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―階下へ―
[階段を下りながら、周りに誰もいないことを確認すると、
ちょうど降りたところで、胸を押えて蹲った。
少しだけ、荒い息が響いたかもしれない。
しばらく目を閉じてから、小さな発作を逃す。落ち着けば、顔をあげる。]
………
[一人、そこに女。]
カルメン?
[大広間に立つ女性に近寄る。
彼女は何だかなにも見えてないようにも見えた。
が、>>146 ふっとその身体を揺らぎ、倒れかければ、
また抱きとめる。]
―― 大広間 ――
[副作用として。
情緒に変化、
衝動的に攻撃性が高まる危険――。
残された欠片を知らぬ女は衝動に突き動かされて居た。
記憶の混濁、不安定な情緒、そして、抗えぬ衝動。]
ひ、ひひひひ…
[低く、狂った笑いは
やがて降りてきた男と対峙する。]
[強張る身体
蒼に混じる、色は嫌悪
相手を拒否するように、身を捩り
温もりを、優しさを、壊そうと抵抗する]
!!!
……ッ!!
[漏れる音は、濁音交じりの言葉とは思えない音。]
―― 回想 階段 ――
……は はい
[ゲルダに頷いて、確かに足元を慎重に見ながら上がる。
ふと、背後から聞こえた台詞に首をかしげた]
いれぇ ね?
[覚えのない名前。
そして、その後に続く、状況にそぐわないような不穏なせりふ]
―― 2階廊下 ⇒ 2階6の部屋 ――
[廊下を、進む。
途中、すれ違う人には会釈の後、リディの事を伝えようとして。
なんと説明すればいいのか、言葉に詰まる。
もしかしたら何人かは会釈だけで通り過ぎたかもしれないし、後からゲルダが追いついてくれば、説明を任せてしまった。自分より、よほど伝わるだろうから]
[まだ体は動くのに、喉の痛む彼女に押し付ける自分に小さく舌打ち]
[そうして、6の部屋に集まることになったと聞けば、頷いてそちらに向かう。部屋の中では、片隅にぼんやり立って、皆の話を聞く姿勢**]
[抵抗に、身体がふらと離された。
勢いでたたらを踏み、内股で立つ。]
……
[黙り込み、手を握ったり開いたり。
感覚を、反芻するように。]
[身を離すと、カルメンはそこに立ち尽くした。
その姿……とても苦しそうなことだけは、よくわかる。
さっきのクスリの話を思い出す。
情緒に変化……攻撃性……。
それも踏まえて、今は、どんな言葉をかけても、
それがまた、なお、彼女を苦しめそうな気がして……。
ただ、それを見ている。]
[頬を拭うと、血が出ていた。
たいしたことのない量、だけど、ぴりりと痛む。
そう、痛みとはこのようなもの。]
………声は出さず、
だけど、立ち去ることもしない。
[二人の間を暫しの沈黙が包む。
暴れた女の爪が男の頬を掻き、赤が滲む。
女はそのままの体勢で呼吸だけを繰り返した。
ぎ、ぎ、と奥歯を噛む音を混じらせて。]
……は、
[自身の首へ手を伸ばし、
バンドを掴み。
髪の下、歪む赤い三日月。]
[声がした
けれど今の女にはその意味が
音が、何か、伝わってはいない
そして、引き寄せられ、抱きしめられる身体]
…ッ
[反射、身を捩り、抵抗しようとするも]
?
[半眼だった蒼が、僅かに開く。]
ゥィ、ゥィ……?
[声は矢張り、がらがらとしていて
呼ぶ名も確りとはしていない、けれど。
何事か、と抱かれたまま、蒼を瞬かせ。]
…?
[問われる声に 蒼が瞬く
意味がわからない、という声
周囲を見回して]
っ、
ここ ぁ?
[問う声
何故ここにいるのか、思い出せない]
[眸に正気の色が戻ってくる。
その華奢な身体からもこわばりは消えて……。]
ここは、僕の前だ。
[抱きしめる理由がなくなっても、
手は離さず……。]
それ以外は考えなくていい。
[おそらくはクスリの仕業で現れる狂気を、
思い出させる必要があるだろうか?]
