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[きゅっとハーヴェイの腕を取りしがみつく、視線はもうセシリアだったものの方には向けない。]
……
[ハーヴェイを見上げて覗き込んでからそのまま顔を埋めるようにした。
ユージーンをとがめることなんてもちろんしなかった。]
─書庫─
[墓守の手にした銀刃はやがて、少女の動きを止める。
零れ落ちたのは、嘆息]
……だから、言ったのに。
[そんな様子では自身が殺されかねない、とセシリアに示唆したのは、ほんのついさっきの事だった。
人の生死、それ自体は決して遠いものではない。
だから、その点での動揺などはなく]
……エッタ様?
大丈夫ですか?
[むしろ気がかりなのは、こんな状況に慣れているとは思いがたい少女の方。
振り返り、そう、と問いかけた]
―書庫―
申し訳ありません。
[少女の目を伏せ、やがて墓守は立ち上がった。
もう一度紡ぐ謝罪は、「客人」に向けて。
手首には赤い跡が残っている。
引き抜いた刃は赤く、痕からは血が流れ続けている]
お見苦しいところを。
[声色は事を起こすより前と変わりない]
―書庫―
大丈夫、です。
[震えを止めようとすれば身体は強張る。
固い表情での答えは言葉通りには聞こえないかも知れない]
キャロルさんが。
無事でよかったです。
[本を片腕に抱え直し空いた手をキャロルに手を伸ばす]
私…私。
ジーンさんが居なかったら私がセシリアさんに。
[飛び掛っていただろうと声を震わせる]
こんなに食べたのはじめてだよー
[マンジローに笑って言う。
ぐったりして、うれしいとか言って。
書庫の騒ぎには、きっと自分はついていかない。
死んだという報告にも、多分何もしない。
じゃあ片付けなきゃね、と、言うくらいだった。]
―広間→書庫―
・・・皆、遅いでござるな。
[何人かは書庫に行くと言っていたか。他の者は自室であろうか。ラッセルから庭に作物を採りに言ったと言う事を聞けば]
それはありがたい。
ではキャロル殿とユージーン殿に言って、上手い飯を作ってもらわねばならぬな。
では、我はちょっと二人を呼んでくるでござるよ。
[ラッセルたちに一礼して広間を出て行った]
[ユージーンの声に其方を見る。
銀の刃は緋に染まって命を奪った事実を誇示していた]
…いいえ。
[事を成す前と変わらない声に少し引き攣りながら首を横に振った]
[腕を取り、震えて顔を埋めるシャーロットの背を撫でた。
恐怖に怯えているのだろうか、そんな風に見てとれる。]
……大丈夫だから。俺が傍に居るから。
[そう何度も耳元で囁いて、彼女をなだめた。
ユージーンの様は見ている事しか出来ないのが。
彼女を抱えて何処かへと立ち去るジーンを追う事も勿論出来なかった。]
………出よう、ここを。
とりあえず、広間に。
[血溜まりの残る書庫に残るのは、いろいろときついからと。
そう、残った者を促した。]
[片付けませんととユージーンの声が聞こえる、その言葉の意味することはすぐにわかった。]
……(こくり
[ハーヴェイに顔を埋めたままうなずくような仕草を返す。
体がわずかに震えるのはとめられなかった]
―書庫―
[ユージーンは書庫に居るはずだ。キャロルは確かヘンリエッタと一緒にいるだろうが、どこに居るかは分からない。では、まずは居場所の分かる方から行けばよい。そう思い、少し迷いつつもようやく書庫の場所まで辿り着いた]
おぉ、皆いるでござるか。
ちょうど良かった、実はラッセル殿が菜園から・・・作、物・・・を・・・・・・
[言葉が途切れる。目の前の状況が良く分からない。ただ分かるのは、倒れている少女と血の滴るナイフを持った墓守の姿。]
墓守殿・・・お主、何をしておる・・・!
─書庫─
あら。
……私、こう見えても荒事には慣れていますのよ?
[震える声と、どこか強張った様子。
安心させなくては、と向けるのはやわらかな笑み。
荒事に、という言葉には偽りはない。
事実、セシリアが事を起こすようであれば、隠し持つ刃を振るうにためらいなどはなかった]
ですから、危ない事はなさらないでくださいましね?
[少しだけ、困ったように言いながら、差し出された手を取る。
もう一方の手は、宥めるよに肩に触れた]
[ハーヴェイに宥められればいくらか落ち着いたのか、震えもとまるだろう。]
……
[顔を離してハーヴェイを見る表情は複雑な面持ち、
促されれば頷いて広間へと向かう]
謝るようなことは、なくてよ、墓守殿。
……あなたは、自身の勤めを果たした……のでしょう?
