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―レイスの部屋の前―
[セイレーンが咳き込んだ音>>54はドミニカに問うていた魔人の耳に届く事はありませんでした。
少し遅れて開いた扉、そこから踏み出してきた青年の姿を眼にし、霧散した甘い音の残滓を探すように視線が流れます。]
・・・ああ
倒れたりしたわけではないようだな
[怪我などはないと見て取ると、幾分か魔人の緊張は緩みました。
僅かな動揺の気配には気づいたのか否か。
背後のドミニカを振り返り、眉を寄せるレイスと見比べ]
いや、心配というほどでもないが
ただ事に見えなかったんでな
[レイスは無理を隠す性質そうだと考えている黒い眼が『話せ』とバンシーを見下ろします。]
[倒れたり、なんて言われて。
少し困ったように、笑みを浮かべて]
大丈夫、ですよ。
ここはとても落ち着きますし……。
グレゴリー。そんなにわたしは、信用ありませんか…?
[わざわざドミニカに聞き直す様子に、困ったような口調。
グレゴリーの視線を追うように、己の視線も彼女の方に流れて。
言うな、というように。ただ、じっと見据える]
― 中庭 ―
[泉のほとりでいじけたところでキリルが戻って来る筈もなく、根を水面に伸ばして水分補給すること暫し]
やっぱり、人の形をしてるときは味のある飲み物が良いのぅ……。
[溜息混じりに立ち上がり、再び木の方へ。
そこで初めて、ニキータと会話をするロランに気づいた]
おおぅ、ランちゃんや。
お菓子の生る木ちゃんの命名、ありがとうのぅ。
― ユーリーの部屋 ―
[クス][悔しげな理由はよくわかるから可笑しそうに笑った]
[負けず嫌いは共感も覚えるところだけど何もそこまでと][クス]
ええ。ここの主はアナスタシア。
彼女が本格的に弱ったら何が起きるか分からないわ。
キリルが狙われた理由?
ベルナルトと一緒だったから深く考えてなかったけど。
確かにそこにも理由はあるはずなのよね。
[疑問には目を瞬いた][パチパチ]
[少し困ったような笑みを向けられ、魔人は軽く鼻を鳴らします。
今は興奮状態ではないため煙は出ていないようでした。]
信用と心配は別だ
・・・というかだな、前が前だろうオマエ
[前半は躊躇いなく、後半はやや低めの声が返ります。
出会いが瀕死状態だった為につい連想してしまったのだと、心配など性に合わない魔人が口の端を曲げました。
視線で口止めをしてる気配はドミニカを見ているので気づきようがないままです。]
― ユーリーの部屋 ―
そうよ。素直で優しい子。
こんな時でなくても守ってあげたい可愛い子。
[フフリ][妹のようなお友達自慢しながら懸念には頷いた]
ああ。便利な道具だけど、慣れてないと難しいのよね。
最近生まれたような若い子ならともかく、人間の中で暮らしてなければ縁遠くもなりやすいし。
……ふぅん?
