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─ 三日目/黒珊瑚亭 廊下 ─
[駆けつけた先、カルメン達がユーディットの傍に居るのがまず見えて。
微かな安堵に足の動きが少し弱まる。
それから、倒れている人に視線を移して]
…ゼル、先生…か。
[広がる赤に横たわるその人の、恐らくはギュンターと同じような亡骸になっているのを見て、淡々と呟いた]
ゲルねーより、知らない金髪のにーちゃんたちのが
おれ怪しいって思ってた。
ゲルねー、どっか人狼っぽかった?
[ぽつっと呟く言葉には、ただ疑問ばかりが含まれていた。]
― 前日夜/宿舎 ―
[ナターリエとロミと、ロミが拒否する気配がなかったら
3人で帰った後、やっぱり夜は馴染んだ宿舎で過ごした。
血の匂いやナターリエの泣き顔や、
非日常に囲まれて、神経が高ぶってしまって。
夕飯を残したうえにその日はなかなか寝付けずに、
子供は遅くまでベッドの中でごろごろしていた。]
…。
[悩んで悩んで、悩みながら――――ようやく夢に身をゆだねた。]
[子供は祖父の夢を見た。
人狼何ているわけないさという歌を教えてくれた祖父は、
だけど人狼はいるんだと孫に言い聞かせていた。
子供はすとんとそれを受け入れて、
だから人狼はいるもんだと、昔からずっと信じている。]
(大丈夫だよじーちゃん、おれ、ちゃんと…。)
[目が覚めたら、何の夢を見ていたかすっかり忘れてしまったが。]
― 三日目/黒珊瑚亭・食堂 ―
[アーベル>>156の姿が目に入り、ほっと吐息を零す。
人狼に襲われるのが一人だけだとは思えないから、その無事な姿に安堵して。
ゼルギウスが運ばれて行くのをただ音としてきいていた。
目に灼きついた赤が鮮やかで、そちらに視線を向ける事が出来ず]
─ ゼルギウス死亡日の朝/宿舎 ─
[遅く寝たせいで、起きるのもすっかり遅かった子供は、
ナターリエが出かけたと聞くと、今度はロミを探した。
見つかればちょっとホッとして。]
おいロミ!黒珊瑚亭行くか?
[そう誘いもしたが、
見つからなければ鍋帽子を被って一人で宿屋へ向かう。]
─ ゼルギウス死亡日の朝/→黒珊瑚亭 ─
うぇ、また肉屋くせぇ…。
[今度は宿屋に入る前から、
血の匂いに気づいて足が止まった。
そろっと近づいて様子を伺うと、
玄関には赤い色が見えて、めいっぱい顔を顰めた。]
また誰か、ナタねーと同じ事したのか?
それとも、それとも…。
[また人狼だろうかと。
痕跡を睨むようにして、唇を結んだ。]
― 3日目・朝/黒珊瑚亭 ―
[お茶を配り終えたご主人は、予備のシーツを取って来て目立たない場所に立っていて。黙ったまま渡してくれた]
ありがとうございます。
[それを持って、玄関に続く廊下へと戻る]
エーリ、アーベル。シーツを持ってきた。
俺も手伝おう。
[改めて見る遺体の状態に喉の奥が詰まったような音を立てたが、今朝は手が染まるのを避けずに包む作業くらいは手伝おうとした]
─ 黒珊瑚亭 ─
もしも、お前が人狼を見つけた時は。
絶対、一人で相手はすんな。
こんな風に、食われちまうぞ。
[カヤの返答を待たず言葉を重ねると、耳に顔を近づけて]
…俺はお前が人かどうかは解らんけど。
お前のことは信じてる。
…俺がいなくなったら。
ユー坊とカルのこと、守ってやってくれ。
ユー坊は人間だし、カルは…
[そういいかけて、自分が無意識察した事を悟り。
はたと目を見張ると、すぐに伏せ]
― 三日目朝/黒珊瑚亭・食堂 ―
ほんと、だよね……
こんなことがあるなんて、知らなかったし……
[カルメン>>160に小さく頷き。
たしなめるような言葉に、ゆるりと瞬いた]
甘えるって……どうやるのか、よくわかんない、けど
むりしない、ように、する
─ 黒珊瑚亭 ─
…ユー坊もカルも、女の子だからな。
男は女より強いんだから、守ってやらんと。
[そういうと、いつものように笑って軽く背を叩いてから離れ。
次に視線を向けたのは、友に対して]
ユリ、ちょっといいか?
