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……『人狼』?
[告げられたそれを、小さく繰り返す。
心拍が上がったように思えたのは、気のせいなのか、違うのか。
判別つかぬまま、無自覚、胸元に手を触れる。
その間にも、話は進む。
老尼僧を害したのは、状況や傷の状態から人とは思い難い。
それだけの事を成せるのは『闇の者』たる人狼であろう、と。
語られる予測は何故かすとん、と認識に落ちて]
……それで……団長殿は。
これから、どう、なさるおつもりです、か。
[神に仇なす闇の者と、それに対する神の使徒。
その物語は、図書室にも収められていたか。
そんな事を思いながら投げた問いに返るのは]
「『人狼』を殺さなければ更なる犠牲が出る。
……そのためになすべき事をなす」
[どこかで予想していた言葉は、温かいはずの談話室に冷たく響くように思えた。
ここに人狼が居る、という事は。
殺さなければ、という事は。
考えるまでもなく結びつく要素に、言葉が失せる。
本気なのか、と団長を見やる天鵞絨に映るのは、揺らぎの見えぬ、険しい表情だった。**]
─ 前日 ─
えぇ、そうなさい。
アタシこれでも本職なんだからね、観客が居るならちゃんとした演奏を見せたいもの。
[>>11縮こまるエルザに対してこちらは変わらぬ笑みを返し。
頭を振ると共に否定の言葉が返れば、なら良し、と大きく頷いた。
肌の確認する所とかは楽しげに目を細めたりもしていたが]
あら、小父様も一緒にお出かけなの。
エルザならもう任せて大丈夫だって思われたのね。
[>>12照れ臭そうな彼女に、ころころと笑う。
仕草や言葉遣いは女のそれだが、声は作っていないからはっきりとした男のもの。
ヴィアさんはヴィアさんだからという認識の相手だと知っているから気楽に話していたが、荒れ始めた空に気付いた所で会話は途絶えた。
外に向けた視線はすぐに二人に戻すと、>>10レナーテと名乗った人物が不意に表情を消したのを丁度目の当たりにして]
─ 前日 ─
あ、
ちょっと、レナーテさん?
[呼び止める間も無く聖堂を後にする旅人に、何か急ぎでもあったのかしらね、と独りごち。
>>46ここに泊めてもらおうというエルザの提案には、そうねと頷いた後、首を傾げて問われたのには、あら、と笑みを零し]
一緒に行くわよ、大した手間じゃないもの。
[そう言って同行し、雪に埋もれた背負子を助け出すのを手伝ったりしながら談話室へと付き合って。
そこで見知った者が残っていれば、はぁい、と手を振って挨拶なり他愛無い話なりをした。
>>82イレーネはこの時まだ眠っていただろうか。おきていたとしても声は交わすことなく、笑顔を向けるだけで挨拶として。
ただ、大きくなったわねぇ、と内心だけで感嘆の声を落とした。
こちらから申し出をする前に老尼僧から宿泊を勧められると、えぇ、と苦笑を交えて頷き]
─ 前日 ─
悪いんだけど、着替えも貸していただけるかしら?
