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― 浴室 脱衣場 ―
[触れることはできたか出来なかったか。
スカってしまったらバツ悪そうに笑ったりもしながら]
いつまでも俺がいたら、入れないよな。
もう覗いたりなんかしないから、そこも安心して。
[昔々の失敗を、自分で掘り起こして冗談のネタにしてみたり。
気分がそれで浮いてくれれば良かったのだが。
それじゃ、と手を振って脱衣場を後にした]
―台所―
[蒼い花。
その陰に隠れた細腕の違和感に、ベアトリーチェが気付けるはずもなかった]
うぅ……でも、もっと痛いのも嫌だ……
薬、染みない?
[ブリジットの問い>>67に対し、迷うように視線を彷徨わせた後で、渋々頷いた。
食欲はないと答えたものの、その後広間でジュースがあると知れば貰いに行くだろう。
掌の治療の後か、先になるかは分からないが**]
― 台所 ―
[無茶振りした相手が、正に現れたので思わず瞬いた。]
ゼルギウスさん、丁度良かった。あの…。
[あ、何か悪い顔してる。
と説明中に思ったかは定かで無いが、ともあれ持って来てくれた軟膏を有難く受け取った。
小さな掌にそれを塗り込む間、ベアトリーチェの反応は如何だったか。
余り痛がる様子が無ければ、良かったね、と再三その頭を撫でようとした。]
― 広間 →
[――暫くして、戻る広間。
ジュースを飲むベアトリーチェと共にスープの温かさを味わっただろう。]
…美味しい。
[優しい味に作り手のローザと用意してくれたユーディットに感謝しつつ、またテーブルに残った摘みも食べる。
そうして空腹が満たされたその後は部屋に戻り、今度はちゃんとベッドにて身を休める心算で。**]
─ 翌朝/個室E ─
[目覚めは最悪だった。
酒による心地良い眠りは、次第に過去の再現と言う悪夢を呼び起こす。
夢での痛みが現実にも現れ、左手首を掴んだ状態で跳ね起きた]
っ───、くそっ!
何でまた今になって…!
[左手は握り締めたまま、余韻のように残る痛みに耐える。
覚えのある痛みに過ぎるのは───拭いようのない不安感だった]
…ふっざけんなよ。
マジでこの面子で『幻燈歌』なぞれってのか?
[かつて巻き込まれたその時のように。
あの時は親しくも無い者達ばかりだったし、生きるためだったから躊躇いなどどこにも無かった。
だが今回は、顔見知りばかりな上に、自分の命よりも大切に思う者達がいる]
………ああくそ。
外の空気吸ってくっか。
[多少なりとも気分転換をしようと、着替えもそこそこに上着を羽織って部屋を出た。
身を切るような空気に触れたなら、寝起きの思考は振り払えるだろうと、そう考えて。
現状よりは冷静に思考出来るようになるはずだ]
─ →集会場外 ─
[昨日より僅かに重い音を鳴らす靴を履き、階段を下りて真っ直ぐ玄関へと向かう。
途中擦れ違う者は居らず、広間を通った時もその時は誰も居なかった。
玄関から外へ出るとそのまま西側に向かい、台所がある方の角へ入ろうとする。
外へ出たついでに煙草を吸う心算だったため、個室のある東側には行かずにおいた]
うー、さみっ。
朝はやっぱ冷え込む……て。
[冷たい空気に身を竦めながら、角へ入ったところで煙草を取り出そうとして。
目に入った光景にその動きが止まった]
────団長!!
[驚愕の混じる呼び声は大きく、近くの部屋にも容易に届いたことだろう。
目の前に倒れ伏していたのは紛れも無く自衛団長。
その身体は赤に塗れ、いくつもの爪痕が残り、腹部に仕舞われていたはずのものが喰い散らかされていた。
良く見れば他にも欠けている部分があったかもしれない。
団長の身体には薄っすらと雪が積もり、惨劇が起きてからの時間の経過が窺い知れる。
地面も赤く染まっている他は、新たに降り積もった雪によりそれ以上の痕跡は消されているようだった]
くっそ、足跡とかは無ぇか。
昨日は荒れるつってたもんな…。
[団長の骸の傍に寄り、残された痕跡が無いか辺りを見回す。
今付けた自分の足跡くらいしか見当たらず、小さく舌打ちを漏らした]
[それから団長の骸に触れ、更に痕跡が無いかを探す。
手が赤に濡れようとも構うことはなかった]
冷てぇ…。
これじゃいつ襲われたのかもはっきりしねぇな。
[触れた赤もべとりと粘着度が高く、時間が経っていることを示している。
左手で触れたため、粘着度の高い赤が掌にべっとりと張り付いた]
ともかく、自衛団に知らせねぇと。
団長が襲われたことと───人狼が居るってことを。
[それまでには声を聞きつけた者達が降りて来たり、窓から顔を覗かせたりしていただろうか。
団長の骸を見て硬直しなかった者には自衛団への連絡を頼んだかもしれない。
村へと繋がる道が塞がれてしまっていることには*気付かないまま*]
─ 前夜/広間→個室I ─
[降りしきる雪を見て物思いに耽ってたのは短い時間。
階下に下りよう、と思ったそもの目的──水を求めて、台所へ行こうとして]
……? 何か。
[視線を感じて振り返った先には、団長がいた。
その表情は物言いたげではあるものの、しかし、その口から言葉が発せられる事はなく]
……何もないなら、行きますよ。
[静かに言い置き、台所へ。
片付けやら何やらの邪魔にならぬようにしながら、水差しを一つ、出して。
冷たい水を満たしたそれを手に二階へと上がり]
なんだ?