[誰かに相談しようとしていたと聞いて少し戸惑う][ホフリ]
[などと言ってる内にバンシーが大声で泣き始めてしまいました。
湿っぽい事が大の苦手な魔人は顔を盛大に顰めます。]
おい、泣いてたらわからんだろう
[声に怒気がちらつきますが、イッパイイッパイのバンシーには逆効果でしょうか。
思わず逃げた視線がレイスの方を見やりました。]
― 中庭・木の傍 ―
[なんだろう、妙にほのぼのした、この空間は、とか、エントのじじーと鬼の子を眺めていると思えてきたり]
まあ、手紙書けたのは、シアねーちゃんだからこそ、だろうけどな。
[ふう、と疲れたような息をつく]
……はい。
ありがとうございま
[前が前、と言われれば。恥じ入るように頷くしかなく。
それでも、心配には少し嬉しそうに表情を変えた。
しかし礼の言葉は、ドミニカの泣き声に止まる。
口止めの意味はあったが、この泣き声はいただけなかった。
眉を寄せて――]
― ユーリーの部屋 ―
そうしてくれると、私は嬉しいわ。
[コクリ][とりあえずの結論に頷く]
あ。私も外しておいてね。
木の中にも興味がないとは言わないけど。
栄養にされちゃうのは嫌だから、そう無理はしないつもり。
[ヒョイ][何か言いたげなユーリーに肩を竦める]
[レイスとの会話を思い出しながら笑った][フフッ]
[そして、グレゴリーの視線を受ける。
表情は、振りかえるのに慌てて心配そうなものに取りつくろう]
グレゴリー、大丈夫です。
なだめてますから。
[少し安心させるように、微笑ってみせる。
そのまま視線をドミニカへと向けて。
彼女の方へと、足を進めた]
[レイスの表情が取り繕われた事に魔人の黒い眼は気づいたのか、半分落ちたの瞼の下で少し訝しげな色を浮かべます。
しかし、まずは泣き止んでもらわぬ事には話になりません。]
湿っぽいのは苦手だ
まかせる
[『なだめる』事に異存はなかった為、ドミニカに止められなければ一歩横に引こうと動こうとします。]
─ 自室 ─
完全無作為……って可能性もあるだろうけど。
それにしちゃ、こう……ピンポイントだよな、って思ってさ。
[キリルが取り込まれた、という点については、そこが微妙に引っかかっていた。
ドミニカに関する評価には、思う所もあるが、否定すると事でもないので、突っ込まない]
……まあ、なんというか。
そこは、自重してくれるだろう、とは、思っとく。
[無茶はいざとなれば自分もする。
だから、強くは押し止めなかった]
誰にか……は、知らんけど。
あのタイミングで、部屋にいたヤツ、なのは間違いないだろ。
そこは、確認してたみたいだし。
相談したい事……は。
なんか、「よくわかんないちからがあったから」聞きに行く……って。
[やり取りを思い出しながら、の言葉はやはり完成せず。
聞こえた泣き声に、瞬きひとつ]
な、なんだぁ?
[戸惑った声を上げながら、弾みをつけて立ち上がる。
オリガが声の方へと向かうのは止めなかった。
いや、ここで止めても、というのはあるし。
何より、術式固定のためには、対象者の気に触れないとならないわけで。
外に出ない選択肢が、なかった、とも言う]
ふ、え ぇえええ〜〜〜〜っ!
[怒気が混ざるグレゴリーの声に泣きやむどころかますます声は大きくなる。
ぼろぼろと零れ落ちる涙を気にする余裕もなく。
レイスが眉をひそめたのなんて当然見えるはずもなく、ただ近づかれればじり、とあとずさり。
グレゴリーが離れてレイスが近づくのには、涙に濡れた瞳がグレゴリーに助けを求めるようにむくのだった。
オリガやユーリーが廊下に出てくれば、泣かされているバンシーの姿がみえるだろう]
― 中庭・木の傍 ―
[どうやら、魔人を探す様子のウートラに、ひらりと手を振る]
ん、おっさんに燃やされねーようにね。じっちゃん。
[脅してるわけじゃないですよ?多分]
さて、どうすっかな、一度部屋に戻るか…
[ぼそり呟いて、傍にいるエレオノーラを見る]
エレ、まだ、ここに居るか?
[グレゴリーの表情には気付かぬふり。
そっと、困ったように笑って。
任された、とこくりと頷いた]
はい。
――ドミニカ、そんなに泣かないで。
[しかし泣き声はいっそうひどくなったわけで。
困ったような顔で、ドミニカに近づいてゆく。
逃げてゆくのにまた、眉を寄せて。
手を伸ばして、腕を捕えようとして。
足音が聞こて、ぴたりと動きを止める。
小さく溜息を吐くのが、ドミニカからは見えたことだろう]
― 廊下 ―
[コクリ][ユーリーとはウマが合う]
[イザとなったらお互いにと共犯めいて笑った][クスリ]
ドミ!?
