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[手を振り返すトビーににやっと笑い、彼がコーネリアスに近付き謝罪の言葉を言うのを聞いて]
あ、真相分かったみてーだなぁ。
[くすくすと笑うも、今のコーネリアスにそういう事を言っても大丈夫かとふと不安に]
[ ふいと視線を下ろせば、彼岸には黒に染まる深き森。否、向こうからすれば此方が彼岸か。まるで現世から隔離されたかの如き幽玄なる此の館の在る、此方側こそが。だからこそ、自分は此処に惹かれるのだろうが。]
『然しあれだけ人が多くちゃな……』
[ 安らぐ暇も何も無かった。厄介事は御免だと再び呟いて、生まれては直ぐさま薄れゆく白を見送りながら、*目を閉じた。*]
[コーネリアスの呟きも聞こえる。
……新しい女、ではないから違うだろうとは思うけれど、少し耳に痛い言葉。
それにしても子供とは何の話だろう。]
聞いた覚えもないけれど……
[言葉を口の中で転がして]
ん、きたばかりだけれど……
あぁ、そこの人が、怪我をしていた人かしら
……暖かくしておいてあげないとね。
[部屋の中の、彼を見ることが出来た。眠っている姿。……わたしがきていたら、治療は出来ていただろうけれど。
起こすのも忍びない。]
先に、休むわ。
おやすみなさい?
[子供とか、そういう話を聞きに、アーヴァインの部屋に行こうと*決めた*]
それ、本人に言ってやったら?
[コーネリアスの呟きにそう返して。
側のソファにいまだ眠っている男を見遣って]
こいつ、このままにして置けないよなぁ?
どうすんだ、これ?
…ああ。
[声を掛ける間もなく、少女は半ば夢の中に旅立ちかけているようだった]
ご案内致しましょう。
[そう囁くように言って、少女を抱き抱える。使用人を長くやっているお陰か、割と力はあるようだった。
その場にいる者に軽く会釈をして、空いた寝室へと彼女は*向かう*]
[訝しげな声に怖気づくも、今を逃したら家に帰れないと言葉を紡ぐ。]
えっと、その、ホールの奥さんと…よく似てたから、幽霊かと思ってそれで…怖がっちゃって…。
[最後の方は随分と小さな声だったけど、それでも辛うじて言い切る。]
[正直な所、コーネリアスが館に住んでいた頃、彼は幼なすぎて記憶があやふやで。真相を教えてもらえるまで、すっかりきれいさっぱり奥さんの弟と言う存在を忘れていたのだ。
なんで思い出せたのかというと、それは実に単純で。
「あのおねーちゃんきれー」とコーネリアスを見て言ったらば、青年に仄かに思いを寄せていたらしい姉ちゃんに拳骨を見舞われた、その痛みを思い出しただけなのであるが。]
[怪我人の処遇を問えば、部屋が用意できているとの答が返り]
ふーん、じゃぁそっちに運んだ方がいいな。
俺ももう上に行こうと思ってるから、よかったら運ぶの手伝うけど?
[その申し出にお願いしますと言われて、それでは、と男を運ぶ為の用意を]
で、部屋何処?…あ、そう?分かった。
[そう言って、怪我をした男を運ぶ為に二階へ。
無事に運び終えれば、そのまま自分に与えられた部屋へと*戻っていくだろう*]
[クスクスと笑うコーネリアスに、無意識に片足を引いたのは本能のなせる業か。]
『…なんか、怖いよぅ……』
[”優しい”と言ってたメイに内心クレームつけつつ、こくこくと頷く。首の痛みより心と言うか空気が痛い。何でみんなバタバタといなくなるのーとかいう心の叫びは誰かに聞こえてるはずだ、きっと。]
夜だったし…ガラス越しだったし…牧師様と一緒にいてたし…。
今、明るい所で見たら…違うってわかるけど……。
[消え入りそうな声で言って、しょぼん。]
ま、別にかまいませんけどね。
[からころと、グラスの中に溶け残る氷を弄びつつ。]
…ですが…それ、本当に僕ですか?
[意味深に、ぽつり。]
[別に構わない、という言葉に心の底から安堵して。
ぎこちないながらも笑みを浮かべ、よかった…と呟こうとして、]
…………………………え゛?
[硬直]
[傷めつけられた身体が冷えないようにと、暖炉の火は一晩中燃やされ]
[一時期は落ち着いたものの、夜半過ぎより発熱し、]
[明け方まで苦しげな呻きを断続的に発し続けた。]
[唇を湿らせる様に水を与えられれば、]
[乾きに反応してか、傷ついた唇が開き、受け入れ。]
[噎せない様に少しずつ流し込まれるそれを]
[咽喉へと。]
[熱い息を吐き]
[切れ切れに言葉を吐き出す。]
……………ィン。
なぜ、な
い や
いっ に
……したく、ない。
…………………………………………
や め
ひ と
なり……い。
[涙が目蓋の下から溢れて流れる。]
[その後は人の名前にも聞こえる音節を唇に浮かべるのだが]
[声にならずに聞き取れぬまま呼吸音に紛れ消えていく。]
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