ピアノの様子だけ見たらすぐ戻るつもりだったから、荷物ほとんど持ってきてないのよ。
[この申し出にも了承を得て、司書が準備してくれたという夕食をもらおうとしたところで老尼僧から相変わらずここのピアノがすきなのね、と声を投げられた。
幼い頃、初めてピアノに触れたときからずっと、変わらぬ思いを老尼僧は知っているから。
一拍置いた後、えぇ、と微笑みを返してから夕食をとり、既に火が入り暖かめられた一室を借りた]
─ 前日 ─
[部屋に入り、厨房から借りてきた水差しから桶に溜めた水で顔を洗って化粧を落とし。
髪も解くと、やっと人心地ついて大きく息を吐いた]
流石にお湯は借りられないわよね。
[寒さに身体が冷えているけれど、風呂に行って誰かと鉢合わせるのは面倒だ。
相手が男女どちらであっても自分に気を遣うだろうが、気を遣われない場合の方が実は困る。
こんな格好をしてはいても、自分の嗜好は一般男性のそれと変わらないのだから。
宿はお客自体が少ないから今から入ると声をかけさえすれば主人が人払いをしてくれるけれど、ここではそうはいくまい]
…ま、一晩だけだし。
朝の支度は、ここの暖炉でお水温めてすることにしましょ。
ちょっと多めに薪ももらっておこうかしら。
[火入れ用の石なども借りないと、と部屋の外に出て薪を取りに行こうとしたのだが]
─ 前日 ─
あら…
[廊下から聴こえてきたのは、幼馴染の夫である男の声と、聞き馴染みの無い声。
切れ切れに届く、言い争いとまでは行かずとも棘のある会話に、外へ出る気が削がれた。
自分が出ていけば、マテウスの神経をより逆撫でするだろうとも思えたから。
本当はピアノの所にも行きたくはあったのだけれど。
結局そのまま、朝になるまで部屋からは一歩も出ることはなかった]
─ 回想 終了 ─
― 談話室 ―
[表情が硬いままなのを気遣ってか微かに近づく温もり>>183に、安心させようと笑いかける。
不安なのは同じ、年上で、しかも男の自分がこれではいけないと。
だけど、それも自衛団長が現れること>>185で消える。
行商人>>178が騒ぎながら現れたことよりも、そちらに意識が向いていた]
……教会、から?って、何それ……
『闇の者』って、いったい……
[団長から語られたのは、にわかには信じがたい話で。
『闇の者』などと言葉を濁すから、無意識にそう呟いていた。
その声が聞こえたか、誰かが同じ事を問うたか、それに答えるように返る言葉に、ぴくり、と僅かに体が跳ねる]
……『人狼』……?
『人狼』って…何、を
[無意識に繰り返す言葉。
話は続く。
団長の言う事は真実かもしれない、いや、目の前の事実を見ればそれは間違いないことなのだろう。
だけど]
………成すべき事、って?
[口の中が渇く。
判っている、解っている、だけど、理解したくない、そんな気持ちのせめぎ合い]
殺しあえ、って、そう言いたいのか?
[やっとの思いで落とした声は低く、もしかしたらイレーネを驚かせたかもしれない。
言葉に出来たのはそれだけで、感情は押し殺して、ただ、団長を見つめた**]
― 昨夜/談話室 ―
まあ、今日だけなら……
[励ますような言葉>>26にも完全には表情は晴れなかったが、幸い件の行商人がこの場に現れることはなかった]
そーね。
[ぽつりと落ちる言葉>>28に返したのは一言だけ、若干語気は強めだったが。
すぐ後に現れた人の存在>>31や、目を覚ました年下の子>>83の方に意識が向いたから、それ以上の応酬はないまま。
その後も話すのは女性が主、時折蒼色の小鳥>>64を気にするようにちらちらと目は向いたが、言葉に出して問いかけるような事はなく。
食事の後で食器を運んで、そのまま客室を一つ借りたのだった]
─ 朝/自室 ─
…寒。
[底冷えのする寒さに目が覚めて、ベッドから出る。
やっぱりお風呂行くべきかしらと思いながら、まずは桶に水を張って剃刀を顔にあてる。
元々体毛は薄い方だから2、3日は剃らなくても目立ちはしないが、少しでも見苦しくないように、と。
剃りが済んだ後に化粧水をつけて、簡単に化粧を施し始めたところで>>75それは聞こえた]
…悲鳴?
