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[赤紫の瞳に映ったのは灰茶の瞳、見えるのは生命の竜のしての労わり、そして覗いてしまったのは――…生命の竜の遠い遠い過去。
青年の目が見開かれ、その色は熱が引くように紫紺へと戻っていく]
………、えぇ。
おはようございます、クレメンス。
[心を凍らせていなければもっと動揺が表面に出たのだろう。青年は温度の低い声で静かに生命竜の笑顔から目を逸らした。覗いてしまった光景に、心の奥底では覚醒した『願い』が揺れる。
目を伏せて腕輪と指輪を嵌め、眼鏡は少し迷ったがかけずに青年は無理矢理に体を起こした。立ち上がる事は出来ずに壁に背を預けて寝台に足を投げ出す]
御迷惑をおかけしたようですね。此処は?
―東殿・どこかの部屋―
[心を覗かれたことに気づいているのかいないのか。
こちらはいつもと変わらずに、椅子を引き少し近づく。]
気にすんな。だいぶ消耗してたっぽいしな。
剣は変わりないか?
[ひらと手を振り、質問にはさぁと首を振る。]
どっか空いてた部屋だ。倒れてた所からはそんなに遠くねぇ。
[軽く、心に届いた声に頷く。]
ああ、どっちも無事だ。
聖魔剣はオティーリエに渡してある。
それから爺さまと…、エーリッヒが結界の中だ。
こっち側に残ってるのは、ナタ、氷竜殿、翠樹の嬢ちゃんとナギ、それからノーラ殿だな。
んで。これからどうするんだ?
[剣は手に入れた。あとはどう動くのか。
その先はクレメンスは知らない。
揺らされきっていない為なのも原因だろうか。
まぁ何をするにしても、おそらく暫くは動けないだろうが。
自分の消耗はまだ何とでもなる範囲だが、アーベルにかかっている負担は大きい。回復にはまだ時間がかかりそうだと予感した。]
―東殿/どこかの部屋―
[近づくクレメンスの足元に視線を落し、かけられた声に頷く]
はい、大地殿の意思はとても固くて。
過剰に剣へ精神力を注ぎ暴走させた分、その反動で宥めるのに力を持って行かれてしまいました。
――…今は小康状態のようですが。
[膝の上でしっかり握る黒の腕輪――『神斬剣』に視線を落す。
それが影に沈んだ影輝の均衡もあっての事であるとは、剣の持つ気配に紛れて気付けない]
―東殿/どこかの部屋―
[彼女と剣の無事、結界の中と外の竜達、そしてかけられた問い。
いつかは当然訊かれるはずであったそれに、青年は口元に微かな笑みを浮かべた]
二つを合わせ『真・聖魔剣』に。
――…そう言いたい所なのですが、この状態では少々難しい。
[口元の笑みが苦笑に変わり、生命の竜を見る。紫紺は覗き込みはしないけれど、その心の動きをいくらかは映す]
……貴方は、いいのですか?
[今更かもしれないが、止めないのか言外に問う。それは生命竜の心の奥を覗いたからこその言葉]
―東殿・どこかの部屋―
流石爺さまだぁな。頭も固けりゃ心も固ぇってか。
[へらり笑って、顔をみやり。]
無茶にはこの際多少目ぇ瞑るかね。結果よければ何とやらだ。
[それから視線は膝の上の黒い腕輪に。
腕輪の均衡に影が役立っているのは、こちらも気づいていない。]
[二つをあわせて一つの剣に。
以前そういえばそんな事を聞いた気がしたが。
今難しい、にはまぁそうだろうなと、肩を竦めて一度椅子からは立ち上がる。
同じ部屋であれば、以前氷竜に出した即席の茶でもあるだろうと探し、見つかれば湯を入れて一つだけもってきて寝台の傍のテーブルへと置いた。自分の分はない。
再び椅子へと腰かけて。
問いと共に投げられた紫紺の視線には、少しの間沈黙し。]
そうだなぁ…ああ、一つだけ頼んでいいか?
