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有難うございます
[オトフリートの言葉に、微笑んで、嬉しそうな顔。]
…そうですね。
いって、みたほうがいいかもしれませんね。
[イレーネの言葉に頷いたあと、上を見てそう言う。]
[伸ばした手から逃れる勢いは止まる。投げ出された足首は、エーリッヒの手の届くところにあるというのに]
エーリッヒ、あなたなの?
あなたが、人狼、なの?
[問いかける]
[物音が止んでも、なかなか上に上がれない。
その様子は落ち着かなげで。
昨日のベアトリーチェの騒動のように、何も無ければいい。
みんな無事で・・・無事で。
人は狼さえ殺せば、狼は人を殺せば、生きて出られるというのだから。
クレメンスの言葉に]
カフェオレは、じゃあ、明日・・・。
上に、行かないと。
・・・・・、・・・
[声は声にならず息だけが洩れる。血の気の失せた唇は『何で』『死にたくない』と、只それだけを繰り返して。
程無く視界は薄れ。
伸ばした手は力なく地に墜ちた。]
[静寂。]
[その瞬間。
部屋の表札の文字が、顔がすっと溶けるように消えたことを、僕が知る事は出来なかった。
Erich Callsen-Brackerは消去された。まるで初めからなかったかのように。]
[イレーネに頷く。]
もう遅いね。
人狼…か。
イレーネは、誰か人狼だと思っている人物はいるかい?
[おやすみの挨拶の前に問いを]
[あたりにはまだ、ふわふわと枕の羽根が舞っていて、みんなの上に白く降ってくる]
[絨毯を染める赤の上にも降って]
[白は、赤に]
[動きを止めた青年を無言で見つめ続け。
やがてのろのろとエルザの方を振り向く]
…エルザ、血が。
[その腕から流れる紅に目を止めて。
ポケットから取り出した白いハンカチーフで傷を押さえた。
すぐにその白も紅に染まって]
手当て、してもらわないと……
[入口の方を見る]
[こちらを見つめる青年が二人]
[一人は呆然と、一人は何処か冷たく]
…しずかに、なったね。
[フォークを咥えたまま、ぽつり。]
だれか、おきたのかな。…よかったね。
[ふわり、と…春風に舞う花びらのように笑む。]
[もうナターリエに続いて、二階に行こうとしていて。
クレメンスの問いに]
・・・人狼であってほしくない人なら、いるわ。
[静かに、一息に答える]
……Gute Nacht
[エーリッヒの周囲を沈黙が包めば、小さく呟く。
ふと、視線を向ければ、表札が消えているのが目に入った]
[それから、視線を感じて。
自分を見つめる少年に蒼を向ける。
……傍らのユリアンが呆然としているのは、目の前の出来事のためか、それとも蒼の瞳の冷たさ故か。
それは、今の彼には全く興味も無い事で]
―to corridor―
[doorをあけて、...はイレーネが続くのを待つ。
他にも行く人はいるのだろうか?
ベアトリーチェの呟きが聞こえた。
fatherの質問に答えるイレーネの声も聞こえた。
...は階段を見やる。]
[イレーネの声に、ふっと表情を緩ませる。]
私もだよ…。
[例えば君や、ナターリエ。]
[クレメンスは、呟き頷くと、イレーネとナターリエが二人とも二階へ上がってゆくのを見送った。]
[ミハエルに傷を押さえてもらったことにも反応せず、ぼうっと目を見開いて]
エーリッヒ…?
[そっと近づくが、青年はもう動かない]
[…死?]
[死んだ?…死なせた?]
[誰が…どうして]
心配をしていない訳じゃない。
けれど…
[続く言葉は、消えてゆく。
今、語るべき話では、まだ、ないのだろう。
彼から聞く事は──…何も聞かないとしたのだから。]
[二人が二階へあがっていったのを見送り終えると、]
そうだね、ベアトリーチェ。
[花びらに添えられるのは、きっと血風なのだろう。
神は哄笑をしている。
人狼の血を持つもの達が少しずつ狂い始めている事を。]
――二階廊下――
[廊下に上がったところからは、見た目は何も異様なものはなくて。
それがかえって不気味で。
ドアの開いている部屋がある。確か、エーリッヒの・・・]
・・・錆びくさい。
[あぁ、このまえの朝の光景がよみがえる。
部屋に近づくほどに香って]
―2nd floor―
[二階へあがると、...の目には廊下にいる人が捕らえられた。
アーベルと、ユリアンの姿。]
何が、あったのですか?
[問いかけて、そちらに近寄ろうと。]
──広間──
[クレメンスは、ベアトリーチェの後ろから覆うように机に両手を置き、彼女にだけ囁き尋ねる]
ベアトリーチェ、もしも誰かを起こすなら、
君は誰をまず選ぶ?
[アーベルとユリアンに、ナターリエと一緒に駆け寄った。
そこからは、部屋の惨状が、見え]
・・・エーリッヒ・・・エルザ・・・ミハエル!
[みんな、血だらけ]
[頭では理解していた]
[自分がエーリッヒを殺したことを]
[けれど感情はまだそれに追いつかず]
[エルザの動きにつられるままに]
[動かなくなってしまった青年を]
[広がる紅を見つめて]
[傍らで甲高い悲鳴が響き渡った]
[少年の掠れた声には、彼よりもその傍らのユリアンが反応して。
手当てできる人を呼んでくる、と走り出そうとした矢先に、シスターが声をかけてきた]
…………。
[振り返り、目にした姿に、重なる。
遠い過去の映像。
しかし、エルザが怪我を、と訴えるユリアンの声が、それをかき消し。
蒼は室内の紅へと]
……エーリッヒが、壊れた。
[自分はただ、簡潔に問いの答えを口にする]
えるざ。
だいじょうぶなんだ。
もう、だいじょうぶ…
[彼女を支えるように]
[否、彼女に縋るように]
だい、じょう…
[掠れた声で繰り返す]
[それも徐々に小さくなり]
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