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[聞こえてきた声に振り向くと、昨日広間で会った少女がいた。
名前は確か……ブリジット。]
こんばんわ。
そうですね。私も先ほどここへ来たんですが、その時もこの方しか居ませんでしたので。
[しまわれる鎌には、一瞬だけ視線を向けるも、それきりで。
返された説明に右手でがじ、と頭を掻いた]
なんっか、良くわからんが……。
ようするに、俺とやり合う事にはあんまり意味がないっつー事ね。
[ご主人様、が何なのか、何故自分とやり合いたくないと思うのか。
それが気にならない、とは言わないが。
そこを問うても、返るのは笑みだけのように思えたので、そこは追求せず]
……ま、それならそれで。
警戒する相手が減るってのは、わるかないしな。
[気疲れしなくてすむし、と。
冗談めかして言いつつ、肩を竦め]
何もすることがありませんからね。
[ブリジットの言葉に一つ頷いて。
目を瞬かせる様子には「おや」と呟く]
今朝の放送はお聞きになりませんでしたか?
──ここに集められた者達は『遊戯』に参加する『権利』を得た──と言う事を。
[流された放送の一部を繰り返し口にし、広間にある端末へと歩み寄る。
手早く操作し、今朝追加されたらしい『遊戯規定』の項目を立ち上げ、ブリジットへと示した]
−かくして現在:L−
[今もなお、青少年は寝床の上で不機嫌であった。
理由はもちろん放送の声のせい]
…人をおもちゃ扱いしやがって、くそ。
[しかめた眉、不機嫌そうな瞳が天を見上げる。
ころり。ゆるり転がって。片口で猫がにゃあとなく]
…絶対潰してやる。こんな組織。
[ぐっと握ったこぶし、天井へと突き上げて、それから力を失ったそれは敷布の上にぱたって落ちた]
えっ、そうでしたっけ。それは、えっと。すみません。
[そう言ってぺこり。]
オトフリートさんですか。よろしくお願いします。
[だが、続いて出てきた先読みの神子という言葉にぴくりと反応すると]
それは……ええと。ちょっとした事情がありまして。
……。
思いっ切り、寝ていました。
[視線を逸らして、少し、気まずげに言う。]
ゆう、ぎ?
[拾った単語を繰り返すも、いまいち、ピンと来ない様子。
しかし、示される内容に、眉間に深い皺が刻まれた。]
……なに、それ。
戦え、とか、未来はない、とか。
――どういう。
[理解しているのに、したくない。
そういうように、オトフリートを見上げた。]
[肩を竦める姿に笑顔を返しつつ、目の前の蒼を覗き込みきながら]
でも、今朝の声聞く限りじゃ、順番に潰すしかないんだよねぇ?
ひとりも残しちゃいけないのなら、最後って事、なのかなぁ?
いやだなぁ。
[小さく呟いた。]
だって、そんなの――
……これ、って。
そういう集まりだったの?
[困惑のいろ。]
オトフリートさんも、
ナターリエさんも?
そういうこと、するの……?
[覗き込む瞳を見返しつつ、呟きにむぅ、と言いつつ腕を組んで]
……別に、律儀に奴らのいう事聞かなくてもいいと思うがね。
向こうの勝手にきっちり付き合う必要なんざ、ねぇんだし。
ま、どうにもやりあわにゃならんようなら、そんときゃそん時ってー事で。
今から考えてても、キリねぇしな。
[思考はどこまでも大雑把]
後はこれくらいか。
[言って右手首に複雑に編まれた紐を結んだ。
一見はただのアクセサリーのように見える]
通じるといいんだけれど。
あとは虎穴に入らずんば、だろうなっ。
[そこそこの高さから飛び降りる。膝を軽く曲げて衝撃を殺し、軽い足取りで建物に向かい走った]
いえ、良くある事なので。
[ナターリエに謝られると、「気にしないで下さい」と首を横に振り。
己の言葉に反応する様子を漏らすことなく見つめて]
事情、ですか。
あの堅固な籠から出ていらっしゃることは無いと思っておりましたが。
この『遊戯』の主催者により無理矢理連れて来られたか、籠の組織から送り込まれたか、それとも他の何かが関与しているのか。
まぁ、過程はどうあれ貴女はここへと姿を現した。
貴女も『遊戯』に参加する『権利』を手にしていると言うこと。
いずれ貴女の力をこの目で見ることが出来るかもしれませんね。
[それ以上追求するつもりは無いようだが、その瞳は観察するそれになっていて。
普段のオトフリートを知る者には僅かに違和感を覚えることだろうか]
[ブリジットの困惑の声に、私は僅かに目を伏せる。]
私は……死にたくはない。
殺したくはありませんが、私に危害が及ぶなら……
[言葉尻は非常に弱くなって聞き取れない程度。]
―個室H―
[昨夜食べた林檎の夢を見ながら、少女の夢は安らかだった。
しかし――]
――ゆう、ぎ?