どうやって願いを叶えるか分からんが。
俺の願いは叶えないでくれ。
…無論降りるわけじゃねぇよ。
叶える願いが少ない方が、負担も影響も薄くなるだろ。
[答えの代わりの頼みには、さてどんな顔をされたか。]
[へらと、いつもの軽薄の笑みを浮かべ。
さも何でもないことをいうように口調は軽く。]
止めは、しないさ。
だが今は…世界の崩壊すら省みずに、渇望した願いってやつが叶った時の、その結末が見てみたい。
おいさんはよ、もう全部捨ててまで願いをかなえようって気持ち、薄いのよな。
何度か、その時の心持ちを思い出しはしたんだが。
[内側に埋めた過去は、殻を破って何度か鮮やかにその時の情景を、強い思いを呼び起こし、揺らされた。だが。]
それでも時間が経てば……すぐ色褪せちまう。
代わりに出てくんのは、姐さんやら兄さんやら、チビやら氷竜殿やら卵姫やらティルやらなにやら、そういうので。
…歳は取りたくないもんだな。色んなものが増えちまう。
[苦笑して返したその顔にあるのは、微かな悲しみと苦み。]
俺は、一番叶えて欲しい時に、願いを叶えられなかった。その手段が俺には無かったからな。
ただ時間だけが過ぎていって…その結果がこれだ。
今のお前さんらには、強い願いも、叶える為の手段と力もある。
全部揃ったら何が出来るか、何をするか。
…ま、止めはしないさ。
[それは、進むも引くもという二つの意味を含んではいたが。]
―東殿/どこかの部屋―
[暖かな湯気ののぼるカップに視線を落し、沈黙を待つ。
やがて返された生命の竜の頼みに、小さな声を上げて笑った]
願いを叶えない事が願いなら、叶えない事が叶える事。
ですが、貴方が言いたい事は違うのでしょうね。
[負担を減らす為と言われ、やはりという風に頷いて顔を上げる。
そして語られるクレメンスの言葉と心を静かに受け止めていく。
凍らせた心は揺れて、ゆっくりと溶けて、緩んだ封が腕輪の気配をよみがえらせていく。危うい均衡を保ちながら]
――…私の『願い』、オティーリエの『願い』――…
[青年の口元には、いっそ優しげな笑み]
止めないなら、止まる筈も無い。
私は――…『願い』を叶えますよ、クレメンス。
貴方が得られなかった機会を、手段を、手に入れたのですから。
[言葉と共に黒の腕輪をもう片方――左の腕に嵌める。
少しずつ心の封を説き、使える力を戻しながら青年は微笑んだ]
止めて欲しかったのかね?
だけど、そいつは俺の役割じゃねぇよ。
おいさんそんな若ぇわけでも、優しいわけでもねぇからな。
[穏やかな笑みには、快活な笑みを返して。
腕輪を嵌める様を見つめる。]
羨ましいよ、お前らが。
[それでも願いをかなえると、はっきりと口にした心竜に、酷く穏やかに微笑んだ。]
―東殿/どこかの部屋―
[茶を飲み終えた後、生命竜が回復に努めるのと同様、青年も体を横にせぬまま浅い眠りについていた。
腕輪は今のところ所有者である青年を苛む事はなく、沈黙を保っている。それは精神と影輝のニ者が共にある為だろう]
――…そろそろ、動けるかな。
[二つの剣を一つにする為に、まずは邪魔をする力を持つ者を排除する必要があると寝台から降り立つ。上体が少しふら付いたが、壁に手を付く事なく姿勢を正した]
二つの剣を――…一つにする為に。
[秘なる書の青年は禁じられた知識と、かつての友から覗き見た秘密を引き出していく。二つの竜王。天聖と影輝。
十五竜王は結界の中に、ならば代理の、または新たな――…]
探さなくてはな、エレオノーレ殿を。
[足元には*影*]
―東殿・どこかの部屋―
[声に目を開ければ、アーベルがすでに立ち上がっており、ふらつく様子は辛うじて見えなかった。見ていれば、後に頼まれた事には従わなかったろう。
続くように自分も立ちあがる。
何度も繰り返した転移と治癒、そして剣を持ったときの反動と、三対の一つが欠けた影響は、こちらは頭痛と自己の回復方面に出たようで。
失った体力の戻りが遅い。今も完全には少し足りない80%といったところか。
目の前のアーベルよりは大分マシだとは思ったが。]
―東殿・どこかの部屋―
まぁ無理すんな。
怪我でなくとも、何かあったら呼んどけ。
[決意するような声にそう言いながら、自分はその場からゆらりと消えた。]
―――。
[ぱちりと目を覚ました]
……?
