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そうだね、生きてる。
どうして生きてるのかは、わかんないけれど。
[赤毛の少女の内心を知ってか知らずか。
くすり、と楽しげに笑んで]
[ 観音開きの扉が軋んだ音を立てれば、其の先に広がるのは先日迄と殆ど変わらぬ光景。大きなテーブル、落ち着いた色合いの空間、古惚けた調度品。そして掛けられた絵画。吊りランプが世界を闇より浮き上がらせる。パチ、と薪の爆ぜる音。異なるのは、……鈍い緋色の染み込んだ床。]
今晩和。
[ 室内に居る二人の少女に軽く頭を下げ、顔を上げれば其処に在るのは普段通りの――此の場においては異質な程に、穏やかな少し困った様な笑顔。]
……やはり。
[目を伏せる。
牧師とあれ程親しくしていた少女。どんなにか辛いものだろうか、と。
けれどそれ以上、かける言葉は見当たらずに。
少女が人狼で、彼を殺した――その可能性もなくはなかったけれど]
こんばんは。
[青年に、何時もと変わらぬような微笑を浮かべて返す]
――お怪我は、ありませんでしたか?
[そうして。昨夜赤毛の少女に問うたものと、同じ問いを。
けれどそれは何処か冷ややかな、何かを確かめんとするかのようなもの]
[笑う少女に、微かな違和感。
死を見ることを、あれほど厭うていた彼女の印象からは、その笑いはそぐわない気がして。]
どうして……そうね。
神父さんも死んじゃったのに。
[束の間、何かを考えて眉を寄せるも、部屋に来た目的を思い出す。
彼女なら、この館で誰が死んだかを知っているはずだ。
それを、死者を見ることを恐れていた彼女に聞くのは残酷なことには思えたけど。]
ウェンディを知らない?
[今は死した恋人達の部屋に][もう一度戻る。]
[寝台の上に投げ出された、ナイフ]
[青年の血に塗れた其れを]
[取り上げ][青年の身体を探り鞘を]
[血糊はシーツで軽く拭うことしか出来なかったが]
[今は其れで十分だった。]
[未だ牙の生え揃わぬ彼にとっては。]
ええ、特には。
[ 左手の甲の傷の事は云わずに。どうせ明日には治るのだから。]
……俺に、ですか?
[ ウェンディの声に緩やかに首を傾げて見せれば、一歩中へと歩んで、卓上の花瓶を見遣る。白い花は現在も尚、見る者が居らずとも閑かに咲く。]
[ネリーから返ってきた言葉には――ただ頷くことしかできず…]
[少女は躊躇いがちに『聖書』を弄っていたが、ハーヴェイが入ってきたのに気付いて――]
他の方…解りませんわ…。
何方がご存命か…ハーヴェイさんはご存知で?
[『聖書』を胸に抱かかえながら――問い掛けたのはそんな事で――]
不思議な話だよね。
人でも異形でもない、異能。
……本当なら、もっと早く殺されてても不思議はないのに。
[呟く刹那、わずか瞳は陰り、伏せられたろうか。
しかし、次いで投げられた問いに。
陰りは失せ、変わらぬ表情に戻る]
昨日から、会ってはいないよ。
視てもいないから、どこかにいると思う。
[問いに答える様子は、ごく静かで。
淡々と]
[向けられる緩やかな視線に、少女はきゅっと唇を噛み――]
えぇ、あなたに…。少しお聞きしたいことがあって…。
[ふわりと微笑みながら少女は僅かにハーヴェイとの距離を置いた――]
……然う、ですね。
先程、旋律が聴こえましたから……メイが生きているのは、確かかと。
[ あくまでも、青年の彼が知っている以上の情報は口にしない。]
[薄紫の瞳が、不思議に陰る。
そこにどんな感情があるのか、ヘンリエッタにはわからない。]
だって、貴方は誰も殺そうとしてない。
だから、誰も殺さない。
……死にたかったの?
[少女の言葉に、小さく首を横に振る]
殺さなかったんじゃないよ。
怖かっただけ。
……死を視て、自分が人じゃない、と感じること。
それが、ボクは怖かった。
[投げられた問いには、ふと目を伏せて]
……わからない。
[答える刹那、瞳は僅かに揺らいだか]
ねぇ、ハーヴェイさん。
以前、武器庫の鍵を探していらっしゃったみたいですけど…。
その後、武器は手に入れられましたか?
