かうだろう]
それじゃ団長や家族が困るだろう。
[冗談として軽く笑う]
はは、空腹は何よりのスパイスとも言うし。
あそこなら期待を外すようなことはないさ。
[最後に天幕を下ろして畳む]
[荷物を背負うとベッティと並んで宿へ*向かった*]
─広場→詰所付近─
[少しばかり苛ついたまま、念のため確認しておこうと足は詰所へと向かう]
[苛々を抑えようと胸ポケットへと手を伸ばすが]
[逡巡してその手を止める]
[手巻きタバコを作ること無く、そのまま詰所へと赴いた]
邪魔するぜ。
自衛団長は戻って来たか?
[扉を開けるなり中に居る団員へと訊ねる]
[訊ねた直後、奥から「何か用かね」と年老いた声が返ってきた]
アンタが自衛団長か?
今度はタイミングが良かったみてぇだ。
ちぃとばかし話を聞きたいんだが、時間ねぇかな。
[いつもの不敵な笑みで訊ねるが、相手は己の風貌に訝しげな表情を浮かべる]
[露天商の言葉もあってのことだろうが、己にとってはそれもいつものことでしか無い]
なぁに、アンタが調べてることについてだ。
──そう、失踪事件のことを聞きたい。
場合によっては力になれるかも知れん。
[団長の顔色が変わる]
[しばらくの沈黙の後に返って来たのは、後で時間を取るとの言葉]
ありがたい。
時間と場所はアンタの指定で良い。
……分かった、後で訊ねさせてもらう。
[指定されたのは今から二時間後に団長の自宅でと言うものだった]
[承諾すると詰所を出る]
とりあえずアポ取りは成功、っと。
…あの様子じゃやっぱり事実みてぇだな。
向こうにも報告入れておくか。
[口元には笑み]
[胸ポケットから道具を取り出すと、手早く手巻きタバコを作り上げた]
[機嫌良く口元へと運び、指を鳴らし火を灯す]
さて、あの自衛団長はどこまで知ってるんかねぇ。
[そう独りごち]
[紫煙を吐き出すと、一路宿屋へと足を向けた]
─詰所→宿屋─
[宿屋で借りたグレードの低い部屋]
[中へ入ると荷物の中から紙を一枚取り出す]
[その紙には宛名らしき名前が書かれていた]
……アロー、レダクティア。
イキシアの噂はやはり事実らしい。
しばらく逗留して調べてみる。
もし連絡が途絶えたら巻き込まれたと思え。
[必要最低限の情報を紙に記憶させ、手巻きタバコを押し付けた]
[ちり、と煙を上げた紙はいとも簡単に燃え上がり]
[手元から完全に消え去ってしまう]
[尤も、情報は送り先に声としてしっかり届いているのだが]
……首を突っ込むんだ、それなりの覚悟は必要だっつーの。
軍人上がりの俺を雇う時の約束を忘れたのか?
ネタは逐一送る。
もしもの時は頼むぜ。
[己を心配する返答に眉根を寄せ]
[二枚目の紙にも簡潔な返答]
[それきり、荷物の中から紙を取り出すことは無かった]
……ちっ、ストックが残り少ねぇな。
連絡出来て日に一回か。
ブンタさんもカヤも引っ掛からないと思うなー。もっとも、あいつもひっかからなそうだけど。抜け目なさそうだからなー。
……うん、とりあえずご飯食べてから考えよっと。
[いろいろ本気のようだった。両手を組んで大きく上に伸ばした後、両手に荷物を抱えて、宿への道を*歩いていく*]
[そうしてしばらくは部屋の中で一服]
[手巻きタバコが新しく巻かれる頃に部屋を出]
[腹ごしらえをしてから再び外に出る]
[時刻は団長と約束した時間より少し前]
[人気の少なくなった大通りを歩き、団長の家へと向かった]
─宿屋→自衛団長の家─
で、例の話なんだが。
[顔を突き合わせて直ぐに口火を切る]
[団長はしばし黙り考え込んだ後に、重い口を開いた]
[その内容は未だ不確定なことばかりで、確信にまで至っていないと告げられる]
……思いっきし難航してるってわけか。
まぁ良い、情報が全くないよりは、な。
情報提供礼を言う、邪魔したな。
[そう言って立ち去ろうとして、団長に呼び止められた]
[「何故、この事件のことを聞くのか」と]
[その問いに薄く笑みを浮かべた]
…仕事のためさ。
俺も独自で調べてみる。
何か分かったら教えることを約束しよう。
尤も…どうやらアンタは俺を疑ってるようだからな。
信じる信じないはアンタに任せる。
[じゃあな、と]
[その言葉を残し団長の家を後にした]
……さて、どうなるやら。
[紫煙と共に呟かれた言葉は]
[静寂へと*消えて行く*]
―市場―
んむん?
