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…阿呆。
守護者は期待するもんじゃねぇ。
存在そのものが牽制の材料だ。
それにてめぇの言うことが事実と言う証拠もねぇからな。
[ライヒアルトが何を言いたいのかを察しつつ、別の利用方法を口にする。話は半信半疑で聞き、クロエを促し酒場へと向かった]
おめぇはここに居ろ。
落ち着くのに飲み物が必要だったらリッキーに言ってくれ。
[クロエを適当な席に座らせ、言葉を紡ぐ。リッキーに状況を説明してから、「詰所に行って来る」と言い残し宿屋を*出た*]
…――そうですか。
[それは自衛団への報告と、
仕切りに関しての2つに対しての応え。]
確かにそうですけれど。
貴方は知っていたほうが動きやすいと思ったので、
お教えしたわけですが。
[相手の負の感情に対して気がついているのかいないのか、
首を傾げながら淡々と変わらぬ口調が続く。]
ええ、真実を証明することほど、困難なものはありません。
研究も小さな情報の積み重ねが重要なのですから。
[やはり疑われることには頓着した様子はない。
クロエを促すフーゴーに向ける視線は、
その小さな結果の積み重ねが彼に出来るのかと問うようなもの。
やがて彼らが去るのなら、ホツリと零れる言葉。]
…――困りましたね。
このような時、どう反応すれば良いか本当に分かりません。
奇異の目で見られることには、慣れていますけれど。
[途方にくれたように呟く表情はしかし、やはり動かぬままで。
鳥籠を酒場に残したまま、学者の歩む方向は森。
緑に迎えられた学者は、そこではほんの微かに、
穏やかな表情を*浮かべていた*]
―回想―
[フーゴーが結社の人だと言うのに、驚いたように瞬き。
口を挟むまもなく、皆が次々と喋るのをただ聞いている。
回復したらしいダーヴィッドの姿にほっとしていた所で、不意に自警団員がやってくれば怯えたような視線を向ける。
そして連れて行かれるダーヴィッド。
ソレを止めようとしたヴィリーが自警団員に殴られる姿。
あまりの驚きと怯えに動くこともできず、傍にいたクロエが震える手で腕をつかんでも、ただ呆然としていた。]
あ……
[クロエが駆け出して往くのが見える。
ドアの外の喧騒が収まり――ぎゅ、と瞳を閉じた。
これでは、まるで殺させるために助けたみたいじゃないか、と唇をかみ締める。
外に出て行く勇気もなく、倒れたヴィリーを運べるわけでもなく、ただその傍で立ち尽くしていればフーゴーとクロエが戻ってくるのが見え。]
あ、うん……クロエ、大丈夫?
[クロエを部屋へ、とフーゴーに頼まれたなら、僅かばかり色を没くした顔で頷き。
大丈夫だと言うクロエに心配そうな視線は向けるものの、無理に居座ることはしなかった。]
うん……じゃあゆっくり、休んで。
[こくりと頷き。
酒場へと戻る。
占い師と名乗った人たちももう部屋に引き上げた後だろうか。
リッキーに毛布をもらって、ヴィリーの傍に座り込む。
一人で家に帰るのも恐くて、そのまま夜を明かした。]
[うつらうつらとした朝の時間、フーゴーがやってきたことにも気づかない。
ただ、宿の部屋のほうからざわめきが聞こえれば、半分覚醒したような、寝ぼけてるような視線を一度だけ、向けた**]
―回想終了―
―回想・昨夜―
[飛び出してゆくクロエを追いかけるフーゴーの後に続くこともできなかった。
ユリアンから寄越された声に応じることもできなかった。
立ち尽くすゲルダに声を掛けることもできなかった。
戻ってきたクロエの視線を受け止めることもできなかった。
世界が紗に包まれているかのような倦怠感だけがその時の全てだった]
…っそ。
[かなりの時間が経ってからようやく身体を起こした。
酒場の片隅には横になったヴィリーと、隣で座り込み眠っているらしきゲルダ。
そして椅子に座ったままのライヒアルトが居た]
ライヒアルトさんも残ってたのか。
…怖くはねえの?
