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─ →自住居穴 ─
[リスは手に収めたまま、自宅兼店舗である自住居穴へと戻る]
……あら、ゲルダ。
何か御用かしら?
[そこにいたのはお得意様とも言える刺繍師の女性。
首を傾げながら声をかけた]
─ 広場 ─
……さって、と。
ここでぼーっとしていても仕方ないし、一先ず、お呼び出しに応じる、か。
[呟くように言いながら踵を返す。
実際、治水作業を手伝わないなら、ここにいても邪魔になる。
そんな事を考えながらふと見回してみると、どこか困ったようにも見えるノーラ>>151の姿]
……おはようございます。
どうしました?
[掛ける声は、できる限り軽い調子を維持したもの]
…あら、あなたは。
どうかなさったの?
[扉の向こうに居たのは夫ではなく、夫の部下ともいえる自衛団の一人。
首を傾げていると、相手は極言い難そうに話を切り出した。]
ああ…昨日の話なら、あの人から聞いてます。
わかりました、宿屋へ行けば良いのね。
[呼びに来た自衛団員は、何度も顔を合わせた顔見知りだ。
何より自分の上司の妻を呼ぶ事に抵抗も逡巡もあるのだろう。
ありありと見える戸惑いの色には、穏やかな笑みを向けた。]
…そんな顔をしないで。私は大丈夫ですから。
[夫に言った言葉と同じ事を彼にも向けて。
一人で行けるわと彼を一度帰そうとして。]
ああそうだ。あの人、昨日帰らなかったけれど…大丈夫かしら?
[何だか雨が強かったから、と夫を案じる言葉をかければ、昨夜の雨でトンネルが水没した事を聞かされる。その為自衛団も総出で借り出されているのだと。]
まぁ、そうだったの…。
いいえ、あの人が無茶してなければいいのよ。
ああごめんなさいね、忙しいのに引き止めてしまって。
[それじゃあと今度こそ見送った自衛団員が、何か他にも物言いたそうにしていたのには、気付くことが出来なかった。]
[ぺろりと全て平らげて紅茶を飲み終えた所で扉を叩く音がする。
口許を布巾で軽く拭い玄関に向かえば自衛団員の一人がいた]
おはよう。
何かあったみたいだけど、その件かしら。
[ことと首を傾げれば
その件で話があるから宿屋に集まるよう言われる]
――、宿屋にいけばいいの?
わかったわ。
[確認するように繰り返し、こくりと頷く。
宿屋に呼び出される事に違和を感じながら
それでも頷く以外の道は見出せなかった]
[中の人物が出掛けていたとは知らなかったから
背中側からの声に、驚いて振り向いた。
高い位置の顔が傾げられるのを、少し眉を上げて見る
…、ぁ、あの、店…
と、閉じてるならい、いいの、
ご、ごめんなさい…
[顎を引いておずおずと告げる。
泳ぐ視線は包まれるようにいるリスへと注がれた]
酷い雨の後のこの騒ぎですから、気になって様子を見に来たのですけれど。
何か話しかけるのも気が引けて。
[少し怯えるような調子で問いには答える]
……そ、そうなの。
色が、そ、そこそこ使い切ってて、
――、
[半歩引きかけた足は、彼の笑みの柔かさに留まった。
見上げ来るリスへ、少し背を屈めて視線の高さを合わせる]
…な、なんだか、よ、呼ばれた、から、
―――お思いついたと時に、ほ欲しい、色が…
[無いと不安だから。
語尾は消えつつ、視線はリスから離れない]
─ 広場 ─
[リスの存在には気づいていなかったので、最初、ノーラの視線がどこに行っていたかは知らぬまま。
指差しながらの問い>>164に、軽く肩を竦めた]
それが……昨夜の雨で、外の河が氾濫したらしくて。
外への通路に、水が流れ込んで通れなくなったらしいんです。
……どうやら、人死にも出たらしくて。
それで、慌しいんですよ。
[怯えるような様子>>166も見えたから、人死にの部分に触れるか悩んだものの、すぐに知れること、と割り切った。
さすがにというか、声を潜めてはいたが]
─ 自住居穴:店舗 ─
随分と顔を見せなかったものね。
[色を使いきった>>167と聞いて、クスリと笑い扉を開ける。
その途端、リスが左手からゲルダの方へと、跳んだ]
ああもう、パラッシったら。
ゲルダ、悪いけど少し預かっててもらえるかしら?
今、糸を出してくるから。
[手から跳んだリスに呆れつつ、手が空いたので希望する物を取り出してこようと、エーリッヒはカウンターの奥へと向かう。
さて、リスはキャッチしてもらえたのかどうか。
逃げられたなら危なげなく床へと着地することになる]
……ん?
呼ばれたって?
[どもりながら紡がれる言葉の中に、気にかかるものがあり、糸の用意をしながらゲルダへと問いかけた]
―道端―
[目的の人の住居に向けて歩き出したのですが、その途中で呼び止められました]
……。えっと、……?
[声の主を確認するために振り返りました。何となく見覚えがある人です。
服装からして、多分自衛団の人でしょう。
後は名前を思い出すだけ、だったのですが、そんな暇はありませんでした]
……宿屋?
[告げられた言葉に、新たな疑問が出てきます。
僕は村出身ですから、そこに行くのはたまに食堂を利用する時くらいでした]
― →宿屋―
[宿に早々にたどり着くと、女将が迎えてくれた。]
女将さんおはよう。
ここに集まるように言われたのだけど…話は聞いてる?
