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─教会外・屋根の上─
[4人が教会で今後の協議をしている頃
町の要所─もちろん教会を見下ろせる位置にも─には、人目では目立たない位置に人形が置かれていた
……さらに言うならば、教会の中、宣教台の下、傍目ではわからない位置にも
それらは遠隔・不可視の糸で繋いだ人形たちで広範の視覚・聴覚情報を確保する彼女の情報収集における『とっておき』
敢えて名を付けるなら『ドールズ・ネットワーク』とでも言ったところか]
─路地裏─
[そのネットワークの管理者たる彼女はというと、今路地裏に身を潜めていた
彼女の周りには、ルーター兼情報フィルターの役割を果たす人形が数体
さらには、彼女の腰ほどの大きさのキャリーケースが2つ、壁際に置かれている
目を閉じ、情報収集に専念してした彼女だが、スッと目を開くと]
……なるほど、ね
『依頼主』様のことをそこまで調べられているなら、そろそろ私も引き際かな
あーあ、成功報酬がオジャンかな
[残念そうな口調でそう呟くが、口元にはうっすらとした笑み]
…………まあ、私の正体がバレているのは私としても良しとしないところ。アフターケアはして差し上げましょう
特に、あのハンスさんって人。地の果てまで私追ってきそうな気がするし、ね
[言葉の端々には、クスクスとした笑い声が混じる]
[フーゴーの宿に集まっている面々の所に、アーニャが現れるのはおそらく彼らが到着してからしばらくのこと]
こんにちわぁ、ご機嫌はいかがですか?
[アーニャの口から出てきたのは、流暢なゲルダの声]
―――回想―――
[アーベル>>97の呟きに、遥か遠い地平線を眺めるような視線で静かに答える]
ああ……世界は広い。
何処に行っても、何をやっても、新しいことばかりで興味が尽きることは無いよ。
この世界に生まれて良かったって素直に思える。
ただまあ―――師匠さんが言ったように、心細いってこともあるだろうし、それ以上に物理的なだけじゃなく、何らかの力を持っていない人間は容赦なく淘汰されていく、無慈悲で、残酷な世界でもあるけどな。
[そこで、ふと視線をアーベルに戻し、先を続けた]
……全てが終わり、世界の華やかさと残酷さを全て考え、後は家族と会話して、それでも何かを見つけたなら、やってみればいい。
なんかあるなら、いるうちならアタイも聞いてやる。「何でも屋」のアタイがな。
[最後にニッと笑うと、あー腹減った。とか言いながら、皆と一緒にフーゴーの宿へと歩き出した]
―――フーゴーの宿屋―――
[道中、適当に露店でメシを買い、宿屋に着いたら着いたでまたメシを食べていたレナーテの目にゲルダの姿が映ると、笑いながら手を上げた]
よー、ゲルダ。
なんかこんかする前に、一緒にメシでも食わねえ?
見る限り、お前も逃げなけりゃ、アタイ達も逃げねえだろうし。
なら、多少ゆっくりしてもいいんじゃねえか?
[本気でいつも通りの調子で、*そんなことを言った*]
[呟きに、レナーテが返した言葉。
外を旅する者であるが故に言える言葉は、近い世界しか知らない身には酷く、重く聞こえて]
……新しくて、無慈悲……か。
[小さく呟き。
向けられた視線と、言葉を受け止める]
ん、まあ、一度に全部はできないし。
まずは終わらせて、それから。
考えてみる。
……なんかあったら頼むよ、『何でも屋』のねーさん。
[最後の笑みには、こちらも笑みで返し。
足早に、宿へと向かった]
─宿屋─
[たどり着いた馴染みの宿。
礼拝堂での一件は既に広まっているのか、姿を見た主人はやや、眉を寄せた]
あー……おっちゃん、ごめ。
ケリついたら店手伝うから、それで帳消しにして?