[起きていれば問いかける。
答えが返れば曖昧な笑みを浮かべ。
それよりも心配が勝つのだと聞けば下を向いただろう]
[それじゃ、と言って酒場を出て行った。
自分の部屋に戻る前、従妹がいるはずの部屋の前で足を止め]
占いじゃ自分の証は立てられない。
…親父さんには悪いが、羨ましいとすら思っちまうよ。
[苦い溜息]
可能性は一つずつ消していってやる。
少なくとも、あいつは…ユリアンは。
[誓うよな言葉に続け、小さな声でおやすみと呟いた]
―回想・朝方―
[ユリアンの部屋の反対側、逆の角部屋で目を覚ました。
荷物の中から革のポーチを取り出し、白い布の上に置かれていたカードケースを仕舞う。
後はいつもと同じに身支度を整えて部屋を出た]
この匂いは。
[鼻にかかったそれが何であるかは容易に想像がついた。
廊下の先には酒場へ入ってゆくクロエとフーゴーの背中。
扉の中を覗けば無表情のライヒアルトが死体の傍にいた]
説明、頼んでいいのかな。
[客観的な状況を聞くことはできただろうか。
感想は特に語らず、分かったと言って酒場へと*向かった*]
―朝・酒場―
[夢現で聞いていた声がちかくなり、クロエがフーゴーにいわれて酒場にやってきたころに、ようやくのそりと動き出す。
ヴィリーはまだ眠ったままだろうか、すこしばかり心配そうな視線を向けてから、クロエや、外に出て行ったライヒアルトを見やる。]
……誰か……が?
[血の匂いは此処まで届かなくても、皆の雰囲気でなんとなく察せられるものがあり。
誰にともなく、小さく呟いた。]
病気……?
[返された言葉に、小さく呟く。
その説明だけで、納得できるかと問われれば、否なのだが。
それ以上追求しても、何かが変わるとは思えず]
……なんか……さびしい、ね。
[極小の呟きは、誰かの耳に届いたか。
フーゴーに促されるまま、酒場へと歩む。
ぶち猫は、ライヒアルトを見て。
それから、ちょこちょこと後を追ってきた]
[酒場につくと、詰め所に行くというフーゴーを見送り。
やや間を置いて現れ、外へと向かったライヒアルトを見送る]
……リっくん、なんか、甘いものほしい……。
あー……レモネード、少し甘めでちょうだい。
あと、ツィンになんか食べさせてあげて。
[リッキーに向けてこう声をかけ。
それから、ゲルダの呟きに、そちらを振り返った]
……リディちゃん、だよ……。
ライ兄さんが、最初に見つけたみたい。
[静かに返す声は、微かに震えを帯びていた]
― 宿 森へと向かう前の話 ―
リディさんの様子を見に来ましたら、
私が第一発見者になりました。
それで、おそらくフーゴーさんに疑われているのでしょうね。
[このような状態でも、
常を保とうとフィールドワークに向かおうとした矢先。
アーベルに状況を問われ、やはりいつもと変わらぬ調子で答える。]
…――昨夜、私は怖くないといいましたよね。
[相手に何故疑われたか?と問われる前に、付け足される言葉。]
私は、そういう感情――…悲しみなどもそうですね。
良く分からないのです。
どう、その感情を表せば良いのか分からない。
――とある医者からは、
おそらくある種の病気だろうと云われました。
だから、それに対して疑惑を向けられたとしても、
私は私の態度を改める気はないし。できません。
私は、私としてしかいられないのだから。
[アーベルにとっては謎かけのように聴こえるだろうか。]
それで死んでしまうなら、まぁ、仕方ないでしょう。
