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-ネリーの部屋・早朝-
[眩しくて自然と目が覚めた。辺りの静けさに、そう言えば雨は夜に止んだのだと気づき、昨夜の出来事を思い出す。
不安に身を起こせば、同じ部屋で寝ていたはずのネリーの姿はなく。
働き者の彼女のことだ、仕事だろうとは思ったけれど不安で、寝台から抜け出すと廊下へ出た。]
[[広間に行こうとして玄関前を通ることに躊躇った。
あの場所にはもう何もないと知ってはいても、目の裏には凄惨な光景が焼き付いている。
立ち止まり、迷う少女の目に、人影が映った。
一瞬警戒して身を強張らせたものの、昨日、朝ご飯を出してくれた使用人の女性だと気づき、胸をなで下ろす。
声をかけようとして、一歩踏み出した時、彼女もまた自分に気づいた。]
-玄関前-
[使用人の女性は、自分の顔を見てぎょっとしたように後ずさり、背を向けて走り出す。
その顔に浮かんでいたのは、まぎれもない恐怖。
何故、そんな顔をされるのか分からなくて、思わず後ろを確認したから反応が遅れた。
走り出した彼女をわけが分からないままに追い掛ける。]
ねえ、待ってよ。
どうしたの!?
[恐ろしかった玄関も走り抜けて、外に出た。
朝日の眩しさに一瞬目が眩んで立ち止まる。
もともとの距離に加え、大人と子供の差で、既に彼女とは遠く離れていた。
吊り橋の中程を渡る姿が確認し、そちらへ駆け寄る。
昨日までの湿気から比べたからだろうか、やけに乾いて感じられる空気が、咽を締め付けた。]
―早朝―
[ 昨晩迄の雨が嘘の様に、カーテンから射し込む陽光の煌きが青年の頬を照らす。]
ん……。
[ 何時の間にか組んだ腕を枕にして寝ていたらしく、緩慢に身を起こせば左肩を掴んで首を回し、指に巻いた筈のテープが取れている事に気付く。騒動の最中に失くしたかと不可思議に思いつつ、椅子を引いて立ち上がれば男の傍らへと歩み寄れば、其の頬に僅か残る筋は涙の痕だろうか。濡れたタオルを乗せては置いたが其れは最早殆ど用を為しておらず、暖炉の火が弱まっているのにも気付けば、取り敢えずは厨房に向かおうかと項に手を遣りつ広間を出た。
其れと同時、聞えて来た少女の声に何事かと視線を遣れば、外へと続く扉が開け放たれていた。其の先に見えるのは、赤髪の少女の姿。]
[橋のたもとまで追ったとき、既に使用人は橋を渡り切っていた。]
ねえ、なんで……!
[叫んで、吊り橋に手をかける。先に渡った者の所為か、揺れが激しくて一歩踏み出すのを躊躇った。
ただ、逃げ出す背中に視線を突き立てる。
自分の声が届いたのかは分からない。
遠くてこちらを降り返った彼女の表情は良く分からなかった。
その手が動き、赤色が閃く]
―自室・早朝―
[明け方にわすかにまどろめただろうか、浅い眠りから目覚め。
胸騒ぎを感じて窓の外を見れば、炎をあげて燃え落ちる釣り橋。
唖然として窓を叩くも、填め殺しの窓は動かず。]
[ 不審に思い外に出てみればヘンリエッタの叫びが聞えた。]
何をして……、
[ 声を投げ掛けようとした刹那、少女の小さな背の向こう、其の髪の赤より鮮やかに閃いた色に目を瞬かせ――其れが何なのかを理解すると同時、赤はロープへと移される。物が焼ける臭いと薄い煙とが漂うのを認めれば無意識に躰は動き、吊り橋に歩を踏み出し掛けた少女へと駆け寄り、其の小柄な体躯を抱き寄せる。]
行くな、危ない!
[ 火の回りは予想外に早く、此岸と彼岸とを繋ぐ唯一の橋は炎をあげて崩れていく。焔に揺らめく恐怖に充ちた瞳は見えずとも、其の狂った哂い声は耳に届いた。]
[向こう岸に見えたのは、長年ここに使えてきた使用人の姿で。]
…あなたですら…自分さえ逃げられればそれで良いと…。
[ぎり…と奥歯を噛みしめる。]
―厨房―
[ざあ、と水の流れる音。
広間と厨房を往復し、“最後”どころかついぞ開かれることのなかった晩餐会の痕を機械的に片付けて行く。
本来ならば2人でやるべき作業。しかし今朝隣室の扉を叩いても、もう1人の使用人の女性からの返答はなかった。
悲鳴を聞いて駆けつけた客人たちとは違い、何の予告もなしにいきなりあのようなモノ―切り離された主人の足―を見せられたのだ。仕方ないのかもしれない。
或いはそれでも尚変わらず後片付けなどしている彼女のほうが、既に何処か狂ってしまっているのかもしれなかった]
[ふと叫ぶような声が聞こえ、窓の外を見る。
彼女の部屋で寝ていた筈の少女が、橋の手前で立ち尽くしているのが見えた。
そして、その対岸には]
婦長様――?
[呟いた瞬間。
緋色の焔が、その姿を紛らせる]
─二階・客室─
[まどろみから目を覚ます。
自分がどこにいるのかわからなくて、戸惑い]
……ボク……は……。
[ぼんやりとした意識。
思い返される、昨夜『視た』もの]
……っ!
