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― 埋葬前・集会場外 ―
多分そうだ。
[ミハエル>>76に、アマンダも違う、とここでは言わなかった。
人であると言うことで牙が迫ることを避けるためと、まだ見つけていないが故に、花と本人以外には伝えないでおこうと思って。
同じく、ローザも違うというべきなことは、気がつけもしていなかった。その程度には動揺していた。前夜に教えた相手が牙を受けたことに]
ユーさん。ユーディットだ。
肘を酷く食われてね。
[クレメンスが来たのでミハエルのそばから離れて。
バランス感覚に苦心しながら、あとから来たライヒアルトの方へ。
疑問>>91に答えながら、眉を寄せた]
─ 広間 ─
おぅ、起きたかベアトリーチェ。
そういや飯まだだったな。
[ベアトリーチェの声>>115で食事がまだだったことに気付き。
何か食うか?と周囲にも問いかける。
賛同があろうが無かろうが、自分も食べる心算であったため、一度台所に引っ込むことになる]
[次に広間に出てきた時に持って来たトレイには、極簡単に作ったサンドイッチが載っていた。
しっかりしたものを作っても、誰も碌に食べないだろうと判断したためだ]
[掠れた声で紡がれた言葉には誰か反応しただろうか。
居なければユーディットが襲われたことを、隠すことなく伝えることになる]
― 集会場・広間 ―
おはよう、ベアトリーチェ。
[起きてきた少女の姿を見れば、笑顔で声をかける。
けれど、その声に昨日までの可愛がってた響きはない。
一人足りない、という言葉には一瞬目を伏せたが]
うん、そうだね。
ユーちゃんが……メイドのユーディットが、居なくなたから、ね。
…………ところで、ベアトリーチェはユーちゃんの腕にあった、こういうの見た覚えある?
[そう教えた後、胸の蒼花を示しながら問いかけた。
表情だけは笑顔をかたどっているが、視線はどこか冷たいものを帯びている]
─ 広間 ─
[ぐるり、人が集まってきた広間を見回す。
朱花を宿せし『神の使徒』として、『闇の眷属』を討ち滅ぼす。
その意思は揺らがない。
けれど、仮にそうだとしても、傷つけたくない者も、いる。
姉と慕うひとは言うに及ばず。
明るい気質の友と、旋律紡ぐ時を幾度となく共有した者と。
幼い頃に、強く響くものをくれた者たちは、あらゆる意味で、大事で、大切で。
失いたくない──と。
そんな微かな願いを紡げば、首筋に熱が走る]
……ああ……。
[そういう事か、と。
ようやく、思い至った。
ここに来てから感じていた息苦しさは、使徒としては甘い考えに対する『戒め』だったのだと]
― 集会場外→広間 ―
[埋葬の手伝いは出来ただろうか。ユーディットには、此処に来てからとは言え幾度と世話に成った。一掻きでも横から雪を被せただろう。
――後は、数歩離れて見守った。雪の下へ、埋もれて行く面影に瞑目する。幾許かの間を置いて、集会場へと戻った。]
…?
[戻った広間には紅茶の気配。体が冷えたため食欲の無い身にもそれは有難く、用意されていたカップの一つに注ぐ。
最中ふと、セルフと口にしながらも、ミハエルに紅茶を用意していたクレメンスに気付いて一度瞬くか。孤児院でもその辺りは分け隔てなかった保父だから。
その後、彼女から聞き知る"伯父上">>122に、え?と場違いな声を上げそうに成ったが、紅茶ごと飲み下した。呼び名はこれまでに既に聞いていたのかも知れないが、気付いていなかった。]
― 埋葬時・集会場外 ―
えっ?
[黙々と埋葬のために動き。
ミハエル、いや、ミハエラがドレスを纏い戻ってきたとき>>94には大きく目を見開いた。
ウェンデルが人間だった>>95と教わったときと同じように、下を向いてその顔を隠した]
じゃあユーディットは何で。
同色の花が二つ?そんな馬鹿な。
[聞いたことがない。しばらく混乱の中にあった。
片手で掴んだために色素のない髪まで紅く斑に染まった。
間違われた>>110というのを聞いて、どうにか動けるようにはなったが、心ここにあらずの様子で埋葬を手伝った。
先に休めばと言われても、首を振って最後までは続けたが]
─ 広間 ─
[そんな物思いに沈んでいたから、少女の問いかけ>>115に返すタイミングは逸していた。
もっとも、昨日の様子を思えば、自分に声をかけられるのは、と。
そんな思いもあるから、そちらに天鵞絨を長く留める事はせず]
…………。
[巡った視線は、宣する姉>>129へと向かい、止まった。
先に宣言されていた事もあり、驚きは少ないが。
膝の上の茶猫は、どこか心配そうに周囲をきょときょととしていた]
―広間―
うん。
[クレメンス>>に頷いて、程なく運ばれてきたサンドイッチに礼を言ってから手を伸ばす。
以前ほどの食欲は戻らないけれど、ゆっくり咀嚼して、呑み込む。未だどこかぼんやりとした表情は変わらない。
その最中]
……?
[笑顔で声を掛けてきた女性>>127に目を向ける。
ユーディットがいない、と言われれば眉を下げたか。泣き出しはしなかったが。
指し示される胸元に覗く蒼花は目に入った。質問も耳に入っていた。が]
[まず答える代わりに、思いっきり訝しげな顔をした]
……ねーちゃん、誰?
