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ああ、おいしくいただいたよ
好き嫌いなど特にはないが、上手いかまずかは別物だからな
[そして好き嫌いの話題が耳に入っているからか、そんな言葉をクレメンツに言い
エーリッヒが落としたものを探しに行くという話題を聞くなか、まず食事をしている]
さってと。
そろそろ戻らないと、怒られるかな。
[大分、陽が翳ってきた。
イレーネの姿が消えてから暫くしたあと、呟いて、立ち上がる。
同意するように、ザフィーアが窓の傍から飛び立って、僕の元へと来た]
ちょっと、その前に部屋行くから、先に……
って言っても駄目だろうね。
[カァ。]
すぐ済むから、付き合って。
そう、ですか。
[この大柄な人が無茶をするほどの事と、狼の脅威が伝わった気がした。]
[暗に指す部分はすぐに理解できて。][故にやはり心配ではあったが、流石にそれ以上は言わないでおいた。]
[マテウスがポトフをよそうのに続くように、自分も適当により分けてテーブルへ。]
それは良かったです
[マテウスの言葉に、ほっとしたようだった]
さて、ご馳走さまでした。
今いかないと、もっと暗くなってしまいますかねぇ。
ランタンとか持っていかないと、あの大きさだとわからないでしょうか。
ああ、ま、護衛にゃ、ちっと頼りないかもしれねえけどな。
一応、ダガーは持ってるが、あんたも何か持っていくかい?
[男は、神父に頷き返しながら、戸口へと向かう]
[途中、ピアノの音が聞こえてくれば]
[音のする方へと導かれるように足を向け]
[静かに音楽室の扉を開ける]
[部屋から出てくるイレーネとユリアンとすれ違えば]
[小さく会釈をしただろう]
[外へ向かう、という者たちの声に、微かに眉を寄せるものの]
……とはいえ、ぞろぞろ出てって、分断されるのも、まずいか……。
[小さく、呟いて。
目の前のオレンジ色とのにらみ合い、再開]
ううん。
俺が持って、――まともにあてられるかどうか。
[真剣な一言だった]
いやほら、自分を刺しちゃったりするかもしれないとか…
やめておきます。
[と言って、ハインリヒの後を追う]
あ。明かり。
何かありますかね。
[黙々とポトフ(と言うよりセロリ)を口に運ぶ]
[合間に]
『これは大地よりの授かり物』
[とか]
『残しては他の方に申し訳ない』
[とか。挙句に]
『…主よ、わたくしを守りたまえ』
[とかぶつぶつ口走ってはいるけれど
周りにはそうはっきりとは聞こえないだろう。多分]
[ユリアンに声をかけられれば微笑んで]
ええ、もう平気ですわ。
さっきまでの演奏は、ユリアン君かしら。
素敵な演奏ね。また今度聴かせていただけるかしら?
ああ、そりゃ確かに危ないな。うん、やめといた方がいい。
[神父の言葉に、男は深く深く納得した]
確かランタンが無かったか?
[明かりをという言葉に、ドアの脇の道具置きを探す]
ああ…ま、大丈夫さ
[暗に言った部分は伝わってしまっていたようだが、安心させるためにそれだけブリジットに言う。そして外にいくクレメンスやハインリヒに]
すぐに見つからなかったら戻ってくるんだな
[外に行くもの全てについていくわけにはいかないだろう。忠告だけして見送り]
もう平気、って。
[よく見てはいなかったものの、大分出血していたように思ったが。
服の上からでは怪我の様子は窺えないから、ひとまず、頷くしかなかった]
ああ、……まあ。
素敵って言われるほどのものじゃないですよ。
[面と向かって褒められるのは若干照れ臭く、頭を掻いた]
……ノーラさんも、弾きに?
そこまで納得されるとなんだか悲しいんですけれども
[恨めしそうな目つきになった]
ああ
持ちますよ
[探している彼の邪魔をしないように退いた]
[手を出したらなだれそうだ]
[見つけたらそれを持ち]
行きますか
…さむっ
[外の風に*身をふるわせた*]
落とさないでくれよ、神父さん。
[男は神父にランタンを渡しつつ、しっかりと釘を刺す]
ああ、狼の声でも聞こえたらすぐに逃げて戻ってくるさ。こっちは頼むぜ。
[マテウスの声にはそう応えて、神父と共に建物を出た]
[ユリアンの頷きには、舌を出して]
でも、おかげで苦いお薬、たくさん飲む羽目になっちゃったわ。
[おどけた口調で告げる][弾きに来たのかとの問いには]
ええ。といっても、ちっとも上手じゃないけれどね。
[謙遜でもなんでもない事実だった]
[ユリアンの同行者と目が合えば]
ふふ、かあくんも、ユリアン君のピアノが気に入ったのかな?
