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─ 宿・一階 ─
[震える少年を宥めるのは他に任せ、自分は黙々と現実に向き合う。
差し出されたシーツ>>10を受け取った時に眉が寄ったが、それはふらついているのが見て取れたからで]
…………。
[その場では何も言わずに、クロエの亡骸を部屋へと運ぶ]
と、いうか、なぁ。
この騒動始まってから、何度目なんだよほんとに……。
[団長の頭から始まって、亡骸を運ぶ時には何かしら手を出したり、自主的に動いたりしていたな、と。
ふと、そんな事が頭を過った]
[クロエを部屋に寝かせた後、短い時間黙祷して、それから]
ある意味……俺が、だよな。
[ぽつりと呟く。
欠けたピースを埋めるために、投げかけた問い。
それがこの状況に繋がったわけで。
苦いものはある、が、それを悔いたくはなかった。
単なる意地張りではあるのだが]
……てわけで、恨むなら、俺にしといてね、クロエ嬢。
[冗談めかした言葉を、亡骸へ投げて。
階下に戻ると血の跡を片付けたりなんだりしてから、ライヒアルトが部屋に戻るのに手を貸した]
……とりあえず、参ってる所にってのもなんだから、話、明日な。
ちゃんと、休めよ。
[言わずもがなかと思いながらも、こんな言葉を投げておいて。
部屋に戻ると、客観的な事実を紙へと書き足しておいた]
─ 翌日/宿・一階 ─
[明けて翌日。眠りは相変わらず浅く、目覚めも早い]
……これで、熟睡できてれば、健康的なんだけどなー。
[ぼやくように呟きながら、身支度を整えて、階下へ。
人が大分減って、宿の中は静まり返っているように思えた]
……どちらが真実を言っているにせよ、ひとつは落ちてる……って、事、だよ、な。
[階段を降りながら小さく呟く。
心情的な面では、フォルカーの方に大きく傾いているが。
可能性の分岐を潰せないのは、『学者』としての悪い癖と言えて]
これで……終わっててくれれば……。
[くれればいい、と呟きながら、一階に降りる。
いつもの席に、いつもの金色の髪が見えると、そこだけは相変わらず日常だな、なんてふと、そんな事を考えて]
あ、そう言えば……。
[昨日は意識がクロエたちの方へと向いていたため、良く見てはいなかったが。
ヘルムートが、友に問いを重ねている様子だったのは気づいていた。
何を話していたのか、何が聞けたか、それを聞いてみたい、という思いから、自然と足はそちらへ向く]
おはよー、ヘルムート……くん?
[声をかけ、それから。
感じる、違和感。
違和感の理由は、薄らと予測できるのだけれど。
少なくとも、今見えている姿には、異変はないように見える。
にしては、妙に力がないようで。
呼びかけに反応しないのも、奇妙と言えばそうで。
嫌な予感だけを積み上げながら近づき、そして]
……んなっ!
[違和感の理由に、気づいた。
いつもの席に、少しだけ気だるげに座っている風のデザイナーの青年は。
左側の半身を、失していた。
その状態が何を意味しているのかは、説明を求めるまでもなく]
っ……じー様や、ゲルダ嬢のも、きつい、と思ったが……これっ……。
[無意識、後ずさりした弾みで近くの椅子にぶつかる。
勢いがついていたためか、椅子は大きな音を立てて倒れた。
その音を聞きつけた宿の主人が何事か、と顔を出して声をかけてくる]
……親父さん……また、シーツ、たの、む。
ヘルムートくん、が……。
[殺されている、と。
どうにか出した声に、宿の主人は慌しく駆け出して行った。
その足音を聞きつつ、何度目か、息を吐き]
……まだ……終わらない……って、こと、か。
[低く、低く呟いて、深緑を伏し。
シーツが届けられたなら、広げたそれの上に、椅子から下ろしたヘルムートの亡骸を横たえ、包む作業に黙々と取り掛かる。**]
― 前日/宿屋一階 ―
[フォルカーとクロエの二人の間に入る事は出来なかった。
狼なのかと問う少年の変声前のまだ高めの声音>>2に
少女はクロエへと双眸を向ける。
少年を跳ね飛ばした力は女性のものとは思えなかったが
見目は人間にしか見えず困惑する。
少女も確かに彼女を疑いはしていたのだ。
ゲルダが襲われた前日、彼女に付き添っていたのは
クロエその人であったから。
アーベルが傍に居た時は彼女は無事だった。
短絡的かもしれないが、手掛かりは少女の目につかない。
少年が見定め人間であるといわれた二人を手に掛けた
ヘルムートとライヒアルトも疑えぬ事はなかったが
後者に関しては少女は無意識に疑う事を避けていた]
[少年が手にしたブローチがクロエの咽喉へと突き刺さる。
柔らかな皮膚に食い込む銀。
二人の白いに傷口から溢れた赤が絡みゆく。
力尽きたか少年の方へと倒れるクロエの躯。
大きく見開いた翠がその光景を映していた。
くろを意味する少年の呟き>>4