[墓守の言葉には、ただ、それだけを返し。
亡骸を抱え上げ、立ち去る背を見送った]
……そう、ね。
ここにいるのは、さすがに辛いわ。
[それから、ハーヴェイの言葉にひとつ、頷く]
[セシリアが刺された後、マンジローがきていたのかもしれない。
けれども自分はハーヴェイに顔を埋めていて、周りの声もあまり耳に入っていなかったから気づかなかった]
……
[広間に向かおうとしたところで初めてマンジローもいたことに気づいた]
―書庫―
マンジロウ…。
[事情を知らずやってきたマンジローに、今の様はどう写っただろうか。
傍から見る限りでは、ユージーンに非があるように見えるような。]
俺から見た限りの事情でよければ、広間で話すよ。
とりあえず戻ろう。
ここは血の匂いに溢れてるから。
[そう彼も促し、広間にたどり着くけば拙い手つきで紅茶を入れようとするだろう。
誰かがみかねて代わってくれるのなら、そちらに任せるのだが。]
―書庫―
それでも。
[確かに旅慣れている踊り子の方が身体的にも強く対処法も心得ている事だろう。然し理屈では無い衝動なのだと言い募ろうとするが続ける言葉もそう出ては来ない]
…はい。御免なさい。
[困ったように言われれば素直に頷いた。
握られた手は温かかった。緊張で冷たくなりかけていた手が其れを特に感じ取る。肩に触れた手も同様で落ち着いてゆく]
マンジローさん。
[ハーヴェイの提案に従い始めたらマンジローの声が響いた。
説明は受け入れられるだろうか。困惑顔でキャロルの手を*握っていた*]
―書庫→広間―
[咄嗟にユージーンに掴みかかったりするだろうが、それはおそらく周りの者に止められるだろう。ハーヴェイから広間で事情を話すと聞けば、渋々ながらも腕は放すが、ユージーンには不審の目を向けておく]
・・・彼女に布団か何かを掛けてやるでござるよ。
このまま放置しておくわけには参らぬ。
[重々しい口取りでそれだけ言うと、自分の部屋に戻ってシーツを持って来て掛けてやる。その後、ハーヴェイ達を追って広間に戻った。]
[自分はほかの皆の反応がどうであれ、ハーヴェイに従う。
広間につき紅茶をいれようとする様子に自分が手伝う]
……
[動いていれば少しは気分が晴れるだろうとハーヴェイは思うだろうか?
広間にいる皆の中から求められた者に紅茶を*差し出していく*]
─書庫→広間─
[素直に頷くヘンリエッタに、やわらかく笑んで]
……さ、私たちも参りましょう。
[ハーヴェイたちが移動するのに続いて、書庫を後にし、広間へと向かう。
広間に戻ったなら、ヘンリエッタは椅子に座らせて。
ハーヴェイの手つきに不安を感じるものの、シャーロットが手伝う様子にそちらは任せる事にして]
私たちにも、お茶をいただけますかしら?
[こう、声をかけ。差し出されたカップのひとつはヘンリエッタに。
自身も、カップから立ち上る香気に、しばし気を安らげた]
―広間―
[書庫にあるセシリアの遺体にシーツを掛けた後、皆の居る広間へと戻る。ハーヴェイ達がお茶の準備を終えるまで、広間の隅に黙って立ったまま眺めている。その瞳は何時に無く険しい。]
・・・我の分は遠慮するでござるよ、ハーヴェイ殿。
とてもではないが飲む気にはなれぬゆえ
―広間―
[マンジローがユージーンに怒りの形相で掴みかかるのはすぐ見てとれる。
間に入るにはシャーロットがいて出来なかったが、声での制止を聞き入れるだけの理性は残っていたようだった。
セシリアの遺体を労わるマンジローらより先に広間に戻った。
紅茶は結局、途中からシャーロットに任せた。その方が本人も気が紛れると思ったので。
受け取った紅茶を一口のみ、喉を湿らせてから、まずマンジローに何を話すか言葉を探す。
マンジローが険しい目でこちらを見るのは理解できたので、小さく息をつくだけだった。]
………セシリアは、人狼を殺せさえすれば、後のことはどうでもいいと。
最悪全員殺すしかないかと、そう言っていた。
全員殺せば、人狼を殺したことになるからと、口にする様は段々と狂気に囚われていくように見えて…。
こちらに殺意をむけかねない状況で、先にユージーンがセシリアを殺していた。
[そう言った後で、一つため息をついた。]
……能力者という存在を知っているか?
人狼と対になる存在、とも言われている者たちの事だ。
人狼を追い詰める事のできる特殊な力を持つ者。
それ故に人狼に近づけば自身の力に飲み込まれ、精神に異常をきたす事もある。
セシリアは、たぶんそういう類の人間だったんだと思う。
[彼女は『殺しさえすればそれが人か狼か見える』と言っていた。
それはおそらく、霊能者と呼ばれる部類の能力者だということ。]
どーしたの?
[広間の、机の近く、影になるような場所におなかいっぱいでへたっていた。
ので、起き上がって、ふしぎそうに皆を見る。]
─広間─
[紅茶のカップを傾けつつ、周囲の様子に気を配る。
セシリアの言葉──殺せば見分けられる、という部分の真偽を確かめる術は、女にはない。
だが、そう言った力を持つ者とて、立ち回りをしくじれば殺められる事もあり得るのだと知らしめた]
…………。
[能力者について語るハーヴェイの話を聞きつつ、思考をめぐらせる。
傍らの少女もまた、その力持つ者なのだろう、というのは容易に思い至る。
そして、そんな部分とはかかわりなく。
ヘンリエッタの身の安全を図るには、どうすればいいのか。
女の意識は、その方向へと強く動いていた]
・・・馬鹿なことを申せ・・・!
