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[名を呼ぶ男は、かれの背。
その声は届かず。
何処か戸惑いを含んだ様子ながら再び前へと進みかけ、
再び足が止まったのは、眼前に駆けて来る別の男の影が見えたから]
あっちゃ。
[如何したものかと視線を走らす、僅かな隙]
う……。
[短い呻き声。ケネスの声も耳には届いて居た]
む、ちゃ、言わない、でよ…。
相手、は、獣、なんで、しょ。
[意識はあるようだ。言葉も発せるが、痛みによりその言葉は途切れて紡がれる]
――…ラッセル?
[こちらに直進しようとして、戸惑うラッセルの姿が見えた。]
どうした?
……血が出ているぞ。
[琥珀の右目には、笑みも睨みも無い――感情を押し殺した、探るような色。]
[手を出すことはできなかった]
[落ちていったシャーロットも気にしながら、それでも後ろ背に声をまたかける]
ラッセル――
[殺さないと、言った言葉を覚えているだろうか]
[それでも、積極的に手出しができないのは、先ほどの言葉のせい]
(人殺しの感触を、好ましく思っているのなら――)
……鼠の人が、いきなり切り付けて来たんだよ。
かと思ったら、人の事を獣だって。
酷いと、思わない。
[背後の声を聞いていた為か、その場からは動かず言葉を返す。
警戒を僅か窺わせるかれの表情も、また薄い]
そんだけ憎まれ口言えりゃ上等だ。
踏まれねえよう端っこに避けてろ。
[瞳をきつく瞑る様子に、引きずるようにして壁に凭れさせようと動く]
ああ、足元すくわれねえ内にと思って調べたらアタリとはな。
…あの赤毛の隻眼はあまりあてにするなよ。
確かに、そいつは酷い。
いきなり『獣だ』なんて言われたとはね、まったく酷い。
あれは、ネズミじゃなくて、本当は魔王なんだなぁ……
いやはや、恐ろしい。
[肩を竦めて、ラッセルに一歩近付く。]
そうだ。怪我をしているのなら、止血をしようか。そのままにしては、まずかろうて――…
[目を細め、唇に薄い笑みを浮かべた。]
[左腕で頭を庇ったお陰か、脳震盪の類は受けずに済んだらしい。その代わり、左腕には刺し傷の他に多数の打撲痕、肩や背中にも同様の痕が出来ていることだろう]
……クイン、ジー……。
[当てにするなと言われ、彼の青年の名を紡いだ。弱々しいそれは不精髭の男くらいにしか聞こえなかったかも知れない。壁に凭れ、薄っすらと細く開いた瞳は階上へと向けられる。右目は、滅紫を示していた]
[音が、声が、上から聞こえて来ます。
もう一度溜息を吐いて、身を起こしました。
こつり、杖で地面を叩きながら、わたし向かうのは騒ぎとは真逆の方向――赤い華の咲く、外でした。]
休んでろ。
[クインジーの名を呼ぶシャーロットを一瞥し、駆け上がっていったナサニエルを追いかけるようにして駆け上がる。階上にはニーナとシャーロット以外の生きている者が揃っていた。誰が獣の味方に付くか、ぎらつく目で探るように見回す]
[ケネスとシャーロットの言葉は聞こえるはずもなかった]
[階段をのぼってくる男のことも、気にはしない]
[男は、ただ、ギルバートが前に立って動かないラッセルのそばへと行く]
ラッセル
……お前は、どうしたい?
[男には、それがわからずに、手を出すでもなく口にした]
……そうかな?
もしかしたら、俺の目が片方しか無いからかもしれないね。人には、怖い顔に見えるって言われるよ――…困ったものだ。
笑顔になったつもりでも、そうは見えないらしい……
[眉尻を下げ、ラッセルに悲しげな表情を見せた。]
ラッセル……
きみもそんな冷たい人間のひとりなのかい……?
きみだけは違うと、俺は思っていたのに……!
[息を落とす。
目を伏せていたのは束の間。
クインジーの方へと、顔を向ける]
……クーは、大切なひとには、
辛くても生きていて欲しいと想う?
