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― 館内→ ―
[その後また館内を一通り回り、主人の部屋にも顔を出す。
天気如何では一晩部屋を借りるかもしれない、と相変わらずの上から目線で告げると、あっさりと承諾された。
それから最近の事を聞かれ、家の事や村の事などを少しだけ話した後で、その場を辞して]
― 広間 ―
ええ、少し。
実は、元々こちらに用があるというわけではなくて……
麓で、こちらには面白い、珍しい本があると聞いて訪れただけなので。
[故に、本を読むことは目的の一つではあるけれど、流石にそれだけでは間が持たない……とまでは口にはしないが]
ああ、すみません。これは癖と言うか職業病といいますか。
元々教会に身を置いているので、つい。
[身に付いたものはなかなか変えられない、と苦笑して]
手紙……それはなかなかに大変そうですね。
内容によっては。
と、これは余計な詮索になってしまいますね。失礼を。
[仕事上の秘密に触れるつもりはないからそう言うに留めて]
― →広間 ―
[広間に戻ると男が2人>>105>>106。
どちらとも既に面識はある為、改めて挨拶などはせず。
勝手に飲んでも良いと言われていた>>86茶をカップに注ぎ]
お前達も飲むか。
[などと、2人を見ながら尋ねた]
─ 広間 ─
あー……なるほど。
確かに、ここには色んな本があるからなぁ……俺も、目当ての半分はそれだし。
[訪れた目的>>108は、聞けば納得する以外にないもの。なのでうんうん、と頷いて]
職業病とまで言われたら仕方ない。
[苦笑と共に告げられた言葉に、く、と笑う。話題が自身の稼業に移れば軽く肩すくめ]
とはいえ、そんなに大変なものを頼まれる事はないけどな。
いいとこ、目とか手足の不自由になったじい様ばあ様から、孫宛の手紙を頼まれる程度だよ。
[実際の所には触れず、冗談めかしてこう返す。
その内、見知った赤毛が広間に入ってきたならひら、と手を振り]
あ、もらう。
[尋ねられた言葉>>109に、あっさりと頷いた]
― 広間 ―
うむ。
[頷き>>110>>111を確認して、此処の使用人の手際の良さには敵わないが、それでもかなり慣れた手つきで準備をし]
心して味わえ。
[使用人的な行動と不釣り合いな態度で、それぞれの前にカップを置いた。
元々用意してあった茶を注いだだけで、自分で淹れたものではないのだが]
[その場の2人の会話には口を挟まない。
ポットの置かれた傍に戻り、壁に凭れ、自分用の茶を飲みつつ、他の誰かが希望するならそちらにも茶を提供した事だろう。それが自身の仕事ででもあるかのように。
そうしながら、時折外を気にする様子を見せていた**]
─ 広間 ─
ああ、自分じゃここまでは到底無理だしな。
そうでなくても、どっから見つけてきた! って言いたくなるようなものもたまにあるし。
[希少価値の高い古書でもためらう事無く借り出す青年は、屈託なく笑う。
呼び名の事を言われる>>111と、んー、と言いつつ首傾げ]
ん、呼びやすいように呼んでくれれば、俺はそれで。
こっちからは、名前で呼ばせてもらうけど。
[口にはしないが、呼ばれているとわかれば返事ができる、とは、日々の暮らしで身についているものだった。
何せ、祖父からは滅多に名前を呼ばれない]
重要ではあるが、月に一回程度なのが、なぁ。
だから、普段はじい様のやってる骨董屋で店番してるってワケ。
[柔い笑みに返るのは、悪戯めいた笑み]
― 台所 ―
[広間には別のメイドが用向きに行っただろうか。
緑のおさげメイドは暫く台所仕事を手伝っていた。]
料理長ー、こっちの皮剥いたよー。
あとの海老のしたごしらえは終わってる。
客用食器は一番最初に出してるってば。
[口を動かし手を動かし、足も動くが視線は料理長を向けずに、ぽんぽん声だけ飛ばして働く。
先ほど疲れたと言ったのはどの口なのか。疲れなど微塵も感じていないような働きぶりだった。]
広間のお茶?
大丈夫でしょ。沢山淹れてきたの置いてきたし。
今ごろラッセル様が、偉そうな顔して
「心して味わえ」とか言いながら、勝手に注いでくれてるよ。
[ラッセルの声と態度をやや誇張し真似ると、近くにいた使用人に噴出された。
つられるように、いつも通りねーとけらりと笑うと、外を見る。]
雨ふりそうね。
洗濯物って取り込んだっけ?
[その声に別の使用人が外を見回りに出て行くのを見送りながら、手には小麦と砂糖の袋が握られていた。]
[仕事っぷりが早いのは、動作の回転の速さによるもので。口を動かしながらも手がしっかり動く手際よさ。]
料理長、ちょっと隅っこ借りるよー。
[断わりと動作はほぼ同時。秤も使わず手際よく、作るのは甘い焼き菓子だった。
先ほどベッドメイキングが終わった頃か、>>67ヘンリエッタに菓子をと頼まれていたからだ。]
そうそう、お嬢様に頼まれた、ラッセル様用。
とびっきりのを作っておきますね、って言っちゃったからちょっと気合入れるわ。
あげるのがラッセル様なのがアレだけど…
…1個くらいマズイの混ぜてもいいわよね?