[渋い顔の主人にこて、と首を傾げて訴える。
「可愛くねぇからやめろ」という常と変わらぬ悪態に微かに笑んで。
とりあえずは、と休息をとる。
人形が現れたのは、一息ついて間もない頃]
……よー。
さすがにここで、『ご機嫌です』と返せるほど、人間できてないわ、俺。
[流暢な挨拶に、返した言葉は素っ気無かった]
―回想―
[アーベルが再び呟くのを聞き]
[レナーテの見解も聞いて]
[小さく唇端を上げた]
[覚悟の無いまま飛び出した自分]
[当然辛いことの方が多かったが]
[今も旅を続けているということ]
[少女を連れるようにもなったこと]
[それ以上は何も言わなかった]
[きっと必要なのはもうアーベルの意思だけだろうから]
[ただ少しだけエルザの様子を窺うように見たかもしれない]
―フーゴーの宿―
[水を貰い][預けていた荷の中から薬を取り出した]
[一息つけたと思ったところに現れたのは人形師と共に居た人形]
残念ながら俺も。
この状況を楽しめるほど余裕のある人間ではなくてね。
[口元は笑っているようにも見えるが]
[当然目は笑っていなかった]
[弟と、何でも屋の女性の会話には口を挟まない。
翠の双眸も、その姿を映すだけ。
ハンスの視線を受けても、小首を傾げて微笑むばかりだった。
一時見せた、眼を細めた横顔は寂しげではあったけれど]
―フーゴーの宿―
[こくり。
口に含んでいた水を嚥下して、滑らかな声へと視線を移す。
主の姿は見えず、人形があるだけ]
……あら。
よく、わかったのね。
[少しばかり暢気な呟きを零して、口元に手を添えた]
[アーニャから聞こえたゲルダの声に対する4者4様の反応にくすると笑いが漏れ]
……男性陣は女性陣を見習って、もう少し余裕を持った方がいいと思いますよ
さて、お姉さんの提案も魅力的なんですけど
ノコノコ出て行って捕まるわけにはいきませんしね
そちらから来ていただいても構わないですかね?
…………ちなみに
お断りの場合には、誠に遺憾ながら相応の対応を取らざるを得ない、とだけ申し上げておきますね
[アーニャ越しの会話の声はあくまで暢気]
……っつーか、さぁ。
そっちもそっちで、意識してかしてねーかは知らんけど、何かにつけて男の上位に立ちたがるの、止めたら?
可愛くないよ?
[しれっと言いつつ、ひょい、と立ち上がり]
ま、どっちにしろここで騒動起こして出入り禁止になるなんて真っ平御免だし、外行こか、外?
[そこらに散歩にでも行くような軽い口調で言って、場にいる面々を見回す。
蒼の瞳には、鋭さは確り、残るけれど]
[アーベルの言葉に相変わらずクスクスと笑いを漏らし]
あらあら、怒らせてしまいましたか
そういうつもりはなかったんですがねぇ
……でも、可愛くないは余計ですね
あらゆる意味でそちらこそ、とだけ申しておきます
[最後の二言は幾分温度の下がった声で
だが、すぐに元の調子に戻ると]
そうですか
でしたら、『そちらのお望みの通り』街外れでお待ちしておりますので
私の気が変わらない程度にお早めに
[それは教会での会話を聞いていたことを暗に示す言葉]
[空になったグラスを、ことりと置いた。
ふと視線を移ろわせたが、すぐに人形のほうへと戻して]
アーニャちゃんに、案内して頂けるのかしら。
それとも、この子はこの子で、貴女の元に帰るの?
[遊びの誘いでも受けたかのように、のんびりと言う。
席から立ち上がると、今回はしっかりと会計の準備]
[口の中に入れたものを租借して飲み込むと、楊枝を1本口に咥えて立ち上がる]
ん。さっき言ったとおり、逃げる気は全くねえんでいいよ。
罠でも何でも、好きにすればいい。
全て踏み潰してやるからさ。
んで?
何処行けばいいんだ?
街外れね。了解……ああ、エルザいいよ。アタイがまとめて払う。
[言いながら、ドサリと金貨の入った袋をカウンターに全て置いた。
思わず、フーゴーが目を見開いて驚いたが、違う違うと手を振りながら笑い]
そん中から、今の会計取ったら、預かっててくれな。
激しく動いて、落としたら泣くし。
[と、本気とも冗談ともつきにくい言葉を返す]
怒ってんの、そっちじゃん?
……今、声質きっちり変わってたし。
[くすり、笑う。
余裕があるのかないのかは、見た目だけではわからぬが]
聞いてたんなら、話は早い、ね。
んじゃ、さっさと行くとしよーか?