[扉の前に置かれた小箱に、一つ、瞬いた]
[小箱を拾い上げ、添えられたメモ>>60を見る。
僅かな間を置いて、へにゃ、という感じで眉が下がった]
……ったく。
前向きというか、なんというか……。
[口をつくのは、呆れを帯びた声での呟き。けれど、天鵞絨に宿るいろは穏やかで]
……ありがと、な。
[ぽつり、と呟いた後、茶猫とともに部屋に入る。
水差しと小箱はサイドテーブルの上に置いて、ばたり、という感じでベッドに倒れこんだ]
……伝承……『幻燈歌』……再現、か。
[ベッドに寝転び、天井を見上げて小さく呟き、それから]
……神の威光に逆らいし闇の住人、我らが威信にかけて討ち滅ぼさん……。
[教会に、人狼の伝承と共に伝わる言葉を小さく、紡ぐ。
状況が求めているのはそれなのだろう、と、それ自体は至極あっさりと受け入れられている──傍目には、不自然なくらい呆気なく。
ただ、問題なのは]
例え……そうだと、しても。
[傷つけたくない者が多い──多すぎる、と。
そう考えた瞬間、また、締め付けられるような感触が首にまとわりついてきた]
……っ!
[身体を起こし、喉を押さえて数度咳き込む。
茶猫が案ずるように鳴くのに、大丈夫だ、とどうにか声を絞り出しつつ、水差しから注いだ水で喉を湿らせる。
冷たい感触と潤いに、ほんの少しだが、気持ちは落ち着いた]
ほん、と、に……なんなん、だ、これ……。
[これまでなかった異常に、困惑が滲む。
自分がここに呼ばれた理由──それは即ち、老神父の許に預けられた理由なのだが。
それを知らぬが故に、異常の原因に思い至る事はできず。
またそれを知らぬため、自衛団長の物言いたげな視線の意味にも気づく事ができぬまま。
様々な事象によって累積した疲労に導かれるまま、深い眠りに落ち、そして──]
─ 翌朝/個室I ─
……ん……。
[深い眠りの淵、その水面を揺らしたのは、叫び声>>77だった]
なん、だよ、朝っぱら、から……。
[寝起きの悪態は飾りない素の調子。
同じく声に反応したらしい茶猫がなぁぁぁ、と鳴くのをぽふり、と撫で、声が聞こえてきた方──西側の窓を、開けた]
何なんですか、一体……。
[不機嫌さを隠す事無く、窓から顔を出して問いを投げて。見えたものに、ひとつ、瞬いた]
団長……ど、の?
[間を置いて、口をついたのはどこか呆けた声。
高低差はあるが、倒れている団長の状態は見て取れる。
そして、それが何を意味するのか──は。ごく自然に、理解に落ちた]
[窓から身を乗り出して固まっていた時間は、さほど長くはなかった。
我に返ったのはこちらに気づいたクレメンスの呼びかけか、或いは他の誰かの反応のためか。
ともあれ、我に返ると窓を閉めて部屋に引っ込み、黒の外套を羽織ると慌しく駆け出していく]
─ →集会場 外 ─
……望む、望まざるに関わらず。
状況は……伝承をなぞれ、という事……でしょうか。
[間近で団長の亡骸を見て、小さく呟く。
落ち着き払った態度は、逆に異常とも見えるかも知れないが、自覚はなく]
……自衛団に、報せてきます。
[静かな口調でこう言って、村へと続く道へ足を向けた]
─ →村へ続く道 ─
[集会場と村を繋ぐ道には一箇所、崖がせり出して他より道が細くなっている所がある。
その部分は傾斜も急で、冬場は通る時に殊更気をつけるように、と言われ続けている場所だった]
……え?
[黒の外套を翻しつつ、村へと向かっていた歩みは、その場所の異変を目の当たりにする事で、止まった。
目に入るのは、ただ、白、ひといろ]
なんだよ、これ……。
[その白が何か、何がおきているか。
こちらの理解は、先ほどとは打って変わって酷く遅れた。
認めたくない──という思いが、先に立った可能性は否めない]
雪……雪崩か?
ちっ……なんだって、こんな時に……!
[堆く積み上がり、道を閉ざす白の壁に苛立ちを込めて吐き捨てつつ。
しかし、意識のどこかは冷静にこの状況を──閉ざされた『場』の形成を、それと知らぬままに認識していた。**]
─ 前日・1階 個室B ─
[荷解きといっても、鞄の中身を全部出すわけでもないからそれ程時間はかからない。
肌の手入れ用の化粧品やら鏡やらを出して机の上に置いておこうとして、そこにあった紙とペンに気付き手を止めた。]
…そうだ、父さん達に連絡…
は、しないほうが良いかしらねぇ。
[父も祖父も変なところで過保護だから。
自分がこんなことに巻き込まれたと知ったら即引き返してきかねない。
ただでさえ頑固な祖父が押しかけて師匠も辟易しているだろうに、仕事もせずに帰ってこられては迷惑をかけに行かせたようなものになってしまう。
最も、荒れ始めた天候のせいで自衛団員は集会場から引き上げていたのだからもう手紙を頼むことはできなかったのだが、その場に居合わせていなかった為知らなかった。]
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