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……母さんのと同じ、花みたいな痣……
[そう意識した途端、つきりとまた痛みが起こった。
「もし母さんが戻らなくてもいい子でいるのよ。
母さんは、いつでもお前の事を愛しているわ」
不意に思い出す、ずっと忘れていた居なくなる前の母親の言葉。]
何で、今思い出したんだろ……変なの。
それより、何があったんだろ?
[ベッドから降りて、髪も撫で付けずに廊下に顔を出す]
アーベルさん、何が……
[聞き終わる前に聞こえてきた言葉>>53
おっちゃん、というのは確か管理人の事のはずで……]
殺されて、た?
なにそれ
[急なことで考えが追いつかない。
ふと見ると別の部屋から顔を見せたゲルダも黙って彼らを見ていた。>>54
ギュンターとアーベルの会話を聞き、立ち去る団長の背を見遣って>>55]
最悪、って?
[などと訊いてみる。橋が落ちた事を、青年はまだ知らない。*]
―図書室―
[女が手にしたのは、古びた絵本だ。
村の中に娯楽は少ない。
文字が読めるようになれば、幼馴染で肩を寄せ合って読んだのを思い出す。
この本の最後のシーン、大団円の中の挿絵には王女様の友人だった動物が欠けていた。
王子様と結ばれる事が話のメインという事もあったのだろうが、いないのは哀しくて。
こうすればもっと素敵になる、と少女だった女は動物達を書き足したのだ。
勿論、親にはこっぴどく叱られて、教会に謝りに行く事になったが。]
…懐かしいなぁ。
[女はそっと絵本を抱き締める。]
…どうして無茶をしたの。
貴方が生きていてくれないと、意味がないのに。
[雪降る夜に無理をしたのが原因だという事だったが、急いで帰る必要はなかった。
一人にさせまいとしてくれたのだろうが、帰らぬ人になってしまった方がずっと辛い。
夫の両親は息子を失った悲しみに耐えかねて彼の姉の元に身を寄せてしまったが、女の両親はこの村の中にいる。
最初は嘆く女を心配し、寄り添ってくれていたが、
つい最近、新しい人を見つけなさい、と言われ、息が止まるかと思った。
『こんなに愛している人を忘れろっていうの。
母さん達には私の気持ちなんて分からないんだ。
出て行って!』
そう追い出して以来、両親とは顔すら合わせないでいる。]
[貸し出しを許可されていたなら、適当な本を見繕い、絵本と一緒に携えて図書室を後にする。
渡り廊下を渡って宿泊施設の方へ戻れば、夕食の時間になったか。
女は話に耳を傾けながら、食事を進める。
昔の女を知っていれば、その姿はとても静かだ。
誰かとの食事は久しぶりだ。
こんな吹雪の夜だからこそ、その事実に安堵していた。
宛がわれた部屋に戻った後には毛布を被って眠ってしまう。]*
― 初日・客室 ―
[一人きりになると、外の音が妙に耳についた]
なんだかなぁ。
セシィに借りた本の話じゃないんだから。
[町の友人が貸してくれたのはミステリー小説の類。雪に閉ざされた館の客人に殺人鬼が混ざっていて、最初の犠牲者が…]
あーっ、ナシナシナシ!
集まったのはパーティのお客なんかじゃないんだしっ!
[耳を塞いでブンブンと首を振る。
余計なことを考えるのは止めようと、頭から毛布を被って目を瞑ったのだった。
そして、翌朝]
―― 翌朝・廊下 ――
[やはりよくわからないというゲルダに>>56意味ありげな言葉を向けて
こちらに気付いたアーベルが顔を向ける。
返ってきた「最悪」の意味は>>64]
え? 橋が落ちたって? 本当に?