[屋外と屋内に隔てられていたからか、何を叫んでいるかまでは聞き取れず。
けれど、そこに込められているのは確かに酷い狼狽と、異変を伝える音で]
─── なにか、起きたの。
[白粉と、唇に薄い紅を乗せただけの顔を見られる事など気にもならず。
不安に駆られるまま、外へと向かった]
─ 朝 ─
[>>79開いたままの玄関の扉から外へ出る。
聖堂の外には既に人が集まっていて。
>>112マテウスがイレーネに対して中に居ろと叫んでいるのが聞こえた。
子供にも私にも優しいと、幼馴染が常に言っている彼の姿とは似つかわしくなくて]
ちょっと、何が──
[あったの、と声をかける前に、>>113カルメンも外に出てきて。
>>118彼女も中に戻そうとする様子に、より不安は増していった。
>>124カルメンの進言も拒絶する>>127マテウスは、ただ頑なに見えて。
どうしたのかと問うよりも、カルメンの視線を追う方が状況の把握は早かった]
───────……… うそ、
[逆光が、シルエットを作っていた。
だからそれが何なのか、誰なのかは一目ではわからなかった。
いや、分かりたくはなかった、けれど。
呆然と見上げている間にこの場へと着いていた団長へ>>137マテウスが為した報告で、現状をはっきりとしらされて]
─ 朝 ─
…何か、手伝えることは、ある?
[そう問いかけた言葉に、返る声はあっただろうか。
できることが無いなら邪魔になるからと、その場を後にしようとすれば団長から話があるから集まるようにと声をかけられて。
それを背に受けたまま向かったのは、図書室。
今はまだ一人でいたかったし、ピアノの傍へは行けなかったから]
…子供の頃、思い出すわね。
[同世代の少年達とはうまが合わず、女の子や年下の子達とばかり遊んでいたあの頃。
いじめられてはいなかったけれど、女みたいだとからかわれて泣く場所は、いつもここだった。
老尼僧はそんな自分に、貴方らしさを大事にすればいいと、笑って話しかけてくれて。
楽譜の読み方やピアノの弾き方の基本を教えてくれて、後は自分の好きにさせてくれた人。
村を出て変わった自分を、変わらぬ笑みで出迎えてくれた、恩人なのに]
─ 朝 ─
…あんな仕打ち、無いわよ。
シスターが何したっていうのよ。
なんでシスターが、あんな酷い目にあわなきゃいけないのよ。
[明らかに誰かの手で殺されたのだ、と。
胸の内で一人、呟く。
殺した者は誰なのか、そもそもどうやってあんな真似ができたのか。
それは分からないけれど]
………絶対に、許さないわ。
[冷たい声で呟くと、そろそろ行くべきかしらね、と談話室へと向かい。
団長の話を、聞いた**]
― 翌朝/客室 ―
[朝になって顔を洗って。
櫛を使って髪を梳き、きっちりといつも通りの三つ編みを作っていく。
その途中で一旦手が止まり]
……ふん。
[少しだけ不機嫌な顔をした]
あんなのどーせ、誰にでも言ってんだろ。
[ぽつりと、声を落とした。
開かれないままの借りた本は、ベッドの傍のテーブルの上にとりあえずで積まれている]
……え。
[その場でか、談話室へ戻ってからか。
いずれ、老尼僧の死は娘の耳にも入ることになった。
顰めていた表情は、一瞬にして驚き、それから戸惑いを含むものに変わる]
何、その縁起でもない。
昨日まで普通に……元気だったじゃない。
[他に人がいればそちらの表情を伺ったりもしたが。
どこからも冗談だという声が返らない事が分かれば、それきり口を噤んだ]
待ってくれ、団長。
仮に、仮に、だ。
『人狼』が存在するとして……。
ここは今、閉ざされた地だ。
『人狼』の被害と思しき遺体が、この場に出たと言うことは。
[幻燈歌にも歌われる御伽噺。
『神の使途』と『闇の者』。
その存在を直ぐには信じ切ることは出来ないが、団長の言うことが真実ならば]
───── この、 中に?
