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―中央公園―
[神楽に頭を撫でられると、頬が嬉しそうにあがる。
そのせいか、礼斗の呟きは聞こえなかった。
伽矢に呼ばれて駆けてゆき、ぽふんと足に飛びつく。
勿論というか、礼斗に対し不機嫌だった事には気づいていない。
好きなところにいっていいと言われて、ちょっと傾げて考えて。]
ええと、ええと。じゃぁこっちー。
[瑞穂もいっしょとは言わずとも、当然のように二人の手を引き前を歩く。]
―繁華街―
[駆け出し行くのは繁華街。
二人の手を離れ、大人が通るには少しきつい、細い路地の間をくぐる。
ゴミ箱、新聞、なんのその。
背中のうさぎは、きゅうくつそうに壁に手足をぶつけるが、おかまいなし。
その先、高い建物に囲まれた隙間のような場所。やっと少し楽に動ける所に出ると、とてとて隅っこに走ってゆく。]
かやにいちゃ、みずねえちゃ、ねこ。
[隅っこには、古びたダンボールの中に、生まれて間もない子猫がみぃみぃ。(09)匹ほど。
統一しない背中の色は、立派な野良の証。親猫は、幸い出かけて留守のよう。
子猫をちょんちょん、撫で回し、暫く猫と戯れる。]
このこ、もってかえったら、ままに怒られたの。
[黒い子猫を指差し、ちょっとしょんぼりしながら言って。
うさぎリュックの背中から、小さな牛乳パックを取り出し、置いてあった皿にだばっと入れておいた。
ちょっとこぼれた。]
[その後。繁華街で探検中によく遭遇するのか、人の良さそうな老夫婦と出くわしジュースをもらったり。
少し怪しげなおじさんに、いつもどおり挨拶して飴玉をもらったりする。
だいぶ、危機管理能力は薄い。
それから人ん家の合間を通り抜け、他所の家にたわわに実った柿を見に行ったり。
同級生のお母さんと会うとクッキーもらったり。
高い所に行こうと丘をダッシュしたり。
とにかく、あちこち、動きまわった。]
かやにいちゃ、みずねえちゃ、こっちー。
[最後になるのか、丘の上の神社の入り口で手を振り。
おそらく少し遅れ気味の瑞穂を*待っていた。*]
―→神社―
─回想─
生命線ねぇ……吸わん俺にはまったく自覚は湧かんがそういうものなのかね。
[礼斗(>>0:192)の言葉にふむと軽く唸る。そうこうしているうちにお店に到着。]
俺も担当に教えられてここに来たんだが、中々のもんだぞ。
[そう言って入店。自分もカルボナーラを頼んで食べていたのだが、]
……『桜と童女の怪異』? ああ、あれか。
[そして、礼斗の饒舌な説明(>>0:193)を口を挟むことなく聞いていたが、]
……俺も昔そのことについて調べたことがあるが。
その時も、パターンは同じだったな。
おそらく、その少女も同一人物……いや同一存在といった方が適切か。
案外、その少女が「神隠し」として、行方不明者をここではないどこかの世界へ誘っているのかもな。
[饒舌に喋ることについては、こちらも同様であるだろうからあまり気にはしなかった。]
─回想・中央公園─
[公園の中央。そこにある桜の大樹。
その下に蹲る女性。
遠目から目を細めて彼女を見ていたが、]
まさか彼女が…………いや、それはないな。
怪異の話に来るのは決まって「少女」。あれは少女というのには、な。
……行くか。
[ポツリそう呟く。そうして、その場をあとにした。
その後集まった面々とは、顔を合わせることはなかっただろう。]
―繁華街コンビニ―
「ちょっと。お釣り間違ってるわよ」
[客から言われて目を瞬いた。
相手の掌には穴あき硬貨が4枚乗っていた]
…失礼しました。
[レジを開いて一回り大きい白銀硬貨を4枚取り直す。
頭を下げて交換させてもらった]
「誠意のない子。次は気をつけなさい!」
[感情の出ない謝り方が癇に障ったらしい。
睨みつけながら高い声で言い、女性は袋を提げて店を出て行った]
「今日はミスが多いな、珍しい」
店長。すみません。
[伝票整理をしていた人物に声を掛けられ、また頭を下げた。
お釣り間違い{1}回に反応遅れが(05)回、商品取り落とし{4}回までやると普段あまりしない分もあってかなり目立った]
「疲れてるんじゃないのか」
[気遣うような言葉には小さく横に首を振る]
「調子悪いなら夜シフト変わるよ?
そのかわり次の土曜日に朝から入ってくれれば。むしろお願い」
[茶髪のアルバイト仲間が笑いながら言う。
コンサートの準備に時間を掛けたいとか何とか話は続く]
分かった。じゃあ交代して。
[特に体調不良なわけでもなかったが受けることにした]
「それで、話変わるけど。白井先生の新刊が…」
[彼女は同じ作家の童話ファンという共通項もあったから。仲の悪くないバイト仲間の都合は聞いてあげてもいいだろう]
─中央広場─
[いつものように飛びついて来た従妹を受け止め。
行く場所を訊ねた返答は、行動で返って来た]
どこに行くんだ?
