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─ 2階・客室 ─
[昨日碌に働かなかったエーリッヒは随分と寝入ってしまっていた。
負傷した足を庇いながらは何だかんだで心身ともに疲れてしまうらしい。
そのため、目覚めたのは屋敷に響いた高い悲鳴>>43を聞いてからのこと]
……ふぇ、
[薄っすらと目を開け、目だけで周囲を見回した後、大きな欠伸をする]
なんだってよ、こんな朝早くから…
[扉の開閉音や廊下を歩く足音を聞きながら身支度を整えて。
足の具合を確かめてからベッドを下り、廊下へと出た。
昨日よりは足は動かしやすくなっている。
いつも寝る前に老婦人が大浴場に沸く温泉を運んできてくれて、それに足を浸すようにしていたのだが、いい効果を生んでくれているようだ]
─ 階段→1階 ─
[階段を降りる足取りもやや軽め。
怪我は快方に向かっているのが見て取れた。
エーリッヒが階段を降りる頃には人も増えており、それらの動きで立ち込める異臭もやや分散気味。
それに気付いたのは階段を降り切ってエントランスホールに描かれた不自然な色を見てからだった]
うーわ、なんだこりゃ…。
[鼻と口を左手で覆って、色を辿るように玄関へと視線をやる。
数名集まる中に、カヤに付き添われて広間へと向かおうとしているウェンデルの姿が目に入った。
その様子からして、悲鳴を上げたのは彼なのだろう]
……で、どっから続いてるわけ?
[玄関ではどうやら異変があるようで、人だかりもあってエーリッヒの目には映らない。
ヘルムートの様子からは行っても制止を受けそうだったため、廊下を染める色がどこから続くのかを確認しに行った。
壁に軽く手を添え進んだ先には管理人室がある]
うぇ…ここも、ってかこっちの方が凄い匂いだな。
[管理人室にあるのは血溜り。
状況から察するに、ここで寝泊りしている老婦人が何者かに襲われて、玄関の方へと引き摺られた、と言ったところか]
─ 玄関 ─
[玄関までやって来た者には、自分が見た状況を説明し。
運ぶために動き出そうとした矢先に齎された報せ>>69に、眉を寄せた]
管理人室が、そんな有様に……?
それでは、すぐに部屋に、というわけにもいかんか……。
[小さく呟き、どうしますか、と問うような視線を団長に向ける。
団長はしばし思案した後、一時的に地下の倉庫に安置し、部屋の検分と掃除が終わったら改めてそちらへ、と返して来た]
やれやれ、忙しない事で。
[そんなぼやきを漏らしつつ、今は、と動き回る。
立ち込める臭いと亡骸の状況を見ても取り乱す様子のない姿はある種の異様さを感じさせるか。
エーリッヒに取ってきてもらったシーツで老婦人の亡骸を包んで地下へと安置し、玄関周りの目立つ血の後をできるだけ片付けて。
一息つくか、と思った所に、団長から広間に皆を集めるように、という指示が出された]
─ 広間 ─
[それから、全員が集まるまでどれだけかかったか。
集会場にいる全員が広間に集まると、団長は険しい面持ちのままゆっくりと口を開く]
…………。
[語られるのは、今回集められた理由。
この村に闇の者と、それに対する力持つ者がいるらしい、という知らせが中央の教会から届き、それを見つけ出すために疑わしき者たちをこの場に呼び集めたのだと。
そして、老婦人の命を奪ったのはその闇の者──『人狼』であろう、と]
……まあ、確かに。
あれは、人の手による所業とは、思い難いものでしたが……。
しかし、『幻燈歌』に歌われるような存在が、と言われましてもすぐには……。
[だからと言って、すぐに信じられるか、と言われると難しく。
零れ落ちるのは、困惑を帯びた声]
[そんなこちらの困惑には、構う様子もなく。
団長は、『人狼』を見つけ出して殺さなくては、更なる犠牲が出る、と主張する]
……それは、そうかもしれませんが……。
[どうやって見つけるんだ、とか、色々と言いたい事はあるが。