― 三日目/黒珊瑚亭一階 ―
[玄関に歩み寄れば血の匂いは濃く感じられた。
遠目に見えるゼルギウスの遺体。
赤黒い虚ろが覗き、思わず視線を逸らす]
嗚呼。
また、言いそびれた。
[父が病床のおりに処方してくれた薬の礼。
言えぬままの言葉は心の奥に押し込められる]
―昨日の夕方・黒珊瑚亭―
[部屋にいくのはエーリッヒお兄ちゃんに止められた為、部屋の中をみることはなかったが、見ちゃだめだと>>98止められたために、何があったのかを察するには十分だった。
なによりそれからかけつけた皆の様子が、部屋からできたナターリエお姉ちゃんの様子が…、いろいろと物語っていた。
だから口をついて出た言葉>>80に、エーリッヒお兄ちゃんが謝る様子>>99を感じると]
ううん、エーリッヒお兄ちゃんは…、謝ることないよ。
[そう気遣う言葉を返しながらも、ナターリエお姉ちゃんのことはやっぱり心配だった。
最初に比べれば、こんな時だとしてもずいぶんと打ち解けて話せていると思う。お話もして、教会に送ってもらったりと、むしろこんな時だったからなのかもしれない。
意識的にもうゲルダお姉ちゃんの部屋のほうは見ないようにし、そこから離れる時に]
悪いのは……
[言いかけて]
ううん、悪口とか……、レディのすることじゃないよね……。
[言葉を飲み込み、部屋の方から離れた。子供の自分が何かできることは、たぶんないから…]
─ 昨夜/教会への帰り道 ─
…私の、義務、は…。
[カヤの問い>>152に見上げてくる瞳を見返す。
泣き腫らした瞳がほんの少しだけ滲んだもので揺れて。
カヤと、ロミも居ればロミにも視線を合わせ、口を開いた]
貴方達を、護ることですわ。
[淀まず紡がれる言葉は真を含み、信を乗せる。
この2人が他人の手にかかるようなことは、避けたくあった]
[その後に紡がれる、カヤなりに考えての言葉。
知る者よりも知らぬ者を疑いたくなるのは人の心理と言えよう。
彼の考えを耳にした後に追加された問う声>>153。
彼の考え方ならば、疑問も尤もか]
…では、カヤ君。
貴方がヘルムートさん達を怪しいと思うのは、どう言う部分からですか?
……私が判っているのは、カヤ君が人狼ではないと言うことだけ。
私は、誰を見ても、人狼らしいところを見つけることが出来ませんでした。
それでも、やらなければなりませんでした。
ゲルダさんには申し訳ありませんが……消去法で選んだと言うのが実際のところです。
[その消去法の理由は、自分でも手をかけやすいと言うものが大半を占めていたのだけれど。
そこまでは口にせず。
視線をカヤから外すと、悼むように瞳を伏した]
わ、わたしも……私だって立派なレディだから、がんばるから…。
[でも続けた言葉はナターリエお姉ちゃんにとって喜ぶことなのかどうか、その頑張ることで得る結果を考えれば、微妙な言葉だったかもしれない。
それ以降、返す言葉は少なく、教会につくと祈りをささげるというナターリエお姉ちゃんのことが心配だったけども、自分が余計に心配かけるともっと負担になるから…、結局それに何もいえないままその日は分かれることになった]
─ 三日目朝/黒珊瑚亭・食堂 ─
そぉねぇ……ぼくも、思ってなかったわぁ。
[この状況も、自覚した役目も。
これまでは想像も出来なかったから、つい、ため息が落ちる]
無理しない、はいいんだけどぉ……もう、そういう寂しいこといわないのぉ。
[甘え方がわからない、という言葉>>164に、零れたのは先とは違う意味合いのため息。
それから、避けられないならつん、と軽く額をつついて]
……ユディちゃんは、ぼくと違って綺麗なんだから。
もっと周り頼って、寄りかかっていいと思うのよぉ?