[食べきった果物の芯をぽいと道の端に投げ捨て
歩いて居ると、目の前に現れた壁。
150に満ちない小柄な少女は大抵の相手を見上げる形になる。]
んだよ?
あ、今のゴミか?
[むぅ、と眉を寄せて睨む。]
―市場―
[万華鏡の話は直接されたか否か。
少女は弾かれたように駆け出した。
真っ黒で小柄な姿は、太陽が陰り始めた市場にすぐに紛れてしまう。]
じゃ、またなっ!!
[陽気な声を上げて、ライヒアルトに手を振る。
家に着いた時ちょうど、扉から出て来るジャーナリストとすれ違い。
きょとんとした顔で見送って家に*入ったのだった*]
あっれー、今日帰ってこないんじゃなかったっけ?
[――帰り道。
すっかりと夜の帳が下り、人の行き交いも疎らな路を歩む。
祭りの日は、この時間も賑わうのだろうとぼんやり思う。
家に帰り着き、消えたランプに火を点す。
今は魔法の灯りも多いが、彼女の使うのは旧式だった]
全く。
脅し文句も、意味ないじゃない。
[一人分作るのって、面倒なんだけど。
呟いてすぐ、作り置きすれば良いかと思い直して支度をする。湯気が立ちのぼり、食欲をそそる匂いが漂った。]
―広場→宿―
カヤ君も目端は利くか。
でもそのレベルじゃ到底無理だろうな。
[思ったより熱の入っている口調に笑いは苦笑へと変わる]
頼むから、本気で実行したりするなよ?
揉め事は御免だからな。
[宿に着いて扉を開く][中は既に喧騒に包まれていた]
[見知った顔、見知らぬ顔]
[食事も好評だからか宿泊客以外も随分といるようだ]
ベッティ、席を確保しておいてくれないか。
ああ、先に食べ始めていていいから。
[言ってベッティの抱えている荷物に手を伸ばす]
[二人分になっても苦労する様子はなく]
[同業者や馴染みの顔に挨拶しながら借りた部屋へと*向かった*]
―市場―
[彼の身長は然程高くない。160cmより少し上といったところだろうか。
何にせよ、目の前の少女を見下ろせることに変わりはないが]
ゴミも勿論だが。
[林檎の芯の飛んで行った辺りに一度眼をやった]
先程露店のほうで盗難があったと聞いてね。
そこできみを見たという話を…って、ちょっと待…!
[話を繋げながら少女に視線を戻し、だが既に駆け出していた彼女に遅れて伸ばした手は当然ながら届かなかった]
…まあ、明日でいいか。
[暗い中ではどうせ追いつけないと息を吐く。
それにしても怪しい反応が気にはなるものの、今更進路を変えることは*なかった*]
― →宿屋 ―
はーい、わかってまーす。
……もっと確実な方法を思いつかないと。
[ぶつぶつと呟きながら宿の扉をくぐる。部屋へ向かう師匠を見送り、食堂に空いている席を確保した後、メニューとにらめっこ]
あっちも美味しそうよねー。
あ、こっち、こっちー。
[師匠の姿が見えれば、大きく手を振って*呼び寄せたろう*]
─宿屋─
[姉の思いは知らず。
やって来た宿屋で、カウンター席にひょい、と陣取る。
その場所は、いつからか定位置となっていた]
や、おっちゃん。
さすがに祭り時期、人が多いねぇ。
あ、今日のお勧めなに?
[軽い口調で主人に声をかけ、食事を頼む。
知った顔がやって来るのを目に止めたなら、やっほー、と軽く言いつつ手を振って]
……とっころで、さぁ、おっちゃん。
ちょっと、聞きたい事があるんだけど……。
祭りに出る予定だった、人形遣いさんのこと、知ってる?
[食事の合間、主人の手隙のタイミングを計って小声で呼びかける。
問われた主人は訝るように顔を顰めつつ、それがどうした? と問い返してきた]
ん、いやあ、ちょっと、ね。
……最近、姿見ない、って噂を聞いたから、『本番』大丈夫なのかなー、って。
[何気ない風を装って言葉を続ける。蒼の瞳はどこか、窺うよに主人を見つめ]
「……いらん事に首突っ込むな。姉さんに、余計な心配かけるもんじゃない」
[しばしの沈黙を経て、主人が吐き出したのはため息混じりの一言。
その言葉に、蒼は一瞬鋭さを増して]
……そーも、いかねぇよ。
もし……『同じ』だってんなら。
今度こそ、黙っちゃいらんない。
[呟きはごくごく小さく。
その様子に、主人は大袈裟なため息を一つ、ついた]
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