[背筋がゾクリと冷えた。
もし疑われてしまえば。
我が子が、娘が殺されてしまうという現実。
表情こそ変わらぬものの、顔色の変化は隠せなかった]
― 談話室 ―
[死の状況については何処まで知る事ができただろう。
いつものように男性に対して毒吐くこともなく、かといって女性と話すでもなく。
見知らぬ人がいるのに気づけば簡単に挨拶くらいは交わしたか、後は殆ど俯いて黙りこくっていた]
……。
[尤も、昨日も見かけた“行商人”が入って来た際には、嫌悪感を隠そうともしなかったが。
それから程なく、団長の話が始まった]
―回想/聖堂→厨房→談話室―
[急ぐ足の途中、行き当たったのは赤い結い髪>>202。
思わず速度を緩めかけたところへ声が掛けられる]
ああ、うん。
[問われて先ず零れたのは、随分と歯切れ悪く]
……シスターが、ね。亡くなったんだ。
[少しの躊躇いを混ぜて紡げば戸惑う声が返った。
それに浮かぶ苦笑も、率先して動けはしても整理がついていない故の困ったような戸惑うような色が混じる]
……自然に亡くなったような、そんな状態じゃなくて。
団長さんたちが対応してくれてるから、後で説明して貰えると思う。
[その凄惨な状態は伝えるに忍びなく。
今ここではそれを避けるようにして]
[話しながら談話室へと足を進めて、辿り着いた扉の前で]
先、行ってて。ちょっと厨房寄って来るよ。
[そう断って談話室より先に厨房へと戻る。
そこに居るのはライヒアルト一人で、お茶の準備も滞りなく進んでいた。
万一怪我などしていたら。そう心配していたのが取り越し苦労で密やかに安堵する]
[ライヒアルトと共に談話室へと向かい>>135。
先に談話室に向かっていたエルザ>>179へと歩む]
待たせてごめんね、エルザ。
[昨夜の食事の最中に問い問われで聞いた名を呼ぶ。
話は室内でとは言ったのだけれど、話せる内容など大してない。
結果、エミーリアに話した内容と変わらずに]
[その後は椅子の一つに腰を落ち着けて、彼らの戻りを待つ。
途中、新たな人が現れた>>140のには驚いたけれど。
其々を追って、名乗ることくらいはできただろうか]
─ 談話室 ─
[ようやく始まった自衛団長の話を、男は黙って聞いていた。
話の合間に口を開く事はなかったが、次第に眉間に皺が寄り]
……中央の教会?
[信仰の中心ともされるその場所。
だが、そこにまつわる後ろ暗い噂は、各地を歩く最中に幾度か耳にした。
直接関わるべきではない、という第六感のようなものがあり、深く踏み込む事は避けていた]
……冗談じゃねぇ。
なんで、そんな危なっかしい所から……。
[無意識もらした声は決して小さくはなかった]
……冗談じゃねぇぞ、殺しあえとか……!
大体、その書状の内容とやらも、どれだけ信用できるんだよ!
そんなバカげた理由で、そんな物騒なことやってられっか!
[苛立ちあらわに言い放ち、席を立つ]
なあ……村の平和とやらを守るのがあんたら自衛団の仕事なんだろ、そうなんだろ?
だったら、夢みてぇな話してねぇで、さっさと犯人探してくれよ、なあ……!
[言い募りながら団長に詰め寄るものの、探すのは当然の事、と冷静に受け流され。
取り付く島なしの様子に、苛立たしげな舌打ちを残した男は談話室を出て、足早に客室へと向かう。
自分がここに受け入れられていたのは、シスターの存在あっての事。それくらいは理解している。
それが失われた上でのこの状況、危機感は募っていた]
……冗談じゃねぇぞ。
[低く呟きつつ、男が向かうのは、自身の客室。**]
─ 談話室 ─
[いつしかきつく握り締めていた両の拳。
開き視線を落とせば、治まりかけていた赤みが再び広がっていた。
左手には内出血でもしているような、小さな赤い痕さえある]
……………
[団長の話を聞いて、他の者の反応はどうだったろう。
焦げ茶の瞳は一人一人を見回した]
[行商人の零した言葉>>212が耳に届けば、視線はそちらへと。
団長に詰め寄る>>213のが見えれば、いつでも押さえつけることが出来るように身構えた]
馬鹿げた理由かどうか。
自分の目で見てくれば良い。
[傷口を見ればその存在を否定しきれなくなることは身を持って知っている。