[さらり、と言って。レナーテの出した金貨袋に、うわ、と短く声を上げた]
全てご存知、か。
[暗示されたことに薄く笑う]
[エルザと同じく代金を取り出そうとしたが]
[レナーテが先に動いて手を止めた]
礼は後で。
[静かに立ち上がる]
おう。
[アーベルの言葉に、小さく返事をすると思い出したように]
……ああ、兄さん。
お互い、無茶はしねえこと。約束な。
[と、軽い調子で肩をポンと叩いた]
師匠さんとエルザは、後方のほうよろしく。
さ。行こっか。
[軽い口調で、いつも通り大股でレナーテが歩き出した]
[アーベルの売り言葉には、華麗に無視を決め込み]
…………では、お待ちしております
それでは、私はこれにて
[そう言うと、アーニャは前触れもなくフッとその姿を消す]
んじゃ、まあ。
ちょっと、行ってくるわ、おっちゃん。
[どこかぽかん、としている主人にひらり、と手を振って。
直後、肩に置かれた手。
それと共に向けられた言葉に、笑いながら一つ、頷いた]
はい、はい、と。
無茶はしないよ。
[軽い言葉と共に、外へ出る。
外で待っていた隼を肩に止め。
向かうのは、先ほど話した街外れの空き地。
そこが、最初の『サボり場』だった事は、今は他に知る者もなく]
[歩く後、慕うよに揺らぐ、風。
それと共に舞う花弁は、それだけを見たならいつもと変わらない。
そんな事を考えつつ、道を進んで。
たどり着いたのは、街外れ]
─ →街外れ─
……さて、と。
お呼びに応じて、ただいま到着……ってね。
[周囲を見回しつつ。
上げる声は、軽いもの]
─街外れ・空き地─
[事件の影響もあり、人通りのない街外れの空き地
その中央に佇む彼女の足元には小型のソードやランスといった武器を手にした彼女の人形たち
そして、彼女の一歩前方に置かれた2つのキャリングケース
4人が現れると、にっこりと笑い]
ああ、お待ちしておりました
ようこそ私の『劇場』へ
[そう言って優雅に一礼]
[空き地の様子、『劇場』というゲルダの言葉。
がじ、とまた、蒼の髪を軽く、掻いて]
……なんというか、随分と剣呑なステージだなぁ。
祭りの催し物には、むかないんじゃね?
[軽い口調で言いながら。
風はゆらり、と周囲に集う]
ま。
聞いてたんなら、こっちの用件はわかってんだろうし、ごちゃごちゃ言う必要はないよな?
―街外れ―
[広い空き地を通り抜けていくのは風ばかり。
「観客」となった女は、小さいとはいえ、武器を手にした人形の姿に目を瞠る]
……『劇場』ねえ。
[弟の物言いに同意するように、]
一緒に舞台を創り上げたかったのだけど。
あれも――結局、単にお金のためだったのかしら。
どうして、こんなことを?
[それでも、問いかけてしまう。]
―――街外れ―――
よ。お待たせ。
[シュタと手を挙げ、ゲルダに答える。
ピリピリとうなじに感じる殺気に多少苦笑しつつも、手に色々な獲物を持った人形達とゲルダを見つめる]
うんうん。
この雰囲気。久しぶり……ひさ……考えてみれば、あまり久しぶりって程でもねえ気がする。
[小さく、笑みを見せて、軽く拳を握った。
ちなみに、今までと同様鎧は着ていない。
鎧を着るヒマが無かったというのもあるが、元より着てくる気もあまりなかった。
ケンカにそんな防具は無粋だと思っていたから]
[アーベルの言葉にくすりと笑い]
それとこれとは別の『お仕事』ですから
[こちらも軽い調子で返し]
ええ、ですがこちらの答えも分かってますよね
答えは、断じて『ノー』です
[ピッと指を振る。同時、バクンと音をたてケース開封
中から出てきたのは彼女より背丈のある人形2体]
―街外れ―
やるなら力ずくでやってみろということか。
[黙ったまま聞いていたが]
[等身大(より大きいか)の人形が出てくるのを見て]
[エルザより一歩だけ前に出た]
[エルザの言葉にはにっこりと笑顔を浮かべ]
こちらはあくまで副業ですよ
『人形』を創るのはいろいろ入り用ですので
[特に魔術で動く人形は普通の人形とは色々違う
物質非物質問わず実に色々と入り用なのだ]
別の、ね。
[は、と。零れ落ちるため息は、呆れたようなもの]
そりゃ、ここで大人しく捕まるようなら、わざわざこんな『劇場』設えないだろっ!
[低く言い放ち、現れた人形二体を見る。
下街でのケンカはそれなりにこなしているが、荒事に関してさほど強いわけではない。
自分の動きに関して頼れるのは、常に傍にいた風の流れ]
……『行け』っ!
[低い声の後、風が流れる。
切り裂く刃ではなく、全てを打ち倒す勢いを乗せて]
[アーベルが風を放つのを見て、レナーテがぐるりと腕を一回転させた]
さーて。
そんじゃこっちも、行きますか。
[唇をぺろりと舐めると、心底楽しそうで、それでいて獰猛な野獣のような笑みを見せて、レナーテが走り寄る]
ブッ壊しても、文句言うなよ!
[そう言ってまず戦いの相手に選んだのは、人形達。
相手の動きを見定めながら、鋭い突きや蹴りを次々と放った]
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