[聞いても手を引かれるのみ。
同じく手を引かれる幼馴染と顔を見合わせ、首を傾げた]
─繁華街─
[連れて行かれたのは見知った繁華街。
入り込む細い路地。
あれやこれやと物が置いてあったが、辛うじて通ることは出来そうだった。
だからと言って身体が小さいことに感謝はしなかったが]
……猫?
うわ、すごいいっぱい。
[辿り着いた場所には段ボールに入った子猫が居た。
生まれたばかりの子猫達に、オレは驚いて翠の瞳を見開く。
オレは従妹に倣うようにして、小さな生命に手を伸ばし、優しく撫でた]
…一回、持って帰ったのか?
動物を飼うには世話が大変だからな…。
[しょんぼりする従妹の頭を慰めるように撫でる。
従妹が牛乳を与えるのを眺めてから、揃ってその場を後にした]
[その後は繁華街を移動続き。
従妹が危機感無く色々貰っているのを見て、オレは少しだけ溜息をついた。
何が起こるか分からないこのご時世、もう少し危機感を持って欲しいところ]
すみません、ありがとうございます。
[従妹も礼はいつも言っているのだろうが、改めてその人達に礼を述べておいた。
あちこち従妹の先導で移動し続け、最終的には神社へと辿り着く。
石段を登り、神社の入り口まで来ると後ろを振り返った。
持久力はそこまで高い方ではないが、石段を登り切るくらいは何でもない。
オレは神社の入り口で従妹と共に、遅れ気味な幼馴染を待った]
─ →神社─
風もないのに、揺れる枝葉。
その音に紛れるよに、微かな音が響いていく。
鈴の音色と、もう一つ。
歌声のよな、笑い声のよな。
ささやかなそれは、今ははっきり聞き取れはせず。**
―繁華街コンビニ―
っと。
[保温庫に追加する缶コーヒーを取り落としかける。
幸いにも今回は未遂で済んだが]
本当に何やってるんだろう。
落ち着かない。
[中華まんのボックスの陰で目立たぬように深呼吸した]
─自宅─
……ま。
考えすぎ、と言えば、それまでなんだろーけどな。
[テキストエディタの上に連なるレポート。
それを眺めて、ため息を一つ。
滅多に見せない物憂げな様子でしばし、目を伏せた後。
パソコン横の写真立てをちらりと見やり、すぐに視線を逸らして電源を落とした]
……悩んでても仕方ない。
とりあえず、件の蕾とやら、見に行くのもいいだろ。
[そんな事を呟きながら、愛用のジャケットを羽織り、ふらりと外へ]
―中央広場→繁華街―
[駆け出す千恵に手を引かれて伽矢と顔を見合わせて、自分もわからないというように首を傾げた]
千恵ちゃん?
[その意図はまだ読めず狭い路地を行く二人を追いかけるようについていく]
待って、ちょっと、あっ、もう。
[ゴミ箱に足を引っ掛けて倒しかけ、新聞に足をとられ躓きそうになり自然と差は開いていく。
二人に遅れてついた場所、ダンボールの中には子猫がいっぱいで]
はぁはぁ、二人ともちょっと待って…。
[壁に手を着いて呼吸を整える。
体力がないわけではないが、道中が道中なので余分に消費するらしい。]
───神社───
[書庫の中には、山のように積み上げられた本がいたるところに出来ており、目当てのものを探すには一苦労だ]
はあ……いつ来ても整理する気が起きなくなるね。
[ぼやきながらも、埃の被った本の表紙を確認しながら、色々な本を読み続ける]
桜。桜ねえ。
そういう話は、本当ごまんとあるから、探すのも難しいな。
もうちょっと絞れる単語は何かあったっけな。
子猫、かわいいね。
[息が整ったところで自分も子猫の頭を撫でてから千恵ちゃんの頭を撫でながら伽矢の言葉に同意するように頷いて]
捨て猫なのかな?今度一緒に里親探してみる?
[その後の道中も自分は二人になんとかついていくような感じだった。
もはや知らないおじさんに飴をもらう千恵を注意する元気もない]
伽矢くん、はぁはぁ、先行って、追いつく、から。
[神社の石段を駆け上る千恵、伽矢には先に行ってもらった。
自分が登りきる時には二人で待っていて]
ごめんね、千恵ちゃん、伽矢くん、はぁ…はぁ…。
[鳥居に手をついて呼吸を整えながら二人に謝った]
―回想―
……ええ、まあ。
そんな感じ、ですね。
[微妙な間違いをわざわざ訂正するのも気が引けて、曖昧に濁した。
何となく気恥ずかしい気持ちもある。
それから2、3言葉も交わしただろうか]
すみません、そろそろ失礼しますね。
そのうちまた店のほうにも伺います。
[頭を下げて、樹を一度振り返ってから広場を後にした]
―神社―
[瑞穂が登りきったのを見ると、賽銭箱がある方にはいかず、その脇の方へと駆けてゆく。]
これ引くのー。
[古びたおみくじ販売機に、昼食のおつりの10円を入れるところんと転がり出る紙一枚。
あけると*凶*と大きく、手書きのような文字一言。]
─神社─
大丈夫か?