心象の悪い相手だからこそ、あの無残な姿を見せ付けてやろうと言う心理が働き遺体の安置場所を伝えた。
このことは他の者にも聞こえたことだろう。
マテウスの態度もあってか、行商人は舌打ちを残し談話室を後にする]
………団長。
[どうします?と言う問いは目線のみに。
行商人に悪い噂があることは団長とて知っている。
凶行に走らなければ良いが、との懸念に団長は「様子を見ておけ」と返してきた。
どうやら団長も行商人の言動に気になる部分があるようだった]
─談話室─
[団長たちの後に現れたのは、またこれも見覚えの無い男。
この人が件の行商人かな、と思うも。その態度>>185に他の人々があまり良くない印象を持っているらしいのも納得せざるを得なかった]
[やがてライヒアルトも蒼い小鳥を伴って戻り。
全員が揃うことを確認してから話し始められた内容には、言葉を失うしかなかった]
[中央教会から届いた書状、その内容。
老尼僧の遺体の状態から導き出された推察。
『闇の者』と呼ばれる、『人狼』の存在]
……でも、そんな、
[零れ落ちる音は酷く震えて、酷く微かで。
隣に座る人くらいで無ければ聞き取れないだろう]
[右手は無意識に、左の胸元で握り締めて]
─ 談話室 ─
……ん、大丈夫、だ。
[覗き込んでくる小鳥に笑いかけつつ、ゆっくりと胸から手を離す。
跳ね上がった心拍は、今は落ち着いていた。もっとも、心理の方は……というのが実情だが]
……シスターは、自室にいらっしゃるのです、ね?
[ふる、と首を振った後、先に話題に上がった事を確かめるような問いを投げかける。
安置されている、と言えない辺りにどこか割り切れていない想いが滲んでいた]
─ 談話室 ─
[談話室には既に幾人かの顔があった。
その中に昨日急に聖堂を後にした旅人の姿を見止め、急ぎの用で出ていったんじゃなかったのかしらとは思ったものの声には出さず。
程なく団長達と、見慣れぬ男が談話室に顔を出したから話しかける暇が無かったとも言うが。
>>178どこか横柄な態度を取る男の声は昨夜廊下から聞こえてきたと同じで、これはマテウスが険をみせる訳だわと納得しつつ>>185団長が話し始めるのを待って]
人狼、って。
[>>185>>186切り出された話は荒唐無稽と言って差し支えないものだと思った。
御伽噺だと笑い飛ばしたっておかしくないはず、だけど]
そうなの。
シスターを殺したのは、人狼なのね。
[老尼僧の身体は常軌を逸した場所にあった。
まるで見せしめのように、十字架に刺し貫かれて。
肉体的にも精神的にも、あんな事を人ができるなんて思えない。
それならば、人ならざる者が為したことと思う方が、まだ納得できる]
─談話室─
[殺さなければならない。
それは、頭では理解はできている。
ここで。閉じ込められたこの場で。殺さなければ]
[道が拓いてしまえば、被害は]
[けれど、と否定の意思は荒いだ行商人の声>>213に打ち切られる。
談話室を飛び出すその姿を見送って]
[ゆるり、息を吐く]
……そう、するしか、……無いのかな。
[鉄紺色はそろりと室内を、……人々を辿る。
その最中に認められたのはどれもこれも疑わしさなど感じられない様子ばかりで、実は『人狼』が別にいるのではないかと思う方が信憑性があるような気さえしてくる]
[一度落ちた掌がもう一度胸元へ戻る。
その裏側は起きた時から変わらずにじわりとした熱を持ち続けて]
─ 談話室 ─
[更に団長は言葉を紡ぐ。
なすべき事をなすとは、つまりこの中に人狼が居る前提で話されているのだということ。
雪に閉ざされていた中で起きた事なのだから、当然なのだろうけれど。
視線をめぐらせれば、幼い頃から知っている彼ら、彼女らに、幼馴染が大切に思う存在。
この中に、と思えばぞくり、背筋に悪寒が走った。
>>194弟分の落とした声に、自分の喉も酷く渇いている自覚をしながら視線を向け]
そういうこと、でしょうね。
[そんな事したくないけど、とは口に出さぬまま肯定の声を返した]
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