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―屋敷外・ギュンターの傍―
[少し落ち着いてから、やや遅れてリネン室から戻る。
途中人にあえば仮の埋葬を行う予定であることと、ライヒアルトを見かけたらきて欲しいと言伝を頼んだだろう。
自分が戻る頃にはエーリッヒもすでに道具をそろえていて]
では行きましょうか。
[アーベルの気遣いが功を奏したか、先ほどより声も震えた様子はなく、シーツとタオルで包むのは手伝い、ギュンターを連れる時は二人に任せることになるだろうか]
― →広間―
[広間に入り、先に居た者には挨拶を向ける。
先の知らせもあってか、声はいつもより精彩に欠いていた。
そうして一通りが落ち着いた頃、男は話を切り出す]
昨日、話を伺おうとギュンター殿の私室を尋ねたのですが、断られてしまいまして。
その際に朝ならばと言われましたので、先程改めて伺ったのですが、返事がありませんでした。
ギュンター殿は約束を破る様な御方ではありませんし、おかしいと思って中を見たところ、これが机の上に。
[旅人もいる為丁寧な言葉遣いで、家主の部屋に居た理由も併せて説明をする。
同時に、持ち出してきた本をテーブルの上に置いた]
[エーリッヒとナターリエが道具を取りに行くを見送り
男はギュンターへと向き直る]
ギュンター殿。
[呼びかける声は常より低く囁くにも似ていた]
何が、起こったのです。
[彼の身にふりかかった災いを思う。
前日クロエと話したお伽噺の中の歌が頭を過るが
結論が出る前に、エーリッヒとナターリエが戻ってきた]
ああ、おかえり。
――…二人はもう十分手伝ってくれたから
少し休んでくるといいよ。
庭はあちらだったよね。
ギュンター殿を運ぶのは一人でも問題ない。
[休むようにと勧めるが彼らの選択に異論は言わない]
それと――、もう一つ、ギュンター殿の日記らしきものもありました。
その中に、気になる記述がありまして。
[そうして、その一節をそのまま口にする。
『狼の声がする。久しくなかった事だ。
あの時と、状況が似ている。まさかまた、『人狼』が?』]
ただの狼ではないと言った理由……お解りいただけたでしょうか。
[話を切り、視線は旅人へと向いた]
……あれ、ベスこれどないしたん。
[足拭く時んなって、左ん太腿になんや痣あるんが見えた。
痣んしてはめっちゃはっきりしとるようにも見えんねけど…。
聞けば昔からあったらしい>>217。
なぁんか引っかかるもんあってんけど、それがなんなんかさっぱりやったから、とりあえず両足拭いたって着替えさせてもろた。
うち聞いたから、クロエさん達も見たやろか。
ともあれ身体拭くんが終わったら、うちはタオルと桶持って立ち上がってん]
ほなうち、これ片付けてくるさかい。
あと頼んでもええやろか?
[クロエさんと、まだおるならミリィにも頼んで後片付けすることにした]
[暖炉の中で薪を組んで積む。隙間に燃えやすい種類の木の枝を差し込み、マッチで火を点けた。
パチパチゆらゆらと、徐々にゆっくり薪に燃え広がっていく火をじっと見つめながら、ぼんやり物思いにふける。
さっき、クロエの顔色は大分悪かった。でもこんな状況だから仕方が無いとも言える。誰だって平気ではいられないだろう。
ベアトリーチェも心配だが、自分にどうこうできるものでもない。元気で人当たりの良いローザや面倒見の良いアメリア、そしてもちろんエーリッヒなどに任せるのが良いだろうと思っていた。
それから、ギュンターのこと。