[と小首をかしげて料理長を見るも、それやるとお嬢様の評判落ちるぞと釘さされれば、どーしよっかなーと、首をくるんと回して悩んだ。]
ありがとうございます。
[多少の事情がわかった今、ラッセルの物言いは気にならなくて。
目の前に置かれたカップに礼をいい、一口口に含んで。
外を気にする様子>>113は気にはなるけれど、問う事はせずに、視線をハーヴェイへと移し]
いくら本が好きでも、旅暮らしではそう持ち歩けませんし、ね。
なるほど、そんなに珍しい物もあるのですね……楽しみです。
[そう言って笑い、呼び方について返されたなら]
承知いたしました。
少しずつ変えていけるようにしますね、ハーヴェイ様。
[やはり敬称はそのままで]
……なるほど、それで骨董屋の方も、ですか。
便りがないのはよい便り、ともいいますけど……
[難しいですね、とお茶をもう一口]
[もう一度、窓の外を気にするラッセルに目を移し、その後でやはり外を見て。
そう言えば、林檎の木があったな、と思い出す。
彼は元々林檎を求めてきたのだから、それで気になるのだろうか?
そんなことを思えど口には出さず、ただ様子を見守るだけ**]
― 広間 ―
[視線を向けた窓の外で木々が枝を揺らす。
屋敷に着いたときよりも風は激しくなっているようだった。
窓の側ではないため空の様子はわからないけれど]
……少し天気が荒れそうですね。
[誰にともなく一言落として。
この風で林檎の実が落ちなければいいのだけれど、と
林檎が熟すのを待つ数人を思い起こして息を吐いた**]
─ 自室 ─
[カナリアの歌声は響かぬまま、ヘンリエッタは、はた、と我に返る。
どうやらうつらうつらと眠りに誘われていたようだ]
はふ……ねちゃってたのね。
[目元を手の甲で擦り、椅子から床へと飛び降りる。
視線は再び白いカナリアへ。
鳴く様子がないのを見て、しょんぼりした表情をしてから自室を出た]
─ →書斎 ─
[とてて、とヘンリエッタが移動したのは父が居ると思われる書斎。
来客も多く、父への挨拶も多いだろうとは思えど、ちょっとだけ甘えたくなって。
扉の前で3度、ノックをした]
お父様、今、いい?
[書斎の中からの返事の後、扉を開けて隙間から顔を覗かせる。
問いかけると、笑みと共に諾の声が返った]
[部屋の中に来客の姿はなく、大きな机に向かって腰掛ける父の姿があるだけ。
ヘンリエッタはその傍に駆け寄ると、父の首に短い両腕を伸ばしてぎゅっとしがみ付いた。
どうした、と父が問いかけながら背を軽く叩いていたが、しばらくはそのままで。
満足すると両腕に込めていた力を抜いた]
…んと、ね。
イェニーが、お声を聞かせてくれないの。
待っても待っても聞けないから、寂しくなってきて……。
[そこで言葉を途切れさせ、ヘンリエッタはまたぎゅうと父にしがみ付く。
ヘンリエッタの心境を察したか、父も今度は優しく頭を撫でてくれた。
その所作が嬉しくて、寂しい気持ちも徐々に薄れていく]
──ありがとうお父様。
もう、だいじょうぶ。
[ヘンリエッタは再び腕の力を抜いて、父から身体を離して微笑みかける。
父もまた、安心したように笑みを浮かべていた]
今日はたくさんお客さまがいらしてるのね。
もうお会いになったの?
[問えば父も楽しげに返答してくれる。
しばし来客についての話をした後、そういえば、と父が引き出しから何かを取り出しヘンリエッタへと差し出した]
───わたしに?
わぁ、なにかしら。
[差し出された包みは淡い薔薇色のリボンがかけられていて。
その包みそのものが宝物のように見えた。
父の机を借りてそっと包みを開き、中にあるものを覗き込む]
…──わぁ、きれい───
[包みの中にあった箱を開くと、古めかしいデザインながらも輝くネックレスがあった。
銀で作られた楕円の台座に、リンゴの形をした赤い宝石が一つ。
ヘンリエッタの髪の色と似たそれがピジョンブラッドであることは、見る者が見れば判ることだろう]
ねぇお父様、つけてつけて。
[箱からネックレスを取り出し、父に渡してつけるよう強請る。
父は笑いながら、自分に背を向けるヘンリエッタに対してネックレスをつけてくれた。
子供用ではないため少しばかりチェーンが長いが、その分ヘンリエッタの視界にもネックレスは良く見える]
ありがとうお父様。
大事にするね。
[父へと向き直り、ヘンリエッタはもう一度ぎゅうと抱き締めた。
そこには感謝の気持ちが多分に含まれている]
それじゃあそろそろ行くわ。
お夕食はみんなでいっしょに食べようね。
[子供の無邪気さを発揮して笑みかけて、ヘンリエッタは書斎を後にした。
父の笑みを背に進路は階下へと]
─ 廊下 ─
今日のお夕食なにかなぁ。
[胸元に赤い輝きを揺らしながら1階へと降りる。
今は丁度支度をしている頃か。
台所ではいつものように彼女が手際良く動き回っているはずだ]
あ、お菓子、どうなったかな。
[屋敷の主の娘をも揶揄うメイドだが、その能力は確か。
菓子作りの腕も見事だが、その性格故にお菓子が大変なことになりかけているなどと、ヘンリエッタは知る由もなかった。
その辺りはヘンリエッタの説明不足によるものでもあるが]
─ →台所 ─
[菓子が気になってやってきた台所。
中は案の定、忙しそうな雰囲気だった]
…ネリー、お菓子、出来た?