[自分が見ていたセシリアは、主に事件の後ギルバートと話していた頃の印象。確かに事件が起こる前の彼女とは印象が変わり、違和感があるとは思ったが、とても狂気に陥っていたとは思えなかった。]
信じられぬ・・・!
確かに彼女は人狼を倒したいと言っていた。
事件の昂奮の所為か、いつもより饒舌になっていたのは分かるが、人狼を倒すために全員を殺すだの狂気に囚われていただのと!
我は今朝の彼女の笑みを覚えておる。
子供のような、あの屈託の無い笑みを。
あれが、狂気に囚われた者の成せるものであったというでござるか!?
[ハーヴェイが伝える言葉は、あまりにも自分が持つ印象と違いすぎる物だった。知らず知らず語気が荒くなっていく。]
[味方を増やせば、少なくとも人に殺められる可能性は少なくなるか。
人ならざる者に対しては、なす術もないけれど。
ならばどうするか。
そんな思案に沈む表情は自然と険しさを帯びるか。
傍らのヘンリエッタが変化に気づき、気遣うよな声を上げるなら、とっさに笑みを作って大丈夫です、と返し]
……狂気は、時として無邪気さと似る事もありますわ。
ひとつの目的のために純粋に突き抜けていたのであれば、屈託など見えなくなるかもしれなくてよ?
[語気を荒げるマンジローに、静かな口調でこう告げる]
……それに……「人であっても今は殺さない」という言葉が。
正常な思考から出るとは、とても思えませんわ……。
……もっとも、実際にどうだったのか。
私たちには、もはや知る術もないのよね。
……その事で、言い争うのは得策ではないのではないかしら?
[続いた言葉は、ため息混じり。
広間にいる者を見回した後、カップの中を干して、立ち上がる]
―広間―
[―霊能者。死んだ人物が本当に人狼だったかどうかを知ることができる者。確か、そんなことを聞いたことがあるような気がする]
彼女がその能力者で、その能力ゆえに狂気に陥ったと、お主はそう言われるのか?
[もちろん、自分にもその話の真偽はわからない。自分としては納得のいく答えではなかったが、目撃者はハーヴェイだけではない。シャーロットもキャロルもヘンリエッタもいる。彼女らがハーヴェイの言い分に同意すれば。信じざるを得ないだろう。彼ら全員が嘘を言っていない限り]
我には、残念ながらその話を確かめるだけの知識はござらん。
しかし、あの書庫には墓守殿とハーヴェイ殿以外に3人もの人が居った。
とすれば、信じるより是非はなし。
[それは搾り出すかのごとく重々しい声であった。惨劇の夜からようやく落ち着いたというのに、こんな事で一人命を落としてしまうとは!]
……なら踊り子の君にエッタ嬢、シャロにも聞いてみればいい。
違う事を言うんだったら、俺の目が異様に腐ってただけだろうさ。
[怒りを隠そうとしないマンジローには淡々と、冷静さを含んだ面持ちで告げる。]
成せるものかといわれたら、そうだと言わざるを得ないな。
俺は彼女が子供の頃にも、何度か会っていて。
幼い無邪気な顔も、さっきの狂気も、どちらの顔も目の当たりにしたんだからな。
[とは言ったものの。キャロルが言うように実際はどうだったか。もはや可能性を口にするしか出来ない。
>>51話を聞けば、マンジローも少しは冷静になったのだろうか。搾り出すようだが納得したという声に、それ以上告げる言葉はなかった。
そう言ったあたりか。今目を覚ましたというようなトビーに気がつき、彼の問いには。]
セシリアが死んだんだ。
[とりあえずそれだけ告げおいた。
どうして死んだか問われれば、殺した相手がユージーンだと告げるだろう。
おそらくそのあたりを聞いても、トビーは動じたりはしないのだろうが。]
[起き上がってきたトビーには、セシリアのことを伝えるか少し逡巡する。だが、そもそも隠す事に意味は無いし、トビーはもう人が死ぬのに慣れっこであるらしい事は分かっていた。おそらく、淡々とした反応しか返らぬであろう]
セシリア殿が死んだでござるよ。
・・・狂気に囚われて
[ただそれだけを告げ、後はその場に座り込んだ]
[起き出してきたトビーへの説明は、ハーヴェイとマンジローに任せて、女は傍らの少女を見やる]
……エッタ様、部屋に戻って休まれますか?
一度に色々とおきましたし、お疲れでしょう?
[気遣う言葉をかけて、退室を促す。
ここでは色々と、落ち着かぬだろう、と思ったから]
……ハーヴ殿。
後で、ちょっとお話したいことが。
[立ち去る間際、ハーヴェイに小声でこう告げてから、広間を出て、二階の客間へと向かい。
ヘンリエッタが休むのを見届けたなら、自身も休息を取るだろう**]
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