[尋ねれば女将は眉を潜めたか。
例の話はどうやら色んな人間に知れ渡っているようだった。
ただ誰が、は知られていたりいなかったりのようで。
女将は自分が来た意味を知るなり目を丸くしていた。]
この年になって、こんな事に巻き込まれるとはねぇ…。
思っても見なかったわ。
[諦めたように苦笑を見せながら、人が集まるまで食堂の椅子を借りて暫くそこに座っていた。]
うん、分かった。
[断る理由は無かったので、とりあえずは頷きました]
……。でも……あれ。
[理由を尋ねようとした時には、もう目の前に人はいませんでした。
ちょっと遅かったみたいです]
……まあ、いいや。
[どうせ行けば分かるだろうと、僕も後を追いかける事はしませんでした]
あ、わ、ぅや、ら、
[意味の無い声を零しながら、跳んだリスを片手お手玉。
両手使えれば楽だったのだろうけれど荷物があったから、
それでもなんとか弾いた片手にキャッチし、平に載せる。
いつも無表情なゲルダの頬が、やや上がった]
…あ、…ん、よ、呼ばれた。
や宿屋に集まれ、ってて…
なな何の用向きかはし、知らない…
[どもりつつ話しながら、
行儀良くしているリスの鼻面へ自分の鼻を寄せてみた]
……。うーん。
じゃあ、終わってから行こうかな……
[両手でしっかり抱えた本に目を落とします。
今僕が立っているこの場所からだと、最初の目的地よりも宿屋の方が近いのです。
だから僕は予定を変更して、先に宿屋へ向かうことにしました]
― 自住居 ―
[外の雰囲気がいつもと違えど、ベッドの上の青年は今日も惰眠を貪っていた。
ノックの音なんて、聞こえちゃいない。
自警団員が部屋の前に居る事なんぞ、眠りの中のウェンデルには知った事ではなかった]
─ 広場 ─
ええ……外に出られる道は、あれ一本。
上に抜ける、って言うのも、無理ですしね。
[問いかけ>>169に、翠を上へと向けて首を横に振る]
……多分、そうだと思うんですが。
[普通に考えたなら、氾濫に巻き込まれた、と考えるのが妥当だろうが。
それにしては、団員たちの間の張り詰めたような空気が気にかかる。
考えすぎならばいい、とも思うのだが]
とりあえず、ここにいても作業の邪魔になるだろうし……俺は、宿に行かないとならないんで、そろそろ行きますけれど。
ノーラさん、どうします?
[ともあれ、嫌な予感は強引に振り切って。
軽さを維持しながら、こう問いかけた]
さて、と。
あとは馬たちの方にも行くか。
[一通りの仕事を終えると、馬たちの世話をしに厩へと。
自衛団員に呼びとめられたのも、その時か。]
……何、どうしたの?
[こて、と首を傾げて問うと大まかな事を告げられて。]
……なるほど、ね。わかった。
後で、ここで寝泊りする人用の部屋を用意しておくよ。
…もう俺、厩に行っていいよね?
[にこやかに笑みを浮かべたものの。
ほんのり苛立ちのような感情がうっすらと滲んだのは、止む無し、かもしれない。
とかく自衛団員が立ち去れば、
厩へと行ってミリィの驢馬や、他の人の馬などの世話をした。]
─ 回想・昨日 ─
[ハンカチのお礼を向けたゲルダの表情が微か柔らかなものに変わった>>109のを見て、より嬉しくなってまたにこにこと笑う。
彼女の手が自分の肩を払うように触れて流れたのには、何かあった?と首を傾げたけれど言葉で説明がなければ特に問うことはしなかった。]
うん、言ってたね!
でもお父さんいっつもしみないって言って滲みるお薬ぬるから、嘘だと思ってた!
[ライヒアルトから返された穏やかな笑み>>73に言葉を返し、続いた注意には大きく頷く。
とは言っても転ぼうと思って転んでいる訳ではないから絶対転ばないとは言えないのだが。
幸いにしてか、ミリィやノーラがライヒアルトと多分お仕事だろうお話をし始めたから声に出して返事はせずに済んだ。
側にいる人達が自分には良く解らない話をし始めたから自分は口を閉じて、ゲルダから貰ったハンカチをたたむ。
それをポケットにしまったところで聞こえた声>>92に、きょとりと瞬いた。]
─ 回想・昨日 ─
雨強くなってきたってことは、待っててもやまないの?
じゃあ私、いますぐ帰る。
あ。ミリィお姉さん、ありがとう。
絵の具のお金、明日もってくるね!
あと、調味料と干肉もあったら明日買うから!
[父に頼まれたお使いで出てきた時は降ってなかったから、家の畑の覆いもしていないし父も心配しているはずだからと、帰ろうとして。
最もこの雨の中では父から頼まれたものをもって帰るわけにもいかず、取り置きをたのむしかなく。
ミリィから絵具の入った包みを受け取る>>99と、宿屋の女将から油紙をもらって包みを覆い、雨足の強まってきた外へと飛び出した。]
─ 回想・昨日 ─
あれ、お父さん?
お迎えきてくれたの!?
[宿屋から自分の住居へと走って戻っている途中、傘をさしてこちらに向かい走ってくる父の姿に足を止める。
お使いを頼んだものの中々帰ってこない自分を心配して迎えにきてくれたとわかると、父まで濡れると気付かずその胸に飛び込んだ。
困ったような顔で笑う父のさす傘に入って、家を出てから今さっきまでの事を話して。
ゲルダからハンカチをもらったことや、ミリィが父の欲しがっていた絵具を渡してくれたことを話すと父も嬉しそうに笑ってくれた。
右ひざに巻いてもらった包帯についても聞かれて、気を付けなさいと怒られたりもしながら家へと帰った。
畑の保護は既に父がしてくれていて、濡れた服を着替えて夕食を済ませた後はいつものように工房で父が絵を描いている所を見ながら眠りに落ちた。]
─ 回想 終了 ─
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