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[明日の式典の間は、一度村中の全ての日が落とされ、
舞台で焚かれ、シャーマンの祈りが込められた火を
各自持ち帰ることになるだろう。]
[実行委員が先導し、街灯の替わりの雪灯篭に火を灯しながら
民は各々一番大切にしているランプに火を貰い自宅へ。
そうやって、ゆっくりと広場から灯火が村の至るところへ。]
[……明日は一日村中に雪灯篭を作る事が仕事になるだろう。]
[暗くなった現在、舞台の設営は終盤で。
天井を覆うようにかけられた白い布がトーンダウンした祭りの喧騒に揺れる。]
「今日の所はこのあたりだな。」
[実行委員の誰かがそうつげ、準備に駆り出された面々が開放される。]
――そう、やっとお勤めも終わりね。
[小さく呟き…自身に宿る妖精に声をかけた。
頭の中で、怒られないですむ、とは言うモノの、あまり…嬉しそうには聞こえない声]
…まぁ…今更なのよ。
最初っから…ユリアンを見守っていれば良かったんだから。
[その呟きは喧騒へと消える。
向かう先は…広場]
……………………
[明日の夜には祭りは終り日常が帰ってくる…はずである。]
[そうは言っても、祭りの最中に欠けていった
いくつかの日常がはたして戻ってくるかはわからず。]
[青年は小さく溜息をつきつつ、
準備から開放されたので舞台裏を後にする。]
[その手には二つのガラスが交わり合った装飾。
色は黄色と透明で…光を表していた]
…でも、ね。
ユリアンにとっては、良いチャンスだったんじゃない?
ミリィにも、本当の気持ち、言えたんだし…ミリィは聞いてたかは知らないけどね。
家族にも…本音を言える、チャンスなんだし。
[軽く目を細めると、小さく呟き…]
…だって、ユリアンはユリアンだもの。
まぁ、少し…悲しいけど。
[…すれ違う人々は、火を灯したランプを持っていて。
ソレを見ながら広場へとたどり着き…]
…ともかく…王様には言っておいてよね…
仕事させるんなら、ちゃんと聞く耳持ちなさい、って。
[くす、と小さく笑うと…
雪灯籠からランプに灯を移した]
[青年が舞台裏から…屋台に寄って糖分を補給しようとしたところで
ぼんやりと舞台を眺めるユリアンを見つける。]
[非日常により欠けたに地上が戻るかの要…に、なるのだろうか?]
[そのボンヤリした姿は、とてもそうは思えず。]
[青年は甘いグリューワインと、甘さを押さえたグリューワインの2つを用意し
ボンヤリしたユリアンの後に忍びより
甘くない方のマグカップを、その頭へ軽くぶつけるようにおく。]
……んなっ!?
[頭にぶつかる、軽い衝撃。
その衝撃に物思いから我に返り、はっと振り返る]
一体な……アーベル?
[青の瞳をきょとん、とさせつつ。
カップを手にした青年の名を、ややとぼけた声で呼び]
[ランプに火を灯すと、ガラスはその光で辺りを照らす。
黄色の硝子。
透明な硝子。
そして、曇り硝子。
…金と銀の光を出すつもりで]
ぇ?何?
…良いじゃない。
これぐらいの…手間賃は。
[ポツリと零すと、その視界にユリアンとアーベルの姿が入り…軽く手を振った]
[飲み終わった紙のカップは捨てて、
子供は砂糖の花をもう一瓶、買った。
それから、広場へは向かわず、
村の外れの方へと歩き出す。
人波に飲まれるように、子供は、
丘へと向かう。]
―村の外れの丘―
ノーラさん?
[白い月の冷たい光が、
白い雪を照らしてる。
村の中はあかりでたくさん。
だけれど子供は、
その白の方が好きだった。]
[覇気の抜けた姿に、もう1つ溜息]
……準備は済んだの…か?
[結界をこわす、妖精王を引き摺り出す…
…………そしてミリィを迎えに行く。]
……ミハエルに先をこされているみたいだが。
[と、先にユーディットに会いにいった少年の事を持ち出す。]
[ホットチョコレートの入ったマグカップを両手で包んで
そっと自室の窓を覗き込めば、ガラスが白く幕を作った。
それに、さほど気にした様子を見せないまま
窓の外から見える、準備作業の進められる広場をぼんやり眺めて]
[問いに、一つ瞬いて。
それから、ああ、と頷く]
やらなきゃならない事は、全部片付けた。
後は、時間を待つだけだな。
[先をこされて、といわれれば、ただ、苦笑するしかなく]
ま、それは……仕方ねぇだろ。
[ため息混じりに言った後、手を振るイレーナに、こちらも手を振り返し]
……あの灯りを見るとさ?