よくよく考えてみれば、野生の獣に喰われたにしては綺麗すぎる気もする。実際にそんな恐ろしい死体は見たことがないが、それでも。
そんな疑念が胸に湧いた時、ユリアン達が広間に入ってきて>>219。礼を言われれば、「……いいえ」と返した。]
―広間―
[そのうち外に居た者たちが戻って来たなら、男は家主の遺体の所在を尋ね。
祈りと、もし未だ済んでいなければ埋葬に手を貸す為、一度広間を離れる**]
[ナターリエがシーツを広げれば
剣を一旦近くに置き、その反対の端を持ち
ギュンターの骸を包むのを手伝う]
――…ああ、やっぱり鍛えてるらしい研究者殿に
道具運ぶの手伝って貰おうかな。
[ナターリエが残る選択をするなら
エーリッヒ一人にするのも何だか心配で
軽口めいた言葉を至極真面目な様子で口にした]
……何か、朝食になるものを作ってきます。
[誰にともなく言って、厨房へと向かう。
ギュンターの遺体を放って戻ってきてしまった。残った者が埋葬かなどするのかもしれないと思えば申し訳なく、せめてと思い。
ライヒアルトの話を聞けたのは、スープの材料を入れた鍋を火にかけて、一旦広間をのぞいた時だったか。]
剣は後で回収するからそのままに。
鞘が無くなってて、……怪我をしたら困るからね。
[置いた剣を示し、ナターリエとエーリッヒに言い添える。
シーツに包まれたギュンターを抱えて庭へと向かい歩み始めた。
ぬくもりは既に消え去り冷たさが触れた箇所から伝う。
鍛えられた人ひとり、それが死者となれば重さが堪える。
それは言葉にも表情にも出しはせず、
言葉少なに雪の中を進んだ]
―屋敷外・ギュンターの傍―
いえ、私は見届けるつもりです。
[少しでも死者の弔いになればと自分の務めを果たすつもりで、
エーリッヒはどうしたか、自分からその行動に異を唱えることはない]
お仕事、ですから。
[シーツで包み終えると、邪魔をしないように二人が連れるのについて後ろから、
アーベルの気遣いの真意を知れたわけではないが、気を使ってくれた様子は感じた気がして]
すみません、ありがとうございます。
[それはギュンターを連れてくれたことへの礼の言葉にもなっていた]
―庭―
[ナターリエの言葉に微かに目許を和ませた。
案じる言葉を掛けるを止めて、一歩一歩歩み続ければ
エーリッヒの示す場所に辿り着く]
此処か。
じゃあ、下ろすよ。
[二人に声を掛けてから、庭にギュンターを寝かせる。
エーリッヒからスコップを借りて埋葬する為の穴を掘り
十分な深さが得られる頃には額にじわりと汗が滲んでいた]
は……、このくらいで十分かな。
[微かあがる息を抑えるようにして言えば
シーツに包まれたギュンターの骸を穴におさめる。
そうして土をかぶせ、埋葬すると、静かに祈りを捧げた]
ほな後よろしゅうに。
ベス、ゆっくり休みぃな。
[クロエさんに後頼んで、ベスにも声かけてからうちはベスん部屋を出た。
片付けおうたら誰かん状況聞いとかんとな。
なんや訳分からん状態ばっかなんやもん**]
― 広間 ―
[お伽噺だ、と肯定されて>>247ほらやっぱりと表情を晴らしかけた旅人の期待は、続く冷静すぎるほどの説明に、またすっかりしなびてしまう]
ねえ、待って下さいよ。もし、もしもですよ?お伽噺の人狼がギュンターさんを襲ったんだとしたら…
人狼は、人の姿をしてるってんですから、ここに集まってる…皆さんの中に居るかもってことになっちまうでしょう?
[旅人は、ごくりと唾を飲み込んで、仮定の上の仮定を口にした。さりげなく旅人自身を人狼の候補者からは抜いて]
そんな事、あるわけないですよね?