其れが何を意味するか直ぐには分からない。
少年の言葉を耳に留め、問うような響きを滲ませ言葉なぞる
オトフリート>>5に一度視線のみを向けた]
――…。
[村の住人の一人。
命が失われたというのにただぼんやりとその事実だけを受け止める。
アーベルやゲルダの死を目の当たりにした時ほどの衝撃はなく
感情の揺らぎは薄くあった。
次第になれてしまうのだろうかと何処かで思う。
フォルカーの疑問>>7は少女にも答えが見つけ出せない。
自衛団の求めた処断により情報は少しずつ増えてゆく。
けれど、如何してと思う事は増えはしても減りはしなかった]
[オトフリートの言葉>>8が聞こえれば
少女はしっかりと一つ頷いて其れに応じる]
――…うん、傍に居る。
[遺体を運ぶ事をオトフリートに任せる形で
少女は少年の傍に留まる事を選んだ]
優しかった、けど。
夢の話をしたのは、人狼だったから、なのかな。
[答えをしるクロエの声はもう聞こえないのだけれど
少女は少年へと寄り添いポツと呟いた]
[クロエを手に掛けた事を口にする少年>>11をじと見詰める。
修道士に撫でられた彼の心の動きまでは分からぬながらも
ささやかながらも空気が変わったような気がして
少女は小さな安堵を覚える]
――…此処に居るよ。
フォル、謝らないで。
[赤く染まる少年の手が此方へと伸びれば>>13
少女は自らの両の手で少年の手を包み込むようにして
赤が移るのも厭わずに彼の手を握り続けた]
もうゲルダさんは居ないから
生きている人を見定められるひとは居ない。
だから、これから、分からないまま、
処断する人を、選んでいかなきゃ、いけない、から。
[少年の眸を覗き少女はぽつぽつと言葉を紡ぐ。
それは彼の言葉>>11を受けてのものだった]
フォルがしなきゃ私がしてた。
だから、フォルの抱えてるもの、私に頂戴。
はんぶんこ、しよう。
[彼の心が少しでも軽くなればと願い
彼の抱えるであろう罪の意識を引き受けたいと思う。
常より淡く柔らかな囁きを少年の耳朶に向けた]
[少年が少し落ち着くのを待ってから
支えるようにそえていた片方の手を緩め
オトフリートの求めた水桶とタオルを借りて
クロエの流した色に染まるフォルカーの手指を
濡れたタオルで優しく丁寧に拭ってゆく。
タオルを水桶で洗えば水面には赤が薄く広がる。
飛び散った血は少年の顔にも残るか。
冷たさの残る濡れタオルが其処をなぞった**]
─ 昨日・宿一階 ─
[睨まれても視線を逸らしてその場はかわした。>>14
視界が時折揺らぐ。思ったより熱が高いらしい。
そんな状態の為にクロエを運ぶ事には手を貸せなかった。
同時に思考も揺らぐ。
今日襲われる人間の事は聞いている。
そうなった場合、明日には4人、手にかけ憎いものばかりが残る。
それは始めに問われ答えた、殺したく無い者4人、そのままだった。
声持つ狼は約束を守っている。だがそれも限界だろう。
ならば優劣をつけろと一方が囁き。
もう一方が声持つ者への殺意を向ける。
自らが望んだ状況そのままだからこそ、余計に迷いがあった。]
― 前日・一階→二階 ―
[フォルカーをベアトリーチェに任せ去る前に、彼女の頭をなでた。任せたという言葉の代わりに。
少女の様子はよく見れなかったが、その前後フォルカーに向けて動く唇だけは視界の隅に入る。支えあおうとする子供達が眩しく思え、後ろ暗い身の..は目を逸らした。
友人から>>15手を借り、話は明日と告げられると素直に頷いて暫くは部屋で大人しく眠っていた。
深夜一度、クロエが眠り部屋まで音を立てぬよう向かうと、少しだけ死体の頭を撫でそれが黙祷の代わりとなった。
人が聞き届けない世界にぽつりと言葉が落ちるが、拾うものはいたかどうか。]
― 翌日・二階→一階 ―
[再び寝入り翌日、目を覚ますと昨日の熱はなかったが、まだ本調子とは言いづらかった。
薬を貰えば良かったか、などと今更な事を思いながら、水を求めて階下へと降りようとすると、走り去る宿屋の主人が見えた。
何事だと思ったのは一瞬。
ああそうだったと、思いなおしてゆっくりと降りてゆくと、予想通り死体があった。
死体の状況を目にすると、眉間に皺が寄ったが。
シーツが届けられ、オトフリートが死体を包む作業の最中近づいて。昨日よりはいくぶんマシな状態な..も、『運ぶのを手伝う』と仕草し伝えただろう**]
― 前日/宿屋一階 ―
[撫でる手>>27の感触に、ふと視線を持ち上げる。
子ども扱いだとむくれることはしなかった。
なんとなく、そんな感じを受けなかったから
頷く代わり、一つ瞬いて目許を緩める。
具合が悪そうに見えたライヒアルトに
何か言いたげに口を開くが、それは何も紡がぬまま閉じられた。
フォルカーがくろと言った彼女は部屋に運ばれ既に見えない。
彼女の流した血の匂いがその名残]
クロエさんが人狼なら――…
これで、終わり?
もう、誰も襲われない?
[もう誰かが死ぬのを見たくないと思う少女は
村に巻き起こった嵐が過ぎ去るのを願う]
― 翌日/宿屋の一室 ―
[目が覚めたのはやはりいつもと変わらぬ時間。
部屋でこれまでの事を思い出しては溜息を吐く。
もし今日、誰も犠牲者がでなければ
家に帰って母親に会いたい、と少女は思っていた。
その思考を中断させたのは階下から響いた音>>18
何かが倒れた、どこかかたい音に華奢な肩が揺れる]
――…っ。
[厭な予感が拭えない。
宿の主人か誰かが朝食の仕度中に何か落したり倒したりしただけ。
そう思おうとするがそれは上手く為せなかった]
― 翌日/宿屋一階 ―
[部屋を出て一階へと向かう。
動揺を露にした宿の主人の姿が見えた。
その向こうにオトフリートやライヒアルトの姿が見えて
――血に染まるヘルムートその人の姿がチラと見えた。
少女はその惨状によろめき、後ろへと下がる。
その酷さに胃液が逆流するような感覚を覚え
廊下の片隅で蹲り、けほけほ、と胸を押さえ咳き込んだ**]
―回想/前日―
[疲れたように目を閉じるライヒアルト>>4:134に、無理してるなあと思いながら小さく吐息を零す。
クロエ>>4:132とオトフリート>>4:136のやり取りの意味は本を読んだ今はなんとなく理解できる。
ただそれを否定するベアトリーチェ>>4:136の言葉に軽くまたたき。
どういうことだろうかと黙って耳を傾けている。
ヘルムート>>4:139とライヒアルト>>4:146の問答に、狂人という存在の記述があったことを思い出し。
だがそのヘルムート>>4:140がスープを飲んで咽せる様子には、またか、と温い視線を一度宿の主人のほうにむけたり。
宿の主人にサラダとパンだけを頼んで適当につまむ。
クロエの言葉をフォルカー>>4:147までもが否定する声が聞こえればゆるりと首をかしげ]
[何かを言えるほど、わかったわけでもないから周囲の言葉を黙って聞いている。
徐々に雰囲気が剣呑になって行くような気がして僅かに眉をしかめ。
リーゼロッテ>>0の言葉は理解できるが、それに反応するより前にフォルカーの激昂した様子>>1に驚き。
クロエに掴みかかる様子に慌てて止めようと腰を浮かせ]
ちょ、まてフォルカー。
[けれど制止の声は間に合わない。
二人の傍に近寄るより早く、二人の間に赤>>2が見えた]
なんてこった……
[ライヒアルト>>6がよろめいたのも視界の中に入っていたが大人しく座りなおす様子に声をかけることはせず。
フォルカーが呟く言葉>>4に、その意味することを悟ってクロエとフォルカーを交互に見やる]
[ちらりと見えた金の髪に、残っている中の金髪の持ち主を思い]
ヘルムートが、か……
ベアトリーチェ、大丈夫かい?
[その死の有り様を見ていないから、まだ平気だった。
踞った少女を気遣い、無理そうなら一度部屋に戻っては、と手を差し伸べてみる**]
― 前日 ―
[行商人>>34の制止は届かず振り切ってしまった。
視線は感じても、虚脱していて反応できなかった]
うん。ありがと。
[少女>>24の手まで染めながら、もう一度目を閉じた。
瞼の裏はまだ少し熱くて泣けなかった]
狼だったからあんなこと言ったのかな。
でもクロさん、嘘ついてるように見えなかったんだ。
[答えられなかった呟き>>23に、思っていたことを口にする。
少女>>25の顔を近くに感じて黒味の濃い眸を開いた。
淡い囁きが染み込んできて夜の色が少しずつ散っていく]
ベア…。
[二度目のありがとうは声にならなかった。コクンと頷いた。
一人で立てない弱さを少女が支えてくれるのが嬉しくて、情けなくて、ジワリと視界が滲んだ。
冷たいタオル>>26は過剰な熱も一緒に優しく拭い取ってくれた。
張り詰めていたものも溶けて休息を取ることが出来た]
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