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─ 地下一階・武器庫 ─
[地下一階まで降りたのは、事が起きたのが室内庭園とは知らなかったからと。
己の身守る為、『ゲーム』に勝つ為の牙を早く強固にしたかったから。
武器庫の中に入ると暫し物色に時間を費やし、選んだのは]
使いやすそうなのは、これかな。
[腰に括りつけているナイフを3倍程大きくしたような小剣を手に、独りごちる。
そのまま幾度か振って、その重さと間合いを身に覚えさせてから腰に取り付けた鞘に収め。
もうこの場に用は無いと、踵を返した]
─ →一階・室内庭園 ─
─ 一階・室内庭園 ─
[武器庫から出て向かったのは、室内庭園。
青年が横たわるその場所に、ジラント達の姿は既に無く。
キリルやメーフィエがその場に居たならば、会釈位はしたが声はかけなかった。
誰がいてもいなくても、構わず青年の元へと近付いて]
ベルナルトさん。
[名を呼び、傍らに膝をつく。
その顔を見て、緩く細めた目を、伏せて]
借りにしておくと言っておいて。
…踏み倒していくのは、どうかと思いますよ。
[さらりと、金の髪を掬いあげて。
青年にしか見えないように顔を俯かせ、言葉を紡いだ後。
ふらりとした足取りで、この場を離れた]
[それから、どこへ行き何をしたか。
少なくとも、生きている誰かの部屋を訪ねることはせず。
食事を取りに行くことも、しなかった。
この屋敷に着いたばかりの時は確かに空腹を覚えていたのに。
今は、まったく食欲が湧かなくて。
リディヤの部屋、女主人の書斎と辿り、彼女達の亡骸に触れ。
最終的に足を止めるは、三階の展望室**]
─ 数時間前:一階/室内庭園 ─
[ジラント>>26から返る声は是を含み。
僕は彼がとびきりの獲物を仕留めたのだと改めて知る。
彼の指示通りに止血を手伝い、上がる絶叫>>28に思わず耳を塞ぎたくなった。
けれど目の前で弾け飛ぶ紅が目に入り、反射的に言われた通りにガーゼで傷口を強く押さえる。
問うた声に返されるままに押さえつけ、処置が終わった後に僕は深く長い息を吐いた]
終わり……ですよね。
うん。
[問いに返る声>>29に頷き返して、僕はジラントを支えて大広間へと連れて行った。
食事はついでに一緒に済ませる。
その後、彼が自室に戻る際にも手が必要なら、支えることもするだろう*]
― 自室 ―
ん……。
[男は深い眠りから目を覚ます。
いつもの様に身体を起こそうとして、ずきり、胸に走る痛み。]
―――っ!!
[再び伏せ、痛む箇所に視線を向ける。]
あー、ちくしょ。
こりゃ暫くは大人しくしとかねぇと、か……。
[血は止まっている様だが、激しい動きには耐えられないだろう。
顰めっ面をしつつ、今度はゆっくりと身体を起こして、煙草に手を伸ばす。]
[紫煙、深く吸い込み、吐き出した。
思い返すのはベルナルトとの戦い。
人を喰らうバケモノなのに、戦いぶりは人のそれと変わらなかった。]
なんなんだろな……鬼って……。
[ぽつり、零して。
嗤う。
小難しいことを考えたってどうにもならないとわかってるのに、と。]
[煙草を吸い終えた男は、ゲームが終わったなら玄関が空いているかもと、念の為に腰に鉈を下げ、部屋を出た。
壁に片手を付きながら、なるべく傷に響かない様にそろりと廊下を歩いていれば、血の臭を近くに感じ、顔を顰めた。]
ここ、か……。
[血の臭が漏れている扉をノックする。返事はない。
用心のために鉈を抜いてから扉を開けた。
どす黒く変色した血に染まったシーツが見えた。]
→ ニ階・リディヤの部屋 ―
……誰も、いねぇか。
[鉈を再び鞘に収めてからシーツの傍にゆっくりとしゃがみこみ、僅かにめくる。
左目に最初に激痛が走った時、気遣ってくれた少女が、変わり果てた姿で横たわっていた。]
……お嬢ちゃん、か……すまんな。
[血の変色具合やこぼれた血の固まり具合から、恐らくはベルナルトと戦う前に殺られたのだろう推測できたから。
少女が喰われる前にベルナルトを狩っておれば、とつい侘びの言葉が口を吐いた。]
― 二階/リディヤの部屋→ ―
[キリル>>7には、「彼女」の方を見ぬまま無言で小さく頷いてみせた。
何処か曖昧に聞こえる響きは、理解しきれていないようだとも漠然と思いはしたが、それでもさらに言葉重ねることもせず。
やがてサーシャに続きアレクセイ>>8の足音が遠ざかるのを聞いた時も、そちらに一瞥を向けるでもなく、ただ黙っていた。
それから幾らかして、メーフィエもまた顔を上げ、立ち上がった。
スカートの膝元にはリディヤの血が染みるも、それに視線をくれることもなかった。
もしこの時キリルが未だ部屋に居たとしても、メーフィエの方から視線を向けたり、何かしらの言葉を残したりすること無く。
ただ無表情を保って、部屋を出て行った。]
─ 一階/大浴場 ─
[オリガの骸を抱き締めたまま、彼女が言っていたことを思い出す]
[── …私の時も、そうして下さいね ──]
[ああ…、と小さく声が漏れた。
腰を折って抱き締めていた状態から起き上がり、自分に凭れさせる形でオリガを抱え上げる。
パシャリと水飛沫を散らしながら、僕は湯船から上がった]
……まだいる……
『鬼』が、まだ 居る
[死んでいない。
ジラントが『鬼』と言ったベルナルトが死んでも、終わらなかった。
何故?]
