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ごめんね、ブリス。
[微かに呟く]
[何のための謝罪か]
[わからないけれど]
薬はいらない。
[苦笑]
痛みを、忘れたらダメなんだ。
[わらう]
痛い間は、生きてる時間だから。
[目を細めた]
[薬を拒否する理由]
[それだけが理由でもないけれど]
だから、ブリスが使いなよ。
[拒否する言葉]
[───ピューリトゥーイ]
[聞こえた]
[呼ばれた]
[声を出すことはなかったけれど]
[何のために欲するのか]
[細切れの意識]
[思い出したかのように]
[壊れた音盤のように]
───撮ったことあるよ、記念写真。
[ヘルムートの問い掛け]
俺が一番最初に撮った、写真だ。
[答える虚ろな声]
[ヘリを降りる時、ノーラとブリジットの依頼に、自身のこめかみに当てていた手を下ろして頷いた。
アーベルに、]
足はまだ動くのか?
[動かないのなら車椅子に。動くのならば何も言わず、壊れ掛けた人形のような青年の身体を*支える*。]
[招く言葉]
[誘う手]
───行くよ、呼んでるらしいから。
[ぎしぎしと]
[ほとんど動けないに等しいからだ]
[指の欠けた左手]
[よく前が見えないけれど]
[聴覚がどうにか生きているから]
[ゆっくりゆっくり]
[研究所をすすむ]
[ヘルムートの声]
[苦笑]
───楽をしたら、駄目な気がする。
[痛みを忘れたら]
どうにか、ね。
[歩けなくとも歩くと言う]
[痛みがあれば]
[ひどくゆっくりとした動きだったろう]
[あるものは下半身が魚、あるものは人と思えば白鳥へ
まだ石との関連性には気づかないまま広いフロアを進む。
扉はいくつかあったけれどそこにゼルギウスは居ず
居たのは背が空洞の石像だけだった。]
……
[フロアに左右へ弧を描くような2本の上り階段。
2本の階段の間には扉がひとつ。
こちらへおいでと呼んでいる気がした。]
――…2階。
あの、扉の向こう…
[道を示して、導くように上を指さす。]
―研究所―
[ヘリから降りて、金の短髪が風に撫でられるのを感じ、目を閉じる。聞こえたライヒアルトの舌打ちに目を開けて心配そうに見上げる。
サンプル扱い、その言葉に吐く息に万感の思いがこめられているのが分かる。
繋がれた手を強く握る事しかできなくて不甲斐ない。大丈夫と返される言葉に、安心はできなかったけどうんと声を出して頷いて。]
[ライヒアルトが話す事を、傍で支えて聞きながら、いろんな事を考える。
ゼルギウスの事、石化病の事、いつか髪を伸ばす未来まで。
ライヒアルトに知られれば、またつっこみをもらうだろう。けど、これから対峙するものがどれだけつらくても逃げ出さずに戦えるように。]
●業務連絡●
ゼルギウス登場予告時間:22時以降な感じです。反応は即帰ってくるとは限りません。頑張るつもりではあるけれど…。
よろしくお願いします。
―研究所―
[何処から照らされているのか分からない灯り。
幻想生物が現われて消える。
――まるで、不思議の国。
そのくせ、無機質で奇妙に歪んだ
白に満ちた場所だった。
足を引き摺る音。
時折交わす会話。
それだけが静寂を破る。
石像に空いた孔で眠る羽の生えた猫は
互い違いの眼で闖入者たちを、見ていた。
白と黒。
濃い影が落ちる。]
─研究所/扉へと進む前>>74─
……ああ。
それについては、先に聞いてる。
中身の解析を手伝ったからな。
[示されるサファイアのピンを見つつ、一つ、頷く。
それがもたらされた詳細の説明は、任せる事になるだろうが。
解析に関連する事は、可能な限り補足などもして。
結晶多形が描くペルセウスの話は、他の者にも伝わるか]
[続けて話した事。自身の研究の一端>>6:129。
一介の『園芸家』の領域を大きく越えた、研究の話]
……ま。
冷静に考えれば、異常ではある。
道楽のような色彩交配研究への出資……その条件の一端に、精神感応や共鳴に関する研究を進める事があった訳だしな。
あの頃は、先へ進む事にばかり意識をとられて全く気にせんかったが……こんな形で、向き合う事になるとは。
さすがに、考えもできんかった。
[呆れを帯びたため息が零れる。
それから、くぐった扉の向こう。
見えた石像に、未だいろを失わぬ一方の天鵞絨が険しさを帯びた]
─研究所─
[誰か、と呼ぶ声が響く。
答えるように現れた小さな影>>#3]
……な。
[黄金と白銀。
薔薇を思わす二色の髪。
それらは容易に、結局手の届かなかったものを思い起こさせ]
……『天上の主』たちを創り出した、とでも言うつもりかっ……。
[零れ落ちたのは、苛立ちを帯びた、言葉]
[資料を手にし、父の名を見ながら黙していたが
ぽつりと]
……知ってたわ……
[じわじわと染み出すように
少しずつ沈めた記憶を浮かび上がらせる
もういない。もうむかえにはこない。もういみは]
……知ってたの……
[それでもなお、理由があるなら
進む以外に道は在りえなかった。]
[ライヒアルトと一緒に扉をくぐる。
虚ろな穴の空いた石像。]
ゼルギウスの言っていた、不備の結果。
[推測を口にする。
その次は展開される不思議。最初は、城にいた生物みたいなキメラかと思った。だとすれば、金と銀の子供は人間を元に造られたのだろう。
怒りに囚われかけてライヒアルトの手を強く握った時、その姿が消えた。]
……ホログラフ……。
[現実感のなさにそうかと。]
……、……
[ず、がり、がりり、と石を引きずる音が響く。
レイピアを片手に自由のきかない足を必死で動かす。
階段を登る足取りは重く、遅いもの。]
ベアトリーチェ…
[腰に下がる小さな楯が輝く。]
私は、家族というものが…
[エーリッヒを視て、ハインリヒを視て、ブリジットを視て
皆が抱く家族の姿、兄弟の姿がそこにはあった。]
…よく、…解らないの。
[「私」を求めてくれなかった、あの家族しか知らないから。]
[目を伏せる様子>>102に、かける言葉は見つからない。
城で目の当たりにした、いばらの舞。
真白の乱舞。
それをもたらしたのは、過去に縛された自身の妄執で。
そして、それがどこへと至るのかは、見えぬが故に]
……ホログラフ?