[少しだけ、何が起こったか分からないように、周りを見渡していたが、はっと気づくと、その身を起こした]
大地の!?
氷の!?
[叫んで、辺りを見渡すが、誰の姿もない。
……それどころか、いやに静かだ]
……どういうこと?
全て、終わったのかしらぁ?
[ざわつくような流水の気配は感じない。
いや。流水どころか、どの属性の気配すら、いやに静かで―――そこで、ナターリエは自分の体に残っていた氷の力が全て消え去っていたことに気づいた]
治ってる……?
氷のが、治してくれたのかしらぁ?
[疑問に答えるものはいない。
今はただ疑問を解消する術もなく、ナターリエが部屋から抜け出した]
……。
[カツン……カツン。
と、嫌に自分の足音が響いた。
部屋の外へと出てみても、やはり、気配はほとんどしなかった]
終わっては……いなそうねぃ。
終わっていたのならば、ここまで気配がしないほうが、逆に不自然、か。
[ならば、昨日の結果はどうなったのか。
「揺らされている」精神を止めることが出来たのか。
はたまた、大地のが所有している『力ある剣』が奪い取られたのか。
もしも、まだ騒動は続いているのならば……誰が今度は結界内に閉じ込められたのか。
考えることは山ほどある]
さて……どうしようかしらねぃ。
[一人で考えてるならば答えは推測の域を出ない。
全ての疑問に答えるような証拠が存在していないのだ。
当てもなく、ナターリエは歩き続け……やがて、食堂へと辿り着いた]
……一先ず。
喉の渇きでも潤しましょうかねぃ。
[食堂へ入り、そのまま足を台所へ向けると―――]
―――水の、気配?
[もちろん、台所ゆえに水の気配があるのは当然だが、それ以外に、水の力を使ったような匂いを感じる]
何故、こんな所で?
[それは、オトフリートが聖魔剣の場所を隠すために仕掛けておいたものだったが、聖魔剣が結界内に移動した以上、それを知る由は、もう無い]
……。
[いぶかしみながらも、トラップの類は存在していないのをナターリエが確かめ、まあいいかと無視して、適当に台所内を散策して、飲み物を見つけると、豪快にそれをラッパ飲みした]
……くはぁ!うまい!
[なんか、妙におっさんくさい]
それにしても、誰も説明してくれる人がいないのは困りますわねぃ。
[飲み物を片手に、ナターリエが適当にテーブルに腰をかけた]
うーむ。どうしようかしらぁ。
―結界の外―
[青年の気配は消せても腕輪のそれは消せないまま、結界の外へと歩み寄る。集中して剣がなく力を封じる銀を嵌めた右の指先を伸ばし、触れた]
………。
[ちり、と熱にも似た痛みに腕輪の気配が揺れる。
予想はしていたが、通り抜ける事は可能でも内部に入るのはあらゆる意味で危険と思えた。それでも試したのは万一の時の為]
< 海に抱かれるような心地がする。
それは生まれるより前、光と闇の合間を揺れていた頃に似る。
何も考える事なく、ただ、均衡を保つべく在った。
目も耳も口もなく、ただ、全てを写す。
遠く近く、静かな、声が聞えていた。青年の影が、滴を落とされたように微かに揺らめいたのは、灯りの所為だとでも思われただろうか。
名が一つ、紡がれる。
誘われる無い筈の瞳、一つめの眼を開くと、世界が見えた。
深い水の底に居るようで、遥か彼方の天を仰いでいるようだった >
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