……ベルナルトさんじゃなかったんだ……
アイツが、嘘ついたんだ
[正しい思考は為されず、顔の左半分のように歪み行く。
憤りは、憎悪は、先刻手当てをした狩人へと向いた]
─ →二階/オリガの部屋 ─
[脱衣所を抜け通路へと出て。
滴る雫はそのままに客室のある二階へとオリガを運ぶ。
左足の痛みなんてもう分からない。
足首は恐らく悲鳴を上げていたのだろうけれど、僕はそれを感じることが出来ないままに階段を上って行った]
……………
[誰かに声を掛けられたとしても足は止めることなく。
醜く捩れた肌を晒したままオリガの部屋の前へ。
一時だけオリガを左腕だけで支えて部屋の扉を開いて、彼女を抱えて部屋の中へと入った。
ベッドに仰向けに横たえて、備え付けられた毛布をオリガにかけてやる。
それを終えて力なく両腕を垂らした後、僕はゆらりとオリガの部屋を出て行った]
─ 三階・展望室 ─
[硝子張りの部屋、一人佇む。
外の異変に気付き、確認の為駆け込んだ時と同じく、見上げるのは紅い月。
けれどあの時のように、震えが身体を走りはしない。
身の内にある感情は変わらぬもの、だけれど]
───…?
[ぐ、と。
無意識、握ろうとした掌に走った痛みに気付き。
視線落とすと、ナニかの棘が作ったのだろう、小さな傷から血が滲んでいた]
─ 三階・展望室 ─
[微かな、けれどはっきりと流れ出る赤を見つめる。
命あるものから流れるそれ。
『鬼』が置き去った華と、重なる色。
それに口つけ、嘗め取って]
…やっぱり、不味い。
[小さく声落とす、表情に色は無く*]
― ニ階・リディヤの部屋 ―
[切り裂かれた喉と胸元。
そして、飾られていたのは真紅の薔薇。
女主人の元にも落ちていたもの。
そして、ベルナルトが庭園で触れていたものと同じ。]
随分キザったらしいこった。
手向けのつもりかね?
[皮肉に口元歪めるも、薔薇の花はそのままに、シーツを元に戻す。
少女の素性を知っておれば、故郷に送り届けもできただろうけど、生憎男は知るわけがなく。
もしかしたら、オリガなら、宿帳から調べられるかもしれないと、雨に降られてこの館に来た時のこと>0:110>>0:114を思い出す。]
……あー、なんにせよ、ここを出てから、だな。
― エントランス ―
[がちゃがちゃ、虚しい音が響く。]
……どういうことだ?
[男は玄関に手をかけたまま呟く。
未だ、誰も逃がさないとばかりに閉ざされたまま。]
まさか……
[思い返すのは、リディヤの部屋で感じた違和感。]
―――まだ終わってないって事か?
[だとしたら。
まだ狩りは続くのに。
男の身体は、狩をするにはもうずたぼろで。
ましてや獲物すら見つけてはいない。]
くそったれが。
ただ狩られる側なんざぁ真っ平ごめんだってぇの。
[吐き捨てた。]
[ベルナルトを刺し――「コエ」で、それを聞いた――返り撃たれたのだろう者が誰だったのかは、その時以降に顔を合わせた者たちの顔を思い出せば、その時に見ていなかった者たちの誰かだと解る。
思い描いたのは、名を未だ聞いていなかった、たどたどしい口調の筈だったあの男。
「変化」しているように見えた恐ろしい彼も、この世に居ないのだと思えば。
心に抱かれるのはやはり、安堵の方だった。]
あとどのくらい、『人』が死ねばいいのかな。
[――それは何処まで、本当の「あたし」?