毅然とした──というか、何かを決意したような表情の団長に、それ以上何か言うのは躊躇われ。
零れ落ちたは、やや大げさなため息、ひとつ。**]
― 翌朝/玄関 ―
[甲高い悲鳴>>43の直後に響いた重たい音を聞くものはあったかどうか。部屋から出てきた時には軽く腰をさすりながら、階段を下りてゆく。
3階の部屋を借りたのは自分だけだったのだろうか。ヘルガの問いかけ>>65を拾うより前に、鉄錆の匂いが鼻を刺激した]
……そんな。
[玄関まで下りると、ヘルムート>>70から説明を受けて惨状の名残を見回した。
眉をしかめて首を振り、何かできることはあるかと申し出る。遺体運搬の間に掃除くらいは手伝えただろうか。
この時は、カルルの姿があっても声が掛けられても、更に眉を寄せるだけで無視黙殺しきってみせた]
― 広間 ―
[広間に集められて団長の話が始まると、玄関にいた時より顔色が悪くなった]
……信じられません。そんな恐ろしいこと。
[首を振って否定しながら、疑問を呈しているヘルムート>>71よりもずっと団長の言葉を信じてしまっているような雰囲気が滲んでいた]
だったら、嵐の中でもここから出られそうな手段を探してみるとか。そうすれば御伽話の状況と同じではなくなるじゃないですか。
これ以上おかしなことは起きないようになるんじゃ…。
[団長の主張>>72に、海の厳しさが身に沁みていない楽観的な発言をしたり。
普段より随分と饒舌に否定したり別手段を探そうとしていたが、団長の意思の硬さに段々とまた無口になっていった**]
― 玄関 ―
[神父が現れたのは、どれほど時間だったか。
掃除などの要請を、男は素直に受け入れて作業を行う。
神への祈りは、要請がなくとも自ら行った。
その間、茶白猫は神妙に神父の足元に鎮座し、見送るように一鳴きした。*]
─ 1階 ─
検分の後、ってことはあそこはまだそのままで良いんだね。
[ギュンターの言葉を受けてその後の作業工程を確認。
老婦人のことはヘルムートに任せ、エーリッヒはシーツや掃除用具の準備に動いた。
外部の人間であるはずのエーリッヒが誰にも聞かず、目的の物を迷うことなく持って来ることに気付いた者はあったか。
異様な雰囲気に霞むならばエーリッヒにとっては僥倖なことである]
─ 広間 ─
[やがてギュンターから集合を告げられ、エーリッヒもまた広間へと集まる。
聞かされたのは、皆がここに集められた理由。
語られる内容はまるで御伽噺そのものだった]
…人狼、と言うか。
フラウを襲ったのが人とは思えない、って言うのは分かるけどさ。
野犬とか、そう言う類の仕業ってことはないのかい?
中央の教会からの知らせだって言っても、突飛無いよそれ。
[そもそも教会が言うのだから何なんだ、と言う態度。
事の重大さをギュンターほど抱くことは出来なかった]
― 広間 ―
[広間へと人が集まると、団長はここへ人を集めた理由を語り出す。>>71]
はぁ?
なんで中央が、ここの神父である俺の所じゃなく、じじぃ……団長の所に文を出すんだよ。
大体、中央がなんでお伽噺を――っ……?
[『幻燈歌』や人狼については、男はどちらかといえば懐疑的で。
納得がいかない、信じられない、と決意を決めた表情の団長>>72に訴える。
けれど、お伽噺ではない、というように頭痛によって言葉が途切れる。]
あー……ったく、なんなんだよ……。
[頑丈が取り柄の一つなのだが、理由のわからない頭痛に、眉間にしわが寄っている。]
─ →庭 ─
[探してみる、とは言ったものの、人の領域で野犬等が隠れるとなればもう少しその痕があっても良いと思われるのだが]
…あの足跡以外、それらしい痕跡が無いんだよなぁ。
[引き摺られた跡の傍にあった獣の足跡。
人のそれではない痕跡は、存在の証明にはなっているが、それ以外に足跡等は残っていない]
居るとすれば室内よりは……かな。
[そう考えて、エーリッヒは玄関から外へと向かう]
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