[それなら――と。
音なく口にした、ことばは。
彼にしか、届くまい]
[ラッセルは逃げるのを一時止めており、前をギルバートが塞ぎ、ナサニエルは背を向けているので表情は見えない]
やめろクインジー!
そのちびは獣だ。
番人達を殺し、引き裂き…食ったバケモノだぞ!!
[ラッセルに引き寄せられる風に動くクインジーへ低い叱咤を発す。獣は二匹――仲間なのか、狂っているのか見極めようと睨む]
……オレにはバートの言いたいことが、
巧く取れないみたいだ。
[芝居がかった物言いの男へと向き直る]
あなたは探っているように思えるよ。
オレが獣か、人間か。
手を差し伸べたいのではなくて、いざとなれば殺す気で。
だから、笑顔も悲しみも偽者に見える。
穿ちすぎかな?
…っ、いったぁ…。
[階上へ向かう者達を視線で追い、身動ぎすると身体が軋むような感覚に囚われる。ここからでは声はほとんど聞き取れない。ただ、その動きだけをオッドアイの瞳で見つめることしか出来なかった]
自分が冷たいかどうかなんて分からないけれど。
あたたかくは、ないのだろうね。
[仄かな、笑み。
じくりとした痛みが、染み込んだ]
己は、――言っただろう?
お前の望みを叶えると
[ケネスの声も届いていた]
[それでも、触れられるほど近付いて]
……生きていてほしいと、思う
だが、お前が――苦しむなら
[ラッセルが手を取れるように、差し出した]
――…そうだね。
[薄い笑みを消し、ラッセルの目を見る。]
俺は弱い人間だ。
一度疑い出したら、それは呪いのごとく俺の背に取り憑いて離れなくなる。人間故の、ごく当たり前のことさ……
それにね。
此処には、人を殺そうとする『魔王』は在れど、魔法で全てをハッピーエンドに帰してくれる『魔法使い』は居ないんだよ……。
悲しいね、ラッセル。
……魔法で、
この目を元に戻してくれる魔法使いが、
居れば良いのにね……
[そう言って、静かに眼帯を外す。
――そこには、皮膚が変色し、眼球が腐った、『瞼』の痕があった。]
[ギルバートに対するラッセルの態度から、残る候補は二人と絞る。手にしたナイフが興奮と緊張の狭間で震え、しっかりと握りなおす]
…どっちにしろ、敵って訳だ。
[クインジーがラッセルへ手を差し出す姿に呟く声は掠れて低い。その声は吼くナサニエルの声にかき消された]
――そこか!
[覚えようとはしなかったが、聞き覚えのない名。何より込められた響きが青毛の青年が獣の仲間なのだと知らせる]
[ギルバートは、澄んだ琥珀色の右目と、腐り落ちた左目で、ナサニエルを見つめた。]
『フィン』、だと?
聞いたことが無い名前だな……
そいつは、彼のミドルネームかい?
お兄さん。
……何故、君がそこまでラッセルに梃入れするのかな……?
是非、説明して戴きたい。
[双の眉をしかめ、唇を歪めた。]
[少年の反応は無視した]
[護るように胸のうちに抱き入れ、腕を回す。]
[男の全身を巡る血が瞬時に沸き立ち、]
[僅かに前傾姿勢を取ったその四肢に力が漲る。]
[ラッセルの言葉、だが手は取られず]
[脇を抜けたナサニエルに、男はあぁと小さく声を出した]
だから武器を気にしていたのか
――ナサニエル、お前は何がしたいんだ
ラッセルは、選んだ
お前にそれを邪魔する権利はない
[聞き慣れぬ名を呼ぶ叫びが聞こえる。それは青の青年の声だった]
……そう…そう言う、こと……。
[青の青年が呼んだのは赤の少年であると。それにより残る仲間はその青年であると。状況が示していた]
[何度も深く深呼吸をする。身体の痛みは引けない]
[けれど、右腕は、動く]
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