ふっと何処かで迷って、けれど、一先ずはそれ以上の思考を止めた。
「理不尽な」『ゲーム』に、のまれて、受け入れて。
そして――ただそれに勝たねば、と決めるように。]
あたしは、みじめじゃない。
ひとりじゃ、ないん、だから。
一緒に、生きて、勝つんだ。
―――…一緒に。
[「仲間」のひとりのコエが途切れて抱いた哀しみと。
もうひとりの「仲間」の行く先を気に掛ける心。
それさえも、「メーフィエ」ではないものの思考かもしれなくて――。
自分とも自分でないとも付かぬ心を抱えたまま。
けれど確かに「死にたくない」と思った彼女は、鏡の前を離れ、ベッドに一度身を沈めた。]
─ 二階 ─
[点々と通路に続く水雫の痕。
大浴場からオリガの部屋へ続いていたその上に立ち、僕は一度通路を見回した。
前髪は乱れたままであり、その下から窪んだ左目と、それを縫うように捩れた肌が覗く]
……最初から ” ”せば良かったんだ。
誰がどうとか分からないんだから、 ” ”せば良かったんだ。
僕と、オリガ以外、みんな。
[掠れた声で呟かれる言葉。
不穏な単語は紡がれたようで音にはならず、うわ言のように言葉を連ねながらある人物を探した。
”嘘”をついた、その人物を]
[水痕をなぞるように階段を下りて、エントランスへと向かう]
……あの人も。
誰も彼も。
────……”殺”してやる。
[歪みに歪んだ思考は、対象を選ばず。
生きるためと言うよりは、憎悪と喪失感に支配されて牙を剥こうとしていた]
― 客室→二階廊下 ―
[客室に籠りベッドで身を休めているのは、「仲間」から告げられた言葉故。
けれどそれでも、心安らかにこの場に留まっている訳ではなかった。]
ジラント、さん……は。
[鬼を見つけたと言っていた男。
今どんな傷を負っているのか、厳密に言えばその生死さえも、メーフィエは未だ知らないまま。
彼の動向を案じ、それでも尚、外に出ないままでいたのだけれど。]
…………………。
[もし「仲間」に見つかったならば、お腹が空いたからと言えば良い、と。
実際、最後にスープを飲んでから長いこと何も食べていないのは事実で――。
血の付いたスカートを脱ぎ、屋敷に着いた時に着ていた黒いワンピースに着替えてから。
少し長めの剣を、再び腰のベルトに差し、廊下へと出た。]
……アンタのせいだ。
アンタが、オリガを殺したんだ。
[ゆら、と身体を揺らして、僕はベルトに通してあった刀身波打つ短剣を抜く。
右手で握り、けれどもだらりと腕を横に垂らして。
大股で無造作に歩き、ジラントとの距離を詰めようとした]
― エントランス ―
[オリガが殺された。
その事実に男は、ああと息を漏らす。
推測はやはり当たっているのだろうと。]
[男は生憎鈍感だから、サーシャとオリガ、二人の間にあった感情などわからなかったけども。
それでも、今のサーシャの激高ぶりを見れば、彼がオリガを憎からず思っていたのだろうとは想像は着く。
けども。
今はオリガへの弔いの思いよりも、勝手な思い込みをしているサーシャへの怒りの方が勝って。]
うっせぇ……
びぃびぃ喚くなガキがっ!
[低い声で一喝。]
……惚れた女守りきれなかった八つ当たりしてんじゃねぇよ。
つーかだ、なんで鬼が一匹しかいないって発想になってんだよ……。
付き合いきれんぞ。
[右手は柄を握ったけども、まだ鉈はさやに収まったまま。]
― →三階 ―
[廊下に落ちる水跡を辿ったのは階段の直前までで、ボクは上へ行くことを選んだ。
今更になってしまったけれど、話で聞いていただけのアナスタシアさんの死体を見ておこうと思ったのだ]
“おにさんこちら、てのなるほうへ”……っと。
[なんとなく、自分では遊んだ事もない遊びの歌を口ずさんでみたりして。
以前は途中で止まって、ベルナルトさんと誰かさんの殺し合いを見ていた階段を上がり切って、書斎の方へ歩き出す]
─ 三階・展望室 ─
[落ちた花弁には気付かぬまま、一瞥するは空の月。
煌々と輝く紅が染めるは、己だけでなく森に降り注ぐ雫も変わらず]
本当に。
この『ゲーム』の仕掛け人は、趣味が良い。
[口にした皮肉は、誰かの耳に届く事はあったか。
この屋敷に来てから、時追う毎に人の気配には敏感になってきたけれど]
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