[問い掛ける言葉は、関係ないもの――]
[広間の大扉を開く]
[果たして彼は其処に居た]
[あの金髪の少女、ウェンディと]
[侍女服を纏った女性、ネリーと共に]
[一見和やかに見えて][緊迫した空気の漂う]
そう、ですね。
彼の時の俺には、武器を持つ勇気など有りませんでしたが。
[ 臆面も無く、懐から取り出したのは皮鞘付きのナイフ。]
今はこうして、トビーの物を。……無断拝借ですが、ね。
[ 扉は青年の背後。其の表情を、俄かに暗いものへと変化させる。]
人同士ですら殺し合うのだと、好く理解しましたから。身を、護る為に。
……人でなきゃ駄目?
[そんな問いを、この館に来る前の自分なら口にしただろうか。
少し前は疑問にさえ思わなかったことが、今は逆に不思議だ。
そして、疑問を口にしたあと、その言葉が過去形であることに気づく。
それは、先ほどからの彼女への違和感に繋がっている気がして。]
今は、怖くないの?
ボクらの一族は、異能……異端なの。
死を視る。
声を聴く。
どちらも、普通の人の身では、できはしない。
だからと言って……異形……獣と称されるものでもない。
どちらにもなれないし、どちらにも寄れない。
狭間のものたち。
……初めて声に接するまで、そんな事、知らなかったから。それを受け入れるのは、すごく怖かった。
[静かに、澱みなく、語る。
何故、この少女にこんな話をしているのかは、わからない。
ただ、誰かに聞いて欲しいだけなのかもしれないけれど]
今は……どうなんだろうね。よく、わかんないんだ。
ただ、どちらにも寄れない、から……。
そうでないと、いられないような気がしたから。
そう思ったら、あんまり……気にならなくなった。
[差し出されたナイフを見て、少女はくすりと笑みを零し――]
武器を持つ勇気が無かったのに…武器庫の鍵を探していたのですねぇ。そして今は…トビー君のナイフを…。そうですか…。
でも、そんな小さなナイフで…本当に自身の身を守れるのでしょうか…。武器庫にはもっと優れた者があるのに…。
[そこまで言って、少女は息を吐き――]
まぁ、尤も…。別な力があるのならば…。武器なんて必要ないんでしょうけどもねぇ。
[くすり――]
[微笑む――]
[いつもの彼女であれば、直ちに部屋を出て行っただろう。客人の頼みを聞くこと、それは彼女の勤め。
――けれど]
申し訳ございません。
今、取り込み中でございまして。
[男性のほうを見すらしないまま、淡々と告げる]
[ 広間に入って来た男が部屋を横切っていくのを端目で見遣り、]
俺は、“自分で入りたい”とは云った覚えが無い。
誰が武器を手にしたか。其れを気にするのは、当たり前だと思いますが。
……自分は傷付けられない自信でもおありでしょうか。
[嘆息して眉根を顰めれば、初めて疑念の眼差しが金糸の少女へと向けられる。]
俺は自分から他人を傷付けたいとは思わない――。
[ 其の言葉には過去を悔いるかの様な強い光が宿り、然れどほんの一瞬で消え、]
別な力?
[ 怪訝そうに、問う。]
[ネリーが断るのにも][然して感慨を覚えた様子も無く]
……では、其方の用事が済んでからで構わない。
[暖炉の前に立ち][燃える炎に見入る様子で]
[じっと眺めている。]
[滔々と語られる言葉を少しだけ意外に思う。
彼女と自分は深く言葉を交わしたわけではなかったから。
語られる内容は、力を持たない自分にはわからないものであったけれど。
ただ、理解できないことで、少しだけ彼女を哀れに思った。
どちらにも寄れない少女は、ただひとり。
声を聞く力とは何の為にあるのだろう?
人狼が現れた時にだけ、聞こえる声。
彼女の声を、最後まで聞いて、ヘンリエッタは首を廊下へと巡らす。]
私、ウェンディを探しに行くわ。
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