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─公園─
ええ、大丈夫ですから。
[不安を募らせるエリカに、短く言って頷く。
実際、目、それ自体に異常はない。
あるのは、見られた事に基づく、僅かな揺らぎ。
しかし、一時、それは奥へとしまい込む]
……それで……音の人、ですか。
[エリカが向ける肯定の言葉と、本人の説明とで、大体の所は把握するものの。
場違いなのでは、と突っ込みたくなるような嬉しげな様子は、違う困惑を一片、心のどこかに落としていた]
─住宅街・アヤメの家─
そうよ、ね。
やぁね、私ったら心配性で。
[ダメね、と苦笑しながらレッグに頷いて。
隣からケーキを、という言葉には瞬き一つして]
え、まだ良いんじゃない?
ノブくんもパトラッシュさんも戻ってきてからでも遅くないし…それに。
[外は危ないわ、と言いかけて。
今、危なくない場所なんてあるんだろうかと考えが過ぎり、言葉が途切れた。]
…ううん。
取りに行くならやっぱり、パトラッシュさんたちが戻ってきてからで良いんじゃないかしら。
―公園―
[マイルズの返事には、それ以上追求事はせず。
場違いにも思えるノブの様子には、少しだけ苦笑した。
そういえば、ちょっと変な人だったよなぁ、とはプリンの印象のせいもある。]
…それより、なんだか静かですね。他の人はどうしたのかしら。
…火事とか、どうなったんだろう。
[家が燃えていないか、その辺りも心配ではあったりするが。]
─住宅街・アヤメの家─
この状況だし、しゃーないでしょ。
[苦笑とはいえ笑ってくれた。成功だ。
平仮名の多かった文面を思い出して不安はあったが、顔には出さないように頑張った。不安を煽るようなことはしたくない]
そ、かな。
んじゃもう少ししてからにするか…。
[話題はずれたし、どうしてもと急ぐ理由はなく。
手持ち無沙汰そうにしながらも立ち止まった]
―公園―
あの音すきなんです。
[相手の困惑にはやはり気がつかない]
……あ、そうだ。
あのあたりに後輩がすんでたはずなんですけど。
[エリカの言葉も受けてか、話題はまた転換。
それと共に表情や口調もやや真面目さを取り戻す。
一度問いかけて忘れていた言葉を、今一度口にする]
カルロスって子なんだけど、しらないですか?
─ →商店街─
[商店街も集会場同様、否、それ以上に酷い有様だった]
……どっちの仕業なんだろうな。
[サイキッカーと一般市民。
この状況下ではどちらに於いても考え得る疑問。
人の気配のしない通りを歩き、自分の馴染みの嗜好品店の前まで来た]
……やっぱ奴は居そうに──生きてそうにないか、まぁ良い。
ったく、吸わなきゃやってられんぜ。
[店主が居なくても物を手に入れようと、割れたガラスを越えて嗜好品店の中へと入る。
置いている物が物であるため、然程荒らされてはいなかったが、商品は散らばり、人だったものが転がっていた。
それを乗り越えレジへと入り、市民認証カードでまず支払いを済ませる。
暴徒のように奪っていかないのは、ここの店主だった者に対する敬意]
…………ふぅ。
[商品──愛用の煙草と真新しいガスライターを手に取ると、封を切り一本口に銜え。
火を付けて暢気に一服を始めた。
煙草の先からゆらゆらと煙が立ち上る]
……あーくそ、あのジッポ気に入ってたのにな。
折角手に入れた本も読めず仕舞いだ。
[手にしているガスライターを弄びながら呟いた。
火の手が回っているなら、屋敷に置いたままのそれらの無事は絶望的だろう。
しばらくは無言で煙草をふかしていたが、ふと懐から端末を取り出しバーチャルディスプレイを起動させる。
画面に映し出されるのは、メインセキュリティから届いた例のメール]
…………旦那、この状況でも奴を護れってのか?