[冗談めかした口調で言って、笑う。
少女が何者か、知る術は自分にはない。
生ける者の判別はできぬから。
けれど、亡骸を前に二度、崩れた様子は疑惑を向けるのも難しく。
願いも込みで、人であってほしい、とそう、思っていた]
― 黒珊瑚亭・玄関からの廊下 ―
子供の感性は鋭いな。
[肉屋くさいというカヤの表現には>>159こんな場合だが感心してしまった。
ゼルギウスを包み終えると、ゲルダの時と同じように鎮魂歌を口にして、途中で小さく咳き込んだ]
……臭いにむせたか。
[誰に聞かれても、聞かれなくても、言い訳するように小さく呟いて首を振り、自営団に決められた場所へと運んで戻る]
もう少し片づけておくよ。
[用事がありそうだったアーベルは>>166したいことがあるならしてくればいいと視線で促して、引き摺られたような跡が残っていればそれを拭ってから手を洗おうとした]
― 黒珊瑚亭 ―
ああ、構わない。
[アーベルの誘いに頷く。
血の匂いが濃い此処に居るよりも
何処か別の場所にゆけるほうが有難いとさえ思う]
ちょっと出てくる。
[誰にともなく言い残して、アーベルと共に外に出る]
― 三日目朝/黒珊瑚亭・食堂 ―
カルメンも、無理しちゃ駄目だよ……
[ため息をつく様子>>175に心配そうに声をかける。
額をつつかれて驚いたように瞳を瞬かせ]
え……いや、綺麗なのは、カルメンだと思う、よ?
――あんまり、頼りすぎると、子供みたい、だし……
[首をかしげながら答える口調は、少しずつ震えが収まっている。
死体とはまったく関係のない話をしているせいだろうか。
アーベルに人間だと断定されたことも未だ知らぬまま。
カルメンがなんらかの役割を持っていることはうっすらと知って、それを口にはせずに]
― 三日目/黒珊瑚亭 ―
[ある程度片付いたところでアーベル>>176たちが外へと向かうのを見やり]
……気をつけていってらっしゃい。
[ユリアンとつれだって宿から出て行くのを見送って。
それからようやく、お茶に口を付けた]
─ 黒珊瑚亭→外 ─
[人気の無い所まで歩き、ユリアンと二人だけになった所で立ち止まる。
振り向き、彼の目を真っ直ぐに見つめると、小さく息を吐いて]
…あのさ。
爺様とゼル先生殺ったのって。
お前、一人で?
[彼を人狼という前提での、問いを向けた]
─ 黒珊瑚亭 ─
[ゼルギウスの遺体の下にシーツが届くと、包む邪魔にならないようにその場を離れる。
ほんの少しふらついた後、近くの椅子へと腰掛け、頭がくらりとするのが治まるのを黙って待った。
その間は音も遠く、視界に映るものも少ない]
…………
[眩暈が通り過ぎると深く、長く息を吐いて気を落ち着け、瞳を周囲へと向ける。
丁度、アーベルとユリアンが外へと向かうところが見えて、しばしそちらへと視線を向けていた]
アベにーも、ギュンじじーみたいな事するのか?
[思い出したのは、ギュンターが食われる気でいると、
アーベル自身が言った言葉で、
だから子供はいっそう微妙な顔になっていた。]
― 黒珊瑚亭 ―
……役、目…?
[ゼルギウスの遺体を前に、
そっと声をかけてくれたカルメンの言葉>>125も、
何処か遠くからぼんやりと響いてくるように感じられたけれど。
“お爺ちゃんと、同じ色”。ゲルダの遺体の前で“白い火”
を見たというカルメンの呟き>>121が、記憶を過れば]
……ありがとう。
[ユーディット>>128とカルメンのやりとり>>130が耳を通り過ぎ。
シーツのことを亭主に聞いてくれるというカルメンと、
代わりに行ってくれたヘルムート>>142に、小さくお礼を口にした時。
ああ、彼女が、幼い頃から何度となく、
酷く忌々しげな口調で語られるのを聞いていた存在なのかと、
心の何処かで、ぼんやりと感じた]
― 黒珊瑚亭 ―
[不意に戻ってきたアーベル>>184に驚いたように瞬き]
えっ、これ、って。
ちょ、アーベル?
[受け取るどころか手の中へと渡されてしまった羅針盤。
あわてたときにはすでにユリアンと外に出ていて。
いつにない強引な様子に首をかしげながらもう一度手の中へと視線を落す。
大切にしているのだろうというのは見ればわかる。
それを預けて言った事がなぜか不安で、羅針盤を握り締めて、アーベルたちが出て行ったほうをみた]
― 外 ―
[移動した先でアーベルが立ち止まるに合わせて歩みを止めた。
まっすぐに向けられる眸をじと見つめ返す]
――…ん?
[前置きのあと紡がれたそれに男は目を瞠る]
アーベル?
[言葉の意味がわからないという風に瞬き首を傾げた]
何の話だ。
[視線重ねたまま怪訝そうに友に尋ねを向ける]
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