[彼もとい彼女の事情は未だ知らなかった。
声も昨日までと何処か違って聞こえるから、ますますミハエルの印象からは遠く]
― 広間 ―
……そうだったのか、ローザさんが。
[ベアトリーチェに質問をする前だったか、あとだったか。
ローザの言>>129のを聞いて、自分の中の選択肢がひとつ消えた]
……なら、ユーちゃんを勘違いした可能性があるのは、あとはアマンダさんとブリジットさんと、ベアトリーチェ……だね。
[侯爵家を継ぐべき者としての教育を受けてきたから、自分の感情と、有事の際の判断や思考とを切り離す習性がある。
何かがあった時。100人を救うために10人を切り捨てる事ができなければ、貴族などやってられない。
実際に、感情としては切り捨てたくなどなくても。以前、自分が治める領地でとある事故があった時には、より多くの命を救う為に少数の幼子を見殺しにする判断をした事もある。
母の親友であり、昔から幾度も世話になった女性だろうと。
弟妹がいればこんなかんじだろうかと思っている、ベアトリーチェや孤児院の子供たちだろうと。
必要があれば、自ら手にかける事も厭わない。だからこそ、先ほど>>127のような質問もしてしまうのだが。
そんな蒼花を見る周囲の目は、どんなだっただろうか]
― 浴場 ―
俺はこれ、流してきます。
[埋葬を終えて広間まで戻れば、椅子に座ったままのベアトリーチェ>>115が視界に入って、軽く唇を噛んだ。
引きつる髪を指して機械的に言い、エーリッヒ>>120に続くような形で浴場へと抜けてゆく。ゆっくり風呂に浸かるつもりは流石にないから、その一掴み分だけを湯に浸して流すだけ]
守ろうとしてたのか。ミハさんのあれを知って。
つまりは俺を信用は出来なかった?
ああ、そうだよな。いきなり言われて信用できるはずもない。
でもそれじゃどうしたら。
[頭で得た知識も、場を知らぬ先代から教わったもの。
どこかで掛け違えたと思われる釦の直し方が分からず、髪と一緒に顔を洗ってから広間に戻った。当然、その表情は冴えない]
―広間―
[紅茶で喉を湿らせ、無理やりにでも>>125 朝ごはんを食べた]
クレメンス先生、いただくわ。
[適当にあいている席に腰掛けて、ミハエラの説明を聞く。>>127 子供すらも疑う覚悟に唾を飲み込んだ。
未だコート着込んで体調崩しているのに。背中がまさか昨日目撃したように派手に開いているなどとは知らず]
[一方、もう一人広間を見ていて体調が悪そうに見えた人がいた。>>128 ラーイである]
なぁ、ラーイ。熱?
[大丈夫?、と声をかけたかったが、ローザの話す内容に、きょとんとした>>129]
[意味が、わからなかった]
――え、ウェンが、人間?
[しばらくして、そういえば幻燈歌でそんな探査の力を持った登場人物がいたことに思い至り、やはり幻燈歌をなぞらっていることを思い知る。だがそれは些細なことで]
ラーイ。
[それを聞いて平静を保てるだろうか。友達がただの人殺しと間接的に宣告された友の名を呼び、様子を窺った]
─ 広間 ─
[疑いを口にする蒼花>>135に向かうのは、静かな天鵞絨。
自身が『神の使徒』たらんとするならば、彼女が志すは『指導者』、『導き手』か、と。
上げられた名の一つが生じさせた揺らぎを押さえつけつつ、そう、思って]
ん……どうした、エーリ。
[僅かな間を置いて、天鵞絨が移ろうのは名を呼ぶ友>>137 >>138の方。
重ねての問い>>140に、ほんの少し、眉が下がる]
大丈夫か、って、何が。
……別に、なんとも、ない、ぜ?
[返す口調は、常と変わらぬものに近い。
けれど、茶猫の不安は、消える様子もなく]
─広間─
[修道士とゼルギウスのほうを見ることはあまりなかった。
兄貴分を殺した人と、直接手を下したわけではないが処刑すると言った人。無意識に避けていたのかも知れない]
……!
[ローザの宣>>129が届いた時には、一度びくりと肩を揺らした。
表情が僅かに歪み、下唇を噛み締める]
─ 前日・広間 ─
ウェンデルが?
どうしてウェンデルがここにいるの?
[広間に入り、ミハエルが問いかけたこと>>11に対しての答え>>14に目を丸くした。
自分がここに来てから一度も会っていなかったから、彼がここにいたこと自体知らなかった。
彼を追いかけて外に出ていったベアトリーチェ>>12を追いかける間もなく、転びかけたミハエル>>22や見事転んだゼルギウス>>19を案じて傍についていたが。]
……ベアトリーチェの、声…よね。
[暫くして外から聞こえてきた泣き声>>32に、目を伏せた。
ウェンデルを追いかけていった誰かが、彼を──恐らく殺したのだろう、と。
見るまでもなく、察することはできた。
ミハエルが外へ出ようとするのは流石に止めようとしたが、クレメンスもいるからと思い直した。
外へと向かう彼らに声をかけることもできず、かといって自分も外に向かうこともできず。
ユーディットや広間に残った者と一緒に外に出て行った彼らが戻るのを待って、場が落ち着くのを確認してから部屋に戻った。]
─ 翌朝・個室B→浴室 ─
[目覚めた時は、辺りはまだしんと静まっていた。
恐らくユーディットが朝食の支度をしているだろう、手伝いに行こうかと思ったが目覚めの気分は良いものとは言えず。
そういえば昨日は風呂に入ってなかったことを思い出し、まずはすっきりしてからと浴室に向かった。
身体を洗い、湯船に浸かろうとしたところで聞こえた叫び>>59は、声として認識は出来なかったけれど悲痛な色は伝わり。
また何か──誰かが、と思えばゆっくりと風呂に入っていられるわけもなく。
慌てて体を拭くと、髪から水が滴るのも構わず服を着て外に飛び出した。]
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