[ヒラリ][泣き声の聞こえた廊下に飛び出す]
[目を眇めているグレゴリーを見上げている姿を発見した]
ちょっと、何したのっ!
[レイスを警戒する理由は持ち合わせないのでそちらは無頓着に]
[泣いてる理由と相手を勘違いしたままドミニカの傍へ駆け寄った][パタパタ]
[横へ一歩魔人が引いたため、三角形のような位置関係になったでしょうか。
そのまま任せて眺めるつもりだった魔人は、最初にドミニカから感じた怯えがレイスに向かっているように思えて組んだ腕をときました。
涙に濡れた瞳が助けを求めるように魔人に向かうと、]
まて
[彼女の腕を捕らえようと伸ばすレイスの腕を掴もうとしました。]
[後ろに意識なんてはらっていなかったから。
グレゴリーの手に、伸ばそうとした手は取られて。
困ったような表情で、振り返る]
……何も、しませんよ。
[しかし、それからやってきたオリガの言葉に、思わず、小さな笑みが浮かんでしまった]
確認、かあ……やっぱ、中に飛び込んでみねえと、ほんとのとこは判んないってことになっちまうのかな。
けどなあ…
[やっぱり、また溜め息が出た。もともと薄い幸せが逃げまくりそうだ]
[なだめるようなレイスの声>>85に、部屋に行く前ならなだめられたのだけど、いまは無理だった。
伸ばされるレイスの手から逃れようと下がる体と、グレゴリーが阻止してくれたこと。
そして駆け寄ってきたオリガのおかげで、レイスにつかまることはなくて]
〜〜 オリガ……っ!
[駆け寄ってきた、姉のような友人の名を呼んで泣きついた。
頼れる人が来て泣き声は少し大人しくなり]
…… っ
[しかししゃくりあげるせいで泣かされた原因がレイスと、ちょっぴりグレゴリーにあるとは伝えられないまま。
オリガがグレゴリーにかみつくのには違うというように首を振った]
― 自室 ―
[ぼったぼったと水滴を垂らしながら室内の泉から上がり、
簡単に裾を絞ってから石造りのテーブルへ。
卓上のディスプレイに触れて、早速と目的の人物を捜す。
ついでにと他の面々も調べてみれば、中庭に居なかった面々は屋敷内の一点に集結しているようで]
……なんかあったんかのぅ?
[こてり、首を傾ぐ。
その頃にはバンシーの泣き声も幾らか小さくなっており、騒動の原因までには思い至らない。地図の案内のままに木に覆われた壁の方に歩む――と、突然ぽかりと足元に穴が空いて、老人の体が吸い込まれた。]
[ドミニカに触れる前に止まったレイスの腕は、容易く魔人の手におさまりました。
憤りのままに海の者を傷つけぬよう気を払いつつ、困ったような表情をじっと見つめました。
オリガの声に小さく笑む様子に、どこか迷うように言葉を選び、]
・・・いや
オレの気のせいかもしれないが
アイツ、オマエに怯えてないか?
[眠そうな瞼の下から黒い眼が表情を読み取ろうとします。]
― 中庭・木の傍 ―
[しばらく、考え込んでいたが、ふいに、顔を上げ、ロランをじーっと見つめた]
なあ…お前さん、鬼なら結構、霊力てのか?強いんじゃね?
― 廊下 ―
うん。もう大丈夫よ。落ち着いて。
[フワリ][泣きつくドミニカの肩を抱く]
[舌打ちしそうなグレゴリーを見上げて目を細めた][ジトリ]
じゃあ、なんでドミがここまで泣いてたの?
そう睨まれたら気の弱い子は怯えても仕方ないでしょう。
[フゥ][ドミニカの仕種は手を出されたわけじゃないと解釈した]
[レイスに原因があるとは分からずに冷ややかに言い返す][シラッ]
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