[気弱そうに確かめる旅人の表情の奥に、疑うような色が見え隠れする。それは、人狼の存在に対する疑いか、それとも、ここに集う人々に対する疑いなのか]
[ナターリエとエーリッヒが祈りを捧げるを待ち
頃合いをみて二人に声を掛ける]
じゃあ、戻ろうか。
[屋敷の中に戻るを促し玄関まで送る]
俺は剣を拾ってくるよ。
[言い添えてスコップを持った男は中に入らず井戸に向かった。
使った道具の土を井戸で洗い流してから
乾かす為にその傍ら、屋敷の壁に立てかけて置く。
ふと手を見れば外しそびれた革手袋が草臥れてしまっていた]
[ギュンターが土の中に眠ると静かに祈りをささげて、ライヒアルトが来るのはちょうどその頃だろうか]
今、静かに一度寝ていただきました。
後で本格的な埋葬をしたいと思います。
[ライヒアルトの姿を見ると、少し安心したようなそんな様子でそう伝えてから]
では、私は皆さんに報告してきますね。
墓標になるものも、用意し忘れましたね。
[エーリッヒがいたなら心当たりが無いか尋ね、もしあればそれを、なければそれも探しにと屋敷へと*戻った*]
― 個室→ベアトリーチェの部屋 ―
[クロエとローザにベアトリーチェの事を頼んで、一旦部屋に戻って。
昨日も着ていたシャツと紺色のセーター、ベージュのズボンを着る。
髪も束ねる余裕が無かったので、一旦洗面所で顔を洗って。いつものように三つ編みにしようかと思ったが、そんな事に時間を費やすよりはと、ポニーテールに束ねるだけで、またベアトリーチェの部屋へと戻ろうと。
戻った時には、もうローザは片付けに行った後だったろうか]
ありがとう、ごめんなさい。
クロエさんも着替えとか、してくる?
[ベアトリーチェについているクロエに、小さな声で尋ねた]
おかえり、ミリィ。
[ベアトリーチェが眠りにつくなら、妨げることをしない。
ローザと入れ替わるように戻ったミリィに、微笑を向けた。
笑おうとして笑う笑顔だ]
うん…。
[着替えをして来たいし、何よりも暖まりたい。
気を抜けば、先に目にしたギュンターの姿が目にちらつく]
そうだな。…少し、いいか?
[視線は自然と、下にさがった。
年下の幼馴染、ミリィにもエーリッヒやユリアン同様、
妹分のようにしてかつてを過ごした。
他の二人よりも女の子である分だけ、
ミリィとは近しかったとも言っていい。
12年前を境にして、次第に行き来は薄れたけれど、
未だ特別な思いは彼女にもある]
少しだけ……時間が、欲しい。
[俯いたまま、弱みを口にするように打ち明けた。
暖まる時間が、心を整理する時間が欲しかった。
クロエの心は未だ、雪の中で立ち止まって震えている。
それを動かす時間が欲しいと、ミリィには口にした]
…また、あとで戻ってくるから。
[彼女だけには押し付けられない。
そう思うから、約束を同じく唇に乗せた]
─屋敷の裏手─
[井戸で水を汲み、ギュンターの発見された場所に戻る。
赤が散るその場所に水を撒けば雪が溶け赤が薄れてゆく。
別の場所から降り積もる雪を掬い、その場所に掛けるは
血の匂いを薄れさせる為の行動]
――…これで少しは、
[獣を寄せる要素が薄れるだろうか。
最後まで言葉にせぬまま、息を吐く。
置いた長剣を拾い、桶を井戸に戻して勝手口から屋敷の中へ]
[スープは、ビシソワーズ……ジャガイモのスープにした。冷やして飲むことが多いスープだが、温かくても美味しい。とカルメンは思っている。
最初はベーコンと玉ねぎのスープにしようかと思ったのだが、あんなことがあった直後に肉は嫌だと気づき止めた。
一人ではパンまで手が回らないのでビシソワーズとサラダだけ作り、皿をテーブルへと持っていく。]
……どうぞ。
[旅人の前にも、スープをよそった深皿を置く。黙々と食べている様子>>255を見てから、ライヒアルトがテーブルに置いている御伽話の本に視線を向けた。]
確かに……食い荒らされたという雰囲気では、なかったようですけれども。
人狼だなんて、そんな。
[眉をしかめた。そして旅人が自室へと去ってから、ぽつりと言う。]
もし、仮に人狼が存在するとしたら。
それは──外から来た者なんじゃ、ないですか?
[暗い眼差しで、旅人にとってはきっと理不尽だろう疑いを口にした。]
[そして、今は口に出さないものの。胸の内で、思うことがある。
どこで聞いた話だったか。今、人狼の話を聞くまですっかり忘れていたのだが──
それは、人狼の居るところには『人狼への生贄』の役割を持つ者も現れるという話。
だから。
もし、もしも……本当に人狼が居て。昔聞いた話が、真実だったならば。]
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