[眠りを妨げたのはギュンターによって流された放送。
その内容をどれほど理解できていたのだろうか、
しきりに首を傾げながら浴衣から乾いた服に着替え、
誰かを探そうと階下へと向かった]
―→広間―
[困惑するようなブリジットに見上げられ、そちらに視線を向ける]
…ここにはそう言うことが出来る人間しか集められていないのですよ。
特異な能力を持ち、組織に目を付けられた者は例外なく──ここへ集められる。
[最後に問いかけられた言葉には肯定も否定もせず。
何かを知っているかのような言葉をブリジットに向ける]
[オトフリートの探る言葉にスッと目を細め]
事情はお話できません。するつもりもありませんが。
しかし、やけにお詳しいようですね。
私の組織のことにも。Schwarzes・Meteorにも。
[アーベルの言葉に、目をくるりと回して口に片手を当て、驚きの表情を作る。]
あ、そっか。
別に言われたとーりにする必要もないんだ。
やりたいよーに、やりたいことをすればいいんだ!
賢いねぇ。
[びし!と口に当てた手を前に突き出し、アーベルの鼻を指差して]
でも、ボクはキミを斬らないよっ。
今は、ね?
[首を傾けて一度あはは、と笑い、ふと天を仰いで呟く]
でもきっと何かしないとここから出られないんだよねぇ。
ここから出られないと、ずーっとここにいるのは、きっとつまらないよねぇ。
まぁ、そうでしょうね。
[ナターリエからの回答はあまり期待していなかったようで。
すんなりと諦める]
情報収集も私の仕事のうちなもので。
ある程度の知識は持ち合わせているつもりですよ。
[ふ、と薄く笑う。
その表情に先程までの情けなさは*感じられない*]
…だめだ。気が滅入る。
[は。と小さく息が零れたかと思えばバネの反動をそのままに飛び起きる。
その振動のせいか、ベッドの上で猫がちょっとだけ飛び上がった、文字通り]
…前向き、前向き。
よっし、頑張れ俺!!
[両の頬を両の手でパン、と叩くとようやく戻ってきたバンダナをきゅっと締めて、駆け寄ってきた猫を肩に乗せて廊下に出る]
−→廊下−
……それは。
わたしだって、消えたくはない、けれど。
[ナターリエの返答を聞いても、躊躇いは消えない。
彷徨った視線は、地面に落ちる。]
そういうことが出来る人間、って。
でも、わたしは、……………。
[口を噤んだ。
向けられた言葉を、最後まで否定はせずに。]
[広間にいた人々は、何だか難しい顔をしていただろうか?
放送の意味をよく理解していない彼女は]
――どうしたの?
[そもそも、放送とは自分宛のものではないと思っている節もある。
研究所という場所において、彼女はアナウンスで動く
立場ではなかったものだから]
―個室J―
…よ、っと。
[最後の白銀の一本をレザーケースに収める。
定位置である服の内袖へと仕舞うと、小さく溜息を零した。
…いつもなら面倒臭がってそれなりに済ましてしまうのだが、
今となっては、そういう訳にも行かないのだし。
寝台に転がった携帯端末を、軽い動作で拾い上げてポケットへとねじ込む。
外部からの連絡は無いのだろうけれど――
色々、必要なものも入ってるから、手放すわけにも行かない。
呆れにも似た笑みを小さく零して、
一つ伸びをすると、部屋を後にする。]
[――「彼女」の事は、裏社会においては殆ど知られていない。
「彼」に渡されたデータに記されていたのも、以下の程度のものだった。]
いや、賢いとかって問題違うから。
[驚いたような表情に、突っ込み一つ入れて]
……そもそも、俺は何かに従うつもりはねぇからな。
最初から、好きにやるつもりでいたぜ?
[さらり、と言って。
指差しながらの言葉に、にや、と笑って]
んじゃ、俺もそうさせてもらうわ。
今の内は、お前相手には、糸も孤狼もおこさねぇ。
[宣言の後。
呟かれた言葉に、軽く首を傾げる]
……こんだけ大規模な設備だからな。
恐らく、どっかに、制御するとこがあんだろ。
そこを抑えれば、出られるんじゃねーの?