命のやり取りになりそうなこの状況で。
[口から出た問いに答える者は居ない]
俺の命は俺のものだ、誰のものでもない。
その命を懸けるに値する奴と判断したなら護ってやる。
けど、そうじゃないと言うなら……。
[ピン、と短くなった煙草を宙に弾き上げ。
自動拳銃を引き抜くとそれに照準を合わせる]
─ →公園─
[その後、商店街では日持ちするような食品を探し、きちんと支払いもして。
そのうちのいくつかを口にしてから商店街を後にした]
[公園へと戻れば主達に集会場の様子や商店街の様子を伝え。
休むことを念頭に置くなら集会場が良いと言う判断を口にする。
どうするかを主に委ね、自身は脇へと控えた]
[硝煙が身体を取り巻く中、鼻の良い者ならそれとは異なる煙草の匂いも感じ取ることが出来た*だろう*]
―住宅街・アヤメの家―
そうね。…ありがとう。
[気遣わせてしまったと気付いて礼を言い、柔らかく微笑んだ。
なんの礼か伝わらなくても気にせずに。
レッグが隣にいくのを止めたのを見れば、内心ほっとしながらも悪戯っぽく微笑んで]
ノブくんたちを差し置いて美味しいもの食べたら恨まれちゃうわよ。
それにほら、甘いものは食後のデザートって決まってるでしょ?
[軽くウィンクすると、アヤメに微笑み、何か作りましょうか、と。
レッグが手持ち無沙汰なら、一緒に作る?と声をかけ]
─公園─
……ええ、確かに。静か……ですね。
[エリカの疑問に、先にも感じた事が浮かんで、消える。
それを振り払うように、軽く頭を振って。
眼鏡の青年から投げかけられた問いには、思案するように眉を顰める]
いえ、私は生憎と。
[返したのは、否定。
帰宅後、騒動が始まるまで家の中にいたのだから、近所の安否は知りようがない、とも言うのだが]
―公園―
カルロスさん?…何方かしら。
[毎朝人を見かける事は多々あれど、その全員の名前を把握しているわけではないので、名に心当たりはない。]
ごめんなさい、私は家に戻ってから、ぼっちゃまとジョエルさん以外とはお会いしてません。
……サイキッカーとは会いましたが…。
あの人はノブさんの後輩ってお歳じゃなかったように思います。
[とはいえ、義務教育とは違う学びの場。
年齢がそのまま先輩後輩に反映されていないかもしれないが。]
─公園─
[その内に、戻ってきたジョエルから、状況を聞く]
……そう、ですか。
元々、芳しくない状況ではありましたが……拍車がかかったようですね。
[呟く声は、常と比べて低いもの。
考えていた最悪は、現実となり得るのか。
それは、言葉に出す事はなく]
ならば、集会場へ。
家に戻れず、そしてどこにいても危険であるなら、少しでも過ごしやすい場所を選ぶべきでしょう。
……非常事態の定時集合の事もありますしね。
[口にしたのは、状況から鑑みるに最善と思われる判断だった**]
―住宅街・アヤメの家―
なんもしてないよ?
[妙齢の女性に柔らかく微笑まれてしまうとドギマギするお年頃。
こんな時にか。こんな時だからこそか。
礼の理由はよく理解できていなかった]
食べ物の恨みは深いって奴だね。
先輩のとこに世話になる礼にするっても言ったんだし。
[少し早口に答えながら台所へと向かうのを見る]
俺、料理とか全然やったことないよ。
でも皿を運ぶとかは出来るかな。
―住宅街―
[足音を忍ばせて、先に火の手のあがる方に向かえば屋根の上に人の影がひとつ。
火の手のあがる建物の方を向いているように見えた]
気づかれてはいないな……
[相手との距離を測りながら、アサルトライフルを肩から取り、単発式に切り替える。
スコープを覗き込んで相手の様子を眺めると、その横顔は笑っていた]
あいつもサイキッカーか?