[見回せば見回すほど、未知が絡みつく。
恐怖――。
女はせんせいに、ごめんなさい、と残し
その後から今までの記憶が、一切無い。
だから笑んでは居ても内心は酷く、乱れていた。
しかし、]
……
[ヴィヴィの抱擁と、声。
ゆっくり頷いて、 ありがとう と。
小さくがらがらのたどたどしい声が、
彼の胸元で零れた。]
カルメン……君は何も悪くない。
[ありがとう、という掠れた声。
それを撫でて、唇を寄せる。]
……休むといい。おいで。
[そして、その身体を支えながら、医務室のほうへ。]
[支えられる身体
彼を見上げ、息を、飲んだ
数値を見て、泣きそうになるのを堪えたから
だから、笑んで、ゆっくり頷いた]
……
[数値を心配、すればいいのだろうか。
私なんかに気を遣ってるからだじゃないと
怒ればいいのだろう、か。
わたしより、あなたが心配だから
おねがいだから、休んで欲しいと泣けばいいだろうか。
こうなっても、正しい事が、解らない。]
[頷きと、声。
同じ様に、頷きを返す。
医務室に入れば未だ残る、『残骸』。
夢は未だ夢のままなのだ、と厭でも知る。
暫し、ヴィヴィに沿って貰い休んだのなら。
やがて集合場所へと共に向かうだろうか。
向かったのなら、女は喉の調子から口を開きはしない。
黙して、常通りの振る舞いで、
みんなの話に耳を*傾けるだろう*]
[水を大きめのポットに入れる途中、
包帯に包まれた手を見下ろした。
傷がいつの間にか増えていた。怪訝そうに眉を寄せる。]
[見下ろす水面。映り歪み揺れる頸元――数値は20。]
ッ…――
[数値を隠すように押さえると、ポットを抱え足早に*集合場所へと向かった*]
─ 三階廊下 ─
[ダーヴィッドに問われ>>114、ゆっくりと瞬きをした。
縫合した場所に触れていた爪をおろし、]
痛む、方が健常に近いのだろう。
──痛みが減った。
私は比較的進行が遅い方だと思っていたが、
進行速度は一定では無いのだろうな。
今此処にいる者達が。
統率すべき、されるべき集団かは、疑問だが、
パニックや自滅は避けなければ。
[立場は、そう……誰かが口にした言葉。実験体のモルモットのような──監視され、選択肢を狭められた立場は同じ。頷いて、傷口にはもう触れないと、首を横に振り、心配顔のダーヴィッドに、]
そんな顔ばかりしてると、禿げるぞ。
[真顔で冗談のような言葉を言ってから視線をそらし、バンドの数値をエーリッヒに見せた。]
エーリッヒ。
このLV,パーセンテージなら、
まだ石化病用で無い薬物でも有効と判断しても?
[医師の卵であるエーリッヒの許可が出れば、薬品庫から取って来た普通の薬物を摂取するつもりで、尋ねる。身体を動かす事は避けようが無いが、貴重な石化病用の鎮静剤を使う事も避けたい。
気が付くと、ユリアンが部屋から廊下に来ていた。]
ユリアン。
私の頼みは、>>2:821
[>>117蓋が開かないように、わざと可動部分の一部を壊してあったタイピンの中身。それは中世の貴族が使用したポイズンリングのように、宝石の下に小さなボックスが有るもの。壊れたものを開けられるユリアンに、感嘆の声を上げる。]
有り難う、流石、だな。
ボックスの中身は、
[「見てくれて構わない」と言いかけ、今、見せる事でユリアンを巻き込むかもしれないと躊躇し止めた。また、秘密の 共有者 にユリアンを巻き込むのは──と。
そのまま手元で中身を確認する。おそらく、精製途中の薬物。]
これが、私の持ち込んだ荷物の唯一の残りになる。
ユリアンのあの箱は、ロッカーの中で何故か金属が熔解していてね。
放送、扉を封印した茨や。
ご丁寧に、屋上のヘリポートにヘリが用意されていた事。
人為的な気配のする──だが、惜しい喪失だ。
生きて一緒に出られたら、また注文したい。
[と、生真面目な顔で。]
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