[説明はそれでお仕舞だとばかり、くるりと踵を返せば、
背後で「分かった」と声がした。]
―別荘―
…うたがわしきは余所者、か。
[そんなことを言っていた占い師候補のことばを思いだし、羊皮紙にむきあう手をとめた]
それが理由になるとしたら、あたくしもなのよねぇ。
生きのこるには、難易度がたかいかしらぁ。
[きのうの出来事を、ものがたりとして記したそれをかたづける。
ためいきをつき、別荘をでた]
― 森 ―
[頭上で鳥達のさえずりが聴こえる。
その音色に、碧の眸を細めて頭上を見上げた。]
嗚呼、失敗しました。
何方か、餌などあげて下さっていると良いのですが。
[思い起こすのは酒場に置き忘れてしまった、
保護をした小鳥のこと。
けれどフィールドワークを止めてまで向かおうとしないのは、
やはり学者が学者であるから。]
…――私は、さびしいのでしょうか。
[しかし、ふっと手が止まり、我知らず落ちる言葉。
クロエが零した呟きは、学者の耳に届いていた。]
分かりません。
[そもそも――さびしいという感情が良く分からない。
だから、自分がさびしいかと問えば、
分からないとしか、云いようがなかった。]
…―――。
[森を渡る風が黒髪を揺する。
その刹那微かに胸に湧いた感情は、
名を付ける前に、次の風に吹かれて消えた。]
─自衛団詰所─
……おぅ、一つ連絡に来たぞ。
[詰所の扉を開けるなり、フーゴーは団員達に言い放った]
今朝俺の宿で人狼に襲われて死んだ奴が見つかった。
リディっつー小せぇ嬢ちゃんだ。
[団員の中で一人だけ、他とは違った反応をした奴が居たか。それを目端に捉えつつ、フーゴーは続ける]
ついてはその遺体をどうするかを聞きたい。
こっちで弔って構わねぇなら、そうする。
ああ、いきり立つな。
俺はこの通り、人間である証明を持ってる。
[勝手なことをするな、と言いかけた団員に先んじて左腕の袖を捲った。見せられた銀に何人かの団員はたじろぎ、勢いを無くす。人間である証明とは言え、噛み痕は生々しく、取り巻く銀も異様に見えはするか]
…向こうの取り仕切りは俺が請け負う。
死者の弔いも、こっちで済まさせて貰うぜ。
[有無を言わせぬように言葉を紡いだ。それは今後の処刑は自衛団任せにはしないと言う宣言でもあったか。反論が無いのを確認すると、フーゴーは踵を返し詰所を出た]
―宿・酒場に向かう前―
[目を細めて説明を聞いた。自分の意見は挟まない。
何故かと問う前にも言葉が重ねられた]
…病気、ね。
感情の起伏が薄い人間ってのは他にも知ってるけど。
[確かにライヒアルトのそれは極端であったかもしれない。
謎掛けめいた言葉に僅か眉を寄せた。
何と答えればいいのか悩んだまま、分かったとだけ告げた。
部屋には少女が胸に空洞を抱え物言わぬ身体となっていた。
入口で十字を切る。しばらく瞑目するとそこを離れた]
─宿屋・酒場─
[リッキーが用意してくれたものを受け取り、ありがと、と言いつつ先にぶち猫に食べさせる。
何か食べた方が、と言われたなら、困ったように首を傾げ]
ごめ……さすがに、連続して色々見すぎて。
食欲、ないや。
[困ったように、眉を下げて言う。
こんな事言ってると、怒られるかな、という意識はあるのだが。
どうにもならないのもまた、事実だった]
―宿屋内酒場―
――……、くらい、くらいわ…。
ついでに言うなら、重いわね…。
[昨日の今日だから、と、それにしてはあまりにも。
まただれか、という想像はたやすくもあるか]
窓、あけるわね?