[いずれにせよ普通の人が燃えてる建物を見て笑っているのもおかしな話なのだが、
わずかな躊躇の後に、こちらを向きにらむ視線とスコープ越しに目があい。
その引き金を引いた、銃声が一発、スコープの向こうに映っていた人が屋根の上から倒れて落ちていくのが見えた]
―公園―
そっか。
[知らないという返答が二つ。
案ずるように眉を下げる]
……ん、ありがとう。
[それでもそれぞれへの礼は*述べた*]
『非常事態発生、役員及び多数の市民の死亡を確認。
非常時のマニュアルに従いましてこれより特例措置を行います。
生存者の皆さんは至急集会場に集まってください。
なお、詳細につきましては非常時のマニュアルを参照してください。
現在の生存者は、
パトラッシュ=ワイアット
ジョエル=ハルドニッツ
マイルズ=アコルデ
エリカ=ズューネAfK0586
ノブ=メドウズ
アヤメ=ジョウノウチ
グレッグ=フォスター
ナターシャ=ロング
以上8名』
静かになった区画内に無機質な機械音声が響く
―住宅街・アヤメの家―
[レッグから何もしていない、と言われればただ優しく微笑して。
料理をやったことがないとの言には、あら、と。]
やったことがないのとやれないのとは違うのよ?
試しに何か作っ……え…?
[そこに割り入った放送に、思考が止まった。]
―住宅街・アヤメの家―
な…。
[邪魔にならないかとか、やってみようとか。
そんなことを返す前に、無機質に響いた放送に目を見開いた。
兄や先輩、伶人の名前があったことに一抹の安堵を覚えるものの、あまりの事実に同じく思考が停止しかかる]
…生存者、8名…だけ…?
[意識せず呟いた声は掠れていた]
―住宅街―
[鳴り響く放送に肩にスコープから目を離し、アサルトライフを肩掛けに戻した。
聞こえた名前はよく知った者達の名前で]
無事は確認できるにはできたが……、
[その放送によってほかにわかったこともあった。
ひとつは自分達以外の者がすでに生きてないこと、もうひとつは……
まだ区画が開放されないということ]
その中に…いるっていうのか……
[呟いて、レッグ達のいるであろう家の方に向かう足取りは重かった]
―公園―
[落胆したようなノブに、力になれない事に申し訳なく思うが、どうすることも出来ずに。礼には今度はこちらがゆるく首をふる。
戻ってきたジョエルに気づけばそちらを見、話す町の様子を聞いた。
予想していたより悪い状況に、表情は翳る。]
…そんなに。
[人は死んでしまったのかと。
マイルズの提案には無言で頷き。
他の者がどう応えるか待っていた間に、無機質な声が聞こえた。]
―――8人。
[翳りを帯びた表情のまま、ぼんやりと顔を上げる。そこに驚くような色は薄い。
ジョエルの報告から、近しい予測は出来ていた。ただ思った以上に少なかったが。]
―住宅街・アヤメの家―
嘘…だ、だって。
リディ、は…室長は…?
―…っいや、嘘よ…!!
[生存者が八名だけ、という知らせに思わず耳を塞いでしゃがみこみ。
瞳をきつく閉じたものの、堪えきれない涙が零れた]
[それでも無機質な命令に大人しく従う性はズューネ故か。]
…参りましょう、集会場へ。
[小さくぽつりと呟き、3人を促した。
ふと――8人の名を思い返すと、メイドの彼女の名前がそこにないのに今更気づく。
彼女も死んでしまったのかと。
思えばようやく、哀しげに表情が歪んだ。
それでも―――泣く事は出来なかったが。]
―住宅街・アヤメの家―
ナターシャさんっ。
[悲鳴のような声に慌てて近寄る。パニックになる前に司書の反応が起きたので、ギリギリで踏み留まれた。
困ったような顔をして家主である作家の方も見た]
……。
[気の利いた台詞なんて浮かんでこない。
困ったまま、宥めるように司書の肩へと手を伸ばした]
―住宅街・アヤメの家―
―…ぁ…。
…ごめん、なさい…私……
[名を呼ばれ、肩に手が置かれると我に返って。
顔を上げると困ったように心配そうなレッグとアヤメの顔が目に入り、泣き顔のまま申し訳なさそうにぎこちなく笑み。]
………行かなくちゃ、ね。
[先の指示を思い出し、私事を振り切るようにゆるりと頭を振って]
―住宅街・アヤメの家―
「そんな大層なことじゃないから」
[少し照れつつ作家に答えたのはつい先ほどのこと。
束の間の平穏は瞬く内に通り過ぎてしまった]
……集会所、行かないと。
[非常時のマニュアルはザッと目を通してしかいない。
放送の内容を確認するように言った]
―住宅街・アヤメの家―
[しばらく歩いて、アヤメの家に人のいる気配を感じて、
ドアの前にいくと呼び鈴を鳴らした]
アヤメ、レッグ、ナターシャいるんだろう?俺だ。
あけてくれないか?