もうすぐ終わっちゃうんだなーっていっつも思うんだよね。
まぁ、村中が灯ると…すっごく綺麗には違いなんだけどさ。
少しだけ寂しくなるの。
[小さく笑みを浮かべたまま
――誰に投げかけるでも無く、ぽつりと呟いて]
―――――。
[ランプを持って二人の元へと向かい…]
…ん、準備はすんだの?
[そう言うと、辺りを見回し]
…コレを見ると…
もうそろそろ、終わり、って感じだね。
…やっぱり。
惚れた女には迷惑かけるわ
年下に先を越されるわ…………成功…させろよ。
そうじゃないと、あんまりに情けない。
[空いた手を、ポン…と、
叩いてるのか撫でてるのかわからない強さでユリアンの頭に。]
そして、ちゃんと言うんだぞ。
ああ、やるだけの事はやった。
後は、時間を待つだけってとこだな。
[再び投げられた問いに、同じような答えを返して。
それから、自分もゆっくりと、周囲を見回す]
ん……そうだな。
祭りももう、終わり……か。
……言いたい放題だな……まあ、否定できねーけど。
[言われた言葉と、頭に乗せられた手にやや、むっとしたような表情を覗かせるも。
最後の一言にそれは影を潜め、ああ、という短い返事が零れ落ちた]
…ん。
[ユリアンの言葉に小さく頷くと…アーベルの言葉に笑いつつ]
…なんというか…ね。
あっという間だったかなぁ…今年も。
[そう言うと、空を見上げ…]
…まぁ…今年は…色々、新鮮だったけどね。
今までのよりも、印象がキツイ、かな。
[ユリアンとイレーナの言葉に頷きつつ]
明日…屋台が片付けられて、
式典が始まって…帰路についたらお終い…だな。
[物を売る屋台の、少なくなった売り物を眺める。]
あっという間、か。
……ほんとに。あっという間に過ぎちまったな。
[呟くように言った後。
印象がキツイ、という言葉に、やや苦笑]
そりゃま、普通に考えたら起こりえねぇだろ……こんな事。
起こした俺が言うのも、なんだけどさ。
…ね。
でも、帰るまで…終わらせるまでがお祭よ?
[アーベルの言葉には小さく笑いつつ…]
…ソレもあったけど。
今年は知らない人と良く喋ったりしたかな…って。
…確かに、本物の妖精の力を見る、って言うのも…
ほとんど無い経験だけど。
[妖精さんにあたしのランプをあげたしね。
と、小さく]
……つか、撫でんなっつの。
[無言で撫でるアーベル睨むように見つつ、ぽつりと呟き]
知らない人、かぁ……。
そうだな……確かに今年は、そういう機会も多かったかもしれねー。
[軽い口調で答えつつ。
ふと、妖精の騎士の事を思い出して]
[少女に近付いて、同じ目線になって]
…いいえ。大丈夫。
ただ…
少し、寂しいなって思っただけ。
[声は変わらず穏やかに]
[金の細い髪に、手を伸ばす]
[後… … …もね。
ソレは心の中で呟いて]
…なんでだろうね。
やっぱり…そう言うのが集まっちゃう星の巡り、だったのかしら…
[アーベルの頷きに、少し…考え]
…そういえば、アーベルとも…
あまり、喋ったこと無かったしね…
甘いモノ好き、というのも、初めて知ったけど。
[初めてのことが多かったのかしら?
瞼を閉じて、頬を緩めた]
………確かに、ユリアンともイレーナとも……
それよりも、人とこんなに喋った事自体が久しぶりだな
[”甘いもの好き”の件にはグリューワインを一啜りしつつ]
甘いものは…元気が出るからな。
……ったく。
[笑うアーベルの様子に、まだどこかむっとしつつ]
星のめぐり……か。
[小さく、呟く]
……巡り合わせには……感謝したいところが多い、かも、な。
[その声は、風に消え入りそうで]
そういや、しょっちゅう見かけてるわりに……。
あんまり、喋ったりしなかったもんな、アーベルとは。
[それが、なんか気づけば大立ち回りをするようになっていたりして。
明らかに、どこか、以前とは違って]
……変わった……んだな、やっぱり。
…確かにね…
あたしも、お祭の時は…ランプ売ってたし。
[軽く肩をすくめて見せ…]
…来年も、もう少し…話す機会を作っても良いかもね。
[お店だけじゃなくて。
そう呟くと、ユリアンの言葉には小さく笑って]
…そう、思えたなら…良いんじゃない?
そんな小さな声で言わなくても。
折角会えたんだから……巡りあわせは全て感謝したい…な
[ユリアンとイレ−ナを交互に見つつ小さく呟けば。]
もう少し…あの妖精の騎士とも話してみたかった…かな
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