[忙しそうではあるが彼女のこと、話しかけるくらいは問題無いだろうと考え声をかける。
中にも入るものの、邪魔にならないように隅っこに留まる]
─ 広間 ─
そうかぁ……やっぱり、旅暮らしってのは、思うほどラクじゃないんだなぁ。
[持ち歩けない、という言葉に緩く腕を組む。
楽しみに、という言葉>>119には、楽しげに笑った。
もっとも、敬称のついたままの呼びかけに、少しだけ苦笑い染みたものに変化したが]
依頼主曰く、「頻繁にやり取りすると、会いに行きたくなる」から押さえてるんだと。
……色々、柵あるみたいよ?
[軽く肩竦め、冗談めかした口調で言って。
天気の話題>>121に僅かに眉を寄せた]
……荒れる?
[耳を澄ませば、確かに響く風鳴りは甲高い。
長く荒れると面倒だな、と。
その時過ぎったのは、その程度の事だった]
[そう言い、天板の上の細長くまだ熱い生地を、素手で天板から剥がしとると、端からくるくると巻き始めた。
出来上がるのは薔薇の蕾のような、目の前の主に良く似合う可憐な菓子。
赤や緑の不思議色な生地も、こうすれば美しく映えるが。]
はいお味見どうぞ。
[と、出来たばかりの普通のランドグシャをひとつ、ヘンリエッタのてのひらに乗せた。
ヘンリエッタが味見するその間に、赤や緑はさっさと別に分けてしまう。
おんなこどもに食べさせられないアレな物が混ざっているのは言うまでも無かった。]
― 客間の一室 ―
[清潔に整えられた部屋、其の一角にふたつの鞄を纏めて下ろす。
ふ、と呼気を吐いて天井を仰げば、自宅に次いで見慣れた天井が此方を見下ろしていた]
……やれやれ。自分の家でも無いと言うのにね。
[不意に零れた安堵の感情に小さな苦笑。
旅に歩く身では同じ天井に迎えられる事は稀少なもの。
窓の外に広がる光景にも、ふと目を細めて]
[――暫し流れた静寂を破ったのは、扉が開く音。
続く酷く慌てた、出迎えた緑髪の子とは別の使用人の声]
……ああ。すまないね、声を掛けられる前に入ってしまって。
荷物を置かせて貰っただけだから、仕事の邪魔はしないよ。
[手数を掛けてしまうけれど、よろしく頼むね。
笑って、鞄のひとつからスケッチの道具だけを手に部屋を出た]
― → 広間 ―
[其の足が目的地に選んだのは、最初に訪れた広間]
……おや。
[人数は変わらずとも其の人物と配置が変わっているのに自然と声が漏れる。
新たに現れた一人に見覚えがあれば其れは余計に]
ハーヴェイじゃないか。
また後で寄らせて貰うつもりだったけれど、此処で会うとは思わなかったよ。
[山の麓、彼の祖父が営む骨董品店に訪れるのは自身がこの館を訪れるとほぼ同じ頻度。
店番をする彼とも幾度か顔を合わせている。
――彼が覚えているか否かは、また別だが。
何せこの館には数日滞在するが、店に顔を出すのはその間の一度切り。
ネリーの記憶からも薄れる程度。あまり期待は出来ない現状で]
─ 台所 ─
わぁ、いいにおい。
[オーブンが開かれ、漂った甘い匂い>>131にヘンリエッタの眼が輝く。
邪魔になってはいけないからとオーブンの傍には近付かなかったため、いくつか色が混じっていることには気付かなかった]
ありがとう。
[味見に差し出されたラングドシャ>>132を掌に乗せ、指先で摘んで口へと運ぶ。
サクサクとした食感の後、焼きたて独特の香ばしい香りが鼻を抜けていき。
口の中では解けるように生地が溶けていった]
──おいしい!
これならきっと喜んでもらえるわ。
本当にネリーは料理が上手ね。
[ラングドシャの欠片を手に、ヘンリエッタは満足そうにネリーへと笑いかける。
直後、残りのラングドシャも口の中へと仕舞ってしまった]
村の設定が変更されました。
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