[風をとりいれようと、足と手をうごかす]
[こちらをみたクロエの声に、きょとり、と瞬く。
それはリディの名前が一致しなかったから。
ライヒアルトがつれていた記憶喪失の少女だというのは、ライヒアルトが見つけたと言うことでなんとなく繋がって。]
ああ、あの子……
[薄情だろうか、それでも親しい人じゃなくてよかった、と僅かに安堵の吐息をもらした。]
─宿屋・酒場─
あ、ルーミィさん……。
[やって来て、窓を開ける様子をぼんやりと見やり]
ん……。
爺様の時よりは、酷くなかった……かな。
[安堵の吐息を漏らすゲルダの言葉に、また黒の瞳をそちらに向けて微かに苦笑する。
いろの記憶はそう容易くは抜けず、それはそのまま、食欲減退に繋がっていた]
リディちゃんが、どうしたの?
[かえってくるこたえは予想がつくけれど、それでも問いかける]
って、クーちゃんだいじょうぶぅ?
ごはんはきちんと食べなきゃダメよぅ。
[ぷー、と頬をふくらませてみたり]
ゲルダちゃんのほうは、だいじょうぶ?
[こちらにも気遣いの声はわすれない]
[ヘルムートの問いかけ。
小さく、息を吐いた]
リディちゃん、が。
ギュン爺様と、同じ……に。
[返す言葉は、短いもの。
頬を膨らませての言葉には、ふにゃ、という感じで眉を下げ]
そういわれても、食べたいって、思えないんですもん……。
[ぼそぼそと。
口調は段々言い訳めいてくる]
─酒場─
…っ…
ここ、は…?
[ゆっくりと目を開けると、視界には見慣れた、だが記憶よりもやけに高い天井が広がって。
辺りに視線を向けて、自分が酒場の床に寝ていることに気がついて体をゆっくりと起こす。
何故ここに寝ているんだろう、と記憶を遡り、気を失う前のことを思い出し。
赤毛の騎士の姿を探して、辺りを見回した。]
―酒場―
そっか。クロエが無事でよかった。
[ほっとしたように呟き。
やってきたヘルムートに軽く首をかしげた。]
あたし? あたしは大丈夫だよ。
[自分が拾った相手が連れて行かれても、見知らぬ少女が死んでも悲しまないように見える女は、僅かに自嘲するような笑みを浮かべて答える。]
―教会―
[昨夜はいつ帰ったものか、朝には男は教会の個室にいた。
真っ先に腕を通すのはいつも通りの聖なる黒衣でなく、私服。
着替えが終われば、少しの間瞑目]
……ハ。
[緩く頭を振って、開いた視線は枕元へ。
そこに置いたモノ――煙草と、古い銃を懐の内に収めて、部屋を出て行く]
─宿屋・酒場─
[無事でよかった、というゲルダの言葉に、浮かんだのは、曖昧な笑み。
状況的にも、自分が無事、というのは、悪い事ではない……のだろうけれど。
素直に喜んでいいのか、迷う部分はあって]
……ん、ありがと。
[小さく呟くように言って。
目を覚ましたヴィリーの何かを探すような様子に、軽く、目を伏せた]
―宿屋内酒場―
……ギュンじーさま?
あぁ、もしかして、団長さん……?
って、ことは。
そぅ……。
[べにを塗った、くちびるにゆびさきをあてる]
まぁ、たべないほうが……。
魔女あいてなら、たべられないわよねぇ。
[ものがたりの発想をして、少しばかり息をはく。
まゆを下げる表情がかわいらしかったので、頭をなでたり]
[辺りを見回せば、ゲルダやクロエ達の姿が目に入り。
少なくとも、今ここに居る者は無事だったのだと思い内心安堵の息をつく。
だが、赤髪の騎士の姿はなく。]
………俺は…止められなかったん、だな。
[そう呟くと、目を伏せて。
血の臭いに、気付いた。]
―酒場―
ヴィリーさん……。
起きられました?だいじょうぶですか?
[慌てるでなく、そちらへと声をかける]
……案外に、おつよいのねぇ。
舌戦もおつよかったようですし。
[焦げ茶のひとみが正面からゲルダをとらえた。
それが自嘲とはいえ、笑みのかたちを成していることに感嘆を]
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