そんで、管理人さんが殺された、って……
[わけのわからない、と言う前置きも気にはなったけれど
第一、こんな所で人が殺される自体が既に「わけがわからない」事で。
つきり、また肩がひどく痛んだ。]
広間に集まれ、か。
もともとの用事もあるだろうし、こんな事になったら当然かな。
団長さんも大変だよね、元の用もまだ済んでないだろうに。
[呼び出された理由と今の状況が結びつくとは思えずそんな風に言って]
んじゃ、ちゃんと仕度してから行くよ。
それと……何か手伝える事があったら言って?
女の人じゃ出来ないこともあるだろうし、力仕事なら自信あるから。
[そう言って掃除をしてからと言うアーベル>>73を置いて一度部屋に戻る。]
―― 翌朝・客室 ――
[部屋に入り髪と服を調えて、そっと左肩に触れる。]
なんなんだろうな、ほんと。
[先程まででは無いけれど、鈍い痛みはまだ残っている。
あれとこれとは無関係のはずなのに……何故か胸騒ぎがして。
行けば、話しを聞けば何かわかるのだろうと]
流石に、もうちゃんと話してくれるだろうし。
[何より、ここに呼ばれた理由さえ訊いていないから
伝言の通りに、広間へと足を運んだ。*]
─ 召集時/宿泊施設 ─
ありがとうございます。
今のところは大丈夫だとは思うのですが…。
必要になった時はお願いします。
[ユリアンからの申し出>>34に礼を言いつつ見送る。
ノーラからの問いかけ>>48には]
1階にございますよ。
教会と宿泊施設を繋ぐ廊下を抜けて、左に曲がったところの突き当たりです。
右へ行くと私の私室があります。
[何かあれば私室を訪ねれば良い、とそんな意味を込めて場所を示した。
橋についての言葉>>50が返ると、微苦笑を浮かべて]
はい、ここにいる分には安全ではあるのですが。
いけませんね、余計な心配をしてしまうだなんて。
[緩く頭を横に振った]
[その後は食事時までそれぞれ思い思いの時間を過ごすことになったか。
食事の際は配膳等の手伝いくらいはした。
ナターリエは勤めがあるために教会へと戻り、いつも通りの時を過ごす。
途中にしていたレース編みの作業、眠る前の祈り。
今日一日を無事過ごせたことの感謝と、悪天候が好転することへの願い。
その日の祈りはいつもより長く捧げられた]
─ 翌朝/教会・私室 ─
[早朝、いつも通りの時間。
外は静かで風の音はせず、嵐が過ぎ去ったことを感じさせた]
────………ゆ、め ?
[しかしナターリエは別のことが頭の中を支配していた。
ふわふわとした意識の中、夢の内容を思い出そうとするが、はっきりとは呼び戻せない。
頭に手を当てながら起き上がり、ほんの数秒の間の後、意識を切り替え着替えを始めた。
夢の内容も気になるが、今日も朝の勤めがある]
[朝の祈りは天候が回復したことへの感謝を込め、各所の掃除をし始める。
朝食は宿泊施設側にお邪魔するため、適当な時間を見計らい向かう心算だったのだが]
…………?
[図書館から私室へと向かう途中で、渡り廊下の先から騒がしさを感じる。
その時はまだ、何があったかを察知出来ず、掃除用具を私室前の廊下に置いて宿泊施設側へと移動した*]
─ 翌朝/廊下 ─
いや、さすがにコレ、冗談じゃ言えないから。
[本当に、という問い>>74に、苦笑しながらこう返す]
……あー、うん。
昨夜の天気が天気だったし、もしかしたら救援頼むとこがあるかも。
[家畜小屋の無事は確かめて来たけれど、教会の方はまだ見に行けていないから、どこか修繕が必要になるかも知れないから。
ユリアンの申し出>>75はありがたく受け取って。
さてそれじゃ、と思った所に視界に入ったのは、何やら固まる姿。>>77]
あー、おはよー……って、呑気な挨拶してられる状況じゃないんだけど。
異常事態発生しちまっててね……取りあえず、広間に集まれって、団長さんからの伝言。
何があったかは、そっちで聞けるだろうから。
[苦笑と共に、こんな言葉を向けるが、果たして少女の意識には届いたか。*]
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