[中に呼びかけた]
―住宅街・アヤメの家―
もう、大丈夫。
ありがとう…ごめんね、取り乱して。
[レッグに落ち着かせてくれた礼を言い立ち上がる。
集会場に行こうと、未だ中身を出さないままの袋を抱えて出ようとすればチャイムの音と、知っている声が聞こえ。
瞬きをして、名を呼んだ。]
*パトラッシュ、さん。*
―住宅街・アヤメ宅―
[玄関を開けて、顔をのぞかせたアヤメの顔色はあまりいいものとはいえなかった]
アヤメ、大丈夫か…?
レッグとナターシャも中にいるな……?
[アヤメを気遣った後に、ゆっくりと落ち着いた声で語りかけながら、
すぐには玄関の中には入ろうとはせず中に促されればそれに従い、肩にかけたままのアサルトライフルはそのまま玄関口に置いた]
―住宅街・アヤメの家―
いや…。
[司書の謝罪には首を振り、聞こえた声に玄関を見る。
大丈夫と言われてもまだどうしようかと躊躇う間に、ふらつきながらも家主が先に玄関へと立っていた]
ラッシュ。
いるよ。ナターシャさんもここに。
―→集会場―
[集会場までの道のりは、まるで酷い道だった。
歩きながら死体の顔を見てまわり、彼女を探したが、集会場までの道で見つけることは出来なかった。
時折動かされたような跡が残る死体に、だれかが避けたのだろうかと思ったがそれだけだ。
血塗れた道を通り、ようやくたどり着いた集会場にも死の匂いは濃い。
先にたどり着いて様子を知っていたジョエルはともかく、他の二人の反応はどうだったか。
支え手が必要なら貸すようにして、とにかく集会場へと入り、休める場所を探して入り込んだ広間の大きなモニターに、非常事態のマニュアルの内容が映し出されていた。
そういえば、マニュアルの類は一度も目に通す事はなかったとモニターに走る文字を読むと。]
………え?
[一瞬、ぽかんとした風にモニターに書かれていた文字を見る。
その内容をようやく理解して顔色を変えた。]
なんで、なんでこんな………!?
殺し合いみたいな事………!
[そこには無常の言葉が並んでいた。]
―― 住宅街・自宅 ――
うん。 ……大丈夫。
ラッシィ、無事で好かった。
[蒼白であっても、笑みを忘れぬようにと
ふぅわり笑みでパトラッシュへと返し。]
……。
[玄関口に置かれた銃器に視線を遣って
口許に手を当てた。
軽い眩暈と吐き気を堪えるために。]
―住宅街・アヤメの家―
[家の中に入ると今までの外の様子が嘘のように日常が身近に感じられた]
レッグもナターシャも…、無事でなによりだ。
[レッグとナターシャの姿を見、それぞれの返答が聞こえればそう声をかけて]
アヤメ…
[心配そうにその名前を呼び、アヤメを見上げた]
―住宅街・アヤメの家―
ラッシュも。
[無事で良かったと言う声には少し安堵が混じっていたが]
放送は聞こえた。
移動しようって言ってたとこだ。
[その先に待ち受けている事態を理解していなくても。
続いた声は常よりもずっと硬いものだった]
……。
[アヤメの様子に視線を追い、ライフルの銃身を見つける。
更に眉が寄るも、結局は沈黙を通した]
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