■登録名:ブリギッテ=エメト(Brigitte=Emeth)
■年齢:不詳
■通り名:鎮魂(たましずめ)
■武装:刀
■スタイル:近接戦闘を主とする
■特殊能力:言霊
■その他情報:
本名不明。
任務毎のコードネームや、「隠れ蓑」の名前で呼ばれる。
現在の登録名も、単に表向きに使用している名を、『Schwarzes・Meteor』内で呼びやすい音に置き換えたに過ぎない。
なお、通り名とて、彼女自身を指すものではないという。
[玄関の扉を開き、建物の中へ。
確実に人が居るのはやはり広間だろうか]
ん?
[向かう途中、足音が聞こえた気がして意識をそちらに向けた]
あはははは。
そう、ですよねぇ。あは。
斬らないとね、斬らないと。
ボク、その為にここに居る、んでしょう?
[にたぁり、と口の端を上げて。
虚空へと話しかける。
暫くそう虚空を笑顔で見つめていたが、突然アーベルに視線を戻して]
そぉだねっ。
ボクも、好きにやるよぉ。
[頷いた。]
−廊下−
[前向き、とかいった割には青少年は渋い顔をきっとしていた。
そんな顔で、廊下に出ればちょうど同じタイミングで日碧が現れたことに相当驚いて]
ぉわ?!
[漫画みたいに驚いた。
肩の猫は、飼い主の声に驚いて軽く落ちそうになっていたけれど]
……。
……お前、隣の部屋だったんだ。
[何を喋ろう、とか少しだけ考えたら間があいて]
[ナターリエの様子には首を傾げて]
“ちからをみせる”って何なのかなぁ。
戦えば良いみたいな、そんな事言ってた?
[自分の理解した内容が正しいのか分からないけれど、
それなら戦えば良いのだろう。
すっと右手を上げると]
誰とでも良いのかな?
やる?
[かかった声にびくりと身体が震わせて、]
……イレーネ?
何でもない、よ。
[小さく首を振る。
けれど、ブリジットの態度は、その言葉を裏切っている。]
来たばかり、だけれど。
わたし、部屋、戻ります、ね?
[呟いたきり、黙り込んでしまったユーディットの様子にしばし、きょとり、としていたものの。
唐突に虚空へと話し始めた様子には、さすがにちょっと引いたかも知れない。
よくわからん、と心の奥の方で呟きつつも]
ま、俺らにできるのは、それっきゃねーだろ。
[頷きながら、こう返して]
さて、と。
いつまでも寒空で駄弁ってても仕方ねーし……。
俺は一応、あそこに戻るが。お前、どうするんだ?
[握った右手の親指で、肩越しに建物の方を示しつつ。
軽い口調で、問いかけ]
[首を振り、広間へと入っていった姿の後を追うように足を進めた。室内には数人の人影]
やあ、どうも?
[視線の先、右手を上げたイレーネに僅か目を細めた]
――――?
[何でもないと言った彼女の様子は、何処かぎこちなく見えた。
拳の形を作った右手を所在無く浮かせたまま]
戻っちゃうの?
――ばいばい、またね。
[ちょっぴり残念そうに]
あ、ボクも戻る戻るっ。
[た、とアーベルの横に立ち、歩き出す。]
…寝込みを襲うとかってアリ、なのかなぁ。
ストリートファイトみたいに、基本正々堂々、なの、かなぁ…。
あー、でも寝込みを襲うと…楽しくないよね、きっと。
[引かれた事なんて勿論気がつかずに笑顔で建物へと視線を向けつつ、ふと呟く。]
―廊下―
――わ、…
[大きく上がった声に意表を突かれたのか、
それとも相手が思いがけず同じタイミングで出てきた事に驚いたのか。
上がる声は起伏に乏しいものの、表情までは隠しきれずに
きょとり、と翠を一度瞬いた。]
…それは、こっちの台詞だよ。フェイ。
[隣だったんだ、とゆるりと首を傾いで。
先ほど僅かに見えた渋い表情と
少しだけ空いた間に、訝しげに僅かに眉を寄せた]
――どうかした?
何か、眉間にシワ寄ってたように見えたけど。
[そう言う青年の表情は、いつもと変わりないもので。]
[否定の無いブリジットの言葉を黙ったまま聞く。
追求の必要が無いと知っているからだ]
[広間に現れたイレーネには「こんばんは」と常に変わらぬ挨拶をして。
続けられた疑問には特に返答はしない]
おや、もうお戻りですか。
ああそうだ。
後程お部屋を訪ねさせて頂きますね。
ハンカチをお返ししていませんでしたから。
[部屋へ戻るというブリジットに後に訪ねることを予め告げる]
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