[手を、強く握る感触>>105。
意識は現へと引き戻され、天鵞絨は傍らを見やる]
確かに……そういえそうな、現実味のなさではある……な。
ホログラフなら襲って来ないから安心だ。
[明るい調子で楽天的な事を言ってから、ふっと真顔になって明後日の方を見つつ。]
ゼルギウスって、メルヘン大好きなロマンチストなのかな。なんかイメージと違う。
[視界を過ぎり、消える幻想生物。
こちらに近寄るでなく、ただ、消えるその動きには、言語化できない違和感が付きまとう]
……それはそうだが。
警戒はした方がいいだろ。
[楽天的な様子に突っ込みを入れて。
真顔で続けられた言葉に、一つ、瞬く]
……さて、どうだか。
個人的には、あまり趣味はよくない、と思っているが。
どこか、神経を逆撫でされるような感覚があってな。
[もしかすると、ある種の同属嫌悪。かも知れないが、自覚はない]
−研究所−
[転ぶなと]
[少女の弱い声がした]
───努力するよ。
[告げる]
[カメラは自分に引っ掛けたまま]
[もう撮るのはきっと難しいだろうけれど]
[それでも手放せなかった]
[たとえそれがもう意味のないものであったとしても]
[幻想種]
[行き交う不思議なものたち]
[それよりも気になる石像の空洞]
[何故なのか]
[背中にぽかりと]
[ぜルギウス]
[何を求めているのだろう]
[彼は]
[メデューサに]
[ピューリトゥーイに]
[幻想種達に]
───何、なんだろう。
[呟く]
[間近に現れて消える幻獣に、ホログラフと思ってもぎくりとした。]
気をつける。本物が紛れてるかもしれないし。…キメラの、実験もされていたようだし。
[突っ込みにそう返す。]
あたしのイメージだと、目的の為なら手段を選ばない冷血非情なおとこ。
[疲れに足を止め、誤魔化すようにみんなに向かって話しかける。]
あのさ。ゼルギウスはピューリトゥーイが必要だと言った。もし、
[言いづらくて口ごもる。けど、頑張って続けた。]
もし。…………あたし達の治療をする代わりに、ピューリトゥーイを。 置いて去れって言われたら どうする。
[アーベルの方を見ずに、ぎゅっと目を閉じて。]
[ナターリエを見たのは、彼女の身体――内部を心配したから
そして我慢せずに寄り添う2人を見たかったから。]
[屋上で見た時、星空は2人を祝福していた。]
……
[人に甘える事を、頼る事を知っていたら
違う未来があったのだろうか、と――]
…だめね。
[思考を止める言葉。
ふるりと顔を一度横に振ると黒い髪がぱさりと揺れた。]
───いいね、そういうの。
[ナターリエの提案]
[嗤う]
やっぱり───アンタ殺せば、よかったかな。
[微かに唇を釣り上げた]
[嗤う]
[冷たい指先に残る記憶]
[ゲルダの首の輪を引きちぎった記憶]
[でも]
[今更だ]
[きっと]
[どうせ自分に未来は無いも等しいのだから]
───好きに差し出せばいい。
[嗤う]
[アーベルの言葉に目を開ける。]
あたしは、あなたが嫌いよ。
[冷たい目でアーベルを見る。]
ゼルギウスも、だいっ嫌い。だから。あなた達が喜ぶ事に手を貸すのは、いや。
[そう言って微笑を浮かべる。言葉の意味は、他の人に通じただろうか。
そう言った後は黙り、他の人の答えを待つ。]
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