[どうにか登り切った幼馴染に声をかける。
もう少し従妹を抑えておけば良かったな、と後悔した。
幼馴染の息が整うのを待ってから、従妹が向かったおみくじ販売機へと近付く]
……まぁ、今悪いならこれから良くなるさ。
[しょんぼりする従妹の頭を撫で、慰めるように言った]
綾野さん。
フルネームなんていってたっけ。
[多少なりと会話をしていた記憶を引っ張り出す。
会話というよりも、一方的に神楽が話していたのがほとんどだが、それでも名前の交し合いぐらいはやったはずだ]
えーと、たこでなし、くらげでなし……いか……そう、いかだ。いか。
いか、るが。
いかるが。
斑鳩、綾野。
そう。『桜の覡』とかいう一族だったって記憶している。
それ、読んだのどの本だったかな。
[そこまで思い出すと、更にまたごそごそと本の山と格闘を始めた]
―神社―
[先ほどより長い時間をかけて呼吸を整えてから、
千恵の向かった方へ、途中の賽銭箱が視界にはいる。
迷った末に500円玉を中に入れておいた。
きっと神楽がいれば気持ちだけじゃお金は膨れないとかそんなこと言うから]
あ、千恵ちゃん。
[凶を引いてしょんぼりする様子に頭をやさしく撫でた]
占いとかって気休めって言うしね。
[神楽が聞いていたらなんと言われるだろうか]
─神社─
……………。
[従妹と同じく出た、手書きの凶の文字を無言で見た。
この神社に御利益はなさそうだ、と思ったのは仕方がないことなのかも知れない。
従妹のおみくじ共々、帯状にして傍の樹の枝に結んだ]
─中央公園─
[のんびり歩いて、たどり着くのは公園。
桜の前には、相変わらず紅の装いの女の姿。
警告を繰り返すことが返って人を集める結果になっているのか、周囲には野次馬らしき者の姿も多かった]
……ヒマなのが多いよなぁ。
[そんな呟きをもらしつつ、桜へと近づく。
向けられる、鋭い視線。
鬼気迫るものすら感じさせるそれに、かり、と軽く頬を掻いて]
ああ、はいはい。
必要以上に近づく気はないから。
[軽い口調で言いながら、視線は上へ]
[そこから、しばし時間が経ち、目当ての本を一冊見つけた]
お!
これだ、これ。
えーと、何々……ん?
[さて、腰をすえてじっくり読もうかと思った矢先、神社の方で声がした]
おおお!?
お客さん!?
やば!こんなことしてる場合じゃない!早速、対応にでかけなければ!
[本を適当に投げ捨てて、神楽は慌てて立ち上がると、神社の表に走っていった]
[表に出ると、見かけたのは先程の3人組。
何やら、2人ほど落胆しているような様子が見えるが、まあ気のせいだろう]
やあやあ。
いらっしゃい。
うちのおみくじは特別仕様だよ。
なんと、普段ならあまり入れてない凶もしっかりと入っているので、悪いことに目を瞑らずにしっかりと対応できるという大人のための仕様!
その他にも、良縁、学業上昇などのお守りもあるから、どうぞ買ってって。
[自分を心配する千恵に笑顔を向けて頭を再度撫でる]
うん、もう大丈夫だよ。
ごめんね、私とろくて。
[伽矢にもそう謝るように向けたのは少し複雑な表情。
心配をかけた申し訳なさと少しばかりの二人への羨望。
伽矢の引いたおみくじの結果も見ると自分のは二人に見せずに一緒に傍の樹の枝に結びつけた]
─神社─
[結んだそれを見遣りながら、オレは翠の瞳を一度瞬く。
直後に聞こえる、オレら以外の声。
視線を投げると、巫女が傍まで来ていた]
…特別仕様、ね。
9割近く凶なんじゃねぇの。
[紡ぐ言葉は辛辣。
三人引いて二人が凶なら、そこまで酷くはないのだが。
厭味も込めて言う]
[ふたりに撫でられると、しょんぼりから一転機嫌よくなって。
開いた紙は、境内の隅の木にくくりつけようとしたが上手くいかず、いとこに代わりにつけてもらう。]
あそんだー。
[どうやら満足したらしい。
もうひとつ、10円を入れておみくじを引いた。こっちは開けずに。]
かやにいちゃ、ももおばちゃにもこれあげにいく。
[と嬉しそうに伽矢を見上げた。]
あっ、静音さん。
[表に出てきたここの神社の巫女さん、神楽に挨拶をする。
おみくじのことは突っ込まないでおいた。
もう慣れたのかもしれない]
良縁…、
[その言葉にはちょっとだけ心惹かれるものがあった]
─中央公園─
…………。
[見上げた先。
確かに、そこには淡い薄紅が見て取れた。
微かに眉を寄せた所に、再度の警告。
それに、はいはい、と気のない声で頷いて、足早にその場を離れた。
それでも、公園からは出ることはなく。
桜から離れ、人も少ない場所で黒の小箱を出して一本抜き取り、銀のライターで火を点けた]
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