[悲鳴を上げそうになるのを、とっさに押さえ込み]
……だめ。ひとは、たよれない。
ばーちゃん以外には……わかってもらえない……。
[低く呟く。薄紫の瞳には、冥い決意]
[ ゆっくりと燃え落ちていく橋、炎の彼方に遠ざかる女の背中が垣間見えた。伝い落ちる汗は熱さの為だけだっただろうか。黒曜石の瞳は緋色に揺らめく焔を移し、乾いた空気は喉を灼くかの如く、強く彼らを苛む。
――もう逃げられはしないのだと告げるかの如くに。]
[ふる、と首を振ってベッドから起き出す。
お湯を使って、気持ちを切り替えよう、と思って。
立ち上がるのと前後して、窓の向こうに閃く不自然な色]
……え?
[惚けた声を上げて窓辺に寄れば、目に入るのは、燃え落ちる吊り橋]
や……ど、どして……?
[呆然と。ただ、呆然と。呟く]
[しばし、その場に座り込んでいたものの。
このままではいられない、と立ち上がる]
……でも。
どうすれば、いい……?
[外界から隔離されたこの場所で。
何をすればいいのかと。
そんな疑問を感じつつ、ふと、鏡を見て]
……色。
[昨夜、問われた事の意に、ようやく気づいた]
―二階・自室―
[浅い眠りの中、何か、自身の感覚を逆撫でる様な異様な気配に目を覚ます。
目の前のローズはいまだ眠りの中で。
立ち上がり、窓の傍へと歩み寄る。
異様な、嗤う様な叫びと、漂う煙]
…なんだ?
[窓の外、焔を上げて燃える吊り橋。
橋の向こうに見えるのはここの使用人か?
それ以上確認しようにも嵌め殺しの窓は開くことは無く]
………
[言葉も無く、見つめる先で
吊り橋が音を立てて燃え落ちる]
[燃え落ちる吊り橋。
翠色の双眸には、呆然と立ち尽くす赤毛の少女も、それを抱き留める青年も既に映ってはいなかった]
…
[右手は窓枠にかけたまま、ずるりとその場に崩れ、落ちる]
…クク…
[身体は小刻みに震えている。怯えているのでも、泣いているのでもなかった]
――回想 夜の広間にて――
[屋敷の主の声掛けで集められた客人の元に、最後まで主は訪れず。
届けられたのは、変わり果てたアーヴァインの肉体の一部だった。]
[一変して恐怖に満ちる客人に誘われるように、主の部屋へと向かえば。
そこにはまだ新しい記憶と然程変わらない情景が、リアルに描かれていた。]
――あぁ…またこの悲劇が…繰り返されると…いうの?
[咽返る血生臭さに少女は静かに目を閉じながら、誰にも聞こえないように呟く。
疼く傷跡。蘇る悪夢。それらに成長を止めた体は耐えられなくなったのか――
ふらり――少女は割り当てられた客室へと足を運んだ。]
[吊り橋…外界とこの地を繋ぐ唯一の物。
それが失われた今、此処より外に出る術は無く]
……逃げ道は、無し…かよ。
[昨夜の、あの、惨状。
あれを引き起こした物はまだ此処に居る筈で。
それが意味することに気付いて唇を噛む]
俺達を見捨てたのか…?
俺達も……殺されるのか……?
あんな風に?
[ぞくり、最中に冷たい感覚が走る。
旅の途中、幾つもの危険に晒された事はあった、けれど。
無意識に懐に隠したナイフを探り、呟く]
また…やらなきゃいけないのか……?
――翌朝――
[目を覚まし、視線を窓の外へ。
ようやく上がったらしい雨は日の光に反射し、更に眩しさを助長している。]
…アーヴァインさんが…あんな姿になってすぐにこの場を立ち去るのは…幾らなんでもさすがに…気が引けるわね…。
[身支度を整えるも、旅支度を出来るはずもなく――少女は窓の外のつり橋へ、少し恨めしそうに視線を送った。]
[と、その時。一人の使用人らしき者が橋を渡りきった所で何か妙な動きをとっているのに気付いた。]
あっ…
[少女が声を漏らした瞬間――つり橋はだらりと宙に舞い――赤い炎が――まるで宙をひらひらと舞うように、橋全体を包み込んでいった。]
[自分の、今、居る場所。]
[食卓と思しい大きなテーブル]
[暖炉]
[自分が寝ている、ソファ]
[花][白い]
[それは花瓶に活けられた白い花で]
─玄関ホール─
[ゆっくりと、ゆっくりと、歩みを進め、階段を降りる。
開け放たれたままの扉、その向こうに見える光景。
燃え落ちた橋。
吊り橋の側に住む祖母は、状況を理解しているだろうか。
否……わからないはずがない。
彼女もまた、幾度となく。
同じ様な状況で、人の死を『視た』と言っていたのだから]
……幾つ。
いつまで。
視ることになるんだろうね、ボクは。
ボクが、死ぬまで?
[呟く声は、微かに震えを帯びていたか]
[物憂げに][ゆっくりと起き上がる]
[ぽとり。]
[額から][乗せられていたタオルが]
[胸の上に落ちる]
[それに眸を落とし]
[ 軈て其れは完全に燃え尽きたか、嘗て橋であったものは灰となって奈落の底に落ちていく。幾らかは風に乗り、其の場に佇む青年と少女の頬は僅かに汚れるか。]
……何時までもこうしていても、仕方無いな。
[ 溜息を吐くと、呆然としているヘンリエッタを促して館の中へと向かう。]
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