[自由になる左手で、ザフィーアの頭と喉を撫で]
[その手でユリアンの頭を軽くぽんと叩き]
君は自分の身体、大事にしなさい。
みんなに心配かけちゃ、だめなんだからね。
―夕刻―
[音楽室を出て浴室へと向かう。
誰も居なかったが、誰かが使った後らしい雰囲気だった。
鏡の脇には小さな跡]
何かしら。
[結局分からないままに、タオルを洗い、台に掛けて。
ふと鏡の中を覗き込んだ。
衣服の前を僅か肌蹴る。鮮やかな朱色]
…探せ、というの。
あの時の兄様と同じ…。
[唇を噛む。鈍い痛み]
う……ん?
[広間の隅で毛布を被りながら寝ていた...は、漂ってきた空腹を助長する美味しそうな香りに、深い睡眠からようやく目覚めた。
そうして開いた瞳に映ったのは、楽しげに食事を勧めている数人のメンバーの姿。
ちょっとだけ眠気が残る頭を振りつつ、目の前に居たはずのノーラの姿ない事に気付いて、立ち上がろうとして――]
「ガン!」
[立ち上がった拍子に座っていた椅子を派手に倒してしまった]
[突然の音に、咄嗟に腰を浮かす。手は銃に。]
…っと、どーしたー?
[ひっくり返った椅子と、その前の彼を見比べるようにして。]
[クレメンスは心配ではあるが、ハインリヒの判断なら大丈夫だろう。と見て取り]
ああ、わかった。
とはいっても建物まで狼が来るかはわからんがな
[といい、肯くクレメンスやハインリヒが集会所を出るのを見送った]
[苦いお薬と聞いて、彼女とは違う意味で、うぇ、と舌を出した]
[けれどそれも束の間で、肯定の言葉に、首を捻る]
でも、怪我って、腕じゃなかったですっけ?
弾けるんですか?
[喉を撫でられていたザフィーアがこちらを見た。
他人の事を言えるのか、という眼差しだ。気づかない振りをしたが]
って、かあくんって……
[予想外の呼び方に、誰の事だか、一瞬わからなかった]
[その上、頭を撫でられたものだから、目が丸くなる]
それは、ノーラさんもだと思うんですけれど。
……心配する人、いるんでしょう。
[少し慌ててしまった様子を晒してしまい、思わず顔が赤くなる。そんな時は見た目の年齢よりも極端に幼く見えるとよく周囲にはからかわれたが、そんなのは気にしていられない。
わたわたと手を振りながら、エーリッヒだけではなく、他のメンバーにも誤魔化す様にノーラが横になっていた場所を指差して――]
や、ノ、ノーラさんがいないからびっくりして……。
[襟元を直す。
部屋に戻るか、広間に戻るかと悩みながら廊下に出ると]
ユリアンと、ノーラさん。
[音楽室の前にいる二人を見つけた]
……っと。
[ちまちまとニンジンを攻略していた所に、大きな物音が響き。
振り返った先、わたわたと手を振るミハエルの様子に、何やってんだか、とぽつり]
そんなに慌てんでも……。
[大丈夫と告げられて、とりあえずこくと頷いた。][全く納得したわけではなかったが。]
[そして出て行く人を見止めて、口の中の物を喉の奥に入れて。]
あ…えっと、いってらっしゃい。気をつけて…。
[左腕をくるりと一回転させて]
一本あれば平気よ。
というよりも、両手で違う動きって上手くできないのよね。
あれができる人って尊敬するわ。
[さも不思議と肩をすくめて見せる]
心配する人・・・ふふ、そうよね。
それじゃ、お互いに身体には気をつけないといけないわね。
[覗き込むようにユリアンの瞳を見た]
あら、イレーネさん。
[廊下にイレーネの姿を見つける]
[わたわたと慌てて赤くなるミハエル
その様子に思わず笑いそうになるが、当人にはそういう状況でもないようで]
どこにいるかは知らんが、ブリジットが治療したようだし、無茶してない限り大丈夫だろ
[天敵をやっつけて、ほっとした所に大きな音が鳴り]
って、ミハエルさん…?
[慌てる様子とその理由に首を傾げ]
そういえば、ノーラさんが見えませんね。
―外―
足元に気いつけてくれよ。
[ランタンを提げて少し先を行く神父に、思わず細かい注意をしてしまうのは仕方ない事だろうと、男は思った。何しろ前科が多過ぎる]
[ノーラがいないと慌てて口にして、そのままパクパクと声を発せずに動かしていると、香りに絆されたのかお腹が可愛らしくクゥと鳴って、顔が皿に真っ赤になった]
ああ、そう言えば。
僕も、始めた頃は、苦労したっけなあ……。
[腕を回す様子に、止めても無駄かと思う。
それに彼女なら、そう言った事では無理をしないだろうから]
わ、と。
[急に瞳を見つめられて、僅かのけぞり、数度瞬く]
[次いで呼ばれた名に、半ば避ける口実のように、ノーラの視線の先を見た。
薄